金融業界は未経験者でも転職できる!その背景と求められる資質とは

従来、金融業界では新卒採用がメインで、中途採用の枠はかぎられていました。しかしさまざまな要因から中途採用も増加し、その中には金融業界未経験者も多く含まれています。

そして転職志望者の中には金融業界が未経験ながらも、高水準の年収や専門性の獲得を求めて転職を考える人も増えているのが現状です。しかし、金融業界への転職は、業界未経験がマイナスにはなりません。

この記事では業界未経験で金融業界への転職を目指す人に向けて、業界未経験者採用の背景や金融業界転職のメリット、求められる資質などを詳しく解説します。記事を読めば、金融業界への転職活動に踏み出すヒントをモチベーションが上がること間違いありません。

金融業界とはどのような業界か

金融業界を端的に表現するなら、お金を融通することによって利息や手数料を得るサービスおよびその周辺のサービスを扱う業界です。

金融業界のビジネスモデルを大きく分けると「間接金融(indirect finance)」と「直接金融(direct finance)」の2種類になります。基本のビジネスモデルなので、それぞれを解説しましょう。

間接金融

間接金融とは、資金提供者と資金需要者が直接相対せず、間に預貯金取扱金融機関が入って調整を行うビジネスモデルのことです。個人や法人から預かった預金を別の個人や法人に融資する銀行は、典型的な間接金融となります。

資金の提供者と需要者が、金融機関と個別に貸借取引を行うところが間接金融の最大の特徴です。間接的な資金提供者である預金者は、どういう融資先に貸し出されるかを知ることはできません。しかし、融資先が倒産して元利金が回収できない場合に、預金は守られます。

資金提供者にとって融資先の信用を調べる手間もかからず、預金は保全されるので安全ですが、融資で生まれる利益の一部は金融機関の利益や経費となるため、利回りは小さくなるでしょう。間接金融に分類できるのは以下のような業種です。

  • 銀行
  • 信用金庫
  • 信用組合
  • 保険会社
  • 信販会社
  • クレジットカード会社
  • 直接金融

    直接金融はお金が必要な個人や法人に、直接投資や出資をする仲介を行うビジネスです。

    証券会社などが間に入り、企業などの株式の発行元と投資家の仲介として手数料を得ます。間接金融よりも利回りは大きくなりますが、資金は保全されないので元本割れのリスクがあります。なお、投資信託系の金融商品は大枠では直接投資ではありますが、実際の投資先は専任のトレーダーによって采配されるので間接投資の要素が含まれる中間的な存在です。直接金融に分類できるのは以下のような業種です。

  • 証券会社
  • 投資銀行
  • ファンド
  • ベンチャーキャピタル
  • 従来の金融ビジネスは、これら間接金融と直接金融というくくりのいずれかに当てはまっていました。ところが2010年代に入ると、部分的にはその2つのビジネスモデルの要素は持ちつつも、その概念に収まらないものが生まれました。

    それが次に紹介するフィンテックです。

    金融の新しい波フィンテック

    フィンテックとはFinance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、ITを活用した金融サービスを指します。当初はアメリカでその名称が使われるようになり、日本でも2010年代中頃から注目され、今も目覚ましい発展を遂げています。

    折からの金融規制緩和も追い風となってベンチャーや他業界からの参入により、従来よりもスピーディで低コストな送金や資金調達などの人びとのニーズに合致した金融サービスが生まれました。特にこのフィンテックは、当然ながら金融機関に大きな刺激と影響を与えました。金融企業もAIなどの最新テクノロジーを自社業務に取り入れたり、フィンテック企業と提携したりと、さまざまな新しいビジネスの可能性を拡大するきっかけとなったのです。

    そのように業界が活性化する中で金融業界未経験者に対しても、金融業界への転職の扉は開かれるようになりました。

    未経験者でも金融業界に転職できる背景

    金融業界の転職市場では未経験者に対するニーズも高まっていますが、その主な理由としては、以下の5つがあります。

  • フィンテックの台頭
  • 業務のクロスボーダー化
  • 人材の流動性の変化
  • 少子化による若手人材不足
  • 雇用に対する考え方の変化
  • 個別に見ていきましょう。

