エンジニアの転職活動には「強み」をアピール!その意義と戦略的整理法

エンジニアの転職活動においては、最終的な決め手となるものは何でしょう?それは「強み」のアピールです。書類もしくは面接においてあなたの強みを明確にアピールすることにより、選考結果は大きく変わる可能性があります。
一般的な傾向としてエンジニアは面接があまり得意ではなく、自分の強みを声高らかにアピールできないことも多いようです。そのため、志望していた企業の面接が受からないケースも見受けられます。
この記事ではエンジニアが転職活動において、自分の強みをアピールすることの大切さや、実際に強みをアピールする準備としてどう整理をするかの戦略的な考え方などを解説していきましょう。

転職活動で「強み」をアピールする意義とは?

エンジニアはたくさんいても、面接や職務経歴書で自分の強みを堂々とアピールできる人のほうが、どうやら少ないようです。だからこそ、あなたの強みを見出して整理し、明確にアピールする準備が必要となります。
「自分などには強みといえるものはない」などの控えめな考え方は、まずやめておきましょう。なにがしか強みに通じるものがあるはずです。
その強みは、次に紹介する整理法によって浮き彫りにされていくでしょう。

あなたの「強み」を3つの観点で戦略的に整理しよう!

自分の中にある強みをあぶり出すために、以下の3つの観点で自己分析してみましょう。
●テクニカルな強み
●分野を超えた強み
●個性が持つ強み
このそれぞれの観点について、転職活動で結果を出す目的で戦略的に整理する方法を、詳しく解説していきます。

エンジニアとしてのアピールの土台!「テクニカルな強み」

まずはエンジニアとしてのテクニカルな強み、すなわち技術的な知見です。訓練や実務経験を通して身につけられているスキルです。これらは、基本的にクリエイターに求められることが多いものです。
実務経験を踏まえてアピールするのは説得力があります。しかし、未だ身につけていないスキルについて尋ねられたとしたら、ただ単に「できません」で終わってはダメです。
「これから独学で習得します!」のように真摯に熱意を伝えることが重要となります。
さて、テクニカルな強みをアピールするには、具体的には以下の3つの側面からアプローチしましょう。
●開発言語の知見
●経験
●業務知識
これらを項目別に、解説していきます。

開発言語の知見

エンジニアにとって、プログラミング言語についての知見は何より強い武器になります。プログラミング能力に自信があるなら、この点を必ずアピールポイントとして強調すべきです。
ただしそうした場合、さまざまな質問をされることが想定できます。それに対して応えるための準備も必要です。
質問の中には自分が未経験の内容もあることでしょう。自分の経験をベースに話をするだけでは不充分です。色々とつっこまれることを想定して準備しましょう。
●メインとする言語の知識に穴がないか?
●その言語の歴史およびトレンドを把握しているか
●派生した言語についても理解しているか
●グローバルなトレンドを理解しているか
などを押さえておけば、応答に困らないで済むでしょう。
マネジメン職に就いているエンジニアや現場のエンジニアが面接を担当することも多いので、スキルがあるとアピールした後に受ける質問にうまく応えられなければ評価は下がります。しかし、きちんと準備をして臨み、首尾よく応答できれば内定は近づくでしょう。

経験

さまざまなフェーズにおいての業務の「経験」があることは、選考においてポイントになります。中でも上流工程の経験があると、充分なアピールポイントになるはずです。
もしコミュニケーションに自信がなく、プログラミング能力も発展途上であっても、上流工程の経験があればしっかりとアピールしましょう。
「要件定義」「基本設計」「調査分析」「顧客折衝」「マネジメント」などの、上流工程の経験をアピールすることで信頼性につながるのです。

業務知識

意外と知られていないようなのですが、エンジニアの選考において「業務知識」のアピールは大いに有効となります。
なぜなら、採用側としてエンジニアを受け入れるに際して、「即戦力になるか」「本当に実力がある」「将来的に活躍できるか」という項目について留意するからです。
面接が最終段階まで進めない理由の多くは、以下のようなものでしょう。
●悪くはないが、ぜひとも欲しいまではいかない
●他の応募者も見てみたい
●明確な強みが感じられない
要するに決め手に欠けるというのが原因です。それを払拭するためには、「自分は立派な即戦力である」と印象づけることが必要となります。
以下のような項目があれば、大きなアドバンテージになるでしょう。必ず、抜かりなくアピールしてください。
●業務知識を持っている
●同業他社での経験と実績
●類似プロジェクトでの成功体験
また、IT業界に多少のブランクがある場合は、改めて業務知識を系統立てておさらいしておきましょう。最新の業界ニュース、トレンド、キーワードなどを押さえて、ネットで調べれば情報を補完できます。
細かくとも、万全の準備をして後悔のないように臨むことが重要です。

