転職時の給与交渉術【NG交渉例&エージェント利用のメリットも紹介】

給与は転職活動において重要な要素ですが、適切な交渉の仕方や、年収交渉のタイミングについては判断が難しい部分があると思います。
本記事では、多くの方々の転職をサポートしてきたコンサルタントに 「市場価値のリサーチ方法」や「やってはいけないNGな交渉事例」などを交え、転職における給与交渉を成功させるためのノウハウを詳しく聞いています。

※本記事は以下の動画をベースとした再編集版です。動画でも同じ内容をご視聴いただけます

  • こんにちは!タリスマン株式会社 インダストリーマネージャーの坂本です。今回は転職時の給与交渉について、転職エージェントの目線からお話させていただきます。
    普段は製造業界やサプライチェーン業界での転職のお手伝いをしています。転職活動をするうえで、このページの情報がお役に立てれば幸いです。
    Industry Manager
    Akihiro Sakamoto

転職における給与交渉のタイミング

どの段階で給与の話をすればいいのか?

あまりにも早すぎる段階での給与交渉は、企業に対して、「ポジションや仕事内容よりも、お金に対して興味があるのかな?」
と思われることもあり、有利に働くことはほぼないです。そのため、給与交渉を行っていくタイミングというのは、オファーが出る直前というのが望ましいと思います。

転職エージェントが給与交渉をするタイミング

それでは、私たちエージェントが給与交渉をするタイミングはいつなのかといえば、実は、もう紹介段階で始まっています。
「この方は大体どれくらいの年収が必要だ」「予算は合いますか、合いませんか」という下交渉からスタートすることも多いです。
1次面接が終わった後、2次面接が終わった後、最終面接が終わった後、全てのプロセスにおいて私たちは給与交渉を行っています。
一番最後の段階で給与交渉をするということは難しいので、ほぼありません。なぜ一番最後にするのが難しいかといえば、ほとんどの企業様というのは、給与を決める段階で、社内会議にかけて承認をとります。
承認をとって、求職者にオファーレターを渡すのですが、その承認をとった後に再度給与条件を変更するとなると、再度社内手続きを踏んで、その理由なども説明しなければならなくなります。
そのため、私たちエージェントは、通常この段階での給与交渉は避けています。ただ、最初にお話しした通り、求職者様が選考プロセスの早い段階で年収交渉をするのは状況を不利に導くことが多いのです。
なので、私たちエージェントの強みというのは、この社内承認をとる前に給与交渉をする、これがエージェントを使うメリットだと考えています。

市場価値のリサーチ方法

自分の給与相場はどのように把握すればよい?

給与相場は、年収交渉をするにあたって、たたき台とも言える数字です。ここからは、今の皆さんの市場価値をリサーチする方法をお伝えします。
まず一番わかりやすいのは、現職の年収です。まずはこれを元に皆さんの市場価値というものを考えていきましょう。
例えば、現職が500万でも市場価値が1000万というケースはなかなか稀です。やはり企業も求職者の今の年収をたたき台に市場価値というのを作っていきます。そのため、市場価値を調べる方法の一つとしては、転職サイトや転職エージェントに登録してみることです。ここから様々な求人情報を紹介してもらえますので、その求人情報の給与のバジェットを確認してみましょう。500万円から800万まで、あるいは700万円から1000万円までといった給与レンジが記載されているはずですが、このレンジ内というのが、皆さんの市場価値に最も近い部分だと考えていただければと思います。
また、この市場価値を最も早く、簡単に導き出してくれるのが転職エージェントの存在です。多くの転職希望者様に接していて、同じ位のスキルや経験値もった転職希望者がどの程度の給与レンジで転職しているのかを把握していますし、そのエージェントの持つデータベースをもとに、かなり高い精度で市場価値をを教えてくれると思います。

