外資系は「すぐクビになる」はウソ!企業で生き残るための方法とは

外資系企業は「すぐクビになる」という話を聞いたことがある人もいますよね。

そんな話を聞くと「外資系企業への転職は止めた方が良いだろうか」「クビにならない方法はないのか」などと考えるかもしれません。しかし、外資系企業だからといってすぐにクビになるというわけではありません。クビになりやすい人もいれば、なりにくい人もいます。

この記事では、外資系企業の雇用に対する考え方や日本の法律の観点から、「外資系企業のクビ事情」について解説します。

「外資系企業はすぐにクビになる」はウソだった!その実態を解説

まずは、外資系企業のクビの実態について解説します。

外資系企業と日系企業では 「クビ」の考え方が異なる

外資系企業と日系企業では、「クビ」に対するそもそもの考え方が異なります。アメリカなどの外資系企業では、雇用契約を結ぶときに「Employment at will」という言葉が使われます。この言葉には、「随時雇用・随時解雇」と言う意味があり、従業員が職務を十分に遂行できない場合、いつでも雇用を終了させられることを指します。

一方で、日系企業では、終身雇用の考えが根強く残っているため、よほどのことがない限り会社から「クビ」を宣告されることはないでしょう。このような外資系企業と日系企業の雇用に関する違いを考えた際に、「外資系企業では、いつでも雇用を終了させることができる=すぐにクビになる」と考えてしまう人も多いかもしれません。雇用契約の内容だけを考えるなら、外資系企業の方が日系企業よりもクビになる可能性が高い、という判断になるでしょう。

外資系企業にも日本の労働基準法が適用される

随時雇用・随時解雇の雇用契約を提示している外資系企業であっても、従業員をすぐにクビにすることはできません。

日本で活動する外資系企業には、日本の労働基準法が適用されます。労働基準法20条には、従業員を解雇する場合、少なくとも30日前に予告をすることが命じられています。予告せずに解雇する場合は、従業員に対して30日分の賃金を支払う必要があります。この労働基準法は、日本に存在する外資系企業にも適用されます。そのため、「外資系企業だから」という理由で、従業員への予告なしに一方的に解雇はできません。

外資系企業ではクビになる前に転職する人が多い

「外資系企業では、従業員の在籍年数が短い」という話を聞いたことがあるかもしれません。「在籍年数が短い=すぐにクビになる」と考えてしまいがちですが、実際は違います。

外資系企業では、日系企業よりも転職率が高い傾向があります。日系企業では転職に対するマイナスイメージがあるため、ジョブホッパーは採用されにくかったり、入社しても昇進が遅いなどのデメリットがあります。しかし、外資系企業では転職に対するマイナスのイメージは低く、キャリアアップのため、または年収アップのために転職するのが普通です。会社の風土や業務スタイルが合わない場合、クビになる前に転職先を見つけてステップアップを目指す従業員が多いと言えるでしょう。

「クビ」と「退職勧告」は違う

クビと混同してしまいがちなのが、退職勧告です。退職勧告とは、「退職金を割り増しで支給するので会社を辞めてもらえませんか?」と会社から退職を打診するものです。退職勧告を受けて辞める場合はクビではなく、自主退職という形になります。

外資系企業には以下2種類の退職金があります。

  • 通常の退職金:企業に退職金規定などの制度がある場合に支給される
  • 特別退職金:企業の勧告に応じて退職する場合に上乗せされる退職金

厚生労働省の「退職給付(一時金・年金)の支給実態」によると、通常の退職金の支給は役職や勤務年数によって異なり、数百万円~1000万円を超える場合もあります。外資系企業に限定した退職金のデータは一般的に公開されていません。外資系企業においても、企業でのポジションや業績、個人を退職させる企業側に「どのような都合と理由」があったかなどによって退職金の額は異なります。

外資系企業の中には、業績が振るわない人材を退職金を払ってでも退職させ、有用な人材を新しく採用したほうがメリットが大きいと考えることがあります。そのため、ノルマを達成できていない人に企業が退職勧告を行うことがありますが、この場合は「クビ」ではなく、「自分の意志で辞める」という形になります。

