管理職の種類と責務 -部下を持つ管理職と持たない管理職

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管理職の考え方が会社によって違うと思ったことはないでしょうか。もしくは、管理職の種類と責務について今一つはっきりしないと思うことは? 例えば、初めて部下を昇進させ、彼らにも部下を持たせることになった時、どのような上司像を目指せばいいのか、聞かれたことはないでしょうか。管理職はそのポジションと状況によって、目指すもの、第一に考えるものが変わってくるものです。そして、管理職として適切な運営がなされていないと実績が落ち、部内の関係性を悪化させてしまうこともあります。逆に、管理職として安定し、適切な運営がされていると、部下も成長し、業績も上がります。部下の指導、ご自身のキャリア構成に疑問を感じたら、一度立ち止まって整理して見る機会があると、より、楽しく、充実した日々を送ることができるかもしれません。

ここでは、ピープルマネージャーとインディビジュアルコントリビューターマネージャー、二つの管理職の種類について解説します。今後、管理職を目指す方は、ご自身がどちらに向いているのかの参考にしてみてください。また、今すでに管理職にある方は、ご自身が今後、どのような管理職を目指したいかを考えるヒントとして読んでみてください。

部下を持つ管理職(ピープルマネージャー)とは

部下を管理監督する管理職のことをピープルマネージャーと言います。管理監督は、物理的な勤怠管理だけでなく、部下を成長させ、結果、組織を成熟させ価値を上げることも含みます。ただ、ひと昔前と違って、人を育てるだけのピープルマネージャーは少なくなりました。日系でも外資でも、ある意味仕事を持ちながら、部下を持つことが普通になっています。

ピープルマネージャーの難しいところは仕事と人材育成とのバランスです。部署や職種によりますが、あまりに実務を持ちすぎると部下の育成をすることに力は入りません。逆に、すべてを部下に振ってしまうと全体像が見えず、適切な時に適切な判断をすることが難しくなります。

新しい部署を担当しながら、同時に初めて部下を持つことになった新米ピープルマネージャーには、仕事と部下育成のバランスが取れず、急に自信を無くしてしまう管理職も少なくありません。

下記にて新しい部署に配属になった、新米ピープルマネージャーの場合を例に、最初の一か月から三か月で行うべきことを見てみましょう。

1.部内の仕事をすべて一度把握する
先ずは部内の仕事を把握します。もし、部下が一人休んでも、他の部下と力を合わせて戦力になれるくらいの把握と能力開発は必要です。そうすることによって部下からの信頼は厚くなります。

2.部下が望んでいることも確認する
管理者がすべき仕事のみならず、部下が管理職としてのあなたに望んでいることも聞いてみましょう。ただし、その部分でも部下にやってもらった方が部下の成長の役に立つと思うのならば、なぜその部分を管理職に求めるのかをよく聞いた上で、仕事を任せたいとお願いし、お互いの信頼関係を築くことも重要です。

3.組織が一年後二年後どうなっていたらいいかを思い描く
部署に配属になったら三か月以内に、一年後、二年後、もしくはもっと遠くの時点を思い描き、組織の成長について考えてみましょう。そうすることによって、今いる部下にいつまでにどこまで成長してほしいかを具体的に思い描くことができます。もちろん、ご自身の上司と相談して形作ってもいいでしょう。今よりはっきりした像を思い描け、今後の相談も上司にしやすくなります。

4.部下に組織の未来像を共有し、部下の成長の期待を伝える
3.で部門の成長についてはっきりした像ができたら、是非とも部内で共有しましょう。そうすることによってご自身の部下にどのような成長を望んでいるかを伝えることにもなります。

1.から4.までを行えたら、部下とのOne on Oneミーティング(一対一のミーティング)にて、部下の成長についてフォローアップしていきます。
ピープルマネージャーの最大のメリットは、仕事を通して部下や組織の成長を実感できることにあります。

インディビジュアルコントリビューターマネージャー(Induvial Contributor Manger) とは

会社によっては、ビジネスマネージャーや専門職という言い方をします。ただ、左記の呼び方の職種の方には部下を持つ場合もあります。ですので、今回は、単純に部下を持たない管理職のことを、インディビジュアルコントリビューターマネージャーと呼んで解説します。様々な職種にこれらの管理職は存在しますが、ここでは、プログラムマネージャーやプロジェクトマネージャーなどを思い描いてみてください。

つまり、なすべき仕事がはっきりしており、予算をもって期日までにプロジェクトなどをローンチさせるのがミッションです。もちろんこう言った肩書のマネージャーにも部下がいる場合もあります。

インディビジュアルコントリビューターの難しいところは幅広い仕事の管理の采配です。仕事柄、ご自身よりももっと職位の高い方たちの意見をまとめ、他部署の人たちと協業をしなくてはいけません。つまり、高い仕事のマネージメント能力とコミュニケーション能力を必要とされます。

具体的なマネージメント能力のイメージは、プロジェクトをスケジュールに遅れることなく管理し、ゴールに向かって細かなアクションプランを導き出し、マイルストーンで確実に決済を取り、発生する問題を解決しながら、期日までにすべてのアクションを完了し、滞りなくビジネスをスタートさせる能力になります。

また、必要なコミュニケーション能力にも様々あり、大小会議で取りまとめのためのファシリテーション能力、それぞれの部署から上がる懸念や要望を吸い上げ、アクションプランにつなげるコーチング能力、不満のある部署に解決策と前向きな協力を求めるためのアサーティブ・コミュニケーションなどが必要です。

プロジェクトを持っている人の中には、別部署のメンバーが参加する場合もあり、ときにメンターやピープルマネージャーの仕事をすることもあり得ます。つまりはそれらをバランスよくこなせる仕事の采配と優先順位のつけ方ができる能力を持ち合わせていなくてはなりません。

インディビジュアルコントリビューターのメリットは、仕事を徹頭徹尾ご自身で采配できることでしょう。

まとめ

管理職には部下を持つピープルマネージャーと、部下を持たないインディビジュアルコントリビューターが存在します。どちらにも必要なのは、バランス感覚と高い仕事のマネージメント能力及びコミュニケーション能力です。どちらの立場がより良いということはありません。また、異動や転職で交互に経験することもあるでしょう。ご自身でどちらかのタイプにストレスを強く感じるようなら、今後の転職の際にはどちらのタイプの管理職がご自身に合っているか、考えてみるとよりよい選択ができるかもしれません。ぜひ今後の仕事選びの参考にしてください。

部下が大きく成長したと感じる時とは、「仕事を期日前に、ミスなく終え、成果を出した」「より良い方法を自ら提案して、実施し、仕事の効率を上げた」のどちらでしょう。多くの人が後者だと思うのではないでしょうか。なぜなら、後者のような成長がそのまま組織を成長させることになるからです。両者の違いは、自ら考えて行動できるかどうかです。上司がヒントを出すこと無く、より良い方法を考えて提案できるようになるには、適切なガイドが必要です。適切なガイドとは、ヒントやアドバイスを与えるのではなく、相手が自らの考えをま...
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