    フィンテック台頭

    フィンテックの台頭や長引く低金利政策などの影響により、2017年にメガバンク3行が大規模な人員削減を発表して話題になったことは記憶に新しいのではないでしょうか。事実その流れで、これまで人が行っていた多くの業務は徐々にAIが取って代わり、最新テクノロジーの導入で効率化が図られています。

    たとえばミドルオフィスでの不正決済対策や、フロントオフィスでのチャットボットなどでAIがすでに活躍しています。しかし、金融業界未経験でもIT関連や提携する異業種などの、今後重要度が増すであろう分野の専門スキルがある人材のニーズが増加中です。

    業務のクロスボーダー化

    業界再編による統廃合やM&Aが増える中で、国内の金融機関においてもクロスボーダーな業務や案件が増加していることから、バイリンガルの人材価値が高まっています。

    金融業界は未経験でも、語学スキルを活かせるグローバル案件に携わりたい転職志望者には門戸は大きく開かれているのです。

    少子化による若手人材不足

    金融業界は新卒採用のカルチャーが近年まで根強く残っていました。しかし、かつて学生の就職人気もトップクラスだった金融業界は、バブル崩壊と金融ビッグバンで徐々に人気が落ち始め、リーマンショックを経て優秀な新卒人材の確保は以前よりも難しくなっています。

    そして社会の少子化によって、金融業界の新卒人材の確保はさらに困難になりました。それを補うために、第二新卒などの若手を中心に中途採用で補充をしているので、業界未経験でもニーズがあるのです。

    人材の流動性の変化

    日本の企業特有の終身雇用制度は、今や崩壊しつつありますよね。それによって、転職をする人が多くなり、人材の流動性が高くなりました。

    そのため、金融業界から他業界に転職する有能な人材も増えています。業界から抜けた有能な人材を補填するためには、未経験者であって他業界から確保するしかありません。

    雇用に対するスタンスの変化

    これまで、金融業界の従来の雇用に対するスタンスは、一般的に新卒で採用して一から教育し、将来を担う人材に育てるというものでした。しかし、時代の変化の中で、他業界において豊富な経験を積んだ即戦力となる人材を採用するスタンスに変化しつつあります。たとえば、不動産業界やコンサルティング業界などからの転職だと、業界の専門知識や経験が役立つことがあります。

    これは銀行や証券会社の仕事は、クライアントである他業界のハイクラスの人たちと接する機会も多いためです。だからこそ他業界からの優秀な人材に、戦力としての価値を見出すようになったのです。

    未経験者が金融業界に転職するメリット

    業界未経験者が金融業界に転職する大きなメリットとしては、「年収が上がる」ことと「専門性が身につく」ことが挙げられます。それぞれを詳しく解説しましょう。

    年収が上がる

    未経験者が金融業界に転職するメリットは、何といっても年収が高い水準になることです。

    一般的な企業の年収は400〜600万円が相場といわれていますが、金融業業界の場合は500〜800万円といわれています。他業界と比べて100〜200万円高い水準です。同じ金融業界内でも、大手企業であれば平均年収がさらに高くなり、企業単位の平均年収として1,000万円を超えるところも多く見られます。

    金融業界が高収入である理由の一つとして、金融は規制業種であるためです。そのため参入がしにくく、競争環境は他業界と比べると緩やかです。そして、参入が難しい業種ほど年収は高くなる傾向があります。

    なぜなら競争が激しいほど価格降下圧力が働くので人件費が抑えられがちですが、競争が緩やかなら高い収益性を保てるので相対的に年収が高くなるからです。また、金融業務は専門性が極めて高く、有能な人材を確保するために好条件を提示する必要があることも年収水準が高くなる要因です。

    専門性が身につく

    次に、事業会社の社員ではブラッシュアップする機会が少ない金融・財務・投資・運用などのマネー分野の高い専門性が身につくことも、業界未経験にとって大きなメリットです。

