会社のカルチャーについて考える【職務記述書(JD)を書くためのコーチング7】

プロジェクト推進部のプロジェクトリーダー、菅沢は部署の価値を高めるため、他部署との連携した改善やプロジェクトの立ち上げのための部下を採用することになりました。上司、佐久間とのコーチングを通して、職務記述書(Job Description/ 以下JDと略します)を新たに作ります。

前回のディスカッションでは、部内で、部署が目指す方向性についてまとめました。
今回は人事、リクルーターのメンバーをいれて、カルチャーについて話をする回となります。
コーチングの回ではないですが、コーチングで使う手法でディスカッション時にも役に立つ部分がありますので、後程解説します。

プロジェクト推進部の背景:
彼らはオミヤゲドットコムという会社のプロジェクト推進部の社員です。
プロジェクトマネージャーの佐久間はチームメンバーの成長のためにOne on One(一対一の面談)をコーチングで行っています。主に直属の部下で、女性管理職のプロジェクトリーダー菅沢を対象としています。

主な登場人物:
佐久間省吾 35歳 プロジェクトマネージャー
菅沢莉子  32歳 プロジェクトリーダー
東堂聡志  28歳 プロジェクトメンバー

<会社のカルチャーについて>

え、今日は会社のカルチャーについて話し合うために集まってもらいました。部署のメンバーにプラスゲストで人事、リクルーターの藤崎さんに同席してもらっています
菅沢
よろしくお願いします。JDを書くためにカルチャーをまとめてると聞いて、①とても楽しみにしてきました
藤崎
お時間ありがとうございます
菅沢
佐久間
他の部署で同じような取り組みをしていないかとか、人事でもそういったことをまとめているかもしれないと思いまして、入ってもらおうと思ったのです
ハード面、ソフト面の強みをまとめている部署は多いですが、カルチャーに絞って考えているところはないですね。逆にどういった強みをもっていれば、カルチャーに適合できそうか見たいな議論はあります
藤崎
東堂
じゃあ、主にソフト面の強みとカルチャーフィットを融合させてみている感じですか
そうですね。ただ、そこを厳密に見ているのはたぶん、ハイヤリングマネージャーだけかもしれません
藤崎
私も書いてみて、そういえば、結局はソフト面の強みを書くことになるなと思いました
菅沢
でも、こういうカルチャーフィットが必要という、確認するものがあった方がいいかもしれないですね
藤崎
佐久間
じゃあ、菅沢さん。考えてきたのを、見せてもらえますか
はい、オミヤゲドットコムのカルチャーとして、四つまとめてみました。
菅沢

1 失敗を恐れず再挑戦する
2 考えるだけでなく、すすみながら考える(スピード重視)
3 タイミングをのがさない(ビジネスの好機を逃さない)
4 他者を常に尊重する

そこから、下記のようなソフト面の強みを書いてみました。

A 多種多様な部署との間に立って、スピードを意識した行動ができる方
B 少ない情報の中でも想像豊かな提案ができる方
C 積極的な試行錯誤をいとわない方」

カルチャーの4つは、確かに。特にプロジェクト推進部に関しては、どこよりも早く動き出さないといけない分、どれも不可欠ですね。あと、他部署とのかかわりの中心に立つので、他者への尊重はとてもいいと思います
藤崎
佐久間
この中で一番社歴の短い東堂さん。どう思う?
東堂
そうですね。どこもしていないサービスを提供しようとする会社のカルチャーは、タイミング重視、スピード重視だと思います。ただ
佐久間
ただ?
東堂
自分がいうのもなんですが。他者を尊重するという意味では。ズバリ、『コミュニケーション能力の高い方』という形でいれるのはどうでしょう。ありきたりでも、大事だと思います
佐久間
いいですね。成長してますね。東堂さん
東堂
菅沢さんのコーチングでのOne on Oneのおかげで、①日々成長を実感してます
それは、①うれしいです。って東堂さん本心?
菅沢
東堂
①僕が実感してることを否定できませんよ。言葉通り受け取ってください
ごめんなさい。①そう言ってくれてありがとうございます
菅沢
佐久間
じゃあ、私からも。皆、忘れてるかもしれないですが、『データに基づく分析能力の高い方』
東堂
あー
でしたね
菅沢
な~に?
藤崎
佐久間
この二人はデータ重視で毎日仕事しているわりには、当たり前すぎるんですって
当たり前だと思ってることを文書にするのって、ほんとに大事ですものね
藤崎
じゃあ、主に強みはこの二つをくわえて5つで
菅沢
これ、とてもいい機会だと思うので、各部署のリーダーに集まってもらって、カルチャーフィットのワークショップをしてみてはどうかしら。もちろん、人事が主催します
藤崎
佐久間
いいですね。参加させていただきますよ。こちらからも
リクルーターたちも、積極的に参加させてもらいます。というのも、やはり早めに辞めてしまわれる方がいるときって、面接では見抜けなかったけれど、カルチャーフィットがなかったという結論になることも多くて
藤崎
佐久間
そうなんですか。うちは恵まれていますね。ありがたいことです
なんか、わざとらしいですよ
菅沢
佐久間
いや、素直に受け取りましょうよ。メンバーをほめてるんだけど
ふふ。コミュニケーション、ちゃんと取れてますね。この部署安心です。じゃあ、また別途お知らせしますね
藤崎

セッションのポイント

コーチングで行うフィードバックは、アイメッセージ、つまり、自分の気持ちとして相手にフィードバックする方法を推奨しています。
例えば、「データ分析が上手ですね」と、「まとめてくれるデータは見やすくて、使いやすいですね」
であれば、後者のほうが、言っている本人の気持ちなので、否定ができませんし、相手に受け入れやすいフィードバックになります。一番シンプルで使われるのは、「ありがとう」という気持ちを伝える言葉ですね。

まとめ:

グループディスカッションする場合でも、コーチングの手法を取り入れる事はよくあります。特にそれぞれの言葉がそれぞれの理解になってしまわないように、言葉の本質を聞く質問をすることもよくあります。今回、菅沢は、部署でまとめたカルチャーから、求めている人材のソフトスキルを導き出し、相手に伝わる言葉にしてリストにしました。
また、コーチングの承認方法として、自分の気持ちとして相手にフィードバックをするアイメッセージも大事なスキルの一つです。部署内でフィードバックする際には、積極的に使ってみてください。
*この物語に登場する人物名、団体名、システム等はすべて架空のものです。

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