IT技術が人びとのあらゆる営みに深く関わっている現代において、産業の各方面からITエンジニアの人材が求められています。そんなITエンジニアへの転職を考えたり準備したりしている人も多いことでしょう。
しかし、IT業界においてエンジニアとして第一線で活躍するためには、最低限必要なスキルを身につけなければなりません。また、エンジニアになってから学んでいくべきスキルもあります。
この記事では、エンジニアへの転職を考えているみなさんに向けて、必要なスキルについて整理して解説をしていきましょう。
目次
エンジニアにはスキルの習得が不可欠
エンジニアはさまざまなスキルが必要です。しかも、ITテクノロジーは常に進化を続けているため、さらに新しいスキルにキャッチアップすることも求められます。
そしてその土台となるのが、エンジニアを目指す段階や、なってから早い段階で押さえておくべき以下の項目です。
●IT基礎知識
●プログラミングスキル
●ドキュメント作成スキル
●コミュニケーションスキル
●英語スキル
これらそれぞれを、詳しく見ていきましょう。
エンジニアには必須の「スキルの土台」IT基礎知識
エンジニアの必須の知識ともいえる、基礎IT知識とは大きく5種類です。これらはエンジニアのどのような職種であれ必要となります。将来にわたって習得する「スキルの土台」として必ず押さえておきましょう。
●ソフトウェア
オープンソース・ファイルシステム・開発ツール・OS・ミドルウェアなどの知識
●ハードウェア
入出力デバイス・入出力装置・プロセッサ・メモリーバスなどコンピューターの構成要素などの知識
●データベース
データベース方式・データ操作・設計手法・トランザクション処理などの知識
●ネットワーク
ネットワーク方式・データ通信と制御・通信プロトコル・ネットワーク管理などの知識
●セキュリティ
情報セキュリティ管理方法・情報セキュリティ技術評価方法・情報セキュリティ対策手法などの知識
プログラミングスキル
プログラミングスキルは、ITエンジニアの基本とされるスキルです。
プログラム構造を理解していなければ、精度の高いテスト設計書はまず作ることができません。
ただし、システム開発に用いられる言語は開発領域や案件によってそれぞれ異なります。開発領域とは、開発する対象が業務システムなのかWebシステムなのか、あるいはPCのソフトウェアやスマホのアプリケーションなのかということです。
習得するプログラミング言語はあなたが今後関わっていきたい開発領域で使われている言語を選択しましょう。
そしてそれらのプログラミングスキルの習得に関しては、最近の主流となっているオンライン学習サイトも効率的に使っていく事をおすすめします。在宅勤務などで自由な時間を確保できるようになった方は、効率的に自宅から学習時間を確保しながら地道にスキルを上げているチャンスと捉えましょう。
Webブラウザ上でプログラミングできる学習サイト
中には大学卒業と同等の資格を出しているコースもあります。アメリカの有名大学や企業が出しているコースを受け、最先端の知識とスキルを身に付けられるためおすすめです。
アメリカで開発されたオンライン教育プラットフォーム。プログラミングやIT技術において様々なコースが用意されている。期間によって割引率も高くタイミングを見計らうと格安にスキル向上が出来る。
スタンフォード大学が始めた、無料のオンライン教育サービスで、国内外の名門大学や Google、IBM などの優良企業がプロデュースするコースの受講が可能。大学卒業と同等に認められるコースもある。
コミュニケーションスキル
エンジニアの仕事は、クライアントとの面談や交渉、開発チームとのミーティングなど、多くの場面でコミュニケーションを取る必要があります。
たとえば、重要なシステム要件を設定するためのヒアリングや仕様の提案、開発内容の指示や進捗の確認や報告、不具合の報告などにおいて、コミュニケーションの質がその後の進行に反映するものです。
コミュニケーションに苦手意識がある場合は、エンジニア向けのコミュニケーション講座や研修会などを活用してみるのもよい方法でしょう。
「クライアントへの提案」「ミーティングや打ち合わせでの発言」「社外への情報発信」「日常業務の中での声掛け」などのさまざまな場面で円滑なコミュニケーションを目指すために実施されています。
仕事の上で、交渉をする機会が多いプロジェクトマネージャーや、ヒューマンスキルを高めたいエンジニアにおすすめできます。オンラインで対応してくれる場合も多いようです。
PG・SEのためのコミュニケーション講座|社員研修・オンライン相談
ドキュメント作成スキル
エンジニアはさまざまなドキュメントを、社内外で使うために作成します。たとえばシステムエンジニアは、工程が効率的に進むように配慮しながら設計書を書くことが求められます。
システムに不具合が起きた時に、クライアントやユーザーは設計書などユーザーが認証したドキュメントを見て判断しようとするものです。
設計書にも打ち合わせ議事録などのドキュメントを探しても記載されていないと、プログラムのバグとして扱われてしまうでしょう。
