日本語と英語などの2ヶ国語を話せるバイリンガルの人材は、経済も社会もどんどんグローバル化する現代の日本において、ビジネスパーソンとしての強みを持っています。とりわけ、外資系企業や日系グローバル企業においては必要な素養を持っている人材といえるでしょう。
語学力を活かせて活躍できる仕事に出会うために、今回の記事では、主に日本語と英語が話せるバイリンガル人材の転職に向いている仕事に関して、職種や業界と注意点も踏まえて解説します。
目次
バイリンガルの定義
そもそもバイリンガルの定義として一般的なものは、2つの母語を話せる、あるいは2つの言語を自由に話せる人材です。
具体的には、留学経験者や帰国子女がイメージとしてはわかりやすいでしょう。しかし必ずしも海外経験がなくとも、日常的に母国語以外の言語を使う環境がある人もたくさんいます。そういう人はその言語のネイティブスピーカーと普通にコミュニケーションが取れるので、海外経験がなくともバイリンガル人材と呼ぶに値します。
※詳しくはこちらでも解説しています
国際化が進む現代では、複数言語を操れるバイリンガル人材に注目が集まっています。しかし、ただ複数言語を話せるだけでは、バイリンガル人材として活躍することは難しいでしょう。バイリンガルとしての高い語学力はもちろんのこと、会社に貢献できる能力があるのかどうかがポイント。では「バイリンガル人材」に求められる能力とは、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、バイリンガル人材の定義や企業が求める3つのポイントについて解説します。バイリンガル人材として活躍したい人は、ぜひ参考にしてみてください。バイリン... バイリンガル人材とは?企業が求める3つのポイントについても解説 - 35ish |
バイリンガルに向いている仕事
日本では現在、外資系企業や多国籍企業が多く存在します。また、日系企業でもグローバル展開をする企業も多いので、転職市場ではバイリンガルである人材のニーズは旺盛です。上場企業の中で採用条件にTOEICスコアの満たすべき基準を設定しているのも、その表れのひとつです。
ここではバイリンガルに向いている仕事について、詳しく見ていきましょう。
外資系や日系グローバル企業での現職と同じ職種
バイリンガルにとって現職や前職と同じ業界、同じ職種で募集されている外資系や日系グローバル企業の求人には、仕事面でも言語の対応力の面でもダブルで即戦力となって活躍できる可能性があります。
日本国内のマーケットは成熟の時代を迎えてから久しく、多くの企業にとって売上を大きく伸ばすことが難しくなっています。そこでさまざまな分野の企業が海外マーケットに目を向けるようになりました。その結果、企業の最前線でボーダーレスなやり取りが普通になってきており、語学力がある人材が必要となる状態になりました。
その傾向は製造業だけではなく、サービス業においても同じで、ありとあらゆる業界や職種でバイリンガルが必要となっています。そして語学スキルにプラスしてその仕事に関するビジネススキルを備える人材であれば、マネジメントや経営陣などの上位職のニーズも存在します。
このような背景から、転職を希望するバイリンガル人材にとっては現職や前職と同じ業界、同じ職種で募集される外資系企業の求人には、非常に有利といえるでしょう。
バイリンガルであることが転職に有利な職種
バイリンガルとして、主に英語によるコミュニケーションスキルに優れている人材であれば、他の保有スキルとの組み合わせで以下のような職種への転職が有利になります。
- マーケター
- コンサルタント
- ITエンジニア
- 営業職
- フロント・クローク
- ツアーコンダクター
- 通訳者
- 英会話講師
- キャビンアテンダント
- 秘書
- 貿易事務
個々に説明を少し加えておきましょう。
【マーケター】
海外ではオンラインマーケティング等が進んでおり、外資ベンダーも日本に進出してきているので英語でのコミュニケーションニーズが増加しています。現場のマーケティング部門と外部関係者との意思疎通の点で高い英語力とコミュニケーションスキルが求められるのです。
【コンサルタント】
