製造業界からコンサル転職への道がある!ファームが求める資質とは?

製造業界のメーカー勤務の人材は、コンサルティングファームに転職できるチャンスが多いといわれています。一見関連性がないようにも思えるそのキャリアステップの背景には、どういう事情があるのでしょうか。
今回の記事では製造業界からコンサルティング業界への転職が成立する事情と、コンサルティングファームが製造業界出身者に求める資質についてわかりやすく解説します。製造業界に携わり、転職を考えているみなさんはぜひ参考にしてください。

製造業(メーカー)系コンサルティングファームとは?

コンサルティング業界の中で、案件分野を製造業に特化したファームや、総合系コンサルティングファームの中で製造業界を担当する部門があります。
ここではまず製造業界の概要を確認した上で、製造業(メーカー)系コンサルティングファームの仕事と役割について解説します。

製造業界の概要

日本の基幹産業である製造業界とは、私たちの身の回りで使われるあらゆる製品を製造するメーカーを包含する業界です。分野はさまざまで、自動車、電機、衣料品、スポーツ用品、医療機器、楽器など、多くの分野に分類できます。
メーカーは産業の発展と文化の普及に貢献し、日本政府も製造業を​​さまざまな顕彰制度や政策でサポートしています。最近では生産機能を海外工場に、本部機能を国内に集約するなど、国内外の役割分担の明確化を図る企業も増えています。

製造業系コンサルティングファームの仕事や役割

製造業系コンサルティングファームの主な仕事は、製造現場の業務効率化をテーマとした改善のサポートです。
具体的にはプロダクトのライフサイクル(製品の市場での寿命)を延ばす提案や、管理やリードタイム(発注から納品までに要する時間)の短縮の提案、オペレーション(業務の手順の設定)の再検討などによる業務効率改善、生産性の向上などが挙げられます。
製造業の根幹である製造現場の人たちが、安全快適に効率よく業務を推進するためのサポート役といえるでしょう。

製造業界出身者がコンサル転職できる理由

製造業系コンサルティングファームは、昨今メーカー出身者の人材ニーズが旺盛です。
なぜなら、製造業のメーカーの製造現場の仕事は専門性が高く、製造現場の経験がないコンサルティングファーム担当者には、的を射た深みのある提案が難しいからです。そのため、クライアントの携わる分野の専門性を理解できる人材が求められます。
また、クライアントと違う分野の製造業出身であっても、製造業に共通するナレッジやノウハウがあるので、現場の流れを理解して取り組めます。
そういう意味で、メーカーから製造業コンサルティング業界への転職は、いわゆるキャリアチェンジではあっても、キャリアを有効に活かすことができるといってよいでしょう。

コンサルティングファームが製造業出身者に期待する資質

中途採用でコンサルティングファームがメーカー出身者を採用する際に、期待される資質は主に以下の3つです。

  • 製造現場の豊富な経験
  • サプライチェーンマネジメントのノウハウ
  • コンサルティングファームへの適正

それぞれの資質を見ていきましょう。

製造現場の豊富な経験

まずは主要クライアントと分野のメーカーでの、豊富な経験が期待されます。豊富であればあるほど、さまざまな課題の解決の糸口を見つけられるポテンシャルは高まるからです。
また、既存クライアントと分野が違うにしても製造業自体に共通する部分が多いので、意味はあるでしょう。
もっといえば、その新たな分野の顧客を開拓できるという選択肢を採用側は得られます。いずれにしても、メーカー出身者は人材ニーズがあるといえるでしょう。

サプライチェーンマネジメントのノウハウ

サプライチェーンマネジメント(以下SCM)は、SCMは原材料の調達から最終的な製品の配送までに関連する商品と関連データ、財務の流れを包括的にコントロールするノウハウです。
製品のライフサイクルや生産ライン、関連リソース、在庫、注文管理、物流という多岐に渡る領域のトータルマネジメントといえます。
製造業にとってもっとも重要なノウハウなので、メーカーで上位職にあってSCMの心得がある人材は間違いなく重宝されるでしょう。

コンサルティングファームへの適正

上記2点はあくまで製造業としての経験やスキルですが、それらが充実していてもコンサルティングファームで働くことに最低限以上の適性がないと、転職は難しくなります。
コンサルティング業界で働く適性の主なものとしては以下のとおりです。

  • ロジカルシンキング(論理的思考力)
  • コミュニケーション能力
  • 計数感覚
  • プラス思考
  • 体力
  • 精神力
  • 好奇心

これらに自信があるメーカー勤務の方は、コンサルティングファームで働く適性もあると考えてよいでしょう。
コンサルティング業界への適正についてのより詳しい情報は、以下の記事で特集しています。ぜひ参考にご覧ください。
コンサルティング業界に向いている人とは?地力&特徴チェックリスト

製造業界出身者がコンサル転職するメリット

製造業界のメーカー出身者が、コンサルティング業界に転職するメリットは、主に以下のとおりです。

  • 製造現場の経験が最大限に活かせる
  • 経営視点のマネジメントスキルが磨ける
  • 年収アップが期待できる
  • その後のキャリアアップ転職がしやすくなる

個別に見ていきましょう。

製造現場の経験が最大限に活かせる

製造業界で働き、製造現場に関わる仕事を経験したとしても、一般的には別の業界に転職した場合に、前職の経験を活かすのは簡単ではありません。しかし関連分野のコンサルティングの仕事では、その経験を最大限に活かすことができるというメリットがあります。
さらに管理職や何らかのマネジメント経験があると、より人材価値が高まるでしょう。