基本的にバグ修正は無償で行う必要があり、そのための対応や費用、バグ終息報告資料の作成の必要性などの負担が発生します。ドキュメントというのは長期のシステム運用を視野に入れた、開発側に余計な負担を生み出さない保険の意味合いもあるのです。
主なドキュメントの種類を挙げておきましょう。
●要件定義書
システム要件や業務要件など、クライアントと取り決めた事項が記載されたドキュメント
●基本設計書
ユーザー向けの画面や帳票、画面の動き方などの、システム要件を満たすために欠かせない機能を記述したドキュメント
●詳細設計書
プログラム構造やそれぞれの機能のコーディング要件などが書かれた、プログラマーがプログラミングする際に使用するドキュメント
●単体テスト仕様書
モジュールやクラスのプログラムコードを1行ずつ実行しつつ、動作確認をする「単体テスト」の項目や実施方法が記載されたドキュメント
●結合テスト仕様書
モジュールやクラスをつなげて行う動作確認テストである「結合テスト」の項目や実施方法が記載されたドキュメント
このようにさまざまなドキュメントを、エンジニアは作成します。企業ごとにドキュメントフォーマットがあることが多いようです。それに従って作成する流れとなります。
ドキュメントの書き方などは解説書も多数販売されているので、それらを参考に学ぶことも可能です。
また、Web上で参考になるサイトも多いです。
以下も参考にしてください。
英語スキル
英語のスキルは「リーディング」「ライティング」「ヒアリング」「スピーキング」の4種類に分類されます。
日本のIT業界で働く中では、この4つのうちで「リーディング」が圧倒的に重要となります。
必要なのはリーディングスキル
英文のリーディングはエンジニアの定常業務においては頻繁に必要とされるスキルですが、ライティング・ヒアリング・スピーキングが必要になることは、一部の外資系企業を除いてはあまりないのです。
あまり使わない技術を学ぶために、多大な労力をかけるのは、投資対効果が低いので、定常業務で頻繁に使うリーディングに対して重点的に学習リソースを割くことが得策といえるでしょう。
人材価値を落とさないためにリーディングスキルを
エンジニアの求人において「英文技術ドキュメントの読解能力」という要件があれば、当然ながら英文を原文のまま読める能力が求められるということです。
それはそのエンジニアの学習能力や学習意欲を測る上での、ある種のバロメーターのような役割を果たしていると考えてよいでしょう。
英文ドキュメントを原文で読めないと、エンジニアとしてのレベルを低く見られる場合もあります。
つまり、英語のリーディングスキルは、定常業務で実際に価値があるかどうかは別として、人材価値を落とさないために必要であるという考え方もできるのです。
よって、たとえ翻訳ツールで支障なく対応できたとしても、自分のリーディングスキルもある程度までは身につけておいたほうが賢明だといえるでしょう。
リーディングスキルを高める方法
英語の技術ドキュメントのリーディングスキルを高めるためには、とにかく英文のままで技術ドキュメントをたくさん読むことが、同時に情報も得られるのでよい練習方法になります。
しかし、受験以来英語から遠ざかっているブランクがある人には、良質の参考書で英文法を一度おさらいしたほうがよいでしょう。
効率よくおさらいをするためには、以下の書籍がおすすめです。
これを一通りやっておけば、英文技術ドキュメントに出てくる程度の文法は、大半はカバーできます。ただし、「仮定法」に関しては、この書籍では触れらていません。
さらに高校レベルをカバーする以下の方には仮定法も解説されているので、この書籍も使って2冊でおさらいをすれば、英文技術ドキュメントの読解で困ることはないでしょう。
英文法のおさらいを終えて技術ドキュメントを英文のままたくさん読めば、自然とリーディングスキルは高まります。
自信がついてきたらIT技術の良質な英文ドキュメントが潤沢なサイトを使ってみましょう。
より実践的な英語学習が可能となりますし、サイトの中で興味がある記事を、1日1記事程度の継続できる範囲で読むようにすれば、かなり力がついていきます。
ちなみに英文技術ドキュメトをPCで読む場合は、Google翻訳の拡張機能を利用すれば、わからない単語をマウスポインターで選択すると、その単語の翻訳をポップアップで表示してくれるので効率よく読めます。
まとめ
エンジニアへの転職を考えている人が身につけておきたい、あるいは今後身につけるべきスキルを整理して紹介しました。
IT基礎知識はいずれ必ず必要なので、早い段階で身につけておいた方が転職活動にはプラスになるでしょう。
それ以外のものは、もちろん早く学んでいくに越したことはないにせよ、エンジニアとして働き始めてから、実践の中において、同時進行で学ぶこともできます。
エンジニアへの転職を目指すみなさんは、ここでの情報も参考に将来に向けての投資として、しっかりスキルを学んでいってください。
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