エンジニアの転職活動における面接にて、応募先企業の面接担当者に好印象を与えることは、採用を勝ち取るためには欠かせません。
しかしながら、各応募者がそれぞれ自己アピールを練り上げているので差をつけるのは難しいものです。そこで、面接担当者から求められることが多い逆質問に注力することが賢明といえるでしょう。
逆質問の機会を利用して、自己アピールにつなげるのです。この記事では面接担当者が逆質問をするねらいを解説し、印象をアップできる逆質問の仕方を、具体例を挙げて紹介します。
また、逆質問のマナーや入社前に効いておきたいことの逆質問の仕方、してはいけないNG逆質問なども紹介しておきますので、転職面接に臨む際の参考にしてください。
目次
そもそも面接担当者が逆質問を促す4つのねらいとは
近年の企業は、選考面接の際に応募者に「逆質問」を求めることが増えています。逆質問とは面接の終盤などに、面接担当者から「あなたの方から何か質問はありますか?」と尋ねられることです。
その際は、ある程度自由に自分自身が訊いておきたいことを、面接担当者に質問できます。
しかしこの逆質問は曲者ともいえるでしょう。面接担当者によっては、採用してもよいと判断していた応募者が、質問することがなかったので意欲を感じられず採用を見送ったケースもあるようです。
一方、採用する枠には入っていなかった応募者からの質問内容から、意欲を大いに感じたり優れた長所を確信させられたりして、採用に至ったケースもあると聞きます。
つまり逆質問は、決して面接の最後の付け足しなどではなく、採用の大きな分岐点にもなる重要な項目のひとつとと考えるべきでしょう。
さて、面接担当者が逆質問を促すのには、おおむね下記のような4つのねらいがあります。
●志望意欲の度合いを見る
●常識・良識・コミュニケーション能力を見る
●企業風土との相性を見る
●応募者の入社へのモチベーションを高める
個々の項目を掘り下げてみましょう。
志望意欲の度合いを見る
まずは、応募者の入社への意欲の度合いを知るためです。
面接担当者は応募者がおそらく自社以外にもいくつかの会社の選考を受けているということを理解しています。
その中で、自社への志望の意欲が高いのであれば、企業情報をしっかりと押さえているはずだと考えられるでしょう。つまり、質問には困らないだろうということです。
もし的を射た質問が出てこないようであれば、応募者にとって自社は滑り止めや興味があまりない企業なのだなと、面接担当者に判断されてしまいます。
要するに、ここでポイントを押さえた良質な質問ができれば、志望意欲の高さを伝えられるのです。
常識・良識・コミュニケーション能力を見る
次に、常識・良識・コミュニケーション能力があるかの確認です。
作業そのものは単独で行うことが多いエンジニアでも、同僚や社内のチームのメンバー、あるいは上司やクライアントとのコミュニケーションが必要となります。
当然、常識や良識、コミュニケーション能力に欠けていれば、いくらスキルが高くても社員として、あるいはチームワークでプロジェクトを進めていく一員としてはうまくやっていけません。
そういう素養を確認するために、自らの考えを適切に質問に反映できるかどうか、会話を円滑に進められるかどうかなどが見られるのです。
また、社会的におかしな態度をとっていないかという視点でも見られます。なぜなら、日常の業務や会話の中で、話がかみ合わないなどの業務障害が起こるおそれがあるからです。
企業風土との相性を見る
逆質問には企業風土との相性を見極める意味合いもあります。応募者の性格がストレートにあらわれがちなところが、逆質問が持っている特徴です。
たとえば、個人の主体性や自主性を重視している企業で、「指導していただける環境があるでしょうか」などの質問があると、面接担当者には自社とは合わないなと思われるでしょう。
また、応募者が面接担当者にどんな順番でどのような質問をするかによって、その人が仕事において重視していることが分かり、価値観が見えてきます。
例えば、時間外労働についての質問から始まった場合、何よりも残業について気にしている人であるという印象を面接担当者は抱きかねません。
一方あなたがエンジニアの場合、業務に関係する技術についての質問から始めれば、研鑽やスキルアップへの意欲が高い人であるという印象を与えられる可能性があります。
