生産性や健康にも影響!エンジニアにおすすめのキーボードと比較ポイント

ITエンジニアやプログラマーにとって、PCのキーボードは仕事の生産性や自身の健康に関わる重要な存在です。
キーボードへのこだわりはガジェットオタクだけのものではなく、むしろプロのエンジニアにこそ求められるものと言えるでしょう。

本記事では、エンジニア視点でキーボードを選ぶ際のポイントや、とくにおすすめのハイエンドキーボードをご紹介します。

キーボードはエンジニアの命

仕事でパソコンを使う人にとって、キーボードはとくに目新しい存在ではありません。
ノートPCならば本体と一体化しているし、デスクトップパソコンにも標準のキーボードが付属しています。
マウスと並んで、入力のためのインターフェイスとして常日頃から慣れ親しんでいることでしょう。

一方で、ITエンジニアやプログラマー、ライターといった職種の人にとっては、パソコンのキーボードは仕事の相棒とも呼ぶべき大切な存在です。

料理人にとっての命が包丁ならば、エンジニアにとっての命はキーボードだと言えます。
単にコードを書くためのツールではなく、一緒に仕事に取り組む相棒であり、自らの身体を預けられる仲間でもあるのです。

キーボードの使い勝手が生産性に大きく影響

なぜITエンジニアにとって、それほどキーボードが重要なのか。
その理由のひとつとして挙げられるのが、キーボードの使い勝手が生産性に直接影響するという点です。

エンジニアやプログラマーにとって、コーディングの際にブラインドタッチが必要になるのは最低限のラインと言えます。

しかし、いくらブラインドタッチができる人であっても、キーボードのサイズや形状、使い勝手が自分に合っていないと、どうしてもミスをしやすくなります。

たとえば、ノートPCの中にはキーピッチ(キートップどうしの間隔)が狭かったり、方向キー(矢印キー)の形状や並びが使いにくいものなどもあります。

「ちょっと手に合わない」「たまにタイプミスをしてしまう」程度のことでも、大量のコードを書き連ねるにあたっては、無視できないほどのロスになってしまうのです。
またタイプミスというのは、思っている以上にリズムを乱され、精神的なストレスにもつながります。

こうした理由から、コーディングの生産性を高めるためには、自分にぴったりなキーボードを選ぶことが必須と言えます。

疲労を軽減し、健康の維持にも

エンジニアにとってキーボードが重要になるもうひとつの理由が、健康に直接影響するからという点です。

ITエンジニアに限らず、キーボードを多用する職種に就いている人の中には、肩こりや腰痛、腱鞘炎などに悩まされる人が少なくありません。

こうした身体的な健康面のトラブルは、単にキーボードを打つために手を酷使しているから起きるわけではありません。
どちらかと言えば、「本人の身体に合っていないものを使っている」ために起きるトラブルだと考えていいでしょう。

キーボードを叩くという行為が影響するのは、指先だけではありません。手首や肘、その先につながる肩や首にも影響するし、ひいては身体全体の姿勢にも影響します。
姿勢に無理や負担があれば、たとえそれがちょっとしたものであっても、長時間の使用によって積もった影響は大きなものになってしまうのです。

長時間利用にともなう疲労を軽減し、身体的な健康を損なわないためにも、しっかりと自分に合ったキーボードを選ぶことが大切です。

エンジニア視点でキーボードを選ぶ際の比較ポイント

生産性や健康に影響するから重要だと言われても、ではどのような基準でキーボードを選べば良いのかと戸惑う人も多いのではないでしょうか。

とくに、これまでノートPCのキーボードや標準付属のキーボードを使ってきている人にとっては、そもそもキーボードにどのような要素があるのか見えにくいことでしょう。

そこで今回は、とくにエンジニア視点でキーボードを選ぶ際に注目したいポイントをご紹介します。

キースイッチは静電容量無接点式がとくにおすすめ

キーボード選びでとくに重要になるのが「打鍵感」です。
キーの打ち心地や感触、動きの滑らかさ、打鍵音などを総合した打鍵感は、キーボードを利用した業務の生産性はもちろん、手首や指への負担にも直接的に影響してきます。

打鍵感には、キーストローク(キーを押し込む深さ)やキーを支える軸の種類など、さまざまな要素が影響します。
中でもとくに影響が大きく、種類による差異も著しいのがキースイッチの方式です。

疲れにくさを求めるなら静電容量無接点式がおすすめ

キーボードの価格はそれこそピンからキリまでありますが、数百円で買えるような低価格なものは基本的に「メンブレン式」を採用しています。安さというメリットがある反面、機能性や耐久性には劣る面があるため、ハードな仕事の相棒には力不足です。

一方で、ハイエンド志向の高級キーボードは「メカニカル式」や「静電容量無接点式」を採用したものが主流になります。
ひとつひとつのキースイッチが独立し、反応や耐久性などに優れるほか、自分に合ったものを選びやすいという特徴があります。

メカニカル式は接点接触式のスイッチなので、カチカチとしっかりしたスイッチ感や打鍵感が好きな人におすすめ。
そして、長時間の入力作業を行うエンジニアには、非接触式の「静電容量無接点式」がおすすめです。

静電容量無接点式は、その名の通り静電容量で反応して接点がないタイプのキーボード。物理的な接触や摩擦が少ないため、打鍵感が軽くて疲れにくい、指への負担も少ないというメリットがあります。
高速な入力に向いているとされており、とくにコーディングに適していると言えるでしょう。
また、耐久性が高く、寿命が長いという特徴もあり、お気に入りの相棒として使い込みたい人にもぴったりです。

