IT業界の今後の展望とは?将来性や必要になる人材について徹底調査

最近人気の転職先として上がるのがIT業界です。転職する人にとって、IT業界の将来性や有望な職種は何か気になりますよね。今回は、IT業界の今後の展望と求められる人材について解説します。IT業界への転職を検討中の人は、転職前にすべきことが見つかるかもしれません。

IT業界とは?

ITは「Information Technology」の略であり、日本語では「情報技術」となります。つまりITとは、情報を取得したり伝達したりする技術のことです。インターネット上で買い物をしたり気になるお店を調べたりする人も多いでしょう。このようにインターネットやコンピューターの情報技術を活用して、サービスを提供する業界のことをIT業界と呼びます。

IT業界は、主に企業が企業へサービスを提供することが多く、主に以下の5つに分類されます。

インターネット・Web業界

インターネット上でサービスを展開する企業が属する業界が「インターネット・Web業界」です。たとえば、企業やお店のホームページを作成し、運営するWeb制作会社やインターネット広告を作成する広告代理店などがあてはまります。代表的な企業としては、GoogleやAmazon、楽天などです。

通信業界

インターネットや光ファイバー、無線などの通信インフラを扱う業界を「通信業界」と呼びます。ネットワークエンジニアやサーバーエンジニアが、活躍する業界です。エンジニアの主な仕事は、ネットワークの開発から運用などのインフラ全体の整備になります。また通信サービスを販売する電気通信事業者も、通信インフラに関する事業者です。通信業界の主な企業には、NTTドコモやソフトバンクモバイルなどがあります。

最新通信システムの5Gは、IoTやVR・ARなどの最先端技術には必須。今後のIT業界において、重要な役割を担う注目の業界です。

ソフトウェア業界

ソフトウェア業界では、OSと呼ばれるオペレーティングシステムやアプリケーションを扱います。OSはパソコンやスマートフォンを動かすソフトであり、WindowsやiOSが有名です。

アプリケーションは、パソコンやスマートフォンで特定の動作をするソフトであり、ハードウェアを守るセキュリティソフトの役目もあります。ITエンジニアのプログラマーやシステムエンジニアなどが、活躍する業界です。

ハードウェア業界

ハードウェアとは、パソコンやスマートフォン、周辺機器などを指します。このようなハードウェアの企画から販売までをおこなう業界が、ハードウェア業界です。ハードウェア業界では、システムの開発や設計をおこなう「組み込みシステムエンジニア」が、代表的な職種として知られています。たとえば、Appleや日立などが有名です。

情報処理サービス業界

システムの構築や運用などをおこなう企業が属する業界が、情報処理サービス業界です。IT技術を活用した業務効率化を提案するコンサルティング業務をおこなうケースも多く、システムの構築だけではなく保守や運用まで担当します。代表的な企業としては、富士通やトランスコスモスなどが有名です。

IT業界の現状について

IT業界の現状は、景気は好調な傾向です。IT業界の市場規模については、総務省の「平成30年度 ICTの経済分析に関する調査」の国内生産額の産業別比率で以下のように報告されています。

全産業の実質市場規模 982.5兆円 100%
情報通信産業 99.8兆円 10.2%
商業 91.7兆円 9.3%
不動産 75.5兆円 7.7%
医療・福祉 67.8兆円 6.9%
建設 63.6兆円 6.5%
対事業所サービス 59.6兆円 6.1%
対個人サービス 49.9兆円 5.1%
その他産業 416.3兆円 42.54%

このように、他の業界と比較すると情報通信業界の10.2%はもっとも割合が多く、市場規模が大きいことが分かるでしょう。また同じく総務省の「平成30年度 ICTの経済分析に関する調査」の情報通信産業と一般産業・実質国内生産生産額の推移を見ると、2000年から2017年までの推移が確認できます。

2000年の情報通信業界の実質国内生産生産額は、約87兆円でしたが、年々上昇を続けリーマンショック前の2007年には100兆円を超えました。リーマンショック後、2012年には91.3兆円まで減少しましたが、その後上昇し2017年に99.8兆円へ到達。ピーク時の勢いに迫っています。

