現在管理職の方が転職を検討する場合、やはり現職と同等あるいはそれを超える役職を志望したいですよね。そうでなければ仕事の奥行きや報酬において、納得できる転職とはいえなくなるでしょう。
とはいえ、管理職志望の転職は一般職と比べて難しいといわれています。転職成功のためには、面接傾向なども押さえた上で戦略的に準備をして臨むことをおすすめします。今回の記事では管理職志望の転職活動に取り組むみなさんに向けて、転職に成功するための秘訣を紹介しましょう。
目次
時代が求める管理職とは
管理職志望の転職について考えるために、まずは今の時代の管理職とはどういうものかについて、あらためて理解を深めておきましょう。第一に、しばしば混同される法律上の「管理監督者」と現代の管理職との違いに触れてから、第二に管理職に今求められる管理に加えてのマネジメントについて見ていきます。
法的な管理監督者と実際の管理職の違い
まず、一般的に管理職とは企業などの組織における特定のセクション(規模は大小さまざま)の責任者を指します。ある程度の裁量権を与えられて部下を取りまとめ、セクションを指揮する役職で、課長や部長が代表的です。
一方、法的な管理職は労働基準法においての「監督若しくは管理の地位にある者」を指し、「管理監督者」とも呼ばれます。管理監督者は、以下の4つの要件をすべて満たす立場の人物です。
- 経営者と一体になって経営に関与する
- 企業の特定の部門を統率する
- 自らの業務時間や業務量に裁量権がある
- 一般職に比べて給与面で十分に優遇されている
企業の管理職の多くは、これらをいくつかは満たすことはあっても必ずしもすべては満たしません。実際にすべて満たせるのは、一部の部長職を除けば経営幹部である取締役クラスといえるでしょう。そのため、法的な管理職と企業の現場の管理職は、部分的には一致しても完全一致とはいえません。
現代の管理職には「管理+マネジメント」が必要
次に、管理職はその言葉が持つイメージから、担当の部署および部署のメンバー(部下)の管理をするのが役割と認識している方も多いです。その認識は間違いではありませんが、現代の管理職にはもうひとつ重要な資質が求められます。それは「マネジメント」です。
かつて日本の産業界が経験した「右肩上がりの時代」の管理職は、管理に徹底すれば良かったのは事実です。従業員が決められた仕事を決められた手順で確実にこなせば、業績が上がる時代だったといえます。しかし現在ではすでにそういう時代は完全に終わり、企業が同じことを同じようにしていては、業績が上がるどころか確実に下がっていく時代となりました。
英語の「management」には「管理」の意味もありますが、むしろ「経営」や「運営」の意味が強いです。そのことは動詞の「manage」が「何とかやりくりする」「何とか成し遂げる」という意味がメインであることも示しています。補足すれば、「manage」する背景には「困難な中で」「大変な中で」などのニュアンスが含まれます。「管理」という静的な意味よりも、「完遂」「達成」などの動的な意味の方がマネジメントをより正しく表すでしょう。
要するに担当部署が有するリソースを上手に「やりくり」して最大限に活かし、目標に対して成果を上げるのがマネジメントです。管理職は管理に加えて、何とかやりくりして目標を達成する「マネジメント」の能力が求められるのです。
管理職が転職するメリットとデメリット
管理職が転職することにはメリットがあり、デメリットもあります。それぞれについて解説しましょう。
管理職が転職するメリット
転職市場では管理職を求めるハイクラス求人の、中途採用案件が増えてきています。そういう求人に応募し、採用されることで得られるメリットは多いです。
まず、報酬条件のレベルが高くなります。一般職への転職では、入社してから成果を積み上げることで高額報酬を目指しますが、管理職クラスの求人の多くでは最初からある程度の高額報酬が保証されることが多いです。また、部署のマネジメントを前提としながら、経営にも参画できる立場のケースもあり、仕事のやりがいが増す可能性があります。
ほかにも、管理職の転職はマンネリズムの打破が可能です。というのは、管理職はそもそも責任が大きい仕事なので通常は異動が少なく、知らず知らずのうちにマンネリズムに陥っている場合があります。しかし転職することで、気持ち新たに仕事に向き合う大きなモチベーションとなるでしょう。付け加えると、新規事業の開始に際してその分野に専門性を持つ人材を求めるハイクラス求人も多いです。そのため、新規事業の立ち上げという滅多に経験できない刺激的なプロジェクトの陣頭指揮やそれに近い役割で働けることもあります。