こんな時は要注意!外資系企業でクビになりやすいタイミング

外資系企業では、クビになりやすいタイミングがあります。以下で解説しましょう。

成績が悪い期間が続いている

外資系企業は日系企業よりも成果を重視し、所属する部門または個人の成績によって、昇進、昇格、昇給が決まります。基本的に年に数回、実績や成果が見直されるので、「勤務年数が長く、以前は良い成績を残していたから大丈夫」という考えは通用しません。企業が期待する働きができていないと、在籍年数が長い人でも解雇される可能性があります。

外資系企業では、従業員に対してPIPシステムを使用することがあります。PIPとは、Performance Improvement Programの略で、日本語では「業績改善プログラム」と呼ばれています。PIPには、企業が従業員に対して一定のノルマを与えて、期間内でノルマを達成できなかった場合、減給や降格、場合によっては解雇の可能性があることを認めさせる目的があります。そのため、通常よりも高いノルマが設定されていたり、達成するための期間が短く設定されていることもあります。このようなPIPを会社から提示された場合は解雇またはクビになる確率が高まっていると考えて良いでしょう。

企業の成績悪化による人員削減

外資系企業の場合、海外本社の成績は良好でも日本での成績が悪いため、事業を縮小するまたは日本から撤退するということが起こり得ます。その場合、基本的に日本の企業で働いている従業員が海外本社に異動になることはありません。

人員削減のためのリストラの対象になれば、退職に追い込まれます。ただしリストラの場合、企業が一方的に解雇を言い渡すクビとは違い、自主退職の応募を募ったり、退職金アップなどの条件を付けて退職依頼をすることがあります。リストラの対象になって退職に追い込まれるのを避けるためには、常に自分が働いている企業の経営状態を把握しておく必要があります。

部門の廃止

企業内の特定の部門の成績が芳しくない場合、部門自体を廃止して、経営の立て直しを図ることがあります。日系企業の場合、メンバーシップ型雇用が一般的のため、自分が所属する部門が廃止になっても他の部門に異動することがあります。

しかし、外資系企業ではジョブ型雇用が一般的で、個々の業務内容が明確に規定されています。そのため、自身の持つスキルと知識を活かせる部門がなくなれば解雇される確率が高くなります。

M&Aによる解雇

外資系企業は日系企業よりも意思決定が早く、短期間で事が大きく変化する特徴があります。企業の合併や売却についても同じで、ほんの数カ月の間に事態が変化して、1~2カ月後には自分が勤めている会社が他社に吸収されるということも起こり得ます。吸収される先に同じポジションまたはスキルを持つ人材がいた場合、買収される側の従業員が解雇になるのが一般的です。

外資系企業でクビになりやすい人の特徴

外資系企業でクビになりやすい人には特徴があります。どのようなタイプの人が要注意なのか詳しく解説しましょう。

自主性に乏しい人

「将来性のある人」「会社のために働いてくれる人」と、会社から判断してもらうためのポイントの一つが「自主性」です。つまり、「会社や上司から言われたことをミスなくこなしていれば問題ない」「言われたことだけをやっておこう」という考えは、外資系企業では通用しません。自分から積極的にコミュニケーションを取って、自分にできる仕事の幅を広げていくスタンスが必要です。

また、自分から積極的にアイデアや意見を出すのも大切です。日系企業では、控えめが美徳とされることがありますが、外資系企業に入ると「○○さんは何も意見を言わない。やる気があるのだろうか」とマイナスイメージを持たれる可能性があります。個人のタスク、ミーティングなどでの立ち振る舞い、他の従業員とのコミュニケーションなど、すべてにおいて自主的に行動できない人は企業内で居場所がなくなり、クビに追い込まれる可能性があります。

上司との関係が悪い人

外資系企業では、上司と部下がフランクに意見を交換できる、というイメージがあるかもしれません。確かに、外資系企業では上司と部下がファーストネームで呼び合ったり、部下の方から積極的に意見を述べる関係性が多い傾向があります。しかし、上司と部下の上下関係がないわけではありません。上司に対して不遜な態度を取ったり、敬意のない発言を繰り返すと上司との関係が悪化するのは言うまでもありません。

会社の上層部が従業員の評価を検討する場合、ほとんどの場合、その従業員の上司に意見を求めます。上司から良い評判を得ていない人の場合、「人員を削減しないといけない」という話になったとき、真っ先に名前が挙がり、クビの対象になる可能性が高くなります。