ただし、IT業界はその市場規模に追いつけないレベルで人材不足になっています。高度な専門知識が必要なIT業界では、人材を集めるのが難しく、また少子高齢化も原因の一つです。IT業界の特にエンジニアやプログラマーは、仕事がきつく残業も多いのに給料が少ないというイメージがあります。近年では、労働環境の改善により、長時間労働や福利厚生の見直しが進み、以前よりも働きやすい環境です。しかし、従来のIT業界のイメージが強く残っているため、就職希望者が少ない傾向にあります。さらに少子高齢化の影響で、労働人口も不足しています。

経済産業省の調査(2019年3月)の調査によると、2030年には最大で約79万人の人材不足が発生すると予測されています。これは少子高齢化の影響もありますが、IT業界の発展に専門知識を持つ人材の供給が追い付かないことが原因です。また、IT業界では、海外の方が日本国内よりも待遇が良いケースが多く、人材が海外へ流出する可能性があります。

このように、人材不足が深刻なIT業界では、労働人口を確保するために、初心者や経験がない人でも転職しやすい状況です。また年収に関しては、他業界と比較すると高水準です。経済産業省が公開しているIT関連産業の給与等に関する実態調査結果によると、新人は約437万円、中堅社員であれば約546万円、チームリーダーになると約726万円、国際的に有名な技術者になると1000万円以上を目指せます。年収を上げるためには、マネジメントスキルを身に付け管理職へスキルアップするのもひとつの方法です。またIT業界未経験の場合、IT技術を身に付けることで、待遇がアップする可能性高いでしょう。

IT業界の最新トレンド

IT業界の最新トレンドについて、次の5項目をご紹介します。

AIの活用

AIとは、人工的に作られた知能を備えるコンピューターシステムのことです。IT業界やさまざまな産業から注目を集めています。

AIは、人と同じように特徴から物事を判断できます。たとえば、自動車業界で自動運転ができる車の実用化に向けた開発が進んでいます。このようにAI技術の需要が高まると、学習プログラムを設計するエンジニアの必要性も高まり、エンジニアの求人数も増えるでしょう。

ARやVRの発展

拡張現実(AR)とは、実際の景色や地形などに、コンピューターを使ってバーチャルな視覚情報を与えて表示するものです。このように実際の現実を拡張させて表現することから、拡張現実と呼ばれています。現実世界に情報を重ねて分析できるAR技術は、工事前の建築物のチェックや外国語の翻訳も可能です。工事前に現場をシミュレーションすることで効率化が図れ、事故の防止にもつながります。また言葉の壁がなくなることで、グローバル化がさらに進み、経済が活発になるでしょう。

一方で仮想現実(VR)は、コンピューターで作り上げた仮想の空間に視覚映像を投影することで、リアリティのある体験ができる技術です。AR・VR技術を使ったもので分かりやすい例としては、近年流行ったポケモンGOがあります。VR技術が発展することで、現地に赴かなくても臨場感を持ってさまざまな体験が可能です。たとえば、不動産の内覧やバーチャル会議も可能でしょう。そうすることで、移動時間が短縮でき、効率的に業務を進められます。今後はAR・VR技術のさらなる実用化が進むでしょう。

EC業界の成長

ネットショッピングで有名な、楽天ショッピングやAmazonなどの大企業を筆頭に、同業他社が続々と独自サービスを展開しているのがEC業界です。最近では、送料無料や商品の品ぞろえなど、さまざまな差別化を図りつつ、消費者へアプローチをしています。ネットスーパーの新規参入も増加傾向にあり、今後ますます発展する可能性を秘めています。

5G導入

第5世代移動通信システムを指す「5G」は、高速で大容量通信ができたり、多数の機器を同時に接続出来たりする特徴があります。5G技術が普及すると、通信速度が格段に上がるため、大容量通信が今よりもスムーズになるでしょう。2020年3月には、国内でも5Gの提供が開始され、今後提供エリアが広がると予想されています。

X-Techの普及

X-Tech(クロステック)とは、すでに展開されている業界ビジネスとAIやビッグデータ、IoTなどの最先端技術を組み合わせ、新たな製品やサービスを生み出す取り組みのことです。たとえば、自動的に作物の収穫をおこなうAIロボットや種子をまくドローンなどを導入するなど、農業分野にITを組み合わせた「AgriTech」があります。

IT業界で今後ニーズが高まる職種とは?

