製造業界は戦後の日本の復興の原動力となり、日本はものづくり大国として世界に名を馳せました。現状ではさまざまな課題を抱えながらも、日本の屋台骨を支えている産業であることは間違いありません。
製造業界に転職に成功するためには志望動機が重要ですが、それには準備と戦略的な書き方が必要です。今回の記事では製造業界転職のための志望動機をブラッシュアップする方法を紹介します。
目次
製造業界転職のための志望動機を書く4つの準備
製造業界の転職を成功させる志望動機を書くには、以下の4つの準備をして臨みましょう
- 製造業界を理解する
- 志望業種の概要を理解する
- 志望職種ごとの適性を理解する
- 志望企業の特徴や優位性を理解する
それぞれを詳しく見ていきましょう。
製造業界を理解する
まずは製造業の歴史や動向、課題を正しく理解しましょう。なぜなら製造業界の経営陣の方たちには、日本の屋台骨を支えてきた誇りを持っている方が多く、背景を認識している候補者の方が採用される可能性が高いからです。
参考に製造業の概要と課題をまとめておきます。
戦後日本の復興の原動力こと製造業
戦後の日本の復興は、勤勉で努力を惜しまず忍耐強く仕事に取り組む日本人の気質が反映されたものです。なかでも製造業の果たした役割は非常に大きいといえるでしょう。
戦争に負けた極東の小さい国ながらも、「ものづくり大国」と呼ばれるほどに製造業の競争力を高めて、世界の大国と肩を並べた歴史は、製造業なくしてありえません。
かつての「ものづくり大国」の課題
高度成長の時代は自動車や鉄鋼などの重工業も、繊維などの軽工業も、おしなべて製造業界全体が活気に満ちていました。しかし産業界が成熟化するにつれて、構造不況で苦しむ斜陽産業も増えていきます。
それでも、半導体電子部品を始めとした先端技術を武器とする領域の国際競争力は高い水準を維持しています。課題としては、先端技術の「付加価値」の高さにおいて国際競争力を確立することです。
世界から認められる次世代の「ものづくり」の躍進が期待されます。
志望業種の概要を理解する
製造業界の概要や歴史を把握したら、次は志望している業種についての理解を深めましょう。さまざまな業種が存在する製造業界ですが、面接ではその業種を選んだ理由が問われることも多いので説得力を伴う回答をするためにも、業種の理解は欠かせません。
志望職種ごとの適性を理解する
志望業種を把握したら、志望職種について、自身の適性を客観的に理解しましょう。選考担当者は候補者が対象業務に適任であるかが関心事のひとつです。また、志望する職種の適性を理解して、その職種をまっとうできるか自問し、確信を得ておきましょう。以下に製造業の代表的な職種の適性を挙げておきますので、参考にしてください。
商品企画の適性
商品企画は基本としてクリエイティビティ(創造性)の素養が求められます。また、社内外との調整も担うので、高いコミュニケーション能力も必要です。
企画の採算が見込めるか、技術的に実現可能かも並行して考える必要があるので、バランス感覚やビジネススキルも求められます。
研究開発の適性
研究開発は研究職と開発職に分かれます。研究職は5〜10年後の実用化を目指して行う先見的な研究なので、長い年月に渡る研究に耐える忍耐力と集中力が求められます。
開発職は研究職の成果を元に技術面の開発や商品化を担う仕事なので、多角的な視野を持つ人物が求められます。
設計の適性
設計は企画および開発部門で練られた構想を製品にするために「図面化」を行う仕事です。
ただ図面に落とし込めばよいのではなく、製造コストを守り必要なスペックを実現する難易度が高い業務といえるでしょう。そのため、設計の仕事には専門知識に加えて調整力と柔軟なマネジメントスキルが求められます。
生産技術の適性
生産技術は製品のスペックの水準を維持しつつ、生産性の向上を模索する仕事です。商品のライフサイクルが短くなる多様化した経済の中、多品種少量生産も求められる傾向にあります。
そのため生産技術には単に技術的な専門性だけでなく、創意工夫を凝らして製造ラインを改善できる柔軟な発想力も求められます。
製造の適性
製造現場の仕事内容はライン作業(ベルトコンベアで運ばれる部品の加工・組み立て)や機械を操作するマシンオペレーションなどで、細かい作業の正確性が求められます。また、それをマネジメントする立場であれば、決してミクロの視点だけでなくサプライチェーンを俯瞰できるマクロの視点が求められます。
生産管理の適性
生産管理は製造工程全体を管理する仕事で、原料や部品の調達先との価格交渉、納期調整や在庫管理も担います。複数の製造ラインを並行して手がけることが多く、プロジェクトマネジメントスキルが求められます。
品質管理の適性
品質管理は製品が品質基準をクリアするよう管理する仕事です。不具合が発生すれば要因の分析を速やかに行い、再発防止のために製造工程の修正を行って包括的な改善を図ります。そのため、品質管理には卓越した問題解決能力と行動力が求められます。
