知られざる金融業界のイメージと現実とは?転職の選考対策も解説

金融業界はさまざまな業界の中でも市場規模は巨大であり、転職先としても人気が高い業界です。現在は違う業界で働いていても、年収アップやスキル習得を目指して金融業界への転職を考えている人もいますよね。

そんな金融業界にはいろいろと固定されたイメージがありますが、実際のところはどうなのでしょうか。この記事では金融業界の一般的に思われているイメージを挙げ、イメージ通りのものと実際はギャップがあるものを解説します。転職後にミスマッチだったと後悔しないためにも、ぜひ金融業界の現実を認識しておきましょう。あわせて、金融業界へ転職するための選考対策も紹介します。

金融業界の定義

まずは、金融業界がどのようなものかという本質的な定義を確認しましょう。

そもそも金融業の意味はお金を融通する生業です。余剰金があるところから必要なところに回して、手数料として利息をもらって利益とする手法が、時代は変わろうと金融業の普遍的なスキームといえるでしょう。
金融業界には、その中でさらにさまざまな業界があります。

銀行や信用金庫、証券会社が代表的ですが、他にも保険会社や資産運用会社、外国投資銀行やファンド、消費者金融、クレジットカード会社、信販会社なども金融業の範疇です。

より詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

金融業界は、転職者に人気がある代表的な業界のひとつです。現在の転職市場でハイクラスの人材においては、IT業界とこの金融業界の人材ニーズが旺盛になっています。他の業界から転職を希望する人たちも多く、また未経験でも採用される可能性が、金融の多様化によって生まれていのが現状です。この記事では転職を検討しているみなさんが進むべき方向性を見出す参考になるように、金融業界やその中の業種についてのアウトラインと、各業種が求める人材ニーズに関して解説しましょう。そもそも金融業界とは?まずは金融業界とはどのよう...
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金融業界のイメージとは?

ここからは、多くの人が考える金融業界のイメージを紹介します。一般的な金融業界のイメージの代表的なものは以下のとおりです。

●安定している
●企業の知名度が高い
●地域社会に貢献できる
●年収が高い
●福利厚生が充実・働きやすい
●巨額を動かせる
●実力で勝負できる
●どんな業界・企業とも関わることができる
●お金の流れを学べて将来の起業に役立つ

さて、ここからはこれらのイメージが、その通りなのかギャップがあるのかを、確認していきましょう。

イメージ通りの面

まず、現実の金融業のイメージ通りである項目を挙げて、解説を加えていきます。

安定している

金融業界はあらゆる業界と幅広く関わっています。それは常にリスクを分散しながら確実に利益を上げる収益構造といえるでしょう。そのため、浮き沈みがある経済環境の中でも安定した収益を得ることができます。業績が安定しているというイメージも現実的です。

企業の知名度が高い

企業にもよりますが、多くの場合に勤務先の企業名を聞かれて答えた際には皆が知っていて、羨望されることが多いです。業界としても、世間からは信頼度が高い業界であるといわれています。そういうことが金融業に従事する人にとって、優越感からモチベーションにもつながっています。

地域社会に貢献できる

地元の金融業で働く人は、地域の中小企業や個人事業主の経営をサポートすることもできます。そういう仕事を通して、生まれ育った地域の経済に恩返しできる喜びを感じることも多いとのことです。

年収が高い

年収の高さに関しては、ほぼイメージ通りと言えるでしょうといえるでしょう。金融業の中でも分野によって違いはあるにせよ、おおむね同世代で比較すると平均的な年収をかなり上回っていて、ある程度のキャリアだと1000万円を超える人もいます。

福利厚生が充実・働きやすい

法令順守の業界なので、しっかりとした福利厚生があり、産休や育休も希望すれば規定通り取得できます。有給休暇も消化しやすく、時間外労働もきっちり付き、みなし残業などはありません。職業柄、土日祝日は休みになり、福利厚生面はやはり申し分ないといわれています。

銀行や信用金庫などは、残業や早出勤も少なく、おおむね定時で終わるためプライベートを犠牲にすることがほとんどないでしょう。部署も多くて異動もよく行われるので、働きやすいところに配置してもらえるという声もあります。