今後のIT業界で必要とされる職種には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、今後ニーズが高まる職種と必要なスキルについて解説します。

セキュリティエンジニア

ハッキングや情報漏洩を防ぐセキュリティエンジニアは、今後のIT業界で重要な役割となるでしょう。セキュリティエンジニアの仕事は、主にセキュリティ機器の導入や不正アクセスの制御、コンピューターウイルスの感染を含むサイバー攻撃を防止することです。エンジニアとしての知識が浅い人は、セキュリティシステムのアップデートや不具合をチェックする運用・保守から始めることが多いでしょう。
IT技術が発展するほど、重要な情報をデータ化して保存する企業が増加しています。そこで適切に情報を管理し守るための技術が重要になりました。

サイバー攻撃から情報を守るためにも、セキュリティエンジニアの需要は今後高まるでしょう。必要なスキルとしては、情報セキュリティマネジメントやセキュリティ運用に関する知識などです。

インフラエンジニア

IT業界の発展に伴い、今後はインフラ全般の設計・構築・運用・保守をおこなうインフラエンジニアの需要が高まるでしょう。新たな技術によりシステムやサービスが生まれると、その技術を導入するために、インフラの構築や運用などが必要になります。そのため、IT業界で新しい技術が開発されるほど、インフラエンジニアの需要も高まるのが自然です。

新しい技術やサービスが日々生み出されるような変化の激しいIT業界では、常に最新の技術を身に付けることが重要です。システムのインフラ整備は、コツコツ続けていく仕事が多いため、根気よく続けられることを求められます。インフラエンジニアになるには、インターネットや無線などの通信インフラへの専門的な知識が必要になるでしょう。

AIエンジニア

AIの開発に携わるAIエンジニアの仕事は、主にAI技術の研究やAIを使用したデータ解析、学習モデルの開発などです。日本では、以下の3つ分野においてAI活用による取り組み目標が掲げられています。

  • 医療・介護分野
  • 農業分野
  • 物流インフラ分野

医療・介護分野では、AI活用によるデータ版の整備や医療従事者に対する教育などが期待されています。また農業分野は、AIを活用し栽培プロセスを解析し最適化することが目標です。物流インフラ分野では、インフラの点検や診断をAIロボットにさせることが期待されています。さらにAIを活用した災害発生予測技術の確立が目標です。

このように今後のAI技術の普及に伴い、AIエンジニアの需要も増加するでしょう。

IoTエンジニア

IoTとは、Internet of Thingsとなり「モノのインターネット」という意味です。インターネットと物を繋ぐことを指します。たとえば、IoTを活用すると、外出先からスマホやPCなどの端末を操作して、自宅のエアコンや電気のスイッチを入れることが可能です。IoTエンジニアは、このようなアプリケーションの開発やセキュリティなど、さまざまな分野で仕事をおこないます。近年では、IoTを活用した住宅が増えているため、IoTエンジニアの需要も増えるでしょう。IoTエンジニアには、アプリケーションの開発やセキュリティの知識など、幅広いスキルが必要です。転職前には、IoT検定やIoTシステム技術検定試験など、専門の資格を取得するのも良いでしょう。

IT業界へ転職する必要なスキル

IT業界へ転職する際に身につけておきたいスキルについてご紹介します。

プログラミングスキル

IT業界の幅広い職種で必要とされるプログラミングスキルは、ぜひ身に付けたい能力のひとつです。プログラミングとは、指定の動作をコンピューターにさせるために、プログラミング言語を用いて、コンピューターに指示することです。コンピューターを思うようにうごかせるため、アプリの作成や業務の自動化が可能になります。そのため、開発や運用などさまざまなシーンでプログラミングスキルが必要になるでしょう。