営業の適性
営業は商品を市場に出すために欠かせない仕事です。既存顧客に対するルート営業と新規開拓営業があります。基本的に取引先との関わりを軸に仕事を進めていくので、コミュニケーション能力が求められます。
広告宣伝・広報の適性
広告宣伝はセールスにつなげるプロモーション活動を、広報は新製品情報や企業情報の公式発表やプレスリリース制作、取材対応など公的なスポークスマンとして機能します。
いずれにも共通して求められるのはブランドイメージの向上なので、ブランディングの能力やセンスが求められます。
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志望企業の特徴を理解する
志望度の高さを伝えるためには、その企業に関する上辺だけではない深い理解が必要です。公式ホームページを確認するのはもちろん、その企業に対する外部の評価やプレスリリースに対する反応、経営トップのインタビューなどの情報を集めておくことで、特徴の理解に努めておいて損はありません。
製造業界転職のための志望動機を書く3つのフェーズ
志望動機を書く4つの準備が整ったら、以下の3つのフェーズに沿って実際に志望動機を書く作業にトライしましょう。
- Fase1:大小の動機をすべて書き出して整理する
- Fase2:キャリアスキルの棚卸しで活かせるものを探す
- Fase3:PREP法で文章を組み立てる
Fase1:大小の動機をすべて書き出して整理する
転職先への志望動機というものは、単純にひとつの事柄だけというのは珍しく、一般的には複数の大小さまざまな動機が合わさっての志望になることが多いです。
まずは大小すべての動機を、洗いざらい書き出しましょう。
Fase2:キャリア・スキルの棚卸しで活かせるものを探す
次に「キャリア・スキルの棚卸し」を行い、そこから志望企業で活かせそうなものを探しましょう。「キャリア・スキルの棚卸し」は社会人になってから(学生時代のアルバイトも含めてもよい)経験した職務内容と「どういう立場・役割で実行したか」「何を身につけられたか」などを併せて、まずは時系列で書き出します。
もれなく書き出せたら同じ系統の業務でグルーピングすることで、その領域での自身の経験や得たスキルが整理されます。
整理されたキャリアとスキルから、志望企業に貢献できそうなものをすべてピックアップし、その中から特に重要だと感じるものに優先順位をつけます。
Fase3:PREP法で文章を組み立てる
絞り込んだ志望動機やキャリア・スキルを柱にして、PREP法を用いて文章を組み立てましょう。
PREP法とは論理的な文章を作るためのフレームワークです。PREPとは「Point」「Reason」「Example(Experience)」「Point」の頭文字です。この流れに沿って文章を構築することで、説得力がある文章になります。
志望動機がリアルに伝わるストーリーにするために、このPREP法にもとづいて説得力のある文章を組み立てましょう。
製造業の志望動機例文
製造業の志望動機の例文を紹介します。すべてPREP法に沿って文章構成をしているので、自身の志望動機を書く際の参考にしてください。
例文A)
私はこのたび〇〇の領域で長い歴史と伝統を持つ、御社への志願を決意しました。
なぜなら私はかねてから、生活者の視点でものづくりに取り組む、御社の姿勢に感銘を受けてきたからです。
大学生になって一人暮らしを始めたときに御社(貴社)の製品に出会い、それ以来現在に至るまで愛用しております。他社製品を使用したこともありますが、それによって如何に生活者の視点で御社のものづくりが行われているかを実感しました。
現職の〇〇〇〇の領域で身につけた〇〇の技術を御社の今後の製造活動に活かして貢献するために御社で働くことを願っています。
例文B)
私は〇〇〇業界で随一の業績を誇る、御社の求人に応募することを決めました。
その理由として、〇〇〇が好きで大学でも〇〇〇関連のゼミを取っていたに私は〇〇〇の研究において御社および同業の数社を研究して論文を作成しましたが、その際に御社の独自性と専門性の高さに感銘を受けていたからです。
大学での研究によって、現在御社の主力部門である〇〇〇〇に関する技術への造詣を深め、現職でも〇〇〇〇事業に役立てて評価を得ました。
しかし御社が目指す理念である〇〇〇〇社会の実現に私自身も貢献したく、これまで培った〇〇〇〇の技術を活かして御社の陣列に加わりたくこのたび志願いたします。
まとめ
製造業界はかつて日本がそう呼ばれた「ものづくり大国」の誇りを持ちつつ、新たな時代に向けて課題と向き合いながら成長を目指す日本経済を支える業界です。
製造業界への転職活動において、内定獲得を後押しする志望動機動機を書くために、ここで紹介した4つの準備と3つのフェーズで力強い志望動機を構築し、転職に成功してください。