管理職が転職するデメリット
管理職として転職をした場合にあるかもしれない、デメリットについても触れておきましょう。転職先企業と求人内容を、表面だけでなく深く理解して転職しなければ、失敗することもあります。
せっかく管理職として転職したにもかかわらず、結果的にミスマッチで失敗に終わるケースがあります。理由は企業との相性や職場環境との相性、経営陣との相性が悪い場合もあれば、入社前に聞いていた仕事と実際に任される仕事が異なる場合などもあるでしょう。企業のビジョンへの共鳴ややりがいを感じる部分がないまま、給与や待遇ばかりに注目して転職すると、ミスマッチが起こりやすいです。
また、管理職として迎えられるからには、当初から成果を上げることを期待されます。そこから力み過ぎて空回りし、部下をまとめられず良いパフォーマンスが発揮できないケースもあります。そうならないよう、プレッシャーを感じても功を焦らず、部下との信頼関係の構築を最優先しましょう。できるだけ「傲慢」にならず「謙虚」で、「卑屈」にならず「毅然」として、誠実に部下と接することが信頼の獲得につながります。
管理職が転職を決意する理由
管理職は一般職よりも大きな責任と、それに見合う報酬を得ているはずです。そのため、通常なら管理職はそう簡単には転職志向になりません。そんな管理職が転職を決意するに至る理由は、主に以下のとおりです。
- 職場環境が変化したから
- ライフステージが変化したから
- 報酬に不満があるから
- 状況的に昇格が難しいから
- 企業の成長が望めないから
- 挑戦したい仕事があるから
ひとつずつ見ていきましょう。
【職場環境が変化したから】
ひとつの企業に長い間勤めている間に、職場環境が大幅に変わってそれまでに比べて働きにくくなることがあります。例えば以前は少数精鋭でチームを作って自由度があったのに、個々のチームの規模が大きくなり、自由度が低い環境になってしまうなどです。そうなると現職の仕事への魅力も減退していき、転職を決意することがあります。
また、やりたくない分野の管理職を任されてしまうケースも、モチベーションが下がってしまい、転職決意のきっかけとなることがあるでしょう。
【ライフステージが変化したから】
人にはライフステージの変化が、それぞれのタイミングで訪れます。結婚や子供の誕生などのライフイベントによって生活パターンが一変し、その変化に対応するために転職を決意する方もいます。
管理職に多い40代であれば、高齢の親の介護問題や子供の自立などで状況が変わることが珍しくありません。新たな状況に対応するために、リモートワークやフレックスタイム制などの柔軟な働き方ができる企業への転職を決意するケースもあります。
【報酬に不満があるから】
報酬は評価の表れなので、納得のいかない評価には、誰しも不満を抱きますよね。管理職として企業のため、部署のために身を粉にして働き、成果を上げているにかかわらず、報酬に反映しない場合に転職を決意することがあります。管理職の方は部下の失敗の後始末や、責任感からストレスを感じて働くことも多いので、報酬に反映することが少ないと失望を感じてしまいがちです。
【状況的に昇格が難しいから】
自分の上位の役職が当面は固定されたままになりそうな場合は、それ以上の昇格が望みにくいので、転職を決意する引き金になることがあります。役職が上がらないだけでなく、取り組む業務がスキルや専門性を磨ける内容ではないこともあるでしょう。そんな場合は、無駄に年齢を重ねていくと条件の良い転職も望めなくなるので、見切りをつけて転職に向かう方もいます。
【企業の成長が望めないから】
一般的に成長している企業であれば、事業拡張や新規事業の立ち上げなどの前向きな動きがあり、管理職にもキャリアアップのチャンスがあるでしょう。しかし成長が見込めないとすれば、社外に活躍の舞台を求めます。管理職にとって転職を決意する重要なファクターとなります。
【挑戦したい仕事があるから】
管理職となって守りのスタンスに入る方と、攻めのスタンスを持続する方がいます。後者は管理職としての給与面や立場には満足していても、変化がない日々が続くと嫌気が指すことも考えられるでしょう。胸の中に挑戦したい仕事があれば、管理職としてそれができる場所を求めて転職を決意することがあります。
管理職の転職に関する世間からの2つの思い込み
