グローバル企業と多国籍企業はどう違う?求められる人材は?

皆さんは「グローバル企業と多国籍企業の違い」について、ご存知でしょうか。

ほとんど同じと言えばそれまでの話ですが、実はIBMのCEOであったSamuel J. Palmisano氏は、明確な定義付けを行っています。

今回は同氏の位置づけたグローバル企業と多国籍企業の用語の違いを解説し、外資系など積極的に海外展開を行う企業の変遷を見てみましょう。

海外展開する企業を3種類に分類

IBMのCEOであったSamuel J. Palmisano氏は、海外展開を行う各社に対して、以下の3種類のカテゴリーを定義づけしています。

〇 国際企業
〇 多国籍企業
〇 グローバル企業

「どれも同じようなものだ」と感じるかもしれません。

しかし、同氏によると上記3種は「GIE(Globally Integrated Enterprise)」の1形態に過ぎず、全て明確な違いがあるとのこと。

更に言えば、このように海外展開を行う企業がが多様化した背景には、少なからぬICT技術の向上が影響していると述べています。

国際企業とは?

国際企業とは、本国が拠点としての機能を保持したまま、海外では販売や製造を行っているに過ぎない企業です。同氏によると、これは19世紀の古いモデルとのこと。

ところが、内資企業の中にはグローバルを名乗りつつ、実際には国際企業に過ぎないというパターンも。

こうした企業はしばしば、「本当のグローバル企業とは言えない」と評価されることもあります。

多国籍企業とは?

多国籍企業は、国際企業と比べて海外拠点が「人材・リソース」において、ある程度自立した企業形態です。

本国では全社共通の機能を作りつつ、現地法人としての機能を持たせることに注力しています。つまり、多国籍企業は販売や製造のみならず、現地法人として財務や人事的な処理を行う機能を有している存在です。

多国籍企業は国際企業と比べて1歩進み、20世紀のモデルとして知られています。

グローバル企業とは?

グローバル企業は、本国・海外問わず全ての拠点の機能を「1つの企業」として集約させた形態です。

グローバル企業では、展開している拠点が持つ全ての機能やサービスを、全拠点で共有します。そのため、グローバル企業では国籍に捉われる必要すらなく、価格や品質の観点から取り得る最適解を導き出すことが可能です。

(例:全ての人事サービスをフィリピンのマニラで行う等)

背景にはICT技術の急速な品質向上による、世界の縮小化が影響しています。多国籍企業よりも更に1歩進んだ、21世紀らしい企業モデルです。