履歴書の扶養家族数とは?当てはまる対象と正しい書き方

一般的な履歴書には、扶養家族の数の欄がありますよね。しかし、この扶養家族とは誰を書けば良いのか、迷ったことがある人もいるはず。よくわからずに適当に記入してしまうと、虚偽申告として入社後にトラブルになることもあります。そこで今回は、履歴書に記載する扶養家族の対象になる人とは誰なのか解説します。家族構成ごとの書き方についても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

扶養家族とは?

扶養家族とは、自分の収入で経済的に支援している家族のことです。同居や別居などに関係なく、自分の収入で養っている家族を指します。

扶養家族の定義は、税法上と健康保険法上で異なり、履歴書では健康保険法上の扶養家族の定義に従って記載するのが一般的です。そこで健康保険法上と税法上の扶養家族の違いについて解説しましょう。

健康保険における扶養家族

健康保険は、組合ごとで被扶養者になれる条件が異なります。そのため、一般的な全国健康保険管掌健康保険を例に挙げて説明しましょう。

健康保険の制度上、扶養家族のことは「被扶養者」と呼び、扶養する人のことを「被保険者」と呼びます。被扶養者の条件は、大きく分けて4つです。

条件1:3親等内の親族であること

同居していなくても扶養家族の対象になる人

  • 内縁関係を含む配偶者
  • 養子を含む子ども
  • 兄弟姉妹
  • 養父母を含む父母や祖父母などの直系尊属

同居していれば扶養家族の対象になる人

  • 配偶者の両親や叔父や叔母など上記以外の三親等内の親族
  • 内縁関係の配偶者の両親や連れ子

内縁関係の配偶者が亡くなった後でも、その両親や連れ子は扶養家族になれます。

条件2:他の健康保険組合に入っていないこと

被扶養者が、就職先で他の健康保険組合に加入していると扶養家族の対象外です。就職している場合、収入によっては扶養対象外になるケースがあるので注意しましょう。

収入の条件については、次でご紹介します。

条件3:所定の年収未満であること

被扶養者の年齢によって、収入面の条件が異なります。60歳未満の人は、年収が130万円未満であることが条件です。月収にすると10万8334円未満が目安となります。60歳以上および障がい者の場合、年収が180万円未満となり、月収15万円未満です。被扶養者と同居している場合、被保険者の年収の2分の1未満で被扶養者の対象になります。

一方別居の場合は、被扶養者の年収が被保険者の仕送りより少ないことが条件です。

条件4:後期高齢者医療制度の被保険者ではないこと

後期高齢者医療制度とは、75歳以上の人が加入できる医療制度です。寝たきり状態の場合、65歳以上が対象となります。被扶養者の対象者は、後期高齢者医療制度の被保険者ではないことが条件です。
そのため、高齢の両親を被扶養者としたい人は、両親の年齢に注意しましょう。

税法上の扶養家族

税法上、扶養家族は「扶養親族」と呼びます。健康保険制度と税法上の扶養家族の定義には、さまざまな違いがあるため、混同しないようにしましょう。税法上における扶養親族とは、以下4つの条件をすべて満たす人です。

  • 配偶者以外の6親等内の血族及び3親等内の姻族であること
  • 納税者と生計が同一であること
  • 扶養親族の合計年間所得金額が38万円以下であること
  • 青色申告者の事業専従者で給与を受けとっていない、もしくは白色申告者の事業専従者ではないこと

配偶者以外の6親等内の血族及び3親等内の姻族には、例外として親族以外の家族も含まれます。たとえば、都道府県知事から養育を委託された児童である里子や市町村長から養護を委託された老人も親族の対象です。

また「生計が同一」である条件は、同居している場合だけではありません。親からの仕送りで生活している別居中の子どもも含みます。年間の合計所得金額は、給与年収とは異なるため注意しましょう。給与年収だと年間103万円以下が扶養内の条件です。

たとえば、アルバイトで得た収入は給与収入になるため、子どもがアルバイトをして年間収入が103万円を超えると扶養対象外になります。

履歴書に扶養家族を記載する理由

履歴書に扶養家族や配偶者を書く理由は、所得税の計算や健康保険の手続きの際に、必要な情報をあらかじめ把握するためです。扶養家族の人数が変わると、控除額の金額が異なるため、正確に記入しましょう。

さらに社宅や住宅手当、家族手当の概算を確認したいという企業側の事情もあります。あくまで、入社した際にどのような手続きや手当が必要になるかを確認するためなので、気負わず正直に記載することが重要です。

企業にとって、履歴書は正式なビジネス文章です。そのため、もし記入漏れや誤記載があった場合は、正確な書類が作れないというマイナス評価をされることも。配偶者の数え方にはルールがあるため、きちんと確認し正しく記載しましょう。