管理職の転職に関して、世間からは「管理職の転職は難しいだろう」ということと「管理職が転職するのはお世話になった企業への裏切りではないか」という2つの典型的なイメージを持たれる場合があります。しかしそのイメージは、必ずしも的を射ているわけではありません。それぞれの、実際のところを確認していきましょう。
管理職の転職は難しいとされる理由
まずは、管理職の転職が難しいとされる理由をいくつか挙げ、実際はどうなのかを解説しましょう。
【理由A:課題を抱える組織を担当するため】
管理職としての求人案件は、当然ながら一般社員の求人案件と比べて求められる人材レベルは上がります。前任者が課題を残している場合もあり、新任者は責任者としてその課題を解決することを求められるでしょう。そのように管理職としての求人ポストは、決して簡単な仕事といえないのは事実です。そこから管理職の転職は難しいといわれます。
とはいえ、それまでのキャリアや培ったスキルがあってこそ求人に応募しているので、その土俵で戦う素養は持っている前提です。そのため、キャリアを通して実績をアピールできれば、むしろ転職においては有利となり、転職は必ずしも難しいものではありません。
【理由B:企業が求めるスキルとマッチする必要があるから】
人材不足の時代なので、一般職の求人は「ポテンシャル採用」の部分が多いです。しかし、役職がある求人は「即戦力採用」として企業が求めるスキルを持つ人材が対象です。スキルがマッチしないと採用されないので、管理職の転職は難しいといわれます。
しかし、これにも誤解があります。企業が管理職に求めるスキルは細分化された専門スキルというよりも、基本的にマネジメントスキルです。マネジメントスキルはどの領域にも共通する普遍的なスキルです。マネジメントスキルはポータブルスキル(持ち運びできるスキル)と呼ばれるとおり、汎用性があります。一方テクニカルスキルは特定の領域に特化したスキルなので、汎用性は低くなります。
専門職求人の場合はテクニカルスキルをマッチさせなければなりませんが、管理職が管理職に応募するのは、そもそも全般のスキルがマッチする前提です。その上で、マネジメントスキルのレベル感や入社意欲などによって選考されます。
【理由C:実力を客観的に伝えにくい】
管理職の実力は部署を盛り上げて、各スタッフの力を最大限に発揮させる力のことです。その結果各人の成果とその総計が部署の成果として上がるもので、管理職自体の実績としては上がりません。そのように、管理職の実力は可視化しにくいので実力を伝えにくいと思われがちです。
これはシンプルに捉え違いであり、そもそも部署の上げた実績こそが、良くも悪くもそのまま管理職の実績にほかなりません。少なくとも、選考担当者はそう解釈するでしょう。その上で、後の「管理職の転職面接|自己PRの必勝鉄則」で述べるように、そのアピールを補強するコツを使いましょう。
管理職の転職は「裏切り」ではない
管理職の転職を「裏切り」ではないかと言う人がたまにいますが、それは基本的には違います。それは、右肩上がりの時代のように「終身雇用」がデフォルトだった頃の考え方に過ぎません。その時代は従業員と企業は運命共同体で、従業員は企業に忠誠を誓い、企業は従業員の定年までの雇用を保証していました。
それが崩れ始めたのはバブル崩壊であり、リーマンショックがダメ押しして終身雇用の時代は終焉に向かいました。以前はデフォルトであった終身雇用を謳う企業は激減し、普通は定年までの保証はありません。企業は企業の都合で、いつなんどき部門の整理や人員の削減を実行する可能性があります。そのため、従業員は自分の生活を完全に企業に委ねるわけにはいきません。自分で守らなければならないのです。企業が企業の都合でリストラを行うように、従業員は従業員の都合で転職をすることは、決して裏切りではありません。
欧米では自分の身を自分で守り、自分の都合で転職を日常的に行うのが一般的な考え方です。日本も遅ればせながら、そうなってきたということに過ぎません。そういう背景を考えれば「転職は裏切り」という価値観は、いわば1980年代で止まっているようなものと言えるでしょう。
目指そう!転職に成功する管理職のタイプ
転職に成功する管理職には特定のタイプがあります。そのタイプの考え方を理解して行動を寄せていくことにより、転職成功の可能性が高まるでしょう。そんな転職に成功する管理職のタイプをわかりやすく3つに集約すると、以下のようになります。
- 経営者視点で考え現場視点で動く
- 好奇心が旺盛
- フットワークが軽い
それぞれを見ていきましょう。
経営者視点で考え現場視点で動く