このように、逆質問から面接担当者は自社の企業風土とマッチする人なのかどうかを見ているのです。
応募者の入社へのモチベーションを高める
企業側にとって逆質問は、ぜひ入社して欲しい応募者のモチベーションを上げる材料にもなります。
逆質問とは応募者がその企業に対して気になる点がそのまま質問になる傾向があるものです。面接担当者はその疑問や不安を解消させるとともに、企業の魅力を直接伝えられます。
結果的に、見込んだ応募者の入社へのモチベーションを高めることにつながるわけです。
知っておくべき逆質問のマナー
逆質問はたしかに自由度が高いのですが、何でもありというわけではありません。不適切な質問は時として印象を悪くさせてしまいます。
逆質問のマナーとして、知っておくべきことは下記の4種類です。
●調べれば分かることを訊かない
●面接担当官を困らせることを訊かない
●ポイントがぼやけたことを訊かない
●逆質問が浮かばない(忘れた)場合の対応
それぞれを解説しましょう。
調べれば分かることを訊かない
まず、調べれば簡単に分かるような、応募先企業の情報を訊いていけません。
これは堂々と「私はあなたがたについてまったく調べておりません」といっているようなものなので、非常に失礼なことです。
マナーに欠けている上に、企業研究不足と判断されて二重にマイナスの印象を残します。
面接担当官を困らせることを訊かない
また、面接担当官を困らせてしまうようなことを訊いてもいけません。
たとえば面接担当者が現場の技術者ではなく人事や総務の人の場合なら、その企業が関わっているIT技術に関する深い部分について訊いても、答えに窮するでしょう。
あるいはその企業の、ネガティブな話題について訊くこともマナー違反です。本当に気になっているとしても、あくまで求人に応募して面接を受ける身であり、尋問や詰問する立場ではありません。
ポイントがぼやけたことを訊かない
何を訊きたいのか分からないような、ポイントがぼやけたことを訊いてはなりません。面接担当者も多忙な中で、時間を作って面接担当者なりに準備して臨んでいるのです。
そういう面接担当者の真摯な姿勢に対して、的外れなことを訊くことは大変失礼に当たります。
逆質問が浮かばない(忘れた)場合の対応
「質問は特にありません」という発言は、マナー上も印象面でも極力避けたほうが賢明です。しかしながら本番でアガってしまい、準備してきた質問が出てこないこともあるかもしれません。
そのような場合のために、以下のような対応の仕方をひとつだけでも暗記しておけば切り抜けられます。
「大変丁寧にお話いただいたこれまでの内容で、御社に関して十分に理解できましたので、特に質問はありません。おかげさまで、御社で働かせていただきたい思いがいっそう強くなりました」
エンジニアが入社前にぜひ尋ねておきたい逆質問とは?
エンジニアとしてその応募先企業で働くとした場合にぜひとも押さえておきたい、目的別の逆質問を紹介しましょう。
●自身のスキル活かせる領域を知りたい場合
「私が得意とする〇〇〇〇のスキルや〇〇〇分野の先輩方の活躍例があれば、教えていただけないでしょうか」
●常駐業務の評価基準を知りたい場合
「客先常駐業務は技術面の評価が難しいと訊いておりますが、御社ではどの様にそれを評価されているのでしょうか」
●プロジェクトメンバーに抜擢されるポイントを知りたい場合
「プロジェクトメンバーは、どのような考え方をもとに構成されていますでしょうか」
●所属外のチームとの関係性や距離感を知っておきたい場合
「所属チーム以外のプロジェクトメンバーとのコミュニケーションや、業務での接点はありますでしょうか」
●応募先企業が注力している分野の現状知りたい場合
「御社の公式サイトにおいて、目下は〇〇〇〇技術を活かせる分野に力を入れていると拝見しましたが、具体的にどういうアプローチをされている段階なのでしょうか」
●開発環境に関してあらかじめ知っておきたい場合
「御社の開発現場において、支給されるPCや管理ツールなどの開発環境について教えてください」
「プロジェクトに配属されたエンジニアの先輩方は、どの言語やツールを用いて業務を推進しておられるでしょうか」
「御社が特に重視している開発手法や、御社特有の開発の流れがあればぜひ教えてください」
面接担当者の印象アップ! エンジニアのための逆質問具体例集
