転職活動では、面接官からほぼ必ず「なぜ転職を考えたのですか?」と質問されます。この問いは単に現職への不満を聞きたいのではなく、応募者の価値観やキャリアの方向性が自社と合致しているかを判断するためのものです。ネガティブな感情をそのまま伝えるとマイナス評価になりかねません。本ガイドでは、面接官に納得感を与える転職理由の考え方と、代表的な理由別のまとめ方を紹介します。
目次
面接官が転職理由を尋ねる意図を理解する
採用担当者は、次のような観点で質問しています。
- キャリアビジョンと現職とのギャップ:応募者が現職では実現できないことをどう捉えているのか。
- 価値観や志向:組織風土や職務内容にフィットするか。
- 再発可能性の有無:同じ理由で短期間に退職する可能性があるか。
これを踏まえると、単に「給料が低い」「上司と合わない」といった不満を述べるだけではなく、「今後こうありたい」「新しい環境で○○に挑戦したい」といった前向きな軸を示すことが重要です。
転職理由の基本フレームワーク
効果的に伝えるためには、以下の3段構成を意識しましょう。
- 現職での実績や取り組み
まずは現在の業務内容や成果を簡潔に説明します。これにより応募者が今まで何をしてきたかが伝わり、説得力が増します。 - 転職を考えた理由(ポジティブな動機付け)
現職の課題や限界を述べる際は、批判にならないように言い換えます。例えば「会社の将来性に不安がある」場合には、「長期的に成長できる環境でスキルを磨きたい」といった表現に変えると良いでしょう。 - 今後の目標と志望先企業で実現したいこと
最後に、自身のキャリアビジョンと志望企業がどのようにマッチするかを伝えます。転職理由は志望動機とセットで語ると整合性が取れ、面接官に納得感を与えます。
このフレームワークに沿って準備することで、どのような理由でも一貫性のある回答ができるようになります。
よくある転職理由と伝え方のポイント
ここからは代表的な転職理由ごとの考え方を簡単に紹介します。各テーマの詳細や回答例はリンク先で解説していますので、合わせて参考にしてください。
会社の将来性・経営状況への不安
将来性に不安を感じたとしても、会社批判ではなく「成長市場で専門性を高めたい」「変化の速い業界でチャレンジしたい」といった前向きな動機に変換します。
詳細は別記事 転職理由が「会社の将来性」ならどう答える?面接で良い印象を与える回答例で解説しています。
dodaの「転職ランキング2021(https://doda.jp/guide/reason/)」によると、40代の転職理由として多いものは下記のような傾向にあります。1位:給与が低い・昇給が見込めない・・・34.3%2位:業界・会社の先行きが不安・・・・・31.2%3位:尊敬できる人がいない・・・・・・・29.0%4位:社員を育てる環境がない・・・・・・28.2%5位:会社の評価方法に不満があった・・・25.8%「業界・会社の先行きが不安」という転職理由は総合ランキングを見ても7位23.9%となっており、一般的に「会社の将来性が不安」という理由で転職を決意する方... 転職理由が「会社の将来性」ならどう答える?面接で良い印象を与える回答例 - 35ish |
給与・待遇への不満
「評価制度が明確な環境で成果を正当に評価されたい」「報酬と成長が両立する環境に身を置きたい」といったように、待遇だけでなく自己成長への意欲を織り交ぜます。
人間関係・社風のミスマッチ
職場の人間関係やパワハラが原因の場合でも、特定の人や組織を悪く言うのではなく、「チームワークを重視する環境で働きたい」「自主性を尊重する文化で力を発揮したい」といった希望を語ることが大切です。
「上司からのひどい言葉に毎日怯えている」「ミスをするたびに人前で罵倒される」。このような分かり易いパワハラもいまだにありますが、職場の人間関係は複雑、かつ感じ方は人それぞれで、パワハラにより精神的苦痛を強いられ、退職せざるを得なくなってしまったというケースが多く発生しています。どうしてもパワハラが改善できなかった場合、自分を守るために退職するのは正しい選択と言えるでしょう。しかし、転職活動中の面接で転職理由を聞かれた際、パワハラが原因の場合にはどのように答えるべきなのでしょうか。この記事では... 【パワハラが原因の転職】面接でどう伝える?ポジティブな伝え方と成功のポイント - 35ish |