    そういう専門知識を身につけ、後にCFO(最高財務責任者)などのポストでベンチャーに転職を目指す人も増えています。また、日本経済を俯瞰して見るスキルや将来を予想するスキル、対人営業スキルなど、さまざまな知見を深めることが可能です。

    銀行などで働けば、昇格や資格取得のための勉強もし、業務で顧客に説明するための多くの知識も身につけることになります。この知識は、金融財務のスペシャリストとしてのキャリアを志向する人にとってはプラスとなることは間違いありません。たとえプライベートの時間を勉強に当てる苦労があっても、将来の転職や起業に役立つでしょう。

    金融業界に転職する際に求められる資質

    金融業界未経験者が転職する際に、求められる主な資質を挙げると以下の6つになります。

  • 財務スキル
  • コミュニケーションスキル
  • ストレス耐性
  • 向上心
  • 情報収集力
  • きめ細かい注意力
  • それぞれを説明しましょう。

    財務スキル

    金融業界ではどんな職種においても、基本的にお金や数字を扱うことになります。そのため、財務スキルがあれば良いパフォーマンスが期待できます。

    財務スキルとは、部門ごとの収支の把握や資金を補填する手段の確保や、財務戦略の立案や実行など、お金を集めて管理するスキルです。会計基準の統一が世界的に進んでいることから国際会計の知識やスキルも重要になっています。とりわけ法人をクライアントとする業務を担当する場合は、財務スキルが欠かせません。

    金融業界未経験者でも、経理や会計の経験があるとプラスに働くこともあります。また、簿記や会計にまつわる資格があると多少有利ですが、なくても自分がお金や数字を初めとした財務に強い点をアピールできる点を探しましょう。

    コミュニケーションスキル

    金融業界で扱う商材はいわゆる無形商材なので、形がないだけに、担当者の信頼性が重要になります。顧客の要望や思いを理解してそれに見合う提案をするには、コミュニケーションスキルがなくてはなりません。

    また、対顧客以外の場面でも金融業回は他の業界よりも年功序列の風土が残っており、上位者への配慮の意味でもコミュニケーションスキルは必要です。実際に人と交流することが得意な人は、何かの縁で知り合った人がこぞって仕事の顧客にもなることもよくあります。社内および社外のどちらに対しても、必要となるコミュニケーションスキルがあることを、選考ではアピールしましょう。

    ストレス耐性

    金融業界では事業会社よりも、おおむね営業成績に厳しいという傾向があります。とりわけ証券会社や保険会社などについては成果主義が色濃いです。そのため、苦しい環境でもめげずに成果を目指せる、ストレス耐性が求められます。

    もちろんノルマが厳しいことは、必ずしも悪いことではありません。苦境をバネにして成果を上げることに喜びを感じるタイプの人にとっては良い環境です。逆に、選考で「メンタルが弱そうだ」と見られると採用圏外にされるおそれがあるので、気をつけましょう。

    知的向上心

    法律が絡んでくる金融商品の性質上、関連する必要な知識は非常に多くなります。そのため、常に勉強を続けなくてはなりません。そのように意欲的に知識を吸収し続ける原動力となる向上心があることをアピールしましょう。

    情報収集力

    金融業界にいるかぎり、経済のトレンドや競合他社の金融商品についての知識など、絶えずキャッチアップする必要があります。フィンテック関連の最新テクノロジーや、一般世間のトレンド情報も含めて、ポイントとなる情報を逃さない情報収集力が必要です。

    きめ細かい注意力

    金融業の多くは、顧客にとって大切な資産を預かる仕事です。大小のミスをかぎりなくゼロに近づけて、なおかつスピーディな対応が時代に求められています。細部に注意して、迅速で丁寧に業務を進めなければなりません。

    注意力の源泉は責任感や誠実さとも関わってくるので、選考では注意力があることをアピールしましょう。

    未経験者なら転職エージェントを活用しよう

    あなたが金融業界未経験者であれば、転職活動にぜひ転職エージェントを活用することをおすすめします。転職志望者にとって多くのメリットがある上、転職に関するさまざまなサポートを無料で利用できます。