年収に見合った働きをしていない人

どれだけ高い給料を貰っていても、それに見合うだけの働きをしている人材であれば、クビにする必要はありません。また、仕事のノルマを達成できていなくても、その社員の年収が低い場合、企業にとってさほど大きな負担とはならないでしょう。

しかし、高い年収を貰っていながら、それに見合うだけの働きをしていない人材は企業にとって大きな負担になります。年功序列の日系企業では、年収と実績が比例していないという状況が起こり得ますが、外資系企業では異なります。高い年収を貰っているのに、企業への貢献度が低い人はクビになるリスクが高いと言えます。

今日から実践―外資系企業でクビにならないためのポイント

外資系企業にクビにならないためには、どうすれば良いのでしょうか。有効な方法を具体的に取り上げます。

コミュニケーションスキルを磨く

コミュニケーションスキルはどの職場でも重要です。同僚、上司、経営陣に自分の思考や意思を伝えることはとても重要です。さらに、相手の言っていることをよく聞き理解することも欠かせません。

時には、上司や経営陣の方法に納得できないこともあるでしょう。しかし、譲れるところは譲り、相手の立場や尊厳を重んじて意思疎通を図ることは、会社の中でポジションを獲得するポイントの一つです。また、最近では、チャットやメールでコミュニケーションを取るスタイルも増えてきました。チャットで会話をするときは、言葉の選び方に注意する必要があります。お互いの顔が見えないので、ちょっとした表現の仕方が相手の感情を損ねてしまう可能性があります。オンラインでのコミュニケーションスキルを向上させるには、感謝や同意を文字でしっかりと伝えること、素早いレスポンスなどが有効です。

自分から積極的に仕事に取り組む

外資系企業では、ひとり一人がプロフェッショナルとして扱われます。クビにならないためには、意欲的に仕事を覚えて、スキルを伸ばしていく必要がありま
仕事をしていて分からないことがあれば、同僚や上司に尋ねましょう。十分に理解していないまま、仕事を進めていると重要な仕事を任されたときに大きな失敗をすることにつながります。「黙っていても誰かが助けてくれる」と考えるのではなく、自分から積極的に仕事に取り組むことが重要です。

また、新しいプロジェクトのための人員を募集している場合には、自分から立候補してみると良いでしょう。実際にプロジェクトに採用されなくても「○○はやる気のあるスタッフだ!」と見てもらえるかもしれません。

このように積極的に仕事に取り組む人材や、やる気のあるスタッフはクビの候補に挙がりにくくなります。

変化を拒まず 会社の流れに順応する

外資系企業では、会社の方針が短期間で変わることがあります。例えば、新しい監理システムを導入する、これまでに手を付けていない分野に新規参入することもあります。それらに伴い、従業員には部門の移動や新しいスキルの習得が求められるでしょう。

変化を好まない人の場合、過去の自分の仕事内容に固執してしまい、会社の流れについていけなくなる可能性があります。結果として、モチベーションや作業効率が低下して、クビになってしまうということも起こり得ます。予想していない変化が起きたとしても、置かれている状況下で最善を尽くせる人はクビになりにくいでしょう。

スキルアップを怠らない

外資系企業では、実力が重視され、成果が求められます。そのため個人レベルでのスキルアップは非常に重要です。今持っているスキルで満足してしまう人は、数年後にはライバルに差をつけられ、社内でのポジション争いに負けてしまうでしょう。

外資系企業では、キャリアシップは自分で持つのが基本です。将来、どのようなポジションに就きたいのか、どうなりたいのかを明確にイメージしてそのために必要なスキルアップを図ることが大切です。コツコツとスキルを磨き、確実に成長を続ける従業員を会社がクビにする確率は低いと考えて良いでしょう。

まとめ

今回は外資系企業の「クビ事情」について解説しました。外資系企業にも日本の労働基準法が適用されます。そのため、クビを言い渡されてその日に解雇ということはありません。外資系企業でクビにならないためには、コミュニケーションスキルを向上させることや、積極的に仕事に取り組むこと、日々スキルアップを図ることなどが重要です。

今回ご紹介した、クビにならないための方法を実践して、外資系企業でのキャリアアップを目指しましょう。

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