マネジメント経験とは?応募したい企業の求める経験を理解し役職なし・部下なしでもアピールする方法

求人情報を探していると、応募要件に「マネジメント経験」と記されているものがありますが、経営層や管理職経験者しか応募できない求人なのでしょうか。
いいえ、必ずしもそうとは限りません。転職者に求められるマネジメント経験は、思いのほか、企業ごとに異なります。そのため、マネジメント経験の文字だけを見て、役職経験がないからという理由で応募を諦めてしまうのはもったいないのです。
求人に記載された情報から、どのようなマネジメント経験が求められているのかを読み解き、自分の経験をアピールする方法を紹介します。

1.マネジメント経験とは何か

マネジメント経験という応募要件に期待されるものは企業によって違えども、そこには共通項があります。では、マネジメント経験とは何か——大まかには次の2つに定義できるでしょう。
まず、文字どおりに「管理職として部下の管理・監督業務を担った経験」を指します。このときのマネジメント経験は役職経験と同じ意味であり、企業は、空きのある役職に人員を補充したいのかもしれません。
次に、「プロジェクトを取り仕切った経験」を指すことがあります。これは、チームのリーダーとして、プロジェクトの進捗管理やメンバーの育成・指導を担った経験のこと。この意味のマネジメント経験では、役職はなく部下がいないケースも考えられます。
この2つの定義から、マネジメント経験とは、人材・モノ・時間・情報・お金などさまざまなリソースを管理する経験といえそうです。そして、マネジメント経験者に期待されているのは、自分の管理下にあるリソースを活用して成果をあげることでしょう。マネジメント経験には多様な経験が含まれ、役職に就いていたという単なる証ではないのです。

2.応募要件のマネジメント経験を読み解く

ひとくちにマネジメント経験といっても、内容は実にさまざま。部下を束ねる役職者がほしい企業もあれば、新規プロジェクトを牽引するリーダーがほしい企業もあるでしょう。
どのようなマネジメント経験を求めているのか、その経験からどのような成果を期待しているのか——採用担当者の真意は、求人情報や企業情報から読み取らなければなりません。職種や配属部署、仕事内容のほか、事業内容、企業理念、社風、求める人物像にもヒントを探しましょう。
その企業の求めるマネジメント経験に、自分の仕事が該当しているかもしれないのです。あるいは、役職やリーダーなどの肩書きがないだけで、マネジメントに準ずる経験はあったと気づけるかもしれません。また、マネジメント経験が「必須」ではなく「尚可」という募集であれば、マネジメント適性や将来性が評価されて採用に至る可能性もあります。
いずれにしても大事なのは、応募要件に記載された「マネジメント経験」を読み解くこと。期待されている経験とスキルを理解しなければ、応募の可否さえ判断できません。

3.外資系企業の求めるマネジメント職

外資系企業の「マネジメント経験」は、日本企業に比べてシビアです。応募要件に「マネジメント経験」とあれば、それは絶対条件と理解してください。
近年、日本企業ではポテンシャル採用が注目されています。これは、中途採用の採用方法の一つであり、現在の経験やスキルよりも成長の可能性、つまり潜在能力を判断基準として採否を決めるもの。社会人経験のまだ浅い若手の採用に導入する企業が多いようです。
しかし、30代以降の採用では、やはりキャリアが重視されます。このキャリア重視の傾向が、外資系企業ではいっそう顕著なのです。それは、管理職の責任と権限、職務を全うするための能力が、社内で明確に定められているため。成長の可能性や潜在能力に賭けるのではなく、経験や実績を信頼して採用を決めるというスタンスになるのも頷けます。
外資系企業への転職でも、どのポジションのマネジメント職の募集であり、どのようなマネジメント経験を求めているのかを把握することが大事です。

4.マネジメント経験の自己PR〜役職経験者の場合〜

役職経験のある場合は、そのままマネジメント経験としてアピールしましょう。職務経歴書の自己PRに、役職に就いてからの仕事内容や実績を詳しく書きます。
ポイントは、管理した部下の「人数」、「予算額」、「目標達成率」など具体的な数字を示すこと。経験してきた仕事の規模や難易度が、採用担当者に伝わりやすくなり、適正な評価へとつながるでしょう。
また、自分のマネジメントスタイルについても触れたいところです。企業の方針や風土、入社後に部下となるスタッフとの相性などを判断するポイントとなります。
注意したいのは、マネジメント経験の自分語りをしないこと。あくまでも、応募先の企業が求めるマネジメント経験に合致する経験をアピールしなければなりません。

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5.マネジメント経験の自己PR〜部下なしの場合〜

役職に就いて部下を管理・監督した経験はないものの、リーダーとしてプロジェクトを取り仕切った経験があれば、マネジメント経験としてアピールしましょう。プロジェクトを進めるなかで、メンバーの育成や指導に少なからず携わったはずだからです。求人に「管理職募集」「役職経験者のみ」などと明記されていなければ、マネジメント経験として認められ、評価される可能性があります。
職務経歴書の自己PRでは、まず、プロジェクトの内容と規模、自分のポジションと役割をはっきりと記すこと。そして、具体的な取り組みや成果、チーム構築の工夫、メンバーとの関係性などで肉付けします。さらに、経験を生かして応募先の企業で達成したい目標など入社後のビジョンを描けるといいでしょう。

「マネジメント経験」を4つのスキルに分解し、経験を棚卸しする

求人票に書かれた「マネジメント経験」という言葉を見て、「役職についていないから自分には関係ない」と諦めるのは早計です。企業が本当に見ているのは、役職名ではなく「チームやプロジェクトを円滑に動かし、成果を出せる能力」そのものだからです。
たとえ部下がいなくても、あなたのこれまでの経験は「マネジメント能力」としてアピールできる可能性があります。まずは、マネジメントを以下の4つのスキルに分解し、ご自身のキャリアを棚卸ししてみましょう。