経営視点のマネジメントスキルが磨ける

コンサルティングファームの仕事は基本的に「経営課題」の解決です。つまり案件の規模の大小を問わず、経営者目線で案件に取り組むことが求められる業界です。
そのため、案件をこなせばこなすほど、経営視点のマネジメントスキルがブラッシュアップされることになります。

年収アップが期待できる

コンサルティング業界はほかの業界に比べて、明らかに高額年収を得やすい業界です。若くして年収1,000万円を得ている人も珍しくありません。製造業界からの転職であれば、すべてではないにせよおおむね年収アップが期待できるでしょう。
また、コンサルティングファームには外資系企業が非常に多く、外資系企業自体が日系企業よりも年収面で充実していることはよく知られています。

その後のキャリアアップ転職がしやすくなる

まず、コンサルティング業界や外資系企業は人材の流動性が高いとされています。転職のハードルが低く、実績を上げていけば、それを提げてより良い条件やポストでキャリアアップ転職ができます。
次に、事業会社においてはコンサルティング部門を内製化する企業も増えています。そういう企業にコンサルティングの即戦力として転職する際にも、好条件が期待できます。

製造業界出身者の部門別おすすめファームの系統

製造業界出身者の在職時の部門によって、転職するコンサルティングファームの系統の中でもおすすめが異なってきます。
ただし製造業に特化した製造業系コンサルティングファームとあらゆる産業のあらゆる側面を包括的にサポートする総合系コンサルティングファームの2つは、製造業のいずれの部門出身であっても関連する仕事があるので共通しておすすめできます。
ここでは上記2系統以外のコンサルティングファームに関して、部門別に見ていきましょう。
<商品企画部門>
メーカーにて商品部門で仕事をしてきた人は、マーケティングやリサーチ、分析などのスキルやクリエイティビティを磨いてきたと考えられます。そのため、おすすめのファームの系統は戦略系です。
戦略系コンサルティングファームはリサーチと分析をベースに仮説と検証によって解決策を詰めていくので、メーカーでの商品企画部門の仕事で得た経験とスキル、培ったノウハウを活かせるでしょう。
<研究開発部門>
メーカーにて研究開発部門で仕事をしてきた人は、基礎研究や応用研究に励んできた、あるいは中長期的目線での開発・改善に取り組んできた人材です。そのため、おすすめのファームの系統はシンクタンク系です。
シンクタンク系コンサルティングファームは主に社会的、国家的あるいは地域的な問題を対象とした綿密な調査と研究が求められます。メーカーでの地道な研究開発経験が活かせる仕事です。
<情報システム部門>
メーカーにて情報システム部門で仕事をしてきた人は、社内のITシステムの運用や保守に取り組んできたIT人材と考えられます。そのため、おすすめのファームの系統はIT系と戦略系す。
IT系コンサルティングファームはIT人材の不足が深刻な状況下でDX案件が加速度的に増えているので、情報システム部門出身なら大きな戦力として引き合いが強いでしょう。
また戦略系コンサルティングファームにおいても、最近はデジタル案件が急増しているので、ITコンサルティングファーム系と同様に、情報システム部門出身なら重宝されるのは確実です。
<広告宣伝・広報部門>
メーカーにて広告宣伝・広報部門で仕事をしてきた人は、リサーチや費用対効果の高いプロモーション、ブランディングなどに対して造詣が深い人材と考えられます。そのため、おすすめのファームの系統は戦略系です。
戦略系コンサルティングファームでは企業のプロダクトのプロモーション案件も扱うので、メーカーでの広告宣伝・広報部門で試行錯誤したプロモーション経験や、磨かれた広告に対する感性を活かせるでしょう。
<営業部門>
メーカーにて営業部門で仕事をしてきた人は、モノを提案して販売し顧客を管理するという企業の最前線でビジネススキルを磨いてきた人材と考えられます。そのため、おすすめのファームの系統は戦略系です。
戦略系コンサルティングファームでは取り組む案件の中で業績拡大などの売上を伸ばすための経営戦略・営業戦略に関するコンサルティングも多いので、メーカーでも営業最前線の現場で培った販売戦略や拡大戦略を活かせるでしょう。
<人事・総務部門>
メーカーにて人事・総務部門で仕事をしてきた人は、人事や組織の課題、人材開発などに取り組んできた人材と考えられます。そのため、おすすめのファームの系統は組織・人事系です。
組織・人事系コンサルティングファームは企業の経営課題を人事面や組織構造の面から解決の糸口を見出したり、人材開発をサポートしたりするので、メーカーでの人事・総務部門での経験と培ったノウハウを活かせます。
<経理・会計・財務部門>
メーカーにて経理・会計・財務部門で仕事をしてきた人は、製造業特有の資金の流れに関して精通していると考えられます。そのため、おすすめのファームの系統は財務アドバイザリー系です。
財務アドバイザリー系ファームはあらゆる企業の財務に関する課題をコンサルティングの対象とするので、当然製造業案件であればより一層経験を活かせますし、他業界案件でも製造業で培った財務スキルを活かして仕事に取り組めます。

まとめ

製造業界の企業においてはさまざまな部門がありますが、それぞれの部門において積み上げてきた知識や経験、磨き上げてきたスキル、培ったノウハウは、コンサルティング業界で活かせる可能性が高いと考えてよいでしょう。
コンサルティングファームにもさまざまな系統があり、それぞれのファームが取り組む領域で活かせる専門性を持っているのであれば、それを活かして転職できる可能性があります。
現在製造業界で働きながら転職を検討しているみなさんは、ここで紹介した情報を参考に、コンサルティング業界も視野に入れて転職ビジョンを描いてください。

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