面接官を知り己を知れば転職危うからず!面接官の理解こそ採用への道

転職面接においては、いかに面接官の心情や思惑、ねらいなどを理解して応対するかどうかが結果を左右すると考えられます。
とはいえ、面接官が何を思い、どういう意図で質問してくるのかが分からないという声も多いことでしょう。
そこでこの記事では、面接官の側に立って応募者の何を見ようとしているのか、企業側からは何を伝えたいのかなど、面接官を理解するための情報を紹介していきます。

面接官目線での「面接の目的」を知ろう

まず、面接官は「申請者の本音を聴く」ことを意識しています。多くの応募者は、採用されるために面接の準備を整えて面接に臨むものです。
そのため、型にはまった発言が多く見られ、個性を見極めることが難しくなります。
面接官は、あなたが心の中に何を秘めているのかを知るためにさまざまな質問をするのです。自社に対して本当に強い気持ちを持っているかどうかを確認しようするでしょう。
また、面接官はあなたが入社前に関与する数少ない社員のひとりであることを意識しています。
つまり、面接官の行動はあなたから注目されていることを理解しているのです。企業の窓口として恥じない、毅然とした態度を心がけていることでしょう。
面接官にとって中途採用面接の主な目的は、以下の3つに集約されます。

●ミスマッチを防ぐ
●ありのままの姿を見極める
●自社をアピール

それぞれを詳しく見ていきましょう。

ミスマッチを防ぐ

面接の目的のひとつは、職務経歴書に記載されている経験やスキルが、本当に正しいかどうかを判断することです。
一部の応募者は新しい仕事を得るために、職務経歴書を実際よりも良いように記載してしまうことがあります。
しかし、企業がそれをすべて鵜呑みにした場合に、その人が入社してともに働き始めたときに、想定との不一致が発生しかねません。
中途採用でもあり、即戦力を期待していたのに、そのままでは力を発揮できなくて指導教育が必要となると、企業も目算が狂ってくるというものです。
したがって、職務経歴書の内容が事実と異なるようなことがないかを、入念に確認する必要があります。

応募者のありのままの姿を見極める

面接官の基本的なねらいは、応募者のありのままの姿を引き出すことです。
応募者は、面接の準備を慎重に行って面接会場に来ています。想定できるかぎりの質問に対する適切な回答を用意している上、普段より真剣で丁寧な対応を心がけるものです。
しかし、採用後に印象が大きく変わってしまうと、採用意図から外れる可能性があります。
したがって、時にはあなたの印象と対極にあるような質問を投げかけ、揺さ振ることで本当の姿を見ようとすることもあるでしょう。
決して意地悪ではなく、あなたが何者であるかを短時間で理解して、入社後に活躍ができるかどうかを判断したいからです。

自社をアピール

上記ふたつと角度の違う、面接官のもうひとつの目的は、自社が応募者にとって転職する価値があるとアピールすることです。転職面接は、転職者が企業を確かめる場でもあるといえます。
企業があなたを優秀だと認めて採用を決めたとしても、あなたが面接を通してその企業の魅力を感じなければ辞退することもありえるでしょう。
したがって、面接官は自社の優位性をよく説明し、あなたの心に留めておこうとします。また、あなたからの質問に答えて不安を解消し、自社で働きたいと決意をさせたいのです。

面接官の苦労を知っておこう

面接官とてひとりの人間です。沈着冷静な振る舞いの奥には、さまざまな苦労があることでしょう。どういう苦労を抱えているかを知ることは、あなたが面接官を理解するために役に立つはずです。

社の代表としての重圧

面接官は窓口である自分が、企業を代表していることを深く自覚しています。
普段のサラリーマン生活で「自分はまだまだだ」と考えている人でも、応募者にとってはモデル社員です。いわば一挙手一投足が応募者たちの目に晒されているといえるでしょう。
憧れになるか、はたまた失望させるかというプレッシャーもあるはずです。振る舞いだけでなく外見にも気を配り、こういう人と一緒に働きたいと思わせるようしたいでしょう。
また、面接官は自社に関するあらゆる情報を網羅して、面接に臨もうとします。応募者は面接官を企業の窓口として、準備してきたさまざまな質問を投げかけるからです。

もし応募者への対応が不誠実であれば応募者は、その企業は社員の質が悪いのではないかと疑うかも知れません。要するに、有能な人材の喪失につながるおそれがあると、面接官は心得ているのです。

