コンサルへの転職に必須!思考整理と分析のためのフレームワーク集

転職先にコンサルティング業界を検討している方は、業界研究をしていて「フレームワーク」という言葉がよく出てくることに気づいた人もいるのではないでしょうか。フレームワークは、コンサルタントが仕事でよく使う思考ツールです。彼らは市場環境の分析、ディスカッション、戦略構築に使っています。

また、コンサルティング業界特有の「ケース面接」でもフレームワークが役立ちます。ぜひ、コンサル志望者の方はフレームワークを覚えておきましょう。この記事ではコンサルタントがフレームワークを用いる理由から紐解き、市場分析や戦略構築に用いられる代表的なフレームワークを紹介します。

コンサルがフレームワークを用いる理由

コンサルタントがフレームワークをよく使うのには、それなりの理由があります。ここでは、まずフレームワークの概要を説明してから、コンサルタントがそれを用いる理由に迫ってみましょう。

そもそもフレームワークとは?

フレームワークとは、思考を整理したり市場環境を分析したりする際に用いる論理モデルまたは思考ツールです。フレームワークという言葉の意味は「枠組み」です。企業が生産性を向上させるための合理性がある考え方の枠組みを意味します。

主にビジネスで検討する領域に関する状況や情報を分類し、図式に当てはめて用いるケースが多いです。そしてよく使われるフレームワークには、ビジネスの現場で実際に役に立つ方法論が含まれていて、分析や戦略立案が効率よく進みます。

※詳しくはこちら

「戦略の立案や企業問題を解決するため、効率よく思考を整理できる方法はないだろうか?」。経営戦略や商品開発を担当する方であれば、そのように考えたことがあるのではないでしょうか。フレームワークは思考時間を短縮させ、ビジネスを加速させるツールとして効果的です。本稿では、フレームワークとは何か、メリットとデメリット、具体的な導入例をご紹介します。フレームワークとは?フレームワーク(framework)とは、戦略の立案や問題を解決する時に役立つ枠組みのことです。フレームワークの多くは、考えを整理しやすいように図...
フレームワークとは?ビジネスを加速させる論理的思考を可能に - 35ish

なぜコンサルはフレームワークを用いるのか?

コンサルタントが仕事の中で、フレークワークを用いる理由はたくさんあります。主な理由だけでも、以下のとおりです。

  • 論点が整理しやすく議論に無駄がなくなる
  • 複数のアイデアから絞り込む判断基準になる
  • 思考の抜け漏れを防げる
  • 検討する優先順位がわかる
  • クライアント用の資料をわかりやすく作成できる
  • 戦略の基本の指針を見いだせる
  • 限られた時間内で議論の成果を出せる
  • 状況を客観的に分析する拠り所となる

これらの効果があるなら、コンサルタントとして使わない手はないと考えて当然でしょう。それでは、数あるフレームワークの中からコンサルティング現場でよく使用されている代表的なフレームワークを紹介していきます。

考え方を整理する2つのフレームワーク

まずはビジネスはもちろん、それ以外の場面でも非常に重宝する、考え方を整理するためのフレームワークを紹介します。

ロジックツリー

ロジックツリーは文字通り、「思考の木」のように紙やホワイトボードに思考を書いて「見える化」するフレームワークです。

テーマが木の幹で、関連する事象やアイデアが枝として書き足されていきます。すると全体像が把握できて、一見別の問題で同じ事象が関係押していたり、ある問題へのアイデアが別の問題にも役立つことがわかったりします。そうやって思考を進めると、テーマを大局的に理解して本質を見極めやすくなるでしょう。

シンプルで使いやすく、生活の中での日常の課題でも使える汎用性が高いフレームワークなので、試したことがない方はぜひ一度試してみましょう。

MECE

MECEは物事や情報を整理あるいは分析する際に、「抜け漏れ」や「ダブり」がないようにするためのフレームワークです。「ミーシー」と発音します。ビジネスにかぎったことではなく、抜け漏れやダブりがあるとその後の適切な判断が不可能です。そこで、分類やリストアップを行う際にMECEを用います。

「その分類はMECEであるか?」というような表現で、しばしばビジネスの会話に登場します。コンサルタントの必須スキルであるロジカルシンキングにおいても、MECEは基本になる考え方のひとつです。