これは、仕事に関する物事を思索する際には経営者の視点で思索して、そこから得た答えを実行に移す際には、あくまで現場の一員としての視点で行動するという意味です。いくら高邁な考え方をしていても、それを実行に移す際に現場感覚から乖離していれば何も価値を生めません。管理職として転職し、成功する方は、経営者の感覚で判断ができて、現場のことにも精通しています。
好奇心が旺盛
およそどんな仕事でも、ともすれば惰性の部分がはびこり、マンネリズムに陥る危険があります。しかし、好奇心が旺盛な管理職、具体的には新しい知識や情報を積極的に取り入れようとする管理職には、マンネリズムは無縁です。
業界の動向や社会情勢、経済環境など、いずれも刻々と変化しますよね。気にせずに流していても日常は進みますが、日々変化を読もうとする姿勢が管理職にあれば、部署のあらゆる取り組みが常に活性化されてパフォーマンスは向上します。
フットワークが軽い
管理職に就くのは、ミドルエイジからシニアにかけての中高年がメインになります。年齢を重ねるとどうしてもフットワークが重くなりがちで、指示は出しても自分から動くことが少なくなるでしょう。
しかし転職に成功している管理職は、自らもどんどん動いて部署内に良い刺激を与える方が多くいます。そうでなくとも、今どきの中高年は全般的に元気です。役職があるからといって、どっしり構えるのはまだ早いでしょう。軽いフットワークで管理職が仕事をこなす部署は、風通しが良くなって成果を挙げやすい環境になります。
管理職の転職をおすすめできない3つのケース
管理職として転職を望んでいる場合でも、中には時期的におすすめできないケースがあります。タイミングを見合わせるべき、以下の3つのケースを解説します。
- 在職期間が浅い場合
- 在籍期間が短い場合
- 職場に不利益なタイミングの場合
個別に見ていきましょう。
在職期間が浅い場合
まず、管理職になってからまだ在職期間が浅い場合に、管理職クラスの求人に応募するのは無理があります。もちろん、現職で管理職に抜擢されたのはそれなりにリーダーとして評価される面があったからでしょう。しかし、別の企業の管理職求人の選考を受ける場合に、選考担当者は管理職になる前のリーダーとしての資質を問いません。問われるのは管理職となってからのことです。
理職としてどういうキャリアを積んで、どんな実績を挙げ、どういったスキルを培ったかです。よって、管理職を拝命してまだ数ヶ月などの、在職期間が短い場合は自己PRする要素が極めて少なく、選考担当者も判断できません。せめて2〜3年はその役職の実績を積んでから転職を考えましょう。
在籍期間が短い場合
次に、管理職としての経験が豊富な方であっても、求人に応募している時点で所属している企業の在籍期間が数ヶ月などの短い場合はおすすめできません。スキルと経験はあっても、管理職として受け入れてくれた企業を1年にも満たない短期間で辞めてしまうのは、仕事に対する責任感に欠けているのではないかと思われるからです。
もし自社に来てもらうことになっても、また数ヶ月で辞めてしまうのではないかなどと懸念されかねません。こちらの場合も、在籍2年くらいは頑張ってから転職を考えましょう。
職場に不利益なタイミングの場合
最後に、現在の職場にとって不利益なタイミングの転職はおすすめできません。プロジェクトが重要な局面に入っていたり、繁忙期を迎える時期であったり、今自分が辞めると後任の適任者がまったく見当たらない場合などに転職を強行するのは、避けましょう。それまでお世話になった企業に対して、配慮が欠けることになります。
また、そういう辞め方は円満退職にならず、後々悪い評価をされかねません。その評価が転職先や、そこでの取引先の耳に入る可能性があります。できることなら現職の仕事のキリが良いときや閑散期に、転職のタイミングを設定しましょう。
管理職の転職における面接の突破戦略
では、管理職の転職活動での面接を突破するために、押さえておくべき管理職クラスの面接傾向を紐解き、自己PRの必勝鉄則を解説します。
押さえておくべき管理職の面接傾向
まず、管理職の面接においては一般職の面接と面接の担当者のクラスが変わります。一般職なら一次面接の担当者はおおむね、人事担当や現場の課長クラスなどです。しかし管理職クラスの求人の場合、一次面接から部長や役員などの経営幹部が担当することも珍しくありません。
次に、問われるのが形式的な質問よりも具体的な質問が多くなります。一般職の面接では形式的な質問が多いですが、管理職面接の場合はいきなり対象業務をイメージした質問や、現場に関するリアルな質問が多くなります。そのため、面接の準備として日々の業務に関わる項目や取り組み方、考え方などをうまく説明できるように訓練しておきましょう。
