プロジェクト推進室に新しい人を雇うために、菅沢は佐久間とのコーチングを通して、職務記述書(ジョブディスクリプション/以下JDと約します)を作っていく事になりました。前回は、『JDをしっかり作って、最短時間で適切な人を雇えること』という目標に対して、心の本質を聞く質問をしています。
『心の本質』とは、コーチされる側がたてたゴールを達成できたときに起こる良いことと、できなかった時に起こる悪い事を言います。深く聞き進める事によって、ゴール達成に対する気持ちをより強くするために行います。聞く際に重要な事は、コーチされる個人にとって起こる良いこと悪いことを、物理的な事のみならず精神的な本質にたどり着けるように聞いていくことです。
前回は「達成できたらどんないいことが起こるか」という、心の本質を聞く質問に対して、菅沢は、達成できれば、部署の価値を上げる事に貢献でき、自分の不安も解消されると伝えています。
今回はもし達成できなかった場合の起こる悪いことにフォーカスし、佐久間は菅沢に聞いていきます。また、菅沢は『心の本質』を明確にできたことで、菅沢と自分の部下である東堂とのコーチングについて佐久間に質問をしています。
プロジェクト推進部の背景:
彼らはオミヤゲドットコムという会社のプロジェクト推進部の社員です。
プロジェクトマネージャーの佐久間はチームメンバーの成長のためにOne on One(一対一の面談)をコーチングで行っています。主に直属の部下で、女性管理職のプロジェクトリーダー菅沢を対象としています。
主な登場人物:
佐久間省吾 35歳 プロジェクトマネージャー
菅沢莉子 32歳 プロジェクトリーダー
東堂聡志 28歳 プロジェクトメンバー
<心の本質を聞く その2>
セッションのポイント
1 達成できたときにおこる事と対比して、聞き、出てきた言葉をサマリーして、復唱し、そして、何度か繰り返します。
2 心の本質はどちらの方向から聞いても、最終的に自分が一番大事にしたい気持ちにつながることが多いです。そして、それをコーチされる側が認識することが大事なポイントです。
3 時間をどのように使うかは必ずコーチされる側が決めます。
4 『心の本質』を聞く質問は目標が変わったタイミングで聞くと、背景にある感情が目標達成への気持ちを後押ししてくれます。
コーチングのチェックポイント
心の本質の質問は、達成できたときにおこるいい事に対して達成できなかった時に起こる悪いことも同時に確認できているだろうか
どのように時間を使うかを常にコーチされる側に確認できているだろうか
まとめ:
コーチングでは『心の本質』は達成できたときに起こる良いことと並行して、達成できなかったときに起こる悪いことも並行して聞きます。深く聞いていくと、別の方向から、同じ結論に達することがあります。今回の場合は、達成できれば、自信につながり、達成できなければ、自信を失うです。どのようなゴールにも背景に感情が流れています。その感情をコーチングで明確にすることで、しっかりゴールにたどり着くことができます。
*この物語に登場する人物名、団体名、システム等はすべて架空のものです。
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