エンジニア志望者の企業の選考においては、多くの場合適性検査が実施され、その結果が重視されます。応募が多ければ適性検査の結果で足切りされることもあるので侮れません。
適性検査はある程度対策を施すこともできます。事前に手を打っておけば、適性検査を通過しやすくなるのです。
この記事ではエンジニアの適性検査について解説し、対策や適性検査を実際に体験できるサイト、そして結果を生かす方法もご紹介します。
目次
エンジニア向けの適性検査とは?
エンジニアという職業に対する適性を、シンプルに確認できる適性検査があります。実際の企業の選考過程で用いられ、結果が芳しくないと落とされてしまうこともあるのです。
企業の面接でエンジニア向けに用いられるもっとも代表的なものがCAB適性検査です。そして、対象をもっと広くしたものがGAB適性検査になります。これらを詳しく見ておきましょう。
CAB適性検査 (Computer Aptitude Battery)
CAB適性検査は日本エス・エイチ・エル(SHL)が作成した適性検査です。エンジニアやプログラマーなどの、コンピューター関連の職種に対する適性を診断します。図形を用いたIQテストに似ているといってよいでしょう。
筆記テストと、Web版の2種類があります。能力適性だけでなく「バイタリティ」や「チームワーク」など9項目についても評価されるCAB適性検査は、単純な能力試験ではありません。
CAB適性検査は主にIT企業のような、論理的に物を考えて仕事をする業種で用いられます。問題数が多いだけでなく回答時間も制限があるので、スピーディに回答しなければなりません。
CAB適性検査で診断されるものは?
エンジニアに求められる「論理的思考能力」「ひらめき」「作業速度」「忍耐力」などを診断します。また、その人の性格が社会人やエンジニアに適しているのかも診断されます。
測定科目と時間
測定科目以下の4種類です。
●暗算:四則演算を行う
●法則性:図形から法則性を探す
●命令表:与えられた条件から論理的結論を導く
●暗号:暗号を解読して図形を選ぶ
以上4種類に加えて「パーソナリティ」と呼ばれる性格検査があります。
検査時間は筆記版が95分、Web版が72分です。時間に対して問題数がかなり多いので、1問あたり10~30秒程度で回答しなければ間に合いません。
相当な集中力が必要とされます。問題ごとの時間配分が重要です。また、基本的に選択問題なので、消去法を用いてスピーディに回答するのがコツといえます。
暗算以外は、学校で習わないものなので、初めての場合は戸惑ってしまいがちです。また、暗算さえも数多くの問題を正確に素早く解かなくてはいけないので、練習をしておく方が賢明といえるでしょう。
何も対策を施さずに臨むと、厳しい結果になるおそれが強いと考えられます。
GAB適性検査(Graduate Aptitude Battery)
GAB適性検査もCAB適性検査同様、日本エス・エイチ・エルが作成した適性検査です。総合商社などの、トータル的に高い能力が求められる業種で採用されます。CAB適性検査よりも幅広い職種に対応した適性検査だと考えてよいでしょう。
図形や数字が中心のCAB適性検査とは異なり、GAB適性検査は文章の読解力などを中心に問題が出されます。
IT業界およびITと関連する、エンジニアが志望するような選考では一般的にGAB適性検査ではなくCAB適性検査を用いるのが大半です。しかし中には、GABが使われている場合もあるので、予備知識は持っておきましょう。
とはいえ、CAB適性検査のように素早く正確にという検査ではありません。文章を読んで設問に答えるものなので、対策というよりは、日頃から文章の意味を深く理解することを心がければ訓練になるでしょう。
適性検査に向けての対策
CAB適性検査はメジャーな検査なので、多くの対策本が発刊されています。それらの書籍を購入して勉強することも効果的でしょう。
また、インターネットでもCAB適性検査の対策に使える無料学習サイトがあります。以下のサイトがおすすめです。
【2021年卒】CAB 例題・問題をイラストで超分かりやすく解説! 【Study Pro】
