オフショア開発のプロジェクトマネージャーになるなら必須の条件とは

海外エンジニアとチームを組むオフショア開発でプロジェクトを成功に導く最大のキーマンといえば、プロジェクトマネージャーです。オフショア開発を円滑に進めていく上で、プロジェクトマネージャーには何が求められるのでしょうか。

今回の記事ではオフショア開発のプロジェクトマネージャーの役割や、なるための有利な経験やスキル、注意点などを詳しく解説します。

オフショア開発とプロジェクトマネージャー

まずはオフショア開発ならびにプロジェクトマネージャーについて、基本知識を確認しましょう。

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オフショア開発とは

オフショア開発とは、ITシステムやアプリケーションの開発において、そのプロセスの一部もしくは全部を海外のエンジニアあるいはIT企業に依頼する開発方式です。

依頼される業務は下流工程の場合が多いですが、信頼とコミュニケーションレベルが向上すれば、上流工程も含めて依頼することがあります。長期化するIT人材不足のなかで、開発プロジェクトを展開するために使われ始めた手法です。国内のエンジニアに依頼するよりも人件費は抑えることができ、規模が大きいほどそのコストメリットも大きくなります。

プロジェクトマネージャーとは

プロジェクトマネージャーは開発方式のいかんにかかわらず、包括的にプロジェクトをマネジメントする責任者です。シンプルにいえば予算を超えずに納期に間に合うように品質が担保された成果物を完成させる責任者です。

プロジェクトの上流工程から関わり、クライアントのヒアリングによってシステムのコンセプトを作って設計をします。進捗や品質、スタッフなどプロジェクト全体をマネジメントするので、担当領域は多岐にわたります。

オフショア開発時と通常の開発時との違い

通常の国内での開発案件とオフショア開発案件では、プロジェクトマネージャーも勝手が違います。海外のエンジニアをマネジメントするので、距離や時差や言語のコミュニケーションが国内エンジニアをマネジメントするのと比べて難易度が高くなります。

ただし国内でもリモートワークが普及しているので、遠隔地のスタッフをマネジメントすること自体はツールの発達も手伝ってもはや一般的になっています。大きなネックとなるのは言葉や文化の壁と時差です。

オフショア開発のプロジェクトマネージャーの3つのパターン

オフショア開発の場合、プロジェクトマネージャーの形態は以下の3つのパターンに分かれます。

  • 国内からブリッジSEと連携しながらマネジメントする
  • 国内からブリッジSEを兼任してマネジメントする
  • 海外の現場をマネジメントする

ブリッジSEとは国内側と海外側の架け橋となるエンジニアで、単なる通訳ではなく技術的な指示も伝えるのでITスキルは欠かせません。プロジェクトマネージャー自身に英語スキルがあれば、ブリッジSEを兼ねて自らすべてをマネジメントできます。

または日本から現地に赴いてプロジェクトの期間中滞在し、マネジメントするケースもあります。場合によっては、国内側とコミュニケーションがとれる現地の人材を任命するケースもあるでしょう。

オフショア開発のプロジェクトマネージャーに有利な経験

オフショア開発のプロジェクトマネージャーにアサインされるために有利になる経験は、主に以下の4つです。

  • SEやプログラマーの実務経験
  • プロジェクトマネジメントの実務経験
  • 外国籍エンジニアとの協業経験
  • リモートによるマネジメント経験

個別に見ていきましょう。

SEやプログラマーの実務経験

まず、基本的にプロジェクトマネージャーという仕事は、SEやプログラマーの実務経験があるほうがアサインされるのに有利です。

オフショア開発であれば、前提として言葉や文化の違いというコミュニケーション上のマイナス要素があります。そういう背景でも、要件定義書や仕様書の内容を正確に、依頼先のエンジニアに伝え、適切に作業を進めるようマネジメントしなければなりません。内容をよく咀嚼したうえで、微細なニュアンスも織り込んで先方のエンジニアに伝えてこそ、望ましい成果物に至らせることが可能です。

そのため、開発の実務経験を持っている人材のほうが、プロジェクトを順当に進めていけるであろうと判断されます。

プロジェクトマネジメントの実務経験

次に、規模はともかくとしても、過去において何らかのプロジェクトをマネジメントした実務経験を持っているほうが、オフショア開発のプロジェクトマネージャーにアサインされやすいでしょう。

オフショア開発では国内開発案件以上に、品質や納期を担保しセキュリティを守ることが難しい状況になるため、国内案件である程度の経験を積んでいることがアサインに際して重要視されます。初めてのオフショア開発でも成果をしっかり上げられるように、国内でのプロジェクトをマネジメントして、実績を残しておきましょう。

外国籍エンジニアとの協働経験

続いて、過去に国内案件で外国籍エンジニアとの協働経験があれば、よりスムーズにオフショア開発を進めていけると想定できます。外国籍のエンジニアとのコミュニケーションの取り方は、国内のエンジニアとは少々異なる面もありますが、それは実際に彼らと触れ合って仕事をした人でないとわかりません。