決して高圧的な態度を取らない

面接官には、高圧的な態度は一般的に固く禁じられています。応募者が面接官に対して謙虚な態度を示すのは、面接官の威厳からではなく、ビジネスマナーの常識だからです。
面接官も当然謙虚に対応します。応募者の意見を否定することもしないでしょう。もし応募者の考え方や価値観や態度が気に入らなくても、それは採用しなければよいだけなので、努めて謙虚さを崩しません。
万が一お互いに険悪な雰囲気になれば、応募者によくない噂を流されることを恐れてもいるでしょう。

応募者が話しやすいように最大限の配慮を払う

面接官の基本姿勢は、どの応募者に対しても笑顔と柔らかい物腰で相手をすることです。ごくまれに、応募者に対して厳しい表情や態度の面接官もいますが、ほとんどそのようなことはありません。
笑顔であなたの緊張をほぐしてくれようとします。あなたの話にしっかりと相槌を打ってくれるのも、あなたが自分の意見を述べやすいようにするためです。
「つまり今のお話はこれこれこういうことですね」と、面接官が話の方向性を見失いかけている応募者の、軌道修正をすることもよくあります。
そういう対応をしてもらえると応募者は誠実さを実感できるため、本心から話せるようになるでしょう。
その結果、応募者の虚飾を取り払った本質が見えやすくなり、内容に深みがある面接になるのです。
このように、面接官はさまざまに苦労しながら、あなたの面接に臨んでいると考えておきましょう。

面接官の苦労を理解した応募者のとるべき態度は?

面接官の苦労、重圧、配慮をよく理解した上で取るべき態度は、まずは面接官に最大限に敬意を表して接することです。
面接官が話している間は目を見て真摯に耳を傾け、適度な相槌を打って話しやすい配慮をしましょう。
また、いいところを見せようとして面接官が答えに窮するレベルの難しい質問をするようなことは愚の骨頂であり、印象も下げるので逆効果です。
いくら面接官が全方位的に回答を準備していると言っても、会社のすべてを分かっているわけではありません。
質問をするなら、もちろんサイトなどで公開されている情報を尋ねてしまうのは準備不足と思われますが、それは理解している上での、もう一歩突っ込んだ質問くらいが適切でしょう。
応募者が知っている情報の背後にあるものや潜んでいる理由を尋ねる質問などです。これは面接官も準備をしていて答えやすいレベルなので、困らせることがありません。
むしろ、ポイントをついていると感じてもらえる可能性が高いのです。

面接官目線から見た一般的な面接の流れと注意ポイント

応募者が入室してから退室するまで、面接官は気を抜けません。
この記事の最後に、面接官の目から見た一般的な面接の流れとポイントを紹介しておきましょう。

1:応募者が部屋に入る
2:アイスブレイク
3:自社の説明
4:履歴書や職務経歴書を見ながらの質問
5:事務的な確認事項

アイスブレイクとは応募者が着席したら、緊張を和らげて対話がしやすくなるように、軽い世間話や雑談から入る手法を指します。面接官からさりげなく話をして対話をリードしてくれますが、わずか数分のことです。
さて本番に入ってからの注意ポイントを確認して起きましょう。

志望動機の質問

最初のポイントは、履歴者や職務経歴書に書かれた志望動機に関しての深さや、転職理由に矛盾がないかを、面接官にじっくり吟味される段階です。充分に準備しておきましょう。

長所と短所の質問

次なるポイントはよくある「長所」や「短所」の質問です。出てくる答えから、面接官は話を広げたり深堀りしたりしながら、応募者の本質を見極めようとする段階といえるでしょう。
長所を答える際は第三者の客観的な批評やエピソードを交えて、過大評価に映らないようにするべきです。
短所を答える際は、その短所の特質を長所に置き換えてしまって、自己アピールとしてしまうくらいで臨みましょう。
以下に例を挙げておきます。

・「飽き性」を「好奇心旺盛」に置き換えて「飽き性なのですが、目にするあらゆるものに興味があっていろいろと研究したくなってしまうからなのです」
・「神経質」を「慎重さ」に置き換えて「神経質なのですが、いつでも充分な周準備をして臨みたいからそうなってしまいます」
・「失敗を引きずる」を「責任感」「探究心」に置き換えて、「失敗を引きずってしまうところがあるのですが、絶対に同じ失敗でまわりに迷惑をかけたくないので、失敗の原因を深く探ってしまうからです」