使える人材だとアピールするもの、それは「分野を超えた強み」

「分野を超えた強み」とは他の職種でも転用できる、普遍的なスキルのことを指します。具体的には主に以下の5つに集約されます。
●コミュニケーション能力
●折衝力
●情報収拾力
●問題解決能力
●分析力
ここからは、それら個々の強みにフォーカスしてみましょう。

コミュニケーション能力

一般的にもわかりやすい強みとして挙げることができるのが、「コミュニケーション能力」です。そしてエンジニアにとって、コミュニケーションは必須スキルともいうべき重要なものといえるでしょう。
現場で仕事を進めるうえでは、色々なメンバーとコミュニケーションをとる必要があります。まわりのスタッフと仲良くやっていけることもエンジニアにとって大切なポイントです。
面接官はそういった部分も見極めようとしているので、むしろ自分からアピールするくらいでよいでしょう。うまくいけば強いアピール要素になります。
とはいえ、面接官への応答が一定水準を超えていないと逆に、「本当にコミュニケーション能力があるのかな?」と訝しがられるでしょう。
一定水準とは以下のようなものです。
●人と普通に会話ができる
●明るく人当たりがいい
●相手の話を聞くことができる
●自分の話を伝えることができる
明るい人や朗らかな人柄である場合はコミュニケーション能力をアピールすると信憑性もあり、プラスに働くでしょう。
実際にコミュニケーション能力をアピールする場合には、自分がそう思うというのではなく、下記のような表現が望ましいです。
●周りからこのように見られている
●会社の幹部からこんな風に褒められた
●現場でこのように感謝された
自分の体験談をベースに第三者の意見を盛り込むことで、説得力が増します。

折衝力

折衝力は交渉力と似ているようですが、交渉が上手いというより折衝力が高いとアピールする方が、好印象となると考えられます。
なぜなら、交渉は利害が一致する相手と、お互いが納得いく結論を導く作業です。一方、折衝というのは利害が相反する相手と問題を解決するために、駆け引きして妥協点を見出すことを指します。
つまり折衝力は、対立していて非常に難しい駆け引きや談判において、上手に折り合いをつける能力です。他国との外交や政治的な駆け引きやなども折衝となります。
端的にいえば交渉がこじれている相手と話し合うのが折衝なので、単に交渉力があるというよりも、折衝力があるという方がより高次元の駆け引きができるというアピールになるのです。
では、客観的にはどのような場合に折衝力があるといえるのでしょうか。折衝力があるといわれる人たちに共通する特徴は、おおむね以下の通りです。
●相手の視点から折衝の課題を見ることができる
●代替案を提示できる
●要求とその背景を分かりやすく説明できる

参考までに、それぞれをもう少し掘り下げてみましょう。
【相手の視点から折衝の課題を見ることができる】
相手の視点に立って折衝の課題を見ることができると、相手が本質的に求めているものは何なのかが見えてきます。
すると、相手はどこまでなら妥協できそうなのか、それは自分サイドにとって何を意味するかなどの、折り合いの落としどころを決めやすくなるのです。

【代替案を提示できる】
前述のように折衝は交渉とは違って、基本的に利害が対立している相手と行うことが前提で、自分たちの要求と相手の要求がまったく相容れない状態なのです。
そのような時に、議論を停滞させずに代替案を提示することができると糸口が見つかりやすく、折衝の進み方は大きく変わります。代替案を提示できるということは折衝力があることを意味するのです。

【要求とその背景を分かりやすく説明できる】
折衝力がある人は、ほとんどの場合説明が上手です。自分たちの希望や要求を相手に明確に伝えられないと、妥協点を探ること自体が難しくなるので、説明をわかりやすくできるかどうかは折衝の生命線ともいえるでしょう。
あなたがこういう折衝力に自信があれば、必ずアピールしてください。 例えばあなたに、「企業同士の難しい折衝をこなした」というようなエピソードがある場合は、「私には折衝力がある」という話ができるわけです。