MECE例題:Webサービスの売上を伸ばそう

わかりやすい例題を用いて、MECEの有効性を説明します。あるWebサービスの売上を伸ばすための戦略を考えるとしましょう。

MECEを用いずに、売上の構成要素を整理しないまま考えると「顧客数」と「客単価」を上げようという方向に決まりました。たしかに売上は「顧客数×客単価」なので、「顧客数を伸ばしつつ客単価を上げよう」などのアイデアが上がってくるように見えますよね。

顧客数を伸ばすために新規キャンペーンを企画し、客単価を上げるためにサービスを充実させて基本料金を少しだけ上げるという施策が決まり、それに向けての活動が始まったのです。しかし結果は思惑とは違う方向に進みました。キャンペーンにコストをかけて新規顧客をたくさん獲得したのはよいものの、基本料金が上がったため既存顧客がそれ以上に離脱してトータルの顧客数は減りました。客単価は上がっていましたが、総数の減少からくるマイナスをカバーできずに売上は伸びるどころか減少したのです。

これは分析がMECEでないことが招く不具合を、端的に表現した例題です。「顧客数」に関してMECEを用いて考えるならば、「既存顧客数」と「新規獲得顧客数」だけではなく「離脱顧客数」という要素を含めて捉えなければなりません。新規キャンペーンで新規顧客を獲得するだけではダメで、既存顧客を離脱させないことが必要です。

ところが「客単価」を上げるために基本料金を上げるという施策によって、多くのの既存顧客が解約して離脱するという事態につながりました。「客単価」の方もMECEを用いて考えるならば、「基本料金」と「オプション料金」の合計と捉えなければなりません。

つまりサービスを充実させて基本料金を上げるのではなく、基本料金は据え置きしつつオプションの種類を増やし、顧客が好みに応じてチョイスできる選択肢を増やすべきだったのです。そうすれば顧客の離脱は防げる上に、新たに追加されたオプションをチョイスする人がいるので客単価は上がり、新規キャンペーンで獲得した顧客も増え、結果的に売上を伸ばすことに成功するというストーリーが考えられます。離脱顧客を想定することが「漏れ」たままで基本サービスの充実という発想に至り、それがオプションと「ダブ」ってそのサービスが必要のない人の離脱を招きました。

となると、いかにMECEが大切かわかりますよね。

市場分析に使える5つのフレームワーク

整理分類の基本的なフレームワークを紹介したところで、ここからはコンサルティングの現場で市場分析のためによく使われる、5つのフレームワークを紹介します。

3C分析

3C分析は元マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長でビジネスブレイクスルー大学学長でもある経営コンサルタント大前研一氏が考案し、1982年の著作『The Mind of the strategist』で紹介して以来、広く知られるようになりました。

主旨としては、企業戦略を立案する際に必ず3者のプレイヤーを考慮に入れなければならないということです。3者とは自社(Corporation)・顧客(Customer)・競合相手(Competitor)です。外部要因である顧客と競合、そして内部要因の自社を冷静に評価します。具体的には顧客ニーズと自社の強みと弱み、競合の強みと弱み、そして競合がニーズの変化にどう対応しているのかを分析します。

その分析結果を踏まえて、「市場にニーズが存在」し「自社の強みを活かせ」て「競合が真似しがたい」ような事業やサービスを組み立てるのが、3Cを用いた有効な戦略立案のセオリーです。

4P分析

4P分析はフレームワークの古典ともいえるものです。アメリカのマーケティング学者であるエドモンド・ジェローム・マッカーシーが1960年の著作『Basic Marketing: A Managerial Approach』において提唱しました。4P分析では、マーケティングにおいて企業が管理可能な、頭文字がPで始まる4つの要素を定義しています。

  • Place/流通
  • Product/製品
  • Promotion/販売促進
  • Price/価格

1960年代初頭においては、商品の製造コストを下げることによって市場競争力を高める手法が事業戦略の基本でした。そしてコストを削減するアイデアを考えるために開発されたのがこのフレームワークです。

現代においては、この理論モデルはあくまで供給者サイドの論理であり、消費者サイドの観点が抜けているとの批判もよく聞かれます。「プロダクトアウト」か「マーケットイン」かという議論です。とはいえ、マーケティングに役立つフレームワークとしての有効性はあります。そのため今なお多くの企業が、自社の強みと弱みを認識してスタンスと方向性を決定するために用いています。

SWOT分析

SWOT分析はアメリカの経営学者であるヘンリー・ミンツバーグが最初に提唱しました。そして後に、ハーバード・ビジネス・スクールのケネス・R・アンドルーズ教授が1965年の著作『Business Policy: Text and Cases』で紹介したことにより、有名になります。

