どんなテーマでもコーチできる人材へ【中途採用の新人教育コーチング8】

8回連続で中途採用者の新人教育の様子をコーチングOne on Oneでお伝えしてきましたが、今回が最終回です。

篠原の各部署が納得できる優先順位でシステム改修案をまとめるためのマトリックス指標を説明するプレゼンテーションは成功したようです。

今日は、佐久間と菅沢とのOne on One です。

背景
彼らはオミヤゲドットコムという会社のプロジェクト推進部の社員です。
プロジェクトマネージャーの佐久間はチームメンバーの成長のためにOne on Oneをコーチングで行っています。今回部下の菅沢に新しい中途採用者が入社しました。篠原のミッションはMade in Japan以外の製品をより分けるEXOシステムの改修案のとりまとめです。

主な登場人物:
佐久間省吾 35歳 プロジェクトマネージャー
菅沢莉子  32歳 プロジェクトリーダー 佐久間にレポート
東堂聡志  28歳 プロジェクトリーダー 菅沢にレポート
篠原大輝  29歳 プロジェクトメンバー 菅沢にレポート

第1回目はこちらから

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ティーチングかコーチングか?【中途採用の新人教育コーチング1】 - 35ish

<どんなテーマでもコーチできる人材になる>

佐久間
「菅沢さん 今日のOne on One はどうされますか」
「そうですね。できれば、今日はコーチングのアドバイスを受けたいです」
菅沢
佐久間
「すっかり、プロ並みのコーチをされているかと思いますが」
「そんなことないです、毎回フィルターに悩まされていて、相手の沈黙も苦手で」
菅沢
佐久間
「そうなんですね。新人の篠原さんは、菅沢さんとのコーチングOne on Oneがすごく充実した時間だと言ってましたよ」
「はぁ。それはありがたいです」
菅沢
佐久間
「『逆登山』してみたそうですね」
「はい。私と東堂さんより、私と篠原さんの方が似てると思ってたんです。漠然とした不安を抱えて、なかなか正体にたどり着かない。以前、佐久間さん、私が東堂さんの昇進申請書類を作っている時にやってくださったのを思い出して」
菅沢
佐久間
「そうだったんですね。あの時も書類は完璧だと思うけれど、どこか不安だと言ってましたね」
「はい。あの逆登山で、より確実な推薦文を取りに行くというアクションプランを出して、ビジネス統轄のマネージャーにお願いして、書いてもらいました」
菅沢
佐久間
「どうしても一発で通したいといってましたね」
「あの方法は自分の心の靄に光を当ててくれたので、似たタイプの篠原さんにも同じように作用するかと思いました。佐久間さんのように『苦労した点』とか、『力になってくれた人はだれですか』とか、いろんな角度では聞けませんでしたが」
菅沢
佐久間
「篠原さんのプレゼン資料、よくなってましたね。内容がプレゼンを聞く側の立場に立ったものになってました」
「本人が成功の秘訣を自分のなりに深堀りした結果です。やはり底力あります。彼」
菅沢
佐久間
「控えめな雰囲気の彼のプレゼンの練習をしたのも大きかった」
「その節はプレゼンの指導をしてくださってありがとうございます」
菅沢
佐久間
「部内のいい練習になりましたね。東堂さんも彼の練習をみていて、自分ももっと上手になりたいと言ってましたし」
「自分はいつも勢いでプレゼンするのに?」
菅沢
佐久間
「篠原さんのこの短期間での成長は部内にも良い影響を及ぼしましたね。菅沢さんのコーチングのおかげです」
「いいえ、私、最初、篠原さん相手にコーチングは難しいのではないかと思っていました。けれど、沈黙についてアドバイスいただいてからは、沈黙を恐れなくなりました。つい、言葉を出してしまいそうになるフィルターは抑えられないのですが」
菅沢
佐久間
「フィルターは誰の心にも浮かびます。それを顔に出さない。言葉にしないこと。そしてフィルターに自分も引っ張られないことです。フィルターだと気づいていることが一番大事ですから」
「そうですね」
菅沢
佐久間
「あの篠原さんのプレゼンのあと、力強いメンバーが増えたと、ほめてくれたマネージャーがいましたよ」
「え! そうなんですか! それは篠原さんの目標達成の証です。是非伝えなくては」
菅沢
佐久間
「そうして差し上げてください。どうですか。篠原さんは、中途採用の新人として立ち上がったと思いますか」
「はい。ある程度、本人も自信がついたと言っていましたので、これからの活躍が楽しみです」
菅沢
佐久間
「そこまで、うまくコーチングOne on Oneができるようになったのなら、私のコーチングもお願いしようかな」
「え? なにか、前に進みたいことがあるんですか? 佐久間さん」
菅沢
佐久間
「そうですね。私の次のステップについて考えていたので」
「え? 転属、もしくは転職ですか? 佐久間さん、この部を見捨てるんですか?」
菅沢
佐久間
「はは。菅沢さん。見捨てるってそれこそ、決めつけのフィルターですよ」
「佐久間さん抜きのプロジェクト推進部は考えられません」
菅沢
佐久間
「誰かが部を離れれば、他のメンバーが育ちますよ」
「嘘ですよね」
菅沢
佐久間
「私が常に次のステップについて考えていることは嘘ではありません。菅沢さん、自分の部下や、同僚が次のステップに進みたい、もしくは、会社を辞めたいと言った時にも、その人の人生が前に進むようにコーチできる人になってほしいですね」
「それは、私に対する期待でしょうか」
菅沢
佐久間
「はい。そうです」
「まだまだ、相当、佐久間さんのご指導が必要です。でも、期待してくださっているのであれば、どんな場合でもコーチできる人を目指したいです」
菅沢
佐久間
「いや、これで安心して次にいける」
「佐久間さん!」
菅沢

コーチングのチェックポイント

沈黙は相手が考えている時間です。じっくり待ちます。

相手の話を聞いている時に心に浮かぶ様々な声をフィルターと呼びます。フィルターに気付いても出さない事が大事です。

達成したときの現象を決めておき、実際に現象を確認できたら、コーチもコーチされる側も確認して承認し、喜びを分かち合います。

まとめ

中途採用の新人教育は、全くの新人扱いではなく、キャリアある成熟した人間として行う必要があります。

それには、ティーチングとコーチングの割合をよく考えて対処しましょう。そして、部内部外でも適切な期間内に戦力となって生き生きと会社になじんで行ってくれるようにサポートします。

8回に渡ってコーチングOne on One のセッション例を物語形式でご紹介しました。ご自身が中途採用で入社する、もしくは、中途採用者の新人を部下に迎える方の役に立つことを願っています。

最後までお読みいただきありがとうございます。
コーチングや今回のポイントのご質問など、ぜひFacebookやメールでメッセージください。お待ちしております。

*この物語に登場する人物名、団体名、システム等はすべて架空のものです。

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