外国籍エンジニアと協働した経験を持つ人であれば、彼らの良好なパフォーマンスを引き出せる関係性を持つことが期待できます。そのため、オフショア開発のプロジェクトマネージャーのアサインには有利に働くでしょう。

リモートによるマネジメント経験

最後に、リモートでのマネジメントの経験があるほうが、オフショア開発のプロジェクトマネージャーにおいてもアサインされやすいでしょう。実際に相対して話ができなかったり、勤務している様子を見られなかったりするのは、プロジェクトマネジメントを難しくする要素です。
しかし、リモートワークの中でマネジメントした経験があると、オフショア開発で相手が海外であっても上手にマネジメントすることが期待されるので、アサインされるのに有利となるでしょう。

以上の4種類の経験はそれぞれ、難易度が高いとされるオフショア開発のプロジェクトマネジメントを進めるにあたって役立つ要素です。それらの経験があれば、しっかりアピールしましょう。それによって、オフショア開発のプロジェクトマネージャーにアサインされる可能性が高まります。

オフショア開発のプロジェクトマネージャーに有利なスキルと磨く方法

オフショア開発のプロジェクトマネージャーにアサインされるために有利になるスキルは、主に以下のとおりです。

  • エンジニアスキル
  • プロジェクトマネジメントスキル
  • 英語スキル

それぞれの内容と磨く方法を解説していきましょう。

エンジニアスキルと磨く方法

オフショア開発のプロジェクトマネージャーには、プログラミング言語の知識やコーディングスキル、設計スキル、ドキュメント作成スキルなど、SEやプログラマーと同様の開発に関するエンジニアスキルが求められます。なぜなら、エンジニアスキルの裏付けがあるからこそ、彼らとの技術上のやりとりも適切に行えるからです。

基本的に手を動かすのは海外のエンジニアであっても、進捗状況によってはマネージャーが巻き取って作業すべき局面もあります。また、開発工程上のトラブルの原因究明や対応も、エンジニアのスキルがなければできません。なによりも海外のエンジニアから信頼を得て、協業で包括的にプロジェクトを進めるためにも技術的知見のバックグラウンドを持っていることは必須条件となります。実際に多くのSE出身者が、オフショア開発でプロジェクトマネージャーを勤めているのがその表れと言えるでしょう。エンジニアスキルを磨く方法としては、以下のような方法があります。

  • 公式ドキュメントの定期的チェック
  • オンラインカンファレンスに参加
  • SNSで最新情報発信をキャッチ
  • 学習サイト&学習動画
  • エンジニア向け勉強会に積極参加
  • 環境構築で手を動かす

これらの各方法の詳細は、こちらの記事で詳しく説明しています。

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また、最近人気が高いWeb系開発企業におけるオフショア開発のプロジェクトマネージャーを特に志向している場合は、基礎分野別の安価で良質な教材を使用して、以下の順序で学ぶのが効果的です。

  • コンピュータサイエンスの基礎
  • Linuxの基礎
  • HTML/CSSの基礎
  • JavaScriptの基礎
  • Rubyの基礎
  • RDBとSQLの基礎
  • Git/GitHubの基礎
  • Ruby on Railsの基礎

これらの詳細と具体的な教材は、以下の記事で詳しく紹介しています。

https://talisman-corporation.com/media/2021/12/21/en_how_to_be/

プロジェクトマネジメントスキルと磨く方法

オフショア開発においてプロジェクトマネジメントを行う際に、向き合わなければならない対象として重要なものは以下の6つです。

  • スケジュール(納期・進捗過程)
  • コスト(開発のための予算)
  • クオリティ(成果物の品質)
  • スタッフ(従事する人員のモチベーションや健康、安全)
  • ステークホルダー(社内外の利害関係者との関係性)
  • リスク(マイナス要因の低減とプラス要因の創出)

それらの対象を、上手にマネジメントするために必要なスキルの項目は以下のとおりです。

マネジメントスキル:さまざまな対象を管理して上手にやりくりするスキル
ファシリテーションスキル:会議や打ち合わせを有意義に運ばせる舵取り役のスキル
ネゴシエーションスキル:お互いにメリットがある交渉をするスキル
プレゼンテーションスキル:意向や提案を正確に伝えるスキル
コンサルティングスキル:課題の本質に迫り、解決策を提示するスキル
コミュニケーションスキル:物事を円滑に運ぶ対人対応のスキル

5つめまではビジネススキルですが、それらが発揮されるための基礎体力として欠かせないのが6つめのコミュニケーションスキルです。特にオフショア開発のプロジェクトマネージャーには、コミュニケーションスキルは生命線となります。プロジェクトを進める上では、依頼先の海外エンジニアたちとの良好なコミュニケーションをなくしては果たせません。コミュニケーションの目的を具体的な項目で示すとすれば、海外開発チームの信頼の獲得、進捗状況や途中の成果物の確認、トラブルの察知や対応などがあります。