続いて、退職理由をしっかりと尋ねられる傾向があります。すべてをポジティブな表現にするとともに、「私にも至らぬ面がありました」という気持ちを含む、謙虚なスタンスで答えましょう。他責志向にて自分に非はないという立場で答えると、印象は下がるおそれがあるのでくれぐれも注意してください。
ほかにも、応募先企業の事業をどれだけ理解しているのかを見極める質問もあるでしょう。徹底的に企業研究をしておくことで、当たりさわりのないコメントではなく、答えに深みが出て入社意欲を感じさせることにつながります。
頻出質問に周到な回答を準備する
管理職クラスの求人における面接において、頻出の質問が5パターンあります。管理職の面接における頻出問題は以下のとおりです。
- チーム内の意見の不一致にどう対応しますか
- チームの実績はどういう基準で評価しますか
- チームスタッフをどういう方法で指導していますか
- チームスタッフ候補の面接はどのように行いますか
- プロジェクトに問題を発生させないようにするにはどうしますか
これらの質問にあらかじめ的を射た回答例を準備しておくことで、面接突破の確率を上げましょう。これらの頻出問題への答え方のポイントと回答例を、以下の記事で紹介しています。ぜひ参考にしてください。
転職の面接でも求めているポストが管理職クラスの場合は、面接官を経営幹部や上位管理職などのエグゼクティブが務めることが多いです。よって、一般職の面接と同じような準備では充分とはいえません。管理職の選考は、そもそも書類選考も通常より厳しく、通過率10~20%といわれています。その第一関門を突破すれば、あとはその企業のエグゼクティブが担当する面接でいかにアピールできるかがポイントです。この記事では、管理職クラスの採用面接の質問傾向や回答のポイントおよび回答例を交えて、面接の準備や対策について詳しく解説... 【決定版】これで面接官の心を鷲づかみ!管理職採用面接の傾向と対策例 - 35ish |
管理職の転職面接|自己PRの必勝鉄則
管理職の面接を突破するための、必勝鉄則は以下のとおりです。
- 実績のみでは不十分!考え方やプロセスを盛り込もう
- エピソードで終わらせない!入社後の仕事に紐づけよう
それぞれを見ていきましょう。
実績のみでは不十分!考え方やプロセスを盛り込もう
面接担当者は候補者の実績も知りたいですが、それ以上に実績を上げるに至ったプロセスやどういう考え方で取り組んだのかを知りたがっています。そのため、面接で実績をPRする局面においては、数値にもとづく実績だけでは先方は物足りません。
その場合には、続く質問として考え方やプロセスを聞かれることになるでしょう。先手を打って、実績を答える際に、続けて考え方やプロセスを盛り込むと効果的です。面接担当者は聞きたい答えが聞く前に得られるので、頭の回転が早い候補者であると評価してくれるでしょう。
エピソードで終わらせない!入社後の仕事に紐づけよう
次に自己PRでエピソードを語るのも効果的ですが、エピソードで終わらせてはなりません。内定に近づけるためには、もう一歩踏み込んで入社後に担う仕事を想像して、それに紐づける発言を盛り込みましょう。
例えばエピソードで語った内容から、「〇〇の大切さを、身をもって知りました」などをつなげて「御社への入社後には、〇〇を積極的に用いて〇〇部門の業績向上にひと役買いたいと願っています」などで締めましょう。このようにエピソードを入社後の仕事に紐づけておくひと言が、入社意欲を印象付ける可能性は高いです。
管理職の転職を成功させる必勝スタンス
自己PRの必勝鉄則は具体的な指針ですが、ここでは管理職の転職を成功させるための基本姿勢として、以下の必勝スタンスを紹介します。
- 揺るぎない志望動機を持つ
- 譲れない条件を決める
- キャリアの棚卸しをしておく
- 徹底した企業研究を行う
- 求人内容を掘り下げておく
- 転職サイト+エージェントを最大限に活用する
揺るぎない志望動機を持つ
中途採用の面接では、一般職であっても志望動機をしっかりと伝えられることが重要です。まして管理職の面接ならなおさらです。揺るぎない志望動機を持ち、それを伝えることが欠かせません。志望動機が確信に満ちているほど、入社意欲の強さを表現できます。
ポイントは2つあります。ひとつは志望動機の中に、応募先企業の企業理念への共感を盛り込むことです。もうひとつは志望動機の中に、退職を考えるに至った課題が転職で解決するストーリーを盛り込むことです。それらが借り物ではない、自分の言葉で語れるようにしておきましょう。