これは企業を取り巻いている環境を以下のように、内部と外部の合計4つの要素に分けて分析するツールです。

【内部環境】
Strengths:強み
Weaknesses:弱み

【外部環境】
Opportunities:機会
Threats:脅威

4つの要素の頭文字をとってSWOT分析と呼ばれます。この分析は戦略を立案する段階と、決定した後にその戦略をレビューする段階のどちらにも用いることが可能です。また、企業でなく個人であっても、自身の市場価値を整理してビジョンを描く際に使われることもあります。

TOWS分析

TOWS分析はサンフランシスコ大学ビジネス&マネジメント・スクールのハインツ・ワイリック教授が1982年の論文『The TOWS Matrix – A Tool for Situational Analysis』で提唱しました。
SWOTを発展させ、4つの戦略(SO戦略/WO戦略/ST戦略/WT戦略)を導き出すことができます。
具体的な方針が立てやすく、利便性が高いフレームワークとして評価されています。

PEST分析

PEST分析は企業が置かれるマクロ環境を構成する4つの要素が、将来において企業に及ぼす影響を予測するフレームワークです。マクロ環境の構成要素は以下の4つです。

  • Politics:政治
  • Economy:経済
  • Society:社会
  • Technology:テクノロジー

これらの頭文字をとってPEST分析と呼ばれます。

PEST分析では、政治がマーケットに影響を与える規制や指導、経済の成長や景況、社会の人口や構成比、テクノロジーを駆使したITサービスやデジタルデバイスなどの要素から先々の企業に及ぼす影響を考えます。
主に商品やサービスの企画段階やターゲットの範囲が広いマスマーケティング案件、グローバル戦略を立てる際などに用いられるツールです。企業がアクションを起こす前に認識しておくべき、数々の制約を把握するのに効果があります。

戦略構築のための3つのフレームワーク

分析用フレームワークで現状や環境を掌握した後に、戦略を構築していく段階で用いられるフレームワークの中で代表的な3つを紹介します。

VRIO

VRIOはアメリカの経営学者ジェイ・B・バーニーが1991年の経営戦略に関する論文で提唱しました。外部環境に向けての対応が競争力に反映するとされていたそれまでのセオリーに対して、内部環境である経営リソースも競争力に反映するとした考え方です。経営リソースは以下のように4つに分類されます。

  • Value:経済的な価値
  • Rarity:希少性
  • Imitability:模倣可能性
  • Organization:組織

これらの頭文字をとってVRIOと呼ばれます。これを上から順に見極めることで、自社の状況を客観視できます。それぞれの概要を見ていきましょう。

Value:経済的な価値
企業内部の経済的な価値は苦境に対応できて、好機を生かせるかを見る物差しです。経済的な価値といっても、資金力やキャッシュフローなどの財政面だけを指すのではありません。人材や設備などのリソースも含みます。

そういう企業が持つ経済価値をすべて含めたうえでリスクを最小化し、チャンスを最大化するという観点で考えます。この項目が芳しくない場合は、他社に比べて競争力に欠ける「競争劣位」の状態になります。

Rarity:希少性
業界内でそのビジネスに希少性があるかを見る物差しです。業界において自社のビジネスの希少性が高いのかどうかは、競合も実行しているのかという面から考えなければなりません。

経済的な価値をクリアして、この項目が芳しくない場合は、価値はあるが希少性が低い「競争均衡態」の状態になります。

Imitability:模倣可能性
業界内でそのビジネスは模倣しやすいかどうかという物差しです。自社のビジネスが簡単に真似できるかどうかは、それを実現するためのリソースやコストがどれくらいかかるのかということです。

経済的な価値と希少性をクリアしつつこの項目が芳しくない場合は、希少性は高いけれど模倣されやすい「一時的競争優位」の状態になります。

Organization:組織
経営リソースをフル活用するために組織の構造やフローは適切に設定されているかを見る物差しです。前出の経済的な価値、希少性、模倣可能性を守るために組織が良好な稼働をしているかということです。

経済的な価値と希少性、ならびに模倣可能性をクリアしつつこの項目が芳しくない場合は、希少性が高く模倣可能性が低いので、少なくとも「長期的競争優位」の状態を確保できます。ここをクリアしてやっと経営リソースを最大限に生かせている「持続的競争優位」の状態になります。

