外資転職は「優良BtoB企業」も視野に入れよう。世界のインフラ、建築、製造、エンタメを支える、外資系テクノロジー企業の採用担当者からのアドバイス

Future of Making Things image. Futuristic view of a man with a tablet drawing new buildings and infrastructure with New York City in the background. Arial view of the Brooklyn skyline from Manhattan with the Williamsburg Bridge and the East River in view.

外資系企業の人事担当者に直接インタビューを行い、外資系転職についての正しい転職情報をお届けする35ishの連載企画。

今回は企業向けITソリューションを提供する、オートデスク株式会社の人事採用担当・鷲頭元子さんにお話を伺った。
鷲頭さんは日本マイクロソフトなど外資系企業の人事としてキャリアを積み、外資系企業の人材採用に精通した人物であり、外資系企業で活躍できるビジネスパーソンの素養や外資転職のポイントを聞いた。

オートデスク株式会社
オートデスクは建築業や製造業に設計ソフト「AutoCAD」、「Revit」、「Fusion」、「Inventor」、「Civil3D」、映像業界向けに「Maya」、「3DS MAX」などのソリューションを提供し、誰もが知る数々の有名建築物や工業製品、Automotiveや名だたる映像作品の制作に貢献し続けている。

外資系企業へ候補者がアピールすべきポイント

LinkedInはしっかりサーチ。職務経歴や実績がしっかり伝わることが大切。

ーー貴社に転職される方は、どのような採用ルートで入社されるのでしょうか?

当社の場合は、リファーラルで入社される方が比較的多く、全体でおよそ20%ほどです。
その他のルートでは転職エージェントや求人サイト、そしてLinkedInのようなSNS経由となりますが、この中でも実はLinkedIn経由の方が多い傾向があります。

ーーなぜLinkedIn経由の方が多いのでしょうか?

当社はR&Dがアメリカ、中国、シンガポール、ヨーロッパにあります。
そのため、最新の開発状況を把握しようとすると、英語力が求められます。
また社内のマテリアルは基本的に英語なので、英語力が高いに越したことはありません。
ですからまずは、英語で基本的な事が理解できそうな方へLinkedInから積極的に声をかけ、スカウトしています。

さらにマネージャーレベルになると、英語力は必須条件になります。
これは他の外資系企業も同様かと思いますので、キャリアアップを目指す方は、日々英語力を高めていく努力をされる事をおすすめします。

一方で、日本で活動するメンバーにとっては、お客様のほとんどは国内企業になります。
特にセールスパーソンは、英語より日系のエンタープライズ企業や中小企業と信頼関係を構築する能力、インサイドセールスでは電話やオンラインで対応できる正確な日本語能力が求められます。

このようにポジションによって、求められる英語力も変わってくるのですが、もし英語力がそこまで高くない場合であっても、当社は英会話レッスンを受講する際に補助がありますので、入社後に英語力を高めていく事は充分に可能です。

ーー応募者の転職回数などは、気にしていますか?

正直、気にしないことはありません。
あまりに多いと、やはり上司に推薦しづらい側面はあります。

とはいえ、明確な理由があれば回数が多くても問題はありません。
人によっては、在籍していた会社の経営が思わしくなく、やむをえず転職した方もいるでしょう。
また給与や裁量が増えたなどキャリアアップ転職を実現した方もいるはずです。
転職した背景がわかるように職務経歴や、在籍していた企業での実績などをまとめるのがポイントかと思います。

AutoDeskで再現した建築イメージ(画像提供=オートデスク株式会社)

外資系企業で活躍するなら身につけたい「素養」

ーー外資系企業で活躍する上で必要な素養はありますか?

当社の場合ですが、社員に求める幾つかの素養があります。
それがAutoDeskの価値観である「Adaptable」「Courageous(意見を言ってくれる人)」「Accountable」「Smart」「Innovative」「Humble」などです。
これは、他の外資系企業でも似たようなところがあるのではないでしょうか。

当社では戦略上M&Aなどによりソリューションラインナップを強化しているため、サービス内容の変化が非常に早く、それに素早くキャッチアップできる適応能力が求められます。
そのため、目まぐるしい変化にも対応できる「Adaptable」な素養が強い方でないと、カルチャーフィットしづらいかもしれません。

また様々なバックグラウンドを持つ同僚の中で物怖じせずに、積極的に自らの意見を発信すること。
そしてそれを実行し、遂行する能力も求められます。

ーーこれらの素養を踏まえ、貴社ではどのようなスキル・知識を持った人材が求められるのでしょうか?