配偶者の扶養義務欄の書き方

履歴書には、「配偶者の有無」と「配偶者の扶養義務」を記載するケースが多いです。
たとえば、以下のような項目が設置されています。

扶養家族数(配偶者を除く)
〇人
配偶者 配偶者の扶養義務
※有・無 ※有・無

扶養義務欄の書き方は、基本的に空欄にしないことです。たとえば、扶養家族がいない場合は「0」と数字を記載し、有無には必ず〇を付けましょう。扶養家族数には「配偶者を除く」と特記がある場合、配偶者以外の扶養家族数を記載します。特記がない場合は、配偶者を含めた人数を記載しなくてはなりません。

履歴書では、健康保険制度上の扶養家族が対象となります。そのため、内縁関係や事実婚の相手がいる場合、配偶者の欄は「有」を〇で囲みましょう。

履歴書の扶養家族欄の書き方

ここでは、履歴書の扶養家族欄の書き方について、家族構成ごとに解説します。配偶者を除くと記載のある場合、以下の表を参考にしてみてください。

家族構成 扶養家族数
独身で一人暮らし 0人
配偶者あり(配偶者の年収が130万円以上) 0人(配偶者の扶養義務は有)
配偶者あり(配偶者の年収が130万円未満) 0人(配偶者の扶養義務は無)
配偶者と子ども1人(配偶者と子どもの年収が130万円未満) 1人(配偶者の扶養義務は有)
配偶者と子ども1人(配偶者と子どもの年収が130万円以上) 0人(配偶者の扶養義務は無)
74歳以下の両親と同居または別居(親の年収は180万円未満) 2人
75歳以上の両親と同居または別居(親の年収は180万円以上) 0人

配偶者を除くと特記があるケースでは、配偶者が扶養対象であっても扶養家族数は「0人」です。配偶者が扶養家族の対象になる場合、配偶者の扶養義務欄の「有」を〇で囲みます。

それでは、それぞれの家族構成ごとに扶養家族の数と書き方を解説しましょう。

独身で一人暮らしの場合

独身で配偶者も同居家族がおらず仕送りもしていないケースでは、扶養家族0人となります。配偶者と配偶者の扶養義務は、無を〇で囲みましょう。

扶養家族数(配偶者を除く)
0人
配偶者 配偶者の扶養義務

独身で親と同居している場合

74歳以下の両親と同居しており、両親の年収が110万円のケースの場合、扶養家族は2人となり、独身のため配偶者は無に〇をつけましょう。同居ではなく、別居の場合も扶養家族になります。ただし、親の年齢が75歳以上または年収が180万円以上であれば、扶養対象外となるため注意しましょう。

扶養家族数(配偶者を除く)
2人
配偶者 配偶者の扶養義務

配偶者がいる場合

配偶者がいる場合は、配偶者欄の「有」を〇で囲みます。配偶者の状況ごとにどのような記載をすべきなのか、ご紹介しましょう。

事実婚・内縁の場合

健康保険制度上では、入籍していない事実婚や内縁関係でも配偶者として扱われます。事実婚で子どもがおらず、配偶者が130万円以上の収入を得ている場合は、扶養家族は0人。配偶者は有を〇で囲み、扶養義務は無に印をつけます。

扶養家族数(配偶者を除く)
0人
配偶者 配偶者の扶養義務

配偶者がおり子供がいない場合

配偶者がいる場合、同居の有無にかかわらず、配偶者の年収によって扶養義務が異なります。たとえば、妻が年収130万円未満の場合です。配偶者以外の扶養家族がいないため、扶養家族は0人。配偶者と配偶者の扶養義務は有となります。

扶養家族数(配偶者を除く)
0人
配偶者 配偶者の扶養義務

配偶者と子供がいる場合

配偶者がおり子どもがいる場合、子どもの年収で扶養家族数が異なります。たとえば、専業主婦の妻と小学生の子ども1人がいる場合です。

扶養家族には、子どもの1人だけを記載。専業主婦の妻は、配偶者と配偶者の扶養義務に有を付けることで申告します。実際には、専業主婦の妻と小学生の子ども1人を合わせた2人を扶養していますが、「配偶者を除く」と但し書きがあるため、扶養家族数は子ども1人だけです。

扶養家族数(配偶者を除く)
1人
配偶者 配偶者の扶養義務

扶養家族が選考に影響する可能性

扶養家族の記載は、応募者の情報を把握するためなので、選考に影響することはほぼありません。しかし、扶養家族の情報から介護や育児で業務に支障が出ないか確認するケースもあります。

そこで介護や育児など懸念事項がある場合、業務に支障が出ないように他の家族や保育施設のサポートが得られることをアピールすると良いでしょう。意図的に扶養家族の情報を隠して入社してはいけません。

まとめ

履歴書にある扶養家族数の欄は、健康保険制度上の数え方になるため、記載する際には注意しましょう。

扶養家族の有無は、選考にほとんど影響しないため、正直に記載することが大切です。複雑に見える扶養家族の数え方ですが、ポイントを押さえれば意外と簡単ですよね。書き方に迷った場合は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。

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