最近では、小学校からプログラミングの授業が必須科目になり、IT人材の教育に注力しています。またプログラミングスクールも次々に登場しており、プログラミングを学ぶ機会が増加。多くの人が、プログラミングを学ぶ機会を得られます。

ネットワークに関する知識

銀行や公共Wi-Fiなどの大規模ネットワークや社内の小規模ネットワークまで、IT業界の現場では、さまざまなネットワークに触れる機会があります。そのため、ネットワークエンジニアでなくとも、基本的なネットワークに関する知識は重要です。

どの職種に転職する場合でも、ネットワークに関する最低限の知識は身に付けておきましょう。

プロジェクトマネジメントスキル

予算管理能力やコミュニケーション能力などの管理能力は、プロジェクトをスムーズに進めるために重要なスキルです。どの現場であっても、プロジェクトを最後まで計画通りに進められる人材は、重宝されます。特に、エンジニアから管理職であるプロジェクトマネージャーへキャリアアップするのであれば、マネジメントスキルは必須です。IT業界に限らず重要なスキルである管理能力は、現職でも培えます。IT業界の経験が浅い場合、管理能力の高さをアピールするのも良いでしょう。

コンプライアンススキル

法令順守であるコンプライアンスは、近年厳しくなっています。コンプライアンス違反は最悪の場合、倒産する原因にもなるため組織で働く以上重要なスキルです。少し前までは、法律の専門家のみが知っておけば良いという認識でしたが、近年は会社の上層部からパート従業員まで必要な知識になっています。たとえば、著作権や意匠権などの権利侵害に関する知識や情報セキュリティに関する知識は重要です。

今後IT業界へ転職する際の注意すべき点

IT業界で働く際に注意したい2つのポイントについて解説します。

ハードワークになりがち

人材不足やクライアントからの急な要望により、残業や休日出勤が多いIT業界は、ハードワークになりやすい傾向です。しかし、会社によって残業時間は大きく異なるため、入社する際に残業時間やどの程度忙しいのかを確認してみましょう。休日や時間外には、どのような対応をするのか確認することで、自分の働き方が分かります。

IT業界は知識のアップデートが必須

IT業界は日々進歩し、常に最新のスキルを勉強する必要があります。日々勉強を続ける向上心がないと仕事が続きません。同じことを繰り返す仕事の方が合っている人には、IT業界は不向きです。一方でIT業界に対する興味や関心が強ければ、仕事を楽しめるでしょう。IT業界で働きたいのであれば、日々新しい知識を学ぶことが重要です。

まとめ

今後のIT業界は、さらに市場規模を拡大し求人数も増えると予測されています。その一方で、IT技術を持つ人材が不足しており、今後人手不足がさらに深刻化します。人手不足を補うため、未経験でも採用されることがあり、IT業界は転職先として狙い目です。次々と新しいサービスが生まれるIT業界は、好奇心の強い人に向いています。当てはまる人は、IT業界への転職を検討してみましょう。

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亀田和明

コンサルタント歴:15年以上

高校卒業後に渡豪。キャンベラ大学を卒業し、外資系大手リクルートメント会社に入社。人材紹介業界でのキャリアをスタート。ファイナンステクノロジー(金融IT)、不動産、サプライチェーン、また保険チームの立ち上げや、新規ビジネス開発などに多数従事。2012年に弊社タリスマン立ち上げから参画。Fintech領域のリクルートメントに携わり、現在はIT、金融・保険・コンサルティング・製造領域の人材紹介事業を管理しております。

国内の日系企業様はもちろん外資系企業様の、CxOレベルなどのエグゼクティブからジュニア(第二新卒)の求まで、多岐にわたる転職サポートを行っております。海外での募集要件なども常時取り揃え、日本語・英語での対応が可能です。培ってきた経験をもとに採用課題に対するソリューション提案を常に心がけております。

対応言語:日本語、英語

得意な業界:IT全般、金融、フィンテック、保険、コンサルティング

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