こちらで学習をすることもできますが、問題数はそう多くはありません。有料ですがiOS・Android対応のアプリ版もあり、安価で本格的な対策として活用できます。対策本よりもコストパフォーマンスがよいかもしれません。
スマホやタブレットですぐに対策を始められ、移動中などのスキマ時間にも学習ができます。
他にも、適性検査が体験できるサイトのおすすめが、以下の3サイトです。
エンジニアリング業界への適性診断
このサイトの適性検査は、エンジニアとしての仕事で直面するであろう多種多様なシチュエーションが想定された問題が出されます。どのシチュエーションでどのような選択をするかにより、エンジニアとしての適性が診断されます。
すべての質問に答え終わって診断ボタンを押すと、診断結果が表示されます。登録不要で、3分程度で診断できます。気軽に適性検査が出来るので、ぜひ利用してみましょう。
プログラマー適性 / 想定年収診断
このサイトでは、行動や考え方からプログラマーとしての適性を診断する適性検査を行うことができます。
また、診断後は結果に応じて、プログラマーになるために必要とされる能力を示してくれます。自分が本当に向いているのか、何が足りないかが分かるので利用する価値があります。
適性検査は対象者の情報を入力する画面から始まります。「プログラミング経験」や「社会人経験」、「年齢」などを入力したら、診断の開始です。
普段の考え方や行動についての設問に、選択形式で回答していきます。問題にすべて答えると診断結果が表示されるのです。
3分で力試し!エンジニアやプログラマーの適性がわかる『CABテスト』 | マナラボ
このサイトではCAB適性検査が体験できます。プログラミングに必要な「物事を順序だてて考える力」を、図柄が次にどう動くかの予想によって診断されるのです。
同サイトでは、他にもさまざまな適性検査が公開されています。興味があれば、ぜひ他の適性検査も試してみましょう。
適性検査をスキルアップにつなげる!
適性検査の対策をすれば、合格できる可能性は上がるでしょう。しかしそれだけでは、自分の中にある課題を見つけ出すことはできません。
自分の課題を見つけるためには、適性検査のどのような問題が苦手であるのかを分析する必要があります。
CAB適性検査の場合の「暗算」「法則性」「命令表」「暗号」の4つのジャンルごとに、得意不得意をまず整理してみましょう。
不得意な適性検査のジャンルから自分に足りていない能力を想定して、重点的に学習することで全体のバランスが取れていくのは間違いありません。
エンジニアに求められる7つの適性
エンジニアは専門性が高い仕事です。求められる適性も、一般職とは自ずと異なってきます。ここではエンジニアに求められる適性を7項目に絞って解説しましょう。
ロジカルシンキング
エンジニアの基本であるプログラミングにとって、ロジカルシンキング(論理的思考)ができるかどうかは大切な要素です。とりわけエラー処理の際に役立ちます。
エラーが発生した場合に、どこで発生したのか、なぜ発生したのか、どこの修正が必要かなどの因果関係を整理して、原因究明に当たることにより、速やかに不具合を解消することができるようになるのです。
どんなにスキルが高いエンジニアでも、ミスをゼロにすることは至難の技といえるでしょう。ゼロにすることを目指すのも大事ですが、それ以上にエラーが実際に発生した時に、迅速に対応する能力が、エンジニアには必要です。
クライアントの想いを形に
エンジニアはクライアントの要望を形にするシステムを構築するために、会話や文章からそれを理解し、設計書プログラムに落とし込みます。
この落とし込みが不適切あるいは不充分であると、クライアントの要望と異なるシステムができてしまうことになりかねません。物事を的確に理解して、形にする能力がエンジニアにとって必要です。
だからこそ、システム開発にはロジカルシンキングが欠かせません。適性検査でも問われるのです。
提案を正確に伝えるために
設計の段階でもちろん大切なのですが、クライアントに説明する折にも、論理的に順序立てて説明する能力が求められます。なぜなら、提案に対してのクライアント側の理解が適切でないと、プロジェクトが間違った方向に進むおそれがあるからです。
自分は何を理解し、何を理解できていないか、今理解すべきは何か、という思考をロジカルに整理することができる人と、ただ漫然と学習を続けている人では学ぶ効率が違います。