NGから学ぶ給与交渉のコツ

ある程度ご自身の市場価値を分かった上で、どのように企業に伝えるか? これもとても難しい部分がありますよね。
まず初めにお伝えできることは、これを言えば絶対上がるというゴールは残念ながらございません。
ただ、だからといって給与交渉を行わないということは、営業に行って値段を伝えずに帰るようなもので、営業マンとしては一番やってはいけないことだと、私は考えています。
そのため今回は、「こういうことを言ったらNG」という例をお伝えしたいと思います。

  • 一方的に自分の価値を決めつけ、根拠なく企業様に押し付ける

あくまでも転職・就職においてご自身の価値というのは第三者が決めるものです。少々荒い言い方をしてしまえば、欲しいという企業が値段をつける訳ですが、そのついた値段というのが市場価値になるので、自分はこれぐらいの価値がある、という一方的な解釈で企業様に伝えるのは、コミュニケーションのスタイルとしてもあまり正しいものではないと考えます。
やはりご自身の希望金額であったり、価値を伝える際にその数字に根拠があることが重要です。
50万円アップ、100万円アップと希望を言えば、多くの企業担当者はその理由について聞いてきます。「その根拠は何ですか?」と聞かれた時に、答えられず「欲しいです」 では交渉として成立しませんし、本当に評価を落とす可能性がありますのでご注意ください。
根拠という意味でのお話でいうと、「今の給与がいくらだから、今回、こういった仕事が増えるのでいくら欲しい」といった回答は説得力のある根拠ですよね。
もう一つは、転職活動をしている上で、同業他社であったり、別の企業で他にオファーを受けている、「そこでのオファー金額が〇〇円だから、これ以上欲しいです」というのは、数字(エビデンス)をもとに話をしているので説得力があります。そういった形の交渉をするのが良いと思います。

ハードな交渉はやはり難しいのでは?

どうしても面接の場で交渉が行われる以上、企業というのは、良い方を少しでも安く採用したいと考えます。これは企業として当たり前の姿勢です。
例えば、候補者様が600万円欲しいという希望を出されているシーンで企業の採用担当者が、
「もちろんあなたはそれだけの価値がある」
「でも私達には今ちょっと予算がないから580万から頑張ってみましょう」
「必ずあなただったら入ったら上がりますよ」
と笑顔で手を差し出されたら、普通の人なら「わかりました、580万から頑張ります」と握手してしまうと思うんですよね。
お互いの感情は一旦抜きにして、企業経営の面だけ考えると、その場合企業は20万円人件費が浮くのでプラスなんです。
ただ、これをさせないのが私たちエージェントだと思っています。「580万でいいですか」というところに対して「いやいや、この人今こんなオファーが出ていてこういうことをしています」
「630万じゃないと本当に無理なんです」と本人ではなく第三者が言うことに対しては、いやらしさというのはないんですよね。
でも、本人が「いくら欲しい」と言って交渉してしまうと、やっぱり入った後の人間関係とか、パフォーマンスを厳しく見られるっていうマイナス要素も多少は発生してきます。できればこういったハードな交渉は転職エージェントを使って行うのをおすすめします。

まとめ: 個人交渉 or エージェント、どちらが良いか?

給与交渉について、色々お話させていただきましたが、結論から言うと、ご自身で給与交渉されるのはとても素晴らしいことだとは思います。
反面、難しい部分も多いです。ヘッドハンティングをされていて、ご自身の言い値を通してくれるような求職活動であれば、そこまで難しくないと思いますが、こちらからエントリーして、入社したいという意欲ががある以上、どうしてもその交渉の中に、上下関係のような ”買ってもらう側”、”売る側” という力関係ができてしまうというのが、個人で行う給与交渉において不利な部分です。
転職活動の背景には人それぞれ様々な事情があります。内定オファーをもらうために希望よりも少し給与を落としても仕方がないと妥協することも時に必要ですが、エージェントを通すことによって候補者ではない第三者が、そのような事情を通り越して高く交渉できる、というメリットがあると思います。

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この記事の監修者:Akihiro Sakamotoのコメント「転職希望者様の価値を最大限に理解して、最大限に需要と供給を満たす」、このような気持ちで日々動いておりますので、給与交渉についてのご相談などがあれば是非遠慮なくお問い合わせください。