エンジニアがプログラミング言語のバイリンガルだと有利な理由とは

エンジニアやプログラマーで複数のプログラミング言語を身につけている人がたくさんいます。いわゆる「バイリンガルエンジニア」です。彼らはなぜ、2つ以上のプログラミング言語を身につけているのでしょうか。

実は、同じ企業や同じプロジェクトの中でも複数のプログラミング言語が必要な場合があります。今回の記事ではプログラミング初学者の皆さんに向けて、プログラミング言語の違いが意味するものや、複数のプログラミング言語の習得が持つメリットについて解説しましょう。

プログラミング言語とは?

プログラミング言語とはコンピューターを扱う際の専用の言語です。それを使ってシステムやアプリケーション、ソフトウェア、Webサイト、ゲーム、ITサービス、Webサービスなどを作ることができます。

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プログラミング言語はJavaやJavaScript、PHP、C++などの有名なものから、認知度が低いものまで合わせると200を超える種類があります。とはいえ、すべてのプログラミング言語が実際に使われているわけではなく、頻繁に使用されているのは全体の1割程度です。コンピューターの種類や何を作るかによっても用いられるプログラミング言語が異なります。

プログラミング言語はコンピューターの性能向上を受け、あるいはプログラマーの意見を取り入れてどんどん進化してきました。多くの言語の、それぞれの強みを活かすことでプログラムの規模が大きくなり、コンピューターの処理速度も飛躍的に上がったのです。

プログラミング言語が複数必要になる理由

エンジニアの仕事の中でプログラミング言語が複数必要になるケースが多々ありますが、それは主に以下の2つの理由があります。

  • こなせる案件の選択肢を増やすため
  • Web開発では構造的に必要

それぞれを詳しく見ていきましょう。

こなせる案件の選択肢を増やすため

案件の受注機会を広げるために、さまざまなプログラミング言語に対応できるようにスタッフを教育をしたり、人材を確保したりなどが一般的に行われています。

ただし、このプログラミング言語さえ押さえておけば案件はなくならないというものは確立されていません。企業として「このプログラミング言語ならあの企業に任そう」というようなブランディングができていればよいのですが、そういう企業はほんの一握りです。現地点で需要があるものを取り入れていかなければ企業経営そのものが立ち行かなくなります。多くの企業は幅広い案件に対応する方向に向かわざるを得ないのが、IT業界の現状です。

ちなみに、単一のプログラミング言語のみで完結するシステムとしては、デスクトップアプリケーションや組み込み機器の制御プログラムなどがあります。ただし、デスクトップアプリケーションもデータベースへのアクセスがある場合は必然的にSQLも必要となるでしょう。

また、組み込み機器のファームウェアをPCのアプリとLANケーブルやUSBケーブルで接続する場合には、PC側で必要なのはC#やVC++、VBなどが必要になります。単一のプログラミング言語で完結できる案件は存在しますが、現在では少数派です。だからこそ、プログラミング言語は複数で扱える方が望ましいといえるでしょう。

Web開発では構造的に必要

Web開発をする場合を例に挙げれば、少なくともJavaやPHP、Rubyなどのサーバサイドで使用するプログラミング言語以外に、JavascriptやHTMLが必須です

CSSをプログラミング言語というと語弊がありますが、HTMLを書くかぎりはそれも必要になります。また、サーバサイドでデータベースを使用するのであればSQLも必要になります。このように、ひとつのプロジェクトで複数のプログラミング言語が必要なケースは珍しくありません。

プログラミング言語と語学バイリンガルはまったく別物

プログラミング言語の複数習得を、語学バイリンガルと同じように考える人たちは挫折しやすい傾向があるといわれています。しかし、プログラミング言語の違いは母国語の違いほどの根本的なものではなく、もっと低いレベルのものです。ここからはプログラミング言語の違いの本質と、学習の仕方について触れておきます。

プログラミング言語の違いは異言語ならぬ方言

プログラミング言語の違いというものは異言語なのではなく、方言のようなものです。つまり、日本語と英語のような根本的な違いではなく、関西弁と関東弁の違いのようなものです。

たとえば関西弁の人が関東弁の人と会話をして、意思疎通が不可能ということなどありません。たしかに方言が混ざるので部分的に表現や選ぶ言葉、言い回しが違い、わからない部分もあるでしょう。しかし基本部分は通じるので、その方言部分の意味を知ればいとも簡単に解決します。北海道の人と九州の人では方言が違いすぎて、理解できないことが多いとしても、ロシア人やインド人と話をする程通じないわけではないですよね。

分からない言葉は、すぐにその場で学びましょう。そうすれば同じ日本人ならほどなくコミュニケーションが取れるようになります。

根本は共通!ひとつ習得するとハードルが下がる

プログラミング言語によって、向いている使い方とそうでないものがあります。しかしいずれも同様にコンピューターにて実行するものなので、できることとできないことには大きな違いはありません。