コミュニケーション能力
エンジニアにはコミュニケーション能力も求められます。クライアントの要望の深いところまで理解するには、上辺だけの会話では無理があるからです。相手の本音を引き出すコミュニケーションがどうしても必要となります。
そして、要望を踏まえた提案に納得してもらうためにも、前述のロジカルシンキングで説明した論理的な伝え方に加えて、コミュニケーション能力も直接関係するのです。
つまり論理性とコミュニケーション能力がどちらも発揮されてこそ、よりよい信頼関係が構築できるということになります。
また、システムはほとんどの場合チームで開発するので、開発スタッフやクライアントとのコミュニケーションもとても大事です。
情報共有がうまくできていないと、無駄なものや間違ったものを開発してしまい、しかも納期遅れの原因となるのです。
学びが好き
エンジニアとして成功するためには、どうすればよりよいシステムを開発できるかを追求し続ける探究心が欠かせません。
多くのエンジニアが、最初はプログラミングやテストを行い、徐々に設計書や要件定義書を作成するなど仕事の幅が広がっていきます。それにともなって、さまざまなスキルを身につけなければなりません。
また、クライアントの要望を理解するためには、先方の業務や業界のことも理解する必要があります。つまりエンジニアは、未知のことを学び続ける仕事なので、学ぶことが好きであるという適性は重要です。
まして、現代は技術革新のスピードが速く、現在使われている技術が将来も同じように使えるわけではありません。
エンジニアは、常に最先端の情報と技術を、それも闇雲に集めるのではなく、膨大な数の情報から必要な情報を見極めるなければならないのです。学びが好きでなければ、務まるものではありません。
変化をいとわない
テクノロジーは日々新しいものが登場します。AI(人工知能)やIoTなども急速に発達しつつあり、現在では多くの産業で用いられています。
エンジニアはそういった新しい技術に、フレキシブルに対応することが必要です。特定の技術や手法に固執せず、常に変化をいとわない姿勢が求められます。
体力
システム開発には納期が定められていて、それに応じて仕事をこなしていきます。納期が迫ってくると忙しく、他業界とは比較にならないほど忙しくなり、毎日終電や泊まり込みになることもあるのです。
そういう繁忙期の多忙さについていける体力も、エンジニアには必要となります。不規則な生活でも体調を崩さない、営業マンのようなタフネスやバイタリティも必要なのです。
集中力やメンタルの強さ
エンジニアには、人並み以上の集中力が必要です。少しでも間違うと不具合の元を作ってしまうので、気を抜けない瞬間が続きます。
また、中にはメンタルヘルスに支障をきたす人もいるのです。超多忙な時期に自分の心身のバランスが崩されてしまうというのが主な原因です。
そのため、体力だけでなく、精神のタフさも健康でいるためには必要です。うまくいかないこともたくさんありますが、全部受け止めて落ち込まずに前向きに仕事に向き合える人こそエンジニアに向いています。
協調性
プログラミングは基本的に1人で行うものではありません。システム開発は基本的に複数のエンジニアがチームを組み、お互いに協力して進めていくことになります。
チーム全体で情報を共有する会議もありますし、進捗を確認するための語り合いも必要です。作業を円滑に進めるために、エンジニアには協調性も不可欠といえるでしょう。
まとめ
エンジニアの適性検査について解説し、対策や適性検査を体験できるサイト、そして結果を生かす方法についてもご紹介しました。代表的なエンジニア向けの適性検査であるCAB適性検査は、対策や学習によってある程度回答する力はつくでしょう。
しかしもっと大事なことは、自分の力が足りない分野を知り、それと向き合って苦手をなくしていくことにあります。
エンジニアを目指しているみなさんは、ここでご紹介した対策なども参考にしていただきながら、同時に苦手をなくすという視点での学習にも励んでいただき、エンジニアとして活躍されることを願っています。
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