イメージとギャップがある面

金融業界のイメージ通りである項目を紹介したところで、次はその逆に、イメージとギャップがある面に関して紹介していきましょう。

巨額を動かせる

金融業界はいつでも億単位のお金が動いており、そこで働くものは巨額を動かせるというイメージを持つ人が多いですよね。

これは間違いではないですが、少し注釈が必要となります。確かに大きな額を扱いますが、あくまでそれは「分母」です。収益自体がつねに巨額なわけではなく、地道な収益の積み重ねの部分が多いといえるでしょう。

たとえば銀行や信用金庫が、ある企業に1億円を融資したとします。たしかに巨額を動かすことになりますが、そこから得られる利益はどれくらいの額になるでしょうか?利息の金利を年率0.5%として、年間で50万円です。もちろん、小さい額とはいえませんが、イメージからすると派手な利益ではありませんよね。このような利益は地道にコツコツ積み上げるのです。

つまり銀行が動かす額の大きさはダイナミックですが、利益の額は地味であるというギャップが存在します。証券会社であっても、かりにトレーダーが3千万円の株式の取引を成立させたとして、その手数料はおおむね1%台なので、証券会社に入る利益は50万円にも満たないでしょう。

このように、金融業で扱う分母は巨額であっても、そのコンマ何パーセントや1〜2パーセントの利息や手数料で稼ぐビジネスです。「巨額を動かす」のイメージは、儲けにおいて「額面通り」ではありません。

実力で勝負できる

金融商品というものは発売する企業が違っても似たようなものが多く、差別化しにくいとされています。そのような差がつきにくい商材なので、それを扱う人材の力が決め手になるという理屈で、実力で勝負できるというイメージを持つ人が多いです。

しかし、実際の現場においてユーザーは、「誰から」ではなく「どの企業から」で購入を判断することがほとんどでしょう。「誰でも知っている有名な保険会社だから」「トップクラスの銀行だから」「名の通った証券会社だから」で信用される一方で、個人の信頼や力量より企業名が重要になる傾向があります。

もちろん、それをわかったうえで、担当者のスキルが反映する提案やクロージング部分でライバルと差を助けるために努力することには、もちろん人材価値を高める意味があります。

どんな業界・企業とも関わることができる

金融業界が、さまざまな業界や企業に関わることができるのは本当です。経済の基本ツールであるお金に絡むサービスなので、どんな業界のどんな企業とも関われる可能性があります。ただし、昨今は、無借金型の経営手法が増えている傾向です。

これは金融機関からの借入れや、株の販売、社債などによる資金調達に頼らず、自己資金と内部留保で経営を行う手法を意味します。そのため、融資や投資の必要がない企業が増えているのです。つまり、どんな企業も金融機関の顧客になるわけではない時代になりつつあります。

お金の流れを学び将来の起業に役立つ

将来において起業を考えている人は、経営に必要なお金の流れの知識を、金融機関で経営者をサポートする仕事を通して学ぼうという人もいます。たしかに、金融機関で働くことにより、お金の流れを知ることはできるでしょう。しかし、それがそのまま起業に役立つ知識かといえば、少し違うかもしれません。

というのは、金融機関でお金の流れの生きた知識が得られるのは営業部門や融資担当です。ところが、全業務におけるその比率は2割程度の狭き門であり、大半である8割は内部事務になります。起業のためのノウハウは、むしろなかなか学べない可能性があるのです。

金融業界へ転職する際の選考対策

ここまで見てきたように、金融業界のよくあるイメージの中で、ずばりイメージ通りのものと、若干ギャップがあるものも存在します。それでも金融業界は、転職先としては充分に魅力ある業界です。

ここでは異なる業界から金融業界に転職する際の、選考対策について解説していきます。

応募書類の志望動機欄を書くコツ

選考の第一段階は書類選考です。応募書類に記載する内容は、事実としての情報だけではありません。心の中を表明する志望動機という項目があります。書類選考において、この志望動機は非常に重要です。選考担当者はあなたが書いた志望動機から、主に以下の3ポイントを見極めようとします。