この一連の分類で企業が抱える課題を明らかにし、弱い部分にテコ入れして競争力を高める戦略を考えます。

ファイブフォース

ファイブフォースはアメリカの経営学者マイケル・ポーターが世界的にベストセラーとなった1979年の著作『競争の戦略』で提唱したフレームワークです。以下の5つの観点から業界の競争構造を分析し、潜在的な競争力を見極めます。

  • 売手
  • 買手
  • 競合
  • 代替品
  • 新規参入者

一般的に企業戦略を考える場合によく前提とするのが顧客と競合、そして供給業者です。ファイブフォースを使うと代替品や新規参入者という、2つの新たな視点が加わります。代替品は価格降下圧力を生み出して収益に影響を与え、新規参入者はマーケットにおけるシェア争奪戦に影響を与えます。

このように、すぐには脅威にならなくとも中長期的には大きく影響を与えかねない要素に着目しているところがこのフレームワークの特徴です。

アンゾフ・マトリクス

アンゾフ・マトリクスはロシア系アメリカ人の経営学者イゴール・アンゾフが1957年の論文で提唱しました。縦軸は「市場」で横軸は「製品」で、それぞれを「既存」と「新規」の両極を設けた4象限のマトリクスによって考察します。イゴール・アンゾフは、第二次世界大戦下の戦時経済を経て多角化により成長した多くの企業のために、戦略的な意思決定を行う要素を以下の4つに分類しました。

  • 事業領域とするマーケット
  • 市場優位性
  • 成長のためのアクション
  • 複数領域によるシナジー効果

アンゾフ・マトリクスはとりわけ「成長のためのアクション」を検討するために開発されました。今もなお企業の成長戦略を構築する際に用いられるフレームワークです。

マッキンゼーが提唱する「7S」

3大戦略ファームと称されるMBBの一角、マッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱するフレームワーク「7S」を紹介します。これは組織を構成する経営リソースを7つに分類して相互関係を示し、戦略構築の判断材料とするものです。この理論モデルでは、優良な企業においては7要素が相互に作用しているとされています。多くの経営者、コンサルタントが組織改革を行うために用いるフレームワークが7Sです。

この7要素は変更には時間を要する「ソフト4S」と比較的変更しやすい「ハード3S」に分類されます。

ソフト4Sとは

ソフト4Sは、主に人に関する要素で、以下の4つです。

  • Shared value/共通の価値観
  • Style/経営スタイル
  • Staff/人材
  • Skill/能力

個別に見ていきましょう。

Shared value/共通の価値観

組織の中で共有するべき価値観や理念です。経営陣および従業員の間に浸透しているか、誤解がないかなどを確認します。

Style/経営スタイル

トップダウンやボトムアップなど組織の経営スタイルのことです。

Staff/人材

どんな人材がいるかだけでなく人事をどのように行っているか、チームのリーダーシップなども含めて分析する要素です。

Skill/能力

従業員の能力や企業としての能力である技術力やマーケティング力、販売力なども含まれます。競合にない能力があれば、それだけ市場優位性を持つことになります。これらの要素はコントロールが難しく、すぐには変更ができない要素です。

その上で、競合と比較して従業員や組織としてどういう能力を高めていくべきか、そのためにはどのように人材育成を行うか、あるいはどういう人材を外部から確保するかなどを判断していく材料とします。

ハード3Sとは

7Sの残り、ハード3Sは企業組織の構造に関する以下の3要素です。

  • Strategy/戦略
  • Structurey/組織構造
  • System/システム

それぞれを見ていきましょう。

Strategy/戦略

自社が競争優位に立てている理由や、優先して解決すべき問題は何か、どの分野にどう経営リソースを配分するかなどの戦略についての要素です。

Structurey/組織構造

企業がどのように組織化されているかということです。経営陣と管理職の関係性、管理職と部下の関係性、どの領域で誰がどんなマネジメントを行なっているかなどの構造を分析します。

System/システム

情報システムや管理システム、業務システムや人事評価システム、給与体系などの仕組みのことです。

ソフト4Sとハード3Sの関連性

企業の基礎として、まず「共通の価値観」が中心になります。そこから生まれた「経営スタイル」やそれに共鳴する「人材」が集まることで「能力」や「システム」が生まれ「組織構造」が出来上がって「戦略」が定まってくるのです。

このように個別の要素である7つのSは有機的に作用しあって戦略の優劣にまで影響を与えます。7Cを用いた分析から出た答によって、4S は時間をかけてでも確実に改善し、3Sは速やかに手を打つというのが、7Sの適切な使い方といえるでしょう。