転職先として人気が高い外資系コンサルティングファームのコンサルタントは、高額報酬が見込めます。前項のマーケティング部門と同じく、クライアントや外部ITベンダーとの英語によるコミュニケーションが多くなってきています。
外国籍のクライアントや、開発担当のエンジニアが外国人で英語によってやり取りするケースなども目立ち、こちらも高い英語力とコミュニケーションスキルが求められます。
【ITエンジニア】
ITエンジニアの深刻な人材不足から国内でも外国人エンジニアが増えていることや、海外本社や外国籍クライアントとのやり取りも多いです。先の2項目同様、高い英語力とコミュニケーションスキルが求められます。
【営業職】
およそどのような商材を扱う企業でも、ほとんどといってよいほど営業部門があります。そして、営業職は顧客となる個人や法人と商材を結びつける接点となる重要な仕事です。個人消費者はもちろん、法人相手でも向き合うのは担当者という人間なので、いずれにしてもコミュニケーションスキルが成果に関係してきます。
顧客が英語圏の人であれば英語を使ってなおかつ良好なコミュニケーションが取れるバイリンガル人材が大いに力を発揮できます。
【フロント/クローク】
例えばホテル業のフロント係やクローク係といった接客サービスの仕事は、語学力はもちろん卓越した接客技術が必要ですが、その基本となるのはコミュニケーションスキルです。なぜなら、相手の要望や思いを的確に理解し、解決策を明確に伝えなければならないからです。
そのため、英語スキルとコミュニケーションスキルに自信がある人材はフロント係やクローク係を上手にこなせるでしょう。
【ツアーコンダクター】
国内・海外へのツアーに同行し、参加者が安全で快適にツアーを楽しめるように現地でのさまざまな手配や観光案内などを担当する仕事です。ツアースケジュールの管理や、現地の交通状況の掌握、地理や歴史などの情報収集、参加者の送迎、出入国手続きや税関検査などの説明など業務の領域が広いです。
語学スキルについては、海外ツアーで必要であるのはもちろん、国内ツアーでも参加者が外国人の場合もあり、アクシデントやトラブルにも対応できるコミュニケーションスキルを伴う語学スキルが求められます。
【通訳者】
母国語が異なる人たちの間をとりもって会話を円滑に進める仕事なので、ネイティブレベルに迫る高い語学スキルが必要な上に、コミュニケーションスキルが求められます。また、その言語の文化的背景も理解していないと充分な通訳はできません。
【英会話講師】
語学スクールで幅広い年代の人たちに英会話をレッスンする仕事です。わかりやすく教えるために、それぞれの相手に合わせたコミュニケーションが求められます。
【キャビンアテンダント】
旅客機内での保安業務やサービスを担う仕事で、基本的に英語で利用客とやり取りをします。また、外国人スタッフと業務上の連絡を行なう場合にも英語スキルがものをいいます。
【秘書】
外国人幹部の秘書業務は、幹部の通訳やスケジュール管理、資料収集などさまざまな役割をこなします。高い語学スキルと、コンシェルジュのように万般に通じる広い知識が求められます。
【貿易事務】
海外との輸出入の取引を円滑に行うための、事務手続きを担う仕事です。英文ドキュメントを誤りなく理解し自らも作成するための、確かな語学スキルと貿易に関する専門知識、PCスキルが求められます。
バイリンガルを強く求めている業界
基本的にいかなる業界もバイリンガル人材を求めているのが現状ですが、中でもその傾向が強いのは以下の4業界です。
- コンサルティング業界
- 金融業界
- フィンテック業界
- IT業界
個別に事情を補足しましょう。
コンサルティング業界
コンサルティングファームの大手には、外資系が多いのは有名です。日系ファームであっても近年においてはグローバルな案件も多く、コンサルティング業界全体として英語が話せる人材が求められています。特に外資系ファームでは、高い英語力があれば任せられる仕事の幅が大きく広がるとされています。
金融業界
金融業界は規制緩和やテクノロジーの台頭によって業界地図が変化しつつあり、事業統合やM&A需要が高まっています。そんな中でクロスボーダーな案件が増えており、英語力を活かせるバイリンガル人材の価値が高まっているのです。