ほかにもクライアントから途中で出てくる要望なども正確に、開発チームに伝達することも重要です。これらは充分なコミュニケーションスキルがあってこそ、スムーズにいきます。また、外国人とのコミュニケーションを良好にするには、ダイレクトな表現を心がけることや、表情およびボディランゲージなどのノンバーバルコミュニケーションがキーポイントです。これらのプロジェクトマネジメントスキルの磨き方については、以下の記事で詳しく取り上げています。

プロジェクトマネージャーは任されたプロジェクトを成功させるために、さまざまな対象と向き合ってマネジメントを行わなければなりません。プロジェクトマネージャーはプロジェクトの各段階で、さまざまなスキルを要求されます。そんなプロジェクトの成果を大きく左右するのが、プロジェクトマネージャーのスキルレベルです。とはいえ、プロジェクトマネージャーの仕事内容はどういうものか、そしてどのようなスキルが必要なのかがわからない方も多いのではないでしょうか。この記事ではプロジェクトマネージャーの仕事内容や磨くべき...
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なお、外国人とのコミュニケーションを良好に保つためのヒントは、以下の記事で説明しているので参考にしてください。

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英語スキルと磨く方法

英語スキルがあると、ブリッジSEや通訳者、翻訳ツールなどに頼らず、直接やりとりができるので、オフショア開発でのプロジェクトマネージャーを務めるには大きな武器となるでしょう。

英語スキルが高ければ、リアルタイムでビデオチャットやテキストチャットもできて、一層深いコミュニケーションレベルに到達できます。英語スキルを磨くには、もちろん英会話スクールなどを活用する方法もあります。しかしながらIT人材は忙しくもあり、また合理的な考え方ができる人が多いので、日常生活の中で適切な方法の独学によって向上させることがおすすめです。多忙な人向けの独学による英語学習法は、以下の記事で詳しく紹介しています。

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オフショア開発のプロジェクトマネージャーを務める際の注意点

オフショア開発のプロジェクトマネージャーにアサインされて実際に務める際には、以下のような点に気をつけなければなりません。

  • 異文化を理解する
  • 時差に配慮する
  • 緊密に連携をとる

それぞれを見ていきましょう。

異文化を理解する

海外のエンジニアたちは育った環境が大きく違います。そのため、異文化を深く理解することが必要です。文化の違い自体は、仕事に直接の関連性がないように思われるかもしれませんが、習慣や考え方、価値観に反映されます。

オフショア開発のプロジェクトは異文化理解の上に立ってマネジメントを行わなければ、予期せぬ誤解が生じるリスクがあり、重大な問題につながりかねません。例を挙げると以下のような問題です。

  • 納期に関しての認識違いに起因する納期遅れ
  • システムの仕様や作業手順の連絡や相談なき変更
  • 商習慣の違いによるさまざまな行き違い

これらが複数で起こると、プロジェクトとしての成立が危ぶまれるので、異文化の理解は重要項目と心得ましょう。

時差に配慮する

オンラインコミュニケーションツールの発達で、インターネットを通したリアルタイムの対面でのやりとりや情報の共有が容易になり、距離の問題は解消されつつあります。しかしオフショア開発の相手国となることが多いアジアや中東の地域は、アメリカやヨーロッパほどではないにせよ日本との時差が存在します。

仕事上のやり取りをする上で、お互いの時差をよく認識し、相手にとって早朝や深夜にあたる時間や、日付の違いで休日に当たる日のミーティングなどは避けましょう。そういった配慮をして進めることが、円滑にプロジェクトを遂行する上で欠かせません。

緊密に連携をとる

同じ職場でプロジェクトを進めるのとは違って、日本人同士であってもリモートによるプロジェクト推進は難易度が上がります。いくらスタッフを信頼しているからといって、連絡の頻度が低くなると行き違いや認識違いで弊害が出やすくなるでしょう。

オフショア開発ならなおさらで、可能なかぎり緊密な連携を取り続ける必要があります。そうでなければ、重大な行き違いや認識違いを孕んだままプロジェクトが進んでいき、最後で発覚するなどの事態に至らないともかぎりません。

これら3つの点を注意することで、オフショア開発の依頼先と良好な関係を保ちつつプロジェクトを推進できます。

まとめ

プロジェクトマネージャーは普通でさえ、担当領域が多い重要な仕事です。ましてやオフショア開発になると、海外にいる外国籍のスタッフを取りまとめての案件推進なので、大変な仕事である一方、やりがいも大きいでしょう。

オフショア開発のプロジェクトマネージャーに興味があるみなさんは、ここで紹介した有利な経験やスキルを確認し、あるいは視野に入れてキャリアプランを検討してみてください。

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