●ポイント1:入社意欲の高さ
●ポイント2:求める人材かどうか
●ポイント3:自社との相性

それを踏まえて、志望動機を作成する際のポイントを解説しましょう。コツとしては、ストーリーの中に以下の3つのポイントを埋め込むことです。

●その金融機関を選んだ理由
●人材ニーズに合致している
●自己実現がその金融機関の発展につながる

個別に解説していきましょう。

その金融機関を選んだ理由

その金融機関に入りたいことを表現する、具体的な内容を書きましょう。それがなければ「よそでもいいのでは?」と思われて不利になります。この部分ではポイント1「入社意欲の高さ」を強くアピールするのです。

人材ニーズに合致している

応募先の求人内容を深く理解して人材ニーズを見極めたうえで、あなた自身がずばり応募先の求めている人材であるという積極的なアピールを書きましょう。この部分ではポイント2「求める人材かどうか」に対しての解答の意味があります。

【自己実現がその金融機関の発展につながる】

あなたの自己実現がその金融機関の発展につながることこそ、理想的な「個」と「組織」の関係です。具体的にそのふたつのつながりを示す表現を盛り込みましょう。
この部分はポイント3「自社との相性」が良好であることを示す役割があります。

コツを使った志望動機の書き方の具体例3題

上記のコツを落とし込んだ、具体例を3文紹介しておきます。それぞれの例で、3つのポイントがどのように埋め込まれているかを理解して、参考にしてください。
青文字部分:その金融機関を選んだ理由
緑文字部分:人材ニーズに合致している
赤文字部分:自己実現がその金融機関の発展につながる

例A)
大御所と呼ばれながらも最先端の商材を市場に送り出す貴社において、私が磨いてきたTと金融を連動させるスキルをぜひ活かしたいと思い、応募させていただきます。

この3年間、オフタイムを利用して将来のために〇〇〇をオンライン講座で学び極めました。それは貴社の〇〇〇分野で、活かす事ができる知見であると確信しています。

貴社が業界そのものを刷新していくプロセスを、私もその中の一員として体験したいという思いから、応募をさせていただきます。

例B)
個々のユーザーを非常に大事にする貴社のポリシーに共鳴し、広告業で培った経験を活かして貴社のマーケティング部門に携わりたく、志望することを決めました。

友人が大病を患った際に貴社の保険によって療養に専念することができ、社会復帰するさまを目の当たりにして深く感銘を受けました。以来、現職で培ったスキルを貴社の展開に役立てたいと願うようになったのです。

革新的なマーケティングで発展に貢献する将来像を思い描き、挑戦するつもりで志望いたします。

例C)
私は銀行業界の中でも先見性があるサービスを展開する貴行で、お客様と銀行がともに喜び合える仕事に就きたいと考えて志願を決意しました。

前職において新規顧客獲得の分野において、直近の2年連続で表彰を受けました。そのノウハウにより、貴行の新規開拓にも微力ながら貢献できると考えております。

これまでに培ってきたすべてのものを駆使して、貴社の原動力の一部となることを願いながら、志願をいたします。

金融業界への転職面接でのアピールポイント

金融業界は従来から新卒文化が強く、中途採用枠は少なかったという経緯があります。しかし、転職市場の流動性が変化してきました。転職者が増え、労働人口の減少なども反映されて、近年は金融業界未経験者さえも含めて、中途採用が増えているのです。

ここでは未経験から金融業界への転職活動に臨むために、選考対策のポイントを解説しておきましょう。金融業界の面接でアピールすべきポイントは以下の7つに集約されます。

●知的好奇心
●コミュニケーションスキル
●注意力
●ストレス耐性
●財務スキル
●ITスキルおよび他業界スキル
●英語力(外資系の場合)

これらに関連する資質を持っているのでれば、最大限アピールする表現法や具体例、第三者の声などを準備しておきましょう。アピールできるポイントの数が多ければ多いほど有利になります。冗長にならないように注意して、簡潔にすべてを伝えるのが得策です。

なお、金融業界の志望動機のアピール方法については以下の記事で解説しています。こちらも合わせてチェックしましょう。

金融業界は転職希望者にとって、安定性や将来性からIT業界と並んで人気のある業界です。ライバルも多いので、採用を勝ち取るためにはまず書類選考を通過するために、履歴書に記載する志望動機で強くアピールする必要があります。ありきたりな志望動機では、選考担当者に強い印象を刻むことはできません。ほかの応募者と圧倒的な差別化を図りたいものです。この記事では金融業界での転職活動における、力強い志望動機の効果的な書き方について、ポイントや注意点と例文も交えて解説していきましょう。金融業界の志望動機を書く際のポイ...
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知的好奇心