また、語学力を活かして海外顧客の窓口となれる人材は非常に大切にされます。
フィンテック業
ITと金融を融合させた成長産業であるフィンテック業界の仕事は、そもそも国境の概念が希薄で外国籍のステークホルダーとやりとりをすることが多いです。そのため、英語でのコミュニケーションが当たり前のようにできるバイリンガル人材は、仕事の間口が広いでしょう。
インターネットを最大限に活用するビジネスでもあり、ボーダーレスなサービスなので海外ユーザーも多く、実戦英語が求められます。バイリンガル人材にはふさわしい業界です。
IT業界
IT業界はDXの進展に伴って、ますます伸びていくのは間違いありません。その中でグローバル案件やオフショア開発などでは、英語が話せないと先に進まない業務が多く、ITを理解するバイリンガル人材は優秀なエンジニアと同様にニーズが盛んです。
また、ともに働くITエンジニアがインド出身などの国外から来たスタッフであることも多くなっており、そういう背景からも英語スキルが欠かせません。
バイリンガルが転職する際の注意点
バイリンガル人材の転職における注意点について、触れておきましょう。
TOEICよりも実戦的な英語力をアピール
日系企業への転職においては、英語力がある程度求められる場合に評価基準とされるのは一般的にTOEIC公開テストのスコアです。しかしそれは、採用側も他に確たる基準を持っていないからです。
外資系やグローバル企業においては、そもそも社員がバイリンガルであることがデフォルトの場合も多く、TOEICスコアに頼らずとも採用担当者自身が候補者の英語力を直に確かめられます。よって、バイリンガル求人でも外資系や日系グローバル企業の場合にはTOEICスコアはあまり意味がなく、実際に英語でコミュニケーションができるのかどうかが問われます。TOEICのスコアは悪くなくても会話にあまり自信が持てない人の場合は、面接までに特訓しましょう。
語学力プラスアルファの強みをアピール
また、英語がペラペラであってもそれだけでは戦力になるわけではありません。英語が話せるのは基礎力と考えて、その英語を使って何ができるかというプラスアルファの強みをアピールしなければならないのです。特に目立った専門スキルがない場合は、一回自身のキャリアの棚卸しをしてみて、人に誇れる強みを見つけましょう。
自分の語学スキルに適した仕事かどうかの見極め
応募先のポストの仕事内容に必要な英語のスキルが、自分の実力とマッチしているかどうかもあらかじめよく見極めなければなりません。もし現在のスキルレベルでは力不足な場合は、中期的にスキルアップするプランを実行しながらの応募にすることで評価される可能性はあります。しかし、何もしないままでは採用されるのは難しいでしょう。
また、自身の語学力からすると求められるレベルが低すぎるのも考えものです。つまり、せっかくのスキルを活かしきれないのであれば勿体無いのです。そうであれば、もっと英語スキルを最大限に活かせるポストを探す方が条件ややりがいが大きくなると期待できます。
転職エージェントを上手に活用
バイリンガル人材であれば、できるだけ転職エージェントを活用して転職活動に取り組みましょう。それも外資系企業に精通した転職エージェントが適しています。なぜなら、応募先企業の事情がよくわかっているので、英語のレベルに関する見極めはもちろん、それ以外のスキルや適性の面についても適切なカウンセリングが受けられ、対策もサポートしてもらえるからです。
私たちタリスマンは外資系に強い転職エージェントなので、バイリンガルであるあなたのプライオリティを最大限に活かせるように転職をサポートいたします。ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
バイリンガルは、そもそも外資系企業や日系グローバル企業への転職に強みがあります。バイリンガル人材の転職に向いている仕事に関して、その人材価値を発揮できる職種や業界と注意点も踏まえて解説しました。
さまざまな業界や職種でバイリンガルの活躍の場があるので、その中でも自身のスキルが最大限に活かせるポストを見つけるために、転職エージェントを上手に活用して転職活動に取り組みましょう。