負担の少ないエルゴノミクス形状

ハイエンドキーボードは打鍵感に優れたものが多いものの、その形状までが万人にぴったりというわけではありません。
いくら良いキーボードであっても、手の大きさや肩幅、骨格などによっては、そもそもキーボードの形状が身体に合わないこともあります。

キーボードが身体に合っていない場合、とくに負担がかかりやすいのが手首です。

長時間の使用にともなって手首に痛みなどを感じる場合は、無理な姿勢によって余計な負荷がかかっているのが原因と考えていいでしょう。

こうした手首の負担を減らすには、人間工学に基づいたエルゴノミクスキーボードがおすすめ。
左右を分割して湾曲させるといったデザインが特徴で、自然な形で腕を置けるため、長時間の作業でも疲れにくくなっています。

代表的なところでは、MicrosoftのエルゴノミックキーボードやKinesisキーボードなどが挙げられます。

画像元:Microsoft

【参考】
Sculpt Ergonomic Desktop Keyboard & Mouse (スカルプト エルゴノミック デスクトップ キーボード アンド マウス) | Microsoft Hardware

 

パームレストやチルトスタンドなども活用

また、わざわざエルゴノミクスキーボードを使わずとも、パームレストやチルトスタンド、ノートPCスタンドなどを活用することで、手首への負担を抑えることもできます。

その他、キートップの形状(フラット型・凹型)も指先の疲れや痛み、ブラインドタッチの正確性などに影響してきます。

自分の骨格や姿勢にぴったりなものを見つけられると、驚くほど楽になるのでぜひ探してみてください。

キー配列にも注目

入力速度や生産性につながるという点では、キー配列にも注目する必要があります。

日本国内で販売されるPCの多くはJIS配列(日本語配列)のキーボードを備えています。
しかし、とくにコーディング作業の場合は、英語配列のキーボードの方が効率がアップします。

あるいは、一般的なQWERTY配列のキーボードではなく、DVORAK配列のキーボードや一部に独自配列を採用したキーボードを選ぶという手もあります。
慣れさえすれば、人によっては非常に扱いやすく、高速な入力が可能になります。

エンジニアにおすすめのキーボード

PFU|Happy Hacking Keyboard

プログラマーやITエンジニア御用達のハイエンドキーボードとして高い人気を誇るのが、PFU社の「Happy Hacking Keyboard」です。
HHKBといった略語を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

画像元:PFU

HHKBは静電容量無接点式を採用したプロフェッショナル向けのキーボードで、キー配列も「プログラマーが理想とするもの」になっています。
滑らかで高速な入力や、好みに合わせて機能を入れ替えるキーマップ変更機能など、こだわり派が必要とする機能を備えています。

Happy Hacking Keyboard|PFU

東プレ|REALFORCE

東プレの「REALFORCE」も、静電容量無接点式を採用した、エンジニアに人気のキーボード。キートップの形状が高速入力に適しているという特徴があります。

画像元:東プレ

ハイエンドキーボードの中にはテンキーを備えていないものも多いのですが、REALFORCEのラインナップにはテンキーを備えたフルキーボードもあります。テンキーの仕様頻度が多い人にとっては、ありがたい選択肢となるでしょう。

REALFORCE|東プレ

Kinesis|Advantage2

エルゴノミクスキーボードの代表格とされるのが、Kinesis社によるAdvantage2などのシリーズです。

画像元:エジクン技研

左右を分割しただけでなく、お椀型に凹ませた独特なキートップの配置が特徴です。
また、一般的なキーボードではSpaceキーを押すのにしか使われない親指を有効活用するデザインになっており、EnterやCtrl、Deleteキーなどの多用するキーを力強い親指で操作できます。

慣れるまでには若干の時間を必要としますが、疲労軽減や腱鞘炎予防などにきわめて効果的なキーボードとして人気があります。

Kinesis Advantage2|エジクン技研

キーボード選びの注意点

必ず試し打ちをして感触を確かめよう

ハイエンドキーボードを検討する際に欠かせないのが、購入前の実機確認です。

打鍵感の好みや手首への負担などは、文字通り人によって千差万別。絶賛している人がいるからといって、それが必ずしも自分に合うわけではないことをしっかりと理解した上で、実物での試し打ちをするようにしましょう。

取り扱いのある店頭の他、HHKBのようにショールームとして用意している場合もあります。
すでに利用している知人に試し打ちさせてもらうのもおすすめです。

使用場所によっては打鍵音にも注意

自分にとっての使い心地を求めるあまり、意外と見落としがちになってしまうのが「音」です。

ハイエンドキーボードの中には、カチャカチャ(あるいはガチャガチャ)とした打鍵音が爽快で、それが選ぶポイントになるというケースもよく見られます。

ただし、オフィスなど他の人もいる空間で使用する場合は、この打鍵音が周囲の迷惑になることもあるので注意しましょう。

価格や他者による評価よりも「自分に合うか」を優先

ここまで、ハイエンドキーボードの特徴やおすすめ機種について紹介してきましたが、あらためてお伝えしたいのは「自分に合うものを選ぶべき」という点です。

いくら高機能な高級品であっても、あるいは多くの人に高く評価されていても、それがあなた自身に合うかどうかとは別問題です。
価格や他人の評価はあくまで参考程度にとどめ、実際に試用した上で自分にぴったりなキーボードを選ぶようにしましょう。