また、プログラミング言語はそれぞれ「関数型」「手続き型」「オブジェクト指向」などのくくりに属します。しかし、使用するライブラリや細かな構文は違っても、根本の考え方は共通しています。そのため、ひとつを実践的にマスターすれば、他のプログラミング言語の習得は圧倒的にハードルが下がるでしょう。

複数プログラミング言語のマスターに挑む場合に、いきなりあれもこれもと学習するよりも、何かひとつのプログラミング言語にフォーカスして習得するのが賢明です。

学ぶべきはプログラムの完成の仕方

学習すべきものはプログラミング言語そのものではなく、プログラムの「完成の仕方」といえるでしょう。

プログラミング言語をいくら習得しようとしても、その言語によってどのようなプロセスでプログラムが完成するのかを知らなければ、さっぱり頭に入ってこず、プログラムとは何なのかすらずっと分からないままです。そのために最善の方法は、プログラム作成の実践を重視することです。

最善の学習方法は手を動かして何かを作ること

プログラミング学習につまづいている人たちは、学習の仕方を変える必要があります。学問のように学ぼうとするよりも、手を動かして何かを作ることを優先するのが近道です。

たとえば英語学習でも本来優先すべきは話せることですよね。文法を理解していなくても、話せれば異文化とのコミュニケーションという目的は果たせます。そして話せれば文法は後から理解することが可能です。それとまったく同じで、プログラミング言語を机上でいくら学んでもプログラミングを理解できません。しかし、とにかくいずれかのプログラミング言語で何かのプログラムを完成させるプロセスを体験すれば、そこで初めて理解できます。

バイリンガルエンジニアのススメ!

エンジニアとして働くなら、バイリンガルエンジニア=プログラミング言語のバイリンガルになることがおすすめです。それには主に以下のようなメリットがあるからです。

  • それぞれのプログラミング言語の特徴がより理解できる
  • 特定のプログラミング言語に依存しない汎用的ロジックを考えられる

そしてそのメリットによってエンジニアとしての人材価値が上がり、転職する場合にも有利になるのは間違いありません。詳しく見ていきましょう。

それぞれのプログラミング言語の特徴がより理解できる

RubyとPHPという代表的なバイリンガルでなくとも、JavaでもC#でもPythonでもPerlでも何でもよいのですが、とにかく2つ使えればいろいろと比較ができます。それぞれのプログラミング言語を使って実際に開発した体験を比べることにより、それぞれの言語の特徴が実感としてわかってきます。これは、机上の学習において絶対に不可能なことです。かりにどちらかのプログラミング言語で慣れた実装の仕方を、別の方の言語で試みてスムーズに行かないことがあれば、言語の強みや弱みなどの特徴がよく理解できます。

また、一歩進んで別の方のプログラミング言語で実装するときの最適解を想定できるようになり、エンジニアとしてのスキルアップにつながります。

特定のプログラミング言語に依存しない汎用的なロジックを考えられる

複数のプログラミング言語での実装ができるようになると、やがて特定のプログラミング言語に依存せずに進めることができる「汎用的なロジック」を考えられるようになります。そうなればどのようなプログラミング言語でも、問題なく実装できるようなロジックを考えられるようになり、その方がバグも発生しにくく品質向上につながるでしょう。

このように、プログラミング言語のバイリンガルになっておくとさまざまなメリットがあります。バイリンガルにとどまらずにトリリンガル、マルチリンガルとなるに越したことはありませんが、まずはバイリンガルからスタートしましょう。

中級〜上級エンジニアになるとプログラミング言語の数はさらに増やすべきか?

エンジニアとしてのレベルが上がるほど、使えるプログラミング言語数を増やすべきなのでしょうか。実はそのような傾向は、特にありません。

IT業界のエンジニアは、そもそもスタート時点でプログラミング言語が必要なので、プログラミング言語に精通することがスキルと解釈される節があります。しかし実際には、プログラミング言語の習熟レベルがエンジニアのスキルを測る物差しとなるのは、初級レベルの2 〜3年程度と考えてよいでしょう。

中級以上のエンジニアになるとインプリメントスキル(実行能力)よりもデザインスキルが重視され、扱えるプログラミング言語の数はあまり問題にならなくなります。しかし、そこに至るまではバイリンガルエンジニアだからこそ得られるメリットを享受してスキルを磨いておきましょう。

まとめ

プログラミング初学者のみなさんに向けて、言語の違いが意味するものやバイリンガルエンジニアになるメリットについて解説しました。プログラミング言語は机上で学ぶのではなく、実践で学ばなければ身につきません。そして複数のプログラミング言語を身につけることは、エンジニアとしてのスキルアップにつながります。

プログラミング初学者のみなさんは、ぜひ実践を通して何か2つのプログラミング言語を身につけて、スキルフルなエンジニアを目指しましょう。

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