職場での人間関係が上手くいかないことが原因で転職を決意する方は少なくありません。転職活動中の面接では、転職理由をよく聞かれます。転職理由はポジティブな内容を伝えた方が良いといいますが、人間関係が原因で退職した場合には、転職理由はどのように話せば良いのでしょうか。この記事では、人間関係による転職理由を面接で話す時のポイントや回答例、現職や転職先で良い人間関係を築くための方法をお伝えしていきます。転職理由は人間関係…面接でそのまま伝えてもいい?結論からお伝えすると、人間関係が原因で退職したという言... 「人間関係による転職理由」を面接で話すには?-これだけは知っておいて欲しいポイ... - 35ish |
業務過多・ワークライフバランスの悪化
長時間労働や慢性的な人手不足で業務量が過度に多い場合、そのまま「忙しすぎて疲れた」と伝えると愚痴に受け取られかねません。「専門性を高めながらも、持続可能な働き方ができる環境を探している」「生産性の高い働き方を実現するために、業務プロセスが整った職場に移りたい」といったように、今後の働き方への希望や自分が貢献できる点を合わせて伝えると好印象です。より具体的な回答例は、別記事 【例文付き】「業務過多」を転職理由にする面接での伝え方|言い換えのコツとNG例で詳しく解説しています。
「正直、仕事が多すぎてつらい…」もしあなたが業務過多を理由に転職を考えているなら、その気持ちは決してネガティブなものではありません。しかし、面接で「前職は仕事が多すぎたので辞めます」と正直に伝えてしまうと、面接官は「タスク管理が苦手な人なのかな?」「うちでも同じ理由で辞めてしまうのでは?」といった不安を抱いてしまいます。この記事では、業務過多を理由に転職をする際、面接官に納得してもらえる転職理由の伝え方と、すぐに使える例文を紹介します。面接官が「業務過多」の転職理由から知りたいこと面接官は、あ... 【例文付き】「業務過多」を転職理由にする面接での伝え方|言い換えのコツとNG例 - 35ish |
キャリアアップのため
転職の目的が「キャリアアップ」の場合、転職理由としては前向きで好印象を与えることができます。ただし、伝え方を間違ってしまったり、漠然とし過ぎたりしている場合、思わぬマイナス評価に結びついてしまうことも。
「キャリアアップ」という転職の動機を具体的な「成長ストーリー」として話し、自己と志望企業の成長がリンクするように伝えることで説得力を持った説明にすることが可能です。詳しくは別記事 「キャリアアップしたい」はNG?面接で熱意が伝わる”成長ストーリー”の語り方で詳しく解説しています。
面接で転職理由を聞かれた時、「キャリアアップをするためです」という回答は面接官に好印象を与えられるイメージがありますよね。その通り、キャリアアップは転職理由としてかなり好印象を与えることができ、選考通過率の高い回答です。成長したい、もっと挑戦できる環境に身を置きたい。その想いは、転職を考える上で何よりも純粋で、力強い動機のはずです。しかし、その言葉をそのまま伝えた瞬間、面接官の表情が少し曇ったように感じた経験はないでしょうか。「キャリアアップ」という言葉自体は抽象的なものであり、伝え方に注意... 「キャリアアップしたい」はNG?面接で熱意が伝わる"成長ストーリー"の... - 35ish |
NG例と注意点
- ネガティブな批判に終始する:現職や上司の悪口は評価を下げます。課題は事実として簡潔に述べ、改善したい点や学びたいことへつなげましょう。
- 理由が曖昧で一貫性がない:さまざまな不満を羅列すると目先の不満だけで辞めている印象になります。必ずキャリアプランとリンクさせて伝えます。
- 志望動機と矛盾している:転職理由と志望動機が別々になっていると説得力がありません。転職理由で示した課題が志望企業で解決できることを示しましょう。
まとめ
転職理由は面接官にとって、あなたの価値観と志望動機を知る重要な問いです。現職での実績を踏まえつつ、ポジティブな動機と将来の目標をバランスよく伝えることがポイントです。本稿で紹介したフレームワークと理由別のポイントを参考に、自分なりのストーリーを準備しましょう。詳細な例文や具体的な言い回しは関連ページで紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
関連ページ
Talisman Corporation / IT・外資の転職はタリスマン
外資系企業や日系大手、ベンチャー企業への転職にご興味のある方はぜひお問い合わせください。転職エージェントとして10年以上の経験、データを持つ弊社タリスマン株式会社がサポートさせていただきます。[厚生労働大臣許可番号] 01-ユ-300282