BCGが提唱する「アドバンテージマトリクス」

マッキンゼー同様MBBの一角であるBCG(ボストン コンサルティング グループ)が提唱している「アドバンテージマトリクス」は、企業が競争優位性を確保できるかどうかを分析し、勝ち抜ける競争優位性を構築するためのフレームワークです。「競争要員の多さ」と「優位性を確保できる可能性」という2つの軸で事業領域のタイプを以下の4つに分類して考えます。

  • 特化型事業
  • 規模型事業
  • 分散型事業
  • 手詰まり型事業

個別に見ていきましょう。

特化型事業

このタイプは競争要因が多く、優位性確保の可能性が高い事業領域です。特定の分野で圧倒的な強みを持つことによって、市場優位性を確保することができます。例として挙げれば計測機器製造業や製薬業、医療機器製造業です。

規模型事業

このタイプは競争要因が少なく、優位性確保の可能性が高い事業領域になります。スケールメリットが働きやすい特徴を持つ領域です。例として挙げれば自動車製造業、半導体製品製造業などです。

分散型事業

このタイプは競争要因が多く、優位性確保の可能性が低い事業領域です。スケールメリットが働きにくく、大企業が参入せずに中小企業の群雄割拠する領域です。例として挙げれば建設業、アパレル販売業、地域密着型飲食業・理容業があります。

手詰まり型事業

このタイプは競争要因が少なく、優位性確保の可能性も低い事業領域となります。事業のライフサイクルでいえば衰退期に入っており、差別化も難しくて収益構造を確立することが難しい領域です。例として挙げれば鉄鋼業、セメント業などです。

アドバンテージマトリクスによる判断

一般的に収益性を確立するのが難しい事業領域は手詰まり型と分散型とされています。分散型は、たとえば人気がある販売員の集客力で成立しているようなビジネスモデルであり、現実的に規模を拡大することは難しいのです。それぞれの事業領域によって収益性に差があり、成功の可能性も異なります。

アドバンテージマトリクスを用いて、自社はどの事業領域に属しているのかを判断し、収益を安定的かつ継続的に確保していくにはどう手を打つべきかを検討します。特化型に転換するのであれば特定分野での圧倒的な強みを実現し、規模型に転換するのであればチェーン展開などでシェアを拡大してスケールメリットが働くようにする取り組みで収益構造を確立することは可能です。

また、チェーン展開が無理でも、運営のノウハウをパッケージ化してフランチャイズ展開、あるいは教育事業として量産可能なソフトビジネスを展開する方法も考えられます。このようにアドバンテージマトリクスによって手詰まり型や分散型を見直し、特化型や規模型へ転換させて、市場優位性を構築していく方法を模索しましょう。

フレームワークを使用する際の注意点

フレームワークを使用する際に注意が必要なのは、分析の要素の中にはどうしても曖昧なものが存在するのを避けられない点です。

たとえば企業の商品やサービスが持つ「強み」や「弱み」というのは、実は相対評価であり、絶対的なものではありません。ある人にとっては価値がある商品も、別の人にとっては何の価値も感じられない場合もあります。そこを認識していないまま分析すると、導く答えにブレが生じてしまいます。つまり的を射た答えから、遠ざかるおそれがあるのです。少しでもブレを生じさせないためには、「ターゲット」と「ニーズ」という分析の軸を明確にした上で、フレームワークを用いなければなりません。

裏を返すと、そこを抑えつつフレームワークで絶対的な判断はできないと理解した上で活用すれば、良い結果を導き出せる可能性があるでしょう。また、フレームワークは一つだけで検討するのではなく複数で検討しましょう。実際のコンサルティングの現場では、複数のフレームワークを用いて課題に取り組みます。こうすると、分析の精度が高くなり、戦略を立てやすくなります。

まとめ

コンサルティング業界でよく使われるフレームワークについて、コンサルタントがそれらを用いる理由から紐解き、コンサルティング活動でよく使われる代表的なフレームワークを紹介しました。フレームワークによって特徴があるので用途に適したものを選び、注意点を踏まえて使えば効率的な議論や分析、戦略立案の助けとなるでしょう。

コンサルティング業界に興味がある転職志望者の方は、ご自身でも試しに使ってみて転職活動の参考にしてください。

いますぐ求人を探す

タリスマンに転職相談をする