逆質問というものは各応募者にとって前もってじっくりと準備ができる項目です。よって、自由度が高いという逆質問の特徴をぜひ利用しない手はありません。
あらかじめ面接担当者に何を伝えたいのかを明確にして質問を準備してください。逆質問の機会を使って自己アピールにつなげることがポイントです。それによって、印象をアップさせましょう。
質問とあわせて、応募者自身の考えやビジョンを添えることも効果があります。
たとえば「私は御社でぜひとも活躍したいので、そのために〇〇〇〇の技術に磨きをかけていく決意です」などとメッセージを添えれば印象はアップするでしょう。
さてここでは、下記のテーマ別に逆質問の具体例を集めて見ました。
●意欲を伝える逆質問具体例
●長所を伝える逆質問具体例
●好印象を誘う逆質問具体例
テーマごとに具体例を見ていきましょう。
意欲を伝える逆質問具体例
「私は入社後には、少しでも早く役に立ちたいと考えております。そこでお尋ねしますが、入社してからシステム開発などの実践に取り組めるまでの流れは、どのようなものでしょうか」
「私は御社のIT技術に対する理念に感銘を受けました。その理念をカタチにするために御社が取り組んでおられることを、ぜひ教えていただけますでしょうか」
「入社に際して、エンジニアとして覚悟しておくべき項目があればご教示くださいますか」
「私と同年代のエンジニアで、チームをまとめるようなポジションについておられる方はいらっしゃいますか」
「エンジニアのリーダーとして活躍するためには、御社の場合はどのような能力が求められるでしょうか」
長所を伝える逆質問具体例
「私は基礎的なITスキルとは別に、〇〇◯◯の技術(or資格)を身につけておりますが、御社の業務でそれを活かせるセクションやプランは現在あるでしょうか」
「学生時代に〇〇〇〇の部活動で培ってきて、前職でさらに磨きをかけたのは粘り強さなのですが、その特質を開発分野で存分に発揮できるような業務はあるでしょうか」
「私はコードを書くなどの作業の中で疑問に思うことは、なんでも速やかに解消したい性格なのですが、御社では調べてわからないことについて上司の方に質問させていただける環境はあるでしょうか」
「私はIT関連の人たち以外にも、マーケティング部門に携わる方やファイナンス部門の人たちなどの、さまざまな分野の人と交流するのが好きなのですが、御社では部署や部門をこえて交流ができるような社風はあるでしょうか」
好印象を誘う逆質問具体例
「中途採用のエンジニアに、御社が最も期待する点は何でしょうか」
「御社の今後の事業展開について、支障のない範囲で教えていただけますか」
「◯◯様(面接担当者の名前)から見て、御社の最大のプライオリティは何だとお考えでしょうか」
「◯◯様(面接担当者の名前)が御社に対して、もっとも魅力を感じている点を教えてくださいませんか」
印象をダウンさせるNG逆質問とは?
逆質問の仕方によっては、かえって印象をダウンさせてしまうようなものがあります。
うっかりであっても、これから挙げるような方向性の逆質問をしないように気をつけなければなりません。
●待遇面の質問
これは本心としては気になるところであっても、言葉にすると打算的だと思われます。具体的には以下のような質問です。
「有給はきちんと取得できる環境ですか」
「残業は厚生労働省のガイドラインに沿っているでしょうか」
●企業の将来性に関しての質問
これから入社して頑張ろうという者が、その企業の将来性を当事者に問うのはおかしい質問です。将来性を感じるからこそ応募しているはずという前提が崩れます。
●離職率やリストラに関する質問
企業にとってセンシティブな内容だけに、応募者が尋ねるような項目ではありません。
まとめ
応募先企業の面接担当者が逆質問を促すねらいを解説した上で、逆質問のマナーや印象をアップできる逆質問の仕方、その逆に印象をダウンさせるNG逆質問などを具体例も挙げながら紹介しました。
逆質問は、あなたが気になる情報を知ることができるだけではなく、同時にあなたの入社意欲や長所をアピールする絶好の機会です。
応募先企業に本心から入社したいのであれば、ここで紹介した情報も参考にして周到に逆質問を準備しておき、自信を持って面接に臨んでください。
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