金融商品には法律が絡むので、必要な知識も膨大になります。そのため、入社後も勉強はずっと続ける必要があります。また、取るべき資格や昇進試験もあるので、常に勉強の日々となります。
他にも最新の経済状況やその基礎知識、競合の金融商品だけでなく、最新テクノロジー、世間のトレンドなどもキャッチする必要があります。そのように意欲的に知識を吸収し続ける原動力となる「知的好奇心」をアピールしましょう。

コミュニケーションスキル

金融業界は無形商材を扱うため、担当者の「信頼」が重要です。顧客に耳を傾け、相手の思いを汲み取り、ニーズに合致する提案をするにはコミュニケーションスキルが欠かせません。また、金融業界は平均年齢が高めで年功序列色も残っているので、周囲に配慮する意味でもコミュニケーションスキルは必要です。

社内外のどちらにおいて、のびのびと活躍して結果を出すためのベースとなるコミュニケーションスキルをアピールしましょう。

注意力

顧客の大切な資産を預かる仕事なので、ミスを排して正確で迅速な処理が求められます。物事の細部まで十二分に注意して、丁寧に仕事を進めなければなりません。注意力があることは「責任感」や「誠意」とも関係してくるので、注意力があることをアピールしましょう。

ストレス耐性

一般的な事業会社よりも営業成績に厳しい面があり、強靭なストレス耐性が必要です。
予算達成前に成果が足りない状況で、上司から叱咤された場合に凹むのではなく前向きに捉えられるような、ストレス耐性があることをアピールしましょう。

財務スキル

金融業界はお金を扱う仕事なので、特に法人をクライアントとする場合は財務スキルが求められます。金融業界未経験であっても、前職や現職で経理を担当していた場合は、その経験がプラスになることもあるのです。

必須ではないにせよ簿記などの資格を持っていると有利ですが、ない場合は何か財務に強いことや、少なくとも興味があることをアピールできる材料を用意しましょう。

ITスキルおよび他業界スキル

金融商品は多様化し、販売チャンネルも同様に多様化しつつあります。そんな背景のもとでは、従来の金融スキル以外の、ITスキルや関連する他の業界のスキルは重宝される傾向にあるのです。あらゆる面で仕事に絡んでくるITのスキルや、応募先が扱う商材で関連のある他業界のスキルは強調してアピールすべきポイントと考えましょう。

英語力(外資系の場合)

外資系の金融企業の場合、かなりの高待遇であることが多いです。年収アップを期待して外資系金融業界への転職を検討する人も多いでしょう。

外資系の場合、年功序列型はなくて、自分の実力でキャリアアップを実現しやすいのも特徴です。そんな外資系金融でアピールするべきは、上記の5つに加えて英語力です。

外資系金融業界では、少しの言葉の解釈により売上が大きく左右されるので、ハイレベルな英語力が求められます。会議で自分の領域について、英語で主張できるレベルに磨いておくことが望ましいでしょう。

また、国際的なマインドを持っているのかも重要視されます。外資系金融のIT部門でも、システム関係のやり取りはグローバルで行われるため、高い英語力が要求されるのです。企業や職種によっては英語が不要な場合もありますが、一般的に外資系金融業界で働くためには、ビジネスレベル以上で、できればフルーエント(流暢)レベルが求められます。前者はTOEICスコア800以上、後者は900超えレベルが目安です。高い目標ですが選考時に必ずしも達していなくとも、そこに照準を合わせている姿勢を見せましょう。

まとめ

転職先として人気が高い金融業界の固定されたイメージを挙げ、イメージ通りのものと実際はギャップがあるものを解説しました。いずれにしても、魅力ある業界であることは間違いありません。未経験から金融業界へ転職する場合には、志望動機はここで紹介したコツを踏まえて書くことで書類選考を突破しましょう。

そして面接においては、同じく紹介したアピールすべきポイントを押さえ、ライバルとの差別化を図ってください。

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