情報収集力

あらゆる仕事において、高い情報収集力が求められます。情報収集力が高い人は、仕事を効率的にこなせるからです。
たとえば、企画を提案する際には、情報収集を行って企画を作成します。つまり、情報収集が速やかに行えると、企画の作成や提案までの時間を短縮できて、仕事全体を効率的にこなせるのです。
また、企画の提案が早まれば、実行までのタームが短くて済みます。つまり、キーマンの情報収集力の高さは、社内全体の生産性向上につながるのです。
また、情報収集力が高いと、短時間で必要な情報を豊富に集めて、人よりも多くの情報に触れられ、知識として定着しやすくなります。
さらには、幅広い情報を得ることで、広い視野から物事を見ることができます。さまざまな異なった立場の意見を知ることで、新しい発見につながりやすくなるのです。
そして何よりも、情報収集力が高いと最新情報の本質を的確に捉えやすくなります。このように、情報収集力の高さはアピールポイントとなるでしょう。

問題解決能力

問題に直面したときに、真摯に向き合って解決することが大切であり、そのためには問題解決能力が求められます。
仕事をしているうえで避けられないトラブルに遭遇することもあれば、あなたのキャリアを目指す中で、乗り越えなければならない壁もあるでしょう。
問題解決能力は仕事をスムーズに進めるだけではありません。あなたの成長にとっても大切な能力です。問題解決能力が高ければ、企業で高く評価されるので、強くアピールしましょう。
世の中に問題があるからこそ、企業に仕事が生まれます。困りごとや課題を解決することの対価として金銭を受け取ることがビジネスの基本です。そういう仕事の成り立ちからいえば、問題解決能力はビジネスに直結する能力といえるでしょう。
問題を特定し、解決に導く能力があれば、あらゆる仕事に応用できます。ましてや、この問題解決能力は決して誰もが持っている力ではありません。
問題を特定できても解決への行動ができない場合や、行動はできても問題の特定自体が的外れのような場合が多いのが現実です。その中で、問題解決能力を備えていることを経験した事例を挙げて説明できれば、強力なアピールになるでしょう。

分析力

何をどう分析したのかという具体的な話も必要ではありますが、企業が知りたいのは分析そのものではありません。ビジネスの世界では、実行に結びつかない分析にはそもそも価値がないのです。
大切なことは、その分析を元に何を実行し、どういう結果を得たかということにほかなりません。そしてそのプロセスを通して払った努力や成長できた実感を伝えることで、あなたの人となりが企業側に伝わるのです。
分析力とひと言でいっても、フォーカスする項目によって印象に大きな差が出ます。アピールする際には、まず自分の分析力とはどのようなものかを定義するべきです。
次になぜそう主張できるのかを、実際のエピソードを挙げて説明しましょう。この場合、抽象的あるいは観念的な説明は不可です。かならず数値化した目標と結果を伝えることで、アピールに信憑性が付加されます。

人間的魅力を表現するには?「個性に由来する強み」

特化したテクニカルな強みがあり、広い意味での普遍的な強みがあり、そのうえで双方を貫く根本的な人間的魅力=「個性に由来する強み」があれば、バランスよくたっぷりとあなたの強みを伝えることに成功するでしょう。
個性に由来する強みとは、これまでのあなたの人生や、仕事上の経験を通して培われてきた、いわば性格面のスキルです。
性格から発展して仕事に活かせているものを指します。良い面の「自分らしさ」を伝えるために、アピール項目に加えていきましょう。
その内容はひとそれぞれ異なりますが、あえて例として挙げるならば以下のようなことです。
●フットワークが軽い
●負けず嫌いなので目標達成への意欲が強い
●失敗を引きずらない
●自分で考えて主体的に動く
●発想が柔軟
●周りを明るくする
●仲間と何かを成し遂げるのが得意
●好奇心が強く新しい知識に対して貪欲

まとめ

自分の「強み」を「テクニカルな強み」「分野を超えた強み」「個性に由来する強み」3つの観点で、あなたの「強み」をまとめてみてください。どれかひとつに偏ることなく整理してみるよう心がけましょう。
ある程度整理ができたら、その内容が自分らしいものになっているかどうかを確認してみてください。きれいにまとめることは大事ではありません。
あなたがこれまでの経験やこなしてきた仕事を振り返り掘り下げた、堂々たるオリジナルになっているかどうかです。平均的なものでは強みとしてアピールする力に欠けます。
まわりの信頼できる人に、客観的に内容をチェックしてもらって意見を聞くのも、表現をさらに工夫するのに役立つことでしょう。念入りに、そして戦略的にあなたの強みを武器として、転職活動でアピールしていってください。

Talisman編集部

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