当社のソリューションを踏まえると、製造業、建築、映像制作などのエンターテイメント業界に対する知見があるのが望ましいです。
いずれの業界も専門性が求められるため、これまでのキャリアを重視します。

あとは、ITに対する知見も不可欠です。
近年では当社のソリューションもクラウド化が進み、サブスクリプションビジネスへの転換が進んでいます。
そのため、ハードウェアよりソフトウェアに対する知識がある方だと更に望ましいです。

ーー専門性とITに対する知識。これが欠かせないのですね。

はい。だからこそ、職務経歴書などにはこれまでのキャリアだけでなく、どのような業界に身を置き、どのような知見を得たのかアピールすることは大切です。
特にITの知識はあらゆる業界で求められていますので、ITへの知見を有しているのであれば、ぜひアピールしていただきたいです。

外資系企業での働き方について

実力がある人材をフェアに評価する仕組みがある

ーー昇進などキャリアアップについて、貴社はどのようになっていますか?

基本的には世界中で募集しているポジションが公開されていて、フラットに選考されます。ですから国外からでももちろん、もし自分がふさわしいと思うポジションがあれば積極的に手を挙げて、グローバルレベルで自分のキャリア構築の実現が可能なのです。

また評価は社員による360度フィードバックが実施され、フェアに行われます。
特定の上司の意見だけが尊重されるようなことは無く、実力のある人が正当に評価されるよう2ヶ月ほどかけて進められます。

外資系企業で制度化されているユニークな福利厚生

ーー実際に貴社で働いてみて、どのような点が外資企業らしいと感じますか?

本社がアメリカということもあり、移動時間に時間がかかる事を考慮して、実はコロナ禍以前から場所や環境にとらわれず働けるようリモートワークをする事が当たり前でした。
すでにフルリモートワークになって1年ほど経ちますが、業務に支障が出ることはありません。
コロナ禍では自宅での働きやすさを追及するため、社員が空気清浄機など購入できるよう、会社がリモートワーク手当を支給してくれる事もありました。

また、特に会社の懐が大きいと感じた出来事として、当社ではコロナ禍になってから全社員に対してRSU(Restricted Stock Unit)が付与されました。
在籍年数などで付与される金額は異なりますが、「社員全員にAutoDeskメンバーとしての当事者意識を持って欲しい」というCEOの想いから実現しました。
これはかなり異例なことだったのですが、トップダウンの決定がすぐに反映される事は外資系企業の特徴と言えます。

もちろん会社として、育児をしながら女性のキャリア構築は当然の権利という理解が進んでいますので、女性の方向けに産休や育休の制度も整っており、女性の皆さんも働きやすい環境が整っています。

社内制度を充実させ、社員を大事にするこういった文化は非常に魅力的だと思っています。

ーー優秀な方が働きやすいよう、環境づくりに余念がありませんね。

はい。コロナ禍前は社内イベントなども多くありましたし、現在はCEOが毎月1回質問会を開催して、グローバルメンバーとの質疑応答も行われます。
オープンで風通しが良い会社だからなのか、実は他企業へ一度転職してしまった方のリハイヤーも比較的多いのが当社の特徴です。

オートデスク製品で再現する自動車の3Dデザイン(画像提供=オートデスク株式会社)

外資系企業の人事担当者から伝えたい、転職希望者へのメッセージ

ーー外資系企業への転職を考えている方へ、最後にメッセージをお願いします。

社風や制度なども重要ですが、気になっている企業がどのようなビジネスを展開し、社会に貢献しているかも知っていただきたいですね。特に、BtoBビジネスだと一般的な認知度が高くありません。
しかし、BtoBビジネスを通じて社会に貢献している企業は数多くあります。

当社もそのうちの一社です。設計ソフトを建築業や製造業に提供して、お客様のビジネスに貢献してきました。
私たちには強いカスタマーサクセスの精神があります。お客様、社会に貢献しなければ、我々の事業も意味をなさないからです。

また弊社のソリューションは、地域開発や発展途上国のインフラを整えるためにも使用されています。
働き方改革を推進するためにクラウド、3Dの活用も行われています。

このように、外資系企業でも国内で展開するBtoB企業もあり、そこに着目することでキャリア選択の幅も広がるはずです。
キャリアチェンジを考えている方は、ぜひBtoB企業にも視野を広げて、転職活動を進めてみてはいかがでしょうか。


鷲頭元子
アメリカで大学卒業後、外資系人材紹介サービス企業でコンサルタントやRPOメンバーとして採用業務について携わる。
2016年よりマイクロソフトのリクルーターとしてのキャリアを開始。
2017年からオートデスク株式会社の採用担当者として入社し、グローバルメンバーと連携を取りながら日本およびAPACの採用業務や戦略立案に携わっている。

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