    転職エージェントが無料で利用できる理由は、採用が決定することで企業から支払われる紹介料で成立するサービスだからです。企業の採用部門が望む人材に見合う登録者として、あなたをつないでくれるのでミスマッチも避けやすくなります。

    ここからは、エージェントを利用する転職志望者が得られるメリットを紹介します。

    好条件の非公開求人がある

    転職エージェントは好条件の非公開求人を持っています。中には経営幹部などのハイクラス求人があることも。そのため、エージェントを利用すれば、これを紹介してもらえる可能性があるでしょう。

    ミスマッチを避けやすい

    転職エージェントは、ユーザーにカウンセリングを行って、細かい希望や条件を把握し、それに相応しい企業を紹介しようとしてくれます。そのため、ミスマッチが発生しにくいでしょう。

    条件交渉や選考日程調整などを代行してくれる

    転職エージェントは、本業があるあなたに代わって選考日程の調整および、内定獲得後の条件交渉までも代行します。働きながらでは、日程調整のやりとりも大変です。また内定が出た後の条件交渉をするのは、本人では言いにくいこともあります。それらを代行してもらえるのは、労力面だけでなく精神面での負担も軽減されます。

    選考対策をしてくれる

    転職エージェントは、それぞれの企業が求めている人材イメージを理解しているので、ユーザーがより有効にアピールできるよう、応募書類のブラッシュアップや面接対策のサポートをしてくれます。模擬面接などを行ってもらえば、自信を持って本番に臨むことが可能です。

    連絡が来ない場合のフォローをしてもらえる

    書類審査や面接の結果が、なかなか来ないこともあります。そんな時は、手違いがあったのかもと、不安になるかもしれません。そんな時にもエージェントに相談すれば、確認やフォローをしてもらえます。

    転職に関する包括的なサポートがある

    転職活動では、さまざまな不安や迷いを感じますよね。特に初めての転職だといろいろわからないことが多かったり、退職の手続きに迷ったりということもあるでしょう。

    そんな時に、転職エージェントなら転職にまつわる相談なら何でも乗ってくれて、包括的にサポートしてくれます。私たちタリスマンは、外資系および多国籍企業とIT業界を中心に、金融業界もカバーする転職エージェントです。この記事でも触れたように、ITスキルがある人やバイリンガルの人は金融業界からのニーズが潤沢です。ITやバイリンガルはタリスマンが扱っている得意分野でもあるので、金融業界とのパイプ役となってきめ細かいサポートをします。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

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    まとめ

    業界未経験で金融業界を目指す人のために、業界未経験者採用の背景や金融業界転職のメリット、求められる資質などを紹介しました。

    さまざまな要因が相まって、業界未経験でも専門性を持つ人にはキャリアの選択肢が広がっています。転職のためにキャリアの棚卸しをしてみて、ここで紹介した金融業界に求められる資質を持っていると思われる方は、転職エージェントなども利用しながら金融業界へも視野に入れましょう。

    亀田和明

    コンサルタント歴:15年以上

    高校卒業後に渡豪。キャンベラ大学を卒業し、外資系大手リクルートメント会社に入社。人材紹介業界でのキャリアをスタート。ファイナンステクノロジー(金融IT)、不動産、サプライチェーン、また保険チームの立ち上げや、新規ビジネス開発などに多数従事。2012年に弊社タリスマン立ち上げから参画。Fintech領域のリクルートメントに携わり、現在はIT、金融・保険・コンサルティング・製造領域の人材紹介事業を管理しております。

    国内の日系企業様はもちろん外資系企業様の、CxOレベルなどのエグゼクティブからジュニア(第二新卒)の求まで、多岐にわたる転職サポートを行っております。海外での募集要件なども常時取り揃え、日本語・英語での対応が可能です。培ってきた経験をもとに採用課題に対するソリューション提案を常に心がけております。

    対応言語:日本語、英語

    得意な業界:IT全般、金融、フィンテック、保険、コンサルティング

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