譲れない条件を決める
転職先候補を検討する際に、希望する条件をあれもこれも満たす企業を見つけるのは困難です。こだわり過ぎず、これだけは譲れないという条件を決めましょう。例えば、業種は現職から変更しない、年収額は〇00万円以上、外資系もしくは上場企業であることなどです。譲れない物以外は、あまりこだわらずに柔軟に構えて探す方がよいでしょう。
キャリアの棚卸しをしておく
管理職の転職であれば、一般職の転職と比べて多くのキャリアを経験しているでしょう。そこで自己分析の手法である「キャリアの棚卸し」をしておくことをおすすめします。キャリアの棚卸しは応募書類の作成や、面接での自己PR、そしてキャリアに関する質問に対して回答する際などに必ず役立ちます。
管理職は多彩なキャリアやスキルを持っている方が、より望ましいです。そのため、自身のキャリアやスキルをきちんと整理しておき、上手に伝えられるようにしましょう。キャリアの棚卸しの方法は、過去のキャリアを時系列に書き出します。それぞれのキャリアでの立場や関係する人数、期間、成果や実績をひと通り書き出して俯瞰してみましょう。それまで気づかなかったことも含めて、さまざまなことが見えてきます。強みや弱みも第三者的に認識でき、自身のスペックを深く認識できるでしょう。
その結果、面接でどのような質問が来ても慌てず、客観性を持って答えられ、応募先企業ではどういう面が活かせるかも見えてくるでしょう。それを自己PRや志望動機に盛り込んで補強してください。
徹底した企業研究を行う
管理職の中途採用では、企業研究は大変重要な準備のひとつです。まず、選考の第一段階である書類選考を通過するための鍵となります。入社意欲を文章で伝えられるように、上辺だけではない企業理解を文章に反映させるために、徹底した企業研究は欠かせません。
また、面接に向けて、想定できる範囲で回答の骨組みを作っておいたとしても、想定外の質問もあるでしょう。企業研究が中途半端であれば、質問の意図が見えずにピントがずれた回答をするリスクが増します。しかし、企業研究が徹底されていれば、質問の意図を汲み取って適切な回答ができるでしょう。
さらに、企業研究の深さは志望動機にも反映し、入社意欲の高さを選考担当者に感じさせることにつながります。管理職は、部署という大きな責任を負う立場です。企業の取り組みや理念を理解し、本当に自分がその会社を心から志望しているのかあらためて考え直して、志望動機の純度を高めておきましょう。
求人内容を掘り下げておく
面接への対策として、求人内容を掘り下げ、どういう人材を求めているのかを突き詰めておきましょう。そのポストの業務内容では管理職にどういう面が必要とされるのか、どういう動きを期待されているのかを可能なかぎり想像します。
それらが見えてきたら、自分がすでに備えている部分に関しては強くアピールすることを意識します。自分に欠けている部分に関しては、すぐにそれを補うアクションを開始しておきましょう。そうすれば、求人内容に対する理解の深さと欠如を認める謙虚さ、補おうとする行動力とそれが物語る入社意欲などについて評価される可能性が高いでしょう。
転職サイト+エージェントを最大限に活用する
管理職の転職に際しては、できるかぎり情報を集めて取り組みましょう。まず、転職サイトは求人の傾向や条件の相場などを認識するために役立ちます。そして志望する業界に強そうな転職エージェントのサポートを活用しましょう。方向性に迷っている段階からでも相談に乗ってもらえ、カウンセリングやキャリアアドバイスが受けられます。
方向性が固まっている段階なら、具体的にマッチングを想定した企業の情報を共有してもらえるほか、選考対策の具体的なサポートも受けられます。企業が絞られてきたら、応募の取次や選考日程の調整、先方へのプッシュにも尽力してもらえるでしょう。
私たちタリスマンは、外資系とIT系をはじめとしてさまざまな業界のハイクラス求人に強みを持つ転職エージェントです。管理職としての転職にお力になりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
管理職の転職に際してはきちんと自分のキャリアを整理し、応募先企業の深い研究と求人内容の掘り下げを行ったうえで臨めば、成功できる可能性は高まります。管理職として転職を検討しているみなさんはここで紹介した情報を参考に、面接の傾向性などを理解して周到に選考対策を講じてチャレンジし、納得のいく転職を成功させてください。