逆質問

最後のポイントはひととおり面接官からの質問が終わったら、逆に何か質問はないですかと応募者が尋ねられる、いわゆる「逆質問」の段階となります。
応募者からの質問は、応募者の価値観とその企業に対する思いが反映する傾向があるのです。つまり、逆質問は自己アピールの絶好のチャンスといえるでしょう。
自由度が高いという逆質問の特徴を利用して、面接官に何を伝えたいのかを明確にして、質問を準備してください。
質問とセットで、自分のビジョンを添えるのも効果があります。例えば以下のような発言です。

「御社でぜひとも活躍したいので、そのために〜〜を身につけていくつもりです」

ただし、逆質問は自由度が高いとはいえ、間違うとよくない印象を与えてしまいます。
避けるべき質問は大きく4つです。

●調べれば分かる内容を聞く質問
企業研究不足と思われます。

●面接官がすでに話したことがその答えになる質問
面接官の話を聞いていないと判断されます。

●条件や待遇面での質問
この手の質問は本心としては気になるところであっても、言葉にすると打算的だと思われます。

●面接官を困らせる質問
人事担当の面接官に、営業職の最前線の内容などを訊いても答えにくいものです。常識を疑われます。

逆質問が浮かばない(忘れた)場合の対応

「質問は特にありません」という発言は極力避けたほうが賢明ですが、本番でアガってしまい準備してきた質問が出てこないこともあるかもしれません。
そのような場合のために、以下の言葉を胸に刻んでおけば切り抜けられます。
「ここまでの丁寧にお話いただいた内容で十分に理解できました。そして、御社で働かせていただきたい思いがいっそう強くなりました」

応募者が部屋に入る

まず、面接官は応募者が入室した瞬間から審査を開始します。冒頭から基本的なビジネスマナーや身だしなみをチェックするのです。

アイスブレイク

応募者が着席したら、「アイスブレイク」を挿入することが多く見られます。アイスブレイクとは、応募者の緊張を和らげて対話がしやすくなるように、軽い世間話や雑談から入る手法です。
天気の話題や道に迷わなかったかなど、面接官からさりげなく話をして対話をリードしてくれます。ただし、アイスブレイクが長すぎると面接の緊張感が失われるので、わずか数分のことです。

自社の説明

アイスブレイクが終わると、もう面接官からの本格的な質問に入る場合もあります。しかし、特に有名な企業でなければ、冒頭に面接官から自社の概要を語ることもあるのです。
そういう時間を設けることで、応募者の企業に対する理解が深まるだけでなく、誠実な企業という印象を与えることができ、応募者の入社意欲を高める効果が期待できます。

履歴書や職務経歴書を見ながらの質問

そして、面接はいよいよ佳境に入っていきます。応募者の「自己紹介」「志望動機」などがどんどん尋ねられるでしょう。
応募者が話している内容が、履歴書や職務経歴書と矛盾していないかがチェックされます。
「長所」や「短所」を応募者に質問することも多いです。出てくる答えから、面接官は話を広げたり深堀りしたりしながら、応募者の本質を見極めようとする段階といえるでしょう。

応募者からの逆質問

ひととおり面接官からの質問が終わったら、逆に何か質問はないですかと応募者が尋ねられる、いわゆる「逆質問」の段階となります。
応募者からの質問は、応募者の価値観とその企業に対する思いが反映する傾向があるのです。

事務的な確認事項

最後に、事務的な確認事項についての話になります。ここで合否通知までの予定日数、連絡方法などが面接官から伝達されるでしょう。この時点で面接は終了です。

まとめ

転職面接に勝利するべく面接官を理解するために、面接官の立場に立って応募者の何を見ようといているのか、あるいは企業側からは何を伝えたいのか、そして面接官の苦労などの、面接官を理解するための情報を紹介しました。
応募者が必死で準備して面接に臨むように、威厳をたたえ落ち着いて語りかける面接官もまた、周到な準備や苦労、プレッシャーなどを抱えているのです。
ここで紹介した面接官の背景にあるものを理解すれば、本番では面接官と共感し合えて、実り多き面接になるのではないでしょうか。