  1. 計画・目標設定スキル:チームやプロジェクトの最終的なゴール(KGI/KPI)を具体的に設定し、そこに至るまでの道筋を描いた経験です。
    • (例)プロジェクトの全体像を把握し、現実的なスケジュールやロードマップを作成した。
    • (例)目標達成に必要なタスクを洗い出し、優先順位をつけて整理した。
  2. 実行・進捗管理スキル:計画が「絵に描いた餅」で終わらないよう、実際の進捗を管理し、ゴールまで導いた経験です。
    • (例)メンバーのタスクの進捗状況を把握し、遅延や問題があれば対策を講じた。
    • (例)定例ミーティングを主催し、情報共有や課題解決の場をファシリテートした。
  3. 人材育成・指導スキル:自分だけでなく、チームメンバーの能力を引き出し、組織全体のパフォーマンス向上に貢献した経験です。
    • (例)後輩や新人のOJT(オンボーディング)を担当し、独り立ちできるまで指導した。
    • (例)メンバーのスキルや意欲を考慮し、最適なタスクの割り振りやサポートを行った。

これらの経験は、大小にかかわらず、あなたのマネジメント能力を示す強力なエビデンス(証拠)となります。

「部下なしマネジメント」を伝える職務経歴書・面接の具体例

棚卸しした経験を、採用担当者に「この人はマネジメントを任せられる」と納得させるためには、伝え方が重要です。役職経験がない場合のアピール具体例を見ていきましょう。

職務経歴書の「自己PR」または「職務要約」の例文

単なる事実の羅列ではなく、「規模」「具体的な行動」「成果」を盛り込むのがコツです。

【Before】(事実の羅列で、強みが伝わりにくい例)
2023年4月より、新サービス開発プロジェクトのリーダーを担当。 スケジュール管理やメンバーのサポート、後輩指導を行いました。

【After】(規模・行動・成果を盛り込み、マネジメント能力を明確化した例)
2023年4月より、新サービス開発プロジェクトのリーダーを担当。

  • (計画・進捗管理) 半年間の開発ロードマップを作成し、週次の進捗会議を運営。メンバーの負荷状況を早期に把握しタスクを再配分することで、計画通りのリリースを実現しました。
  • (育成・調整) 特に、実務経験の浅いメンバー2名に対しては、週1回の1on1で技術的な課題解決をサポート。また、営業部門からの要求と開発リソースの板挟みになった際は、仕様の優先順位を再定義して双方の合意形成を図りました。 結果として、プロジェクト完遂時には、若手メンバーが主体的に仕様変更を提案できるまでに成長しました。

面接での回答例

面接でマネジメント経験について問われた際は、堂々とプロジェクト経験を述べましょう。

【想定質問】
「職務経歴書を拝見しました。〇〇様ご自身は、マネジメントのご経験はありますか?」

【回答例】(部下なし・リーダー経験者の場合)
「はい。課長や部長といった役職(ラインマネジメント)の経験はありませんが、直近の2年間、プロジェクトリーダーとしてチームを率いた経験がございます。
私が担っていたのは、単なるタスク管理だけではありません。特に注力したのは『メンバーの育成』『他部署との利害調整』です。
例えば、経験の浅いメンバーには裁量を持たせつつも、週1回の個別ミーティングで課題を吸い上げて成長をサポートしました。また、プロジェクトが難航した際は、私がフロントに立って関係各所との調整役を担い、着地点を見つける役割を果たしました。
このように、役職こそありませんでしたが、プロジェクトを円滑に推進し、チームの成果を最大化するための『ヒト・コトの管理』は一貫して経験してまいりました。」

6.マネジメント経験がない場合の対処法

役職もプロジェクトリーダーも経験していない場合は、応募は諦めるよりほかないのでしょうか。いいえ、まだマネジメント経験として認められる経験がありそうです。
例えば、プロジェクトでサブリーダーを任されたことはないでしょうか。リーダーを補佐して、メンバーの育成や指導を経験していれば、アピールしてみる価値はあります。
また、業務として後輩の教育を担当した経験も、その内容によってはマネジメント経験と見なされるかもしれません。採用担当者に「マネジメント能力を秘めている」「マネジメントを任せられそうだ」と判断されると、採用を勝ち取れるでしょう。
しかし、キャリアの棚卸しをしても、マネジメント経験として認められる経験がないときは、いったん立ち止まってください。ポテンシャル採用のない外資系企業を目指している場合も、いったん転職は保留しましょう。
ここは焦らずに、マネジメントの実績をつくるべきです。いまの会社で昇進を目指す、プロジェクトへの参加を目指すなど、さまざまな方法が考えられます。
企業の求めるマネジメント経験とは何かをよく理解して、また、自分の目指すマネジメントスタイルを定めて、経験を積めば、引く手あまたの人材となれるはずです。

7「マネジメント経験」の壁を突破しよう

求人情報に「マネジメント経験」の文字を見つけて、応募を諦めたことはないでしょうか。そのマネジメント経験は、必ずしも役職経験を指すとは限りません。
企業が応募要件に「マネジメント経験」と記載するとき、肩書きはともかく、人材・モノ・時間・情報・お金などさまざまなリソースを管理下に置きながら、上手に活用して、目標を達成していく能力を求めています。まずは、「マネジメント経験」に込められた企業の真意を読み解きましょう。どのような業務を任せるために、どのような経験を求めているのか——それを把握することが大事です。
もしかすると、自分のキャリアがまさに企業のほしがるマネジメント経験に該当するかもしれません。「マネジメント経験」という応募要件に怯まず、いままで築いたキャリアや培ったスキルのなかに突破口を探してみましょう。

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