転職での履歴書の志望動機は書き方次第で印象が段違い?必勝メソッド解説

転職の選考において、履歴書の中でも特に重要な部分は何と言っても志望動機です。
新卒の人たちとは違って、すでに社会経験を積んできた応募者が職場を変えてその企業を志望するには、それなりに確固たる動機があるはずでしょう。
書類選考の段階で読まれる志望動機の内容次第で、印象はいかようにも変わります。しかも、書類選考の段階で外されては、面接でアピールするチャンスをも失うのです。
そうならないように、また書類選考を通過した後の面接でも、ライバルに差をつけられる力強い志望動機であるべきでしょう。
この記事ではあなたの印象を高め、ともに働きたいと採用担当者に感じてもらえるような、志望動機の書き方の必勝メソッドをお伝えします。

企業が志望動機を確認したいそもそもの理由とは?

まずは企業が書類選考において、志望動機を確認したい理由を紐解いてみましょう。それを理解すれば、そこから逆算して、志望動機の効果的な書き方につながるからです。
企業が志望動機を確認したい理由は、大きく分けて以下の2通りあります。
●理由1:入社意欲の強さを知るため
●理由2:ミスマッチを避けるため
それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。

理由1:入社意欲の強さを知るため

かりに、同程度の能力や経験を持っている応募者が複数名いて、ひとりが採用される状況を想定してください。
能力や経験が同じレベルであれば、採用担当者にとっての判断の決め手は応募者の熱意、つまり入社意欲の高さになると考えられます。誰しも、ともに頑張りたいと心から思っている人と働きたいからです。
とはいえ、面接においては各人が必死に熱意をアピールするので、差はつきにくいでしょう。
しかし、最初に出された履歴書の志望動機は、あなたの「志望」という行動の根底にある原因そのものなのです。
そこに企業側が納得のいく動機と強い入社意欲が書かれてあれば、ともすれば面接のアピール以上の効力を発揮する場合もあります。

理由2:ミスマッチを避けるため

応募企業の採用担当者は、非常に責任が重大です。
というのは、もし採用した人材が、いざ働き出してみると自社の仕事や考え方にそぐわずに退職したならどうでしょう。
企業にとってもその人材にとっても貴重な時間や労力、そしてコストを無駄に使うことになるのです。
だから「ミスマッチ」は絶対に避けたいと、採用担当者は考えます。
その人材が活躍できる場が自社にあるか、企業風土に馴染めそうか、自社の目指す方向性と相容れる考え方をしているか、そもそも自社の人材ニーズに合致しているのかなどを深く吟味するはずです。
きちんと書かれた志望動機からは、応募者が仕事をする上で重要視しているものは何かという、仕事に対する価値観が伝わってきます。
その価値観を自社で満足させられるだろうかと、採用担当者は考えるでしょう。
それを満足させることができなければ、やがて自社からも去っていくかもしれないと判断されかねません。

志望動機が転職理由とリンクしていることが重要

転職活動の場合の志望動機は、転職理由とリンクしているかどうかが非常に重要です。これは、初めて就職する新卒の場合の志望動機と根本的に違うところでもあります。
わかりやすく説明していきましょう。
あなたは仕事に関して、A社では満たされないからこそ転職を決めたのです。満たされていたら、通常は辞める必要がありません。
B社を志願するのは、A社で満たされなかったものを満たしたいからです。ということは、転職希望者の志望動機はそもそも転職理由にリンクしていなくては、話がつながりません。
企業が指定しなければ、転職理由は履歴書や職務経歴書に必ずしも記載する必要はありません。しかし、いずれにしても面接では転職理由を尋ねられるでしょう。
転職理由を選考書類に書くにせよ面接で初めて伝えるにせよ、履歴書に書かれた志望動機とリンクしており、矛盾のないように準備しておきましょう。
もし矛盾があると、本音が隠されているのではないかなどと疑われるかもしれません。あるいは、給与や待遇面などの条件だけで自社を選んだのではないかなどと思われる可能性もあります。

そもそも「安易」な志望動機ではマイナス要素に

注意点として、いくら転職理由と志望動機がリンクしていても、そもそも安易な動機であればマイナスです。
「むこうじゃ無理、じゃこっちで」のようなニュアンスになって、自ら改善の行動を起こさずにすべて企業のせいにしていると思われかねません。
「うちでもちょっと上手くいかなければ、簡単にやめていきそうだ」というジャッジにつながる可能性が高いでしょう。
転職理由が第三者が納得できるものであることはもちろん必要ですが、それだけではありません。
きっかけとなった問題に直面した時に、安易に転職を決めたのではなく自分からどういうアクションを起こし、どんな経緯の果てに転職を決意したのか伝える必要があります。

同業界か他業界かによる志望動機の書き方の違い

転職を希望する企業の属する業界が、現職(前職)と同じ業界なのか別の業界なのかで、志望動機の効果的な書き方も変わってきます。

同業界への転職の志望動機

現職(前職)と同じ業界を志望している場合には、転職を決意するに至った経緯をポジティブな表現で記載しておくことが望ましいでしょう。
実際はネガティブな要素があったとしても、それを入れると逆効果ですので、注意が必要です。
自分が培ってきたその業界のスキルを、さらに伸ばしたいというように、転職によってさらなるスキルアップの可能性があることを示さなければなりません。
そして、今後その企業で伸ばすスキルをもってどういう方向性の仕事を手がけたいかを具体的に結びつけられれば、志望動機の信憑性が高くなります。

他業界への転職の志望動機

現職(前職)と別の業界を志望する場合には、業界研究や企業研究が充分になされているかが問われます。研究で得た知識と実際に有している知見から、想像力を働かせましょう。
応募先企業の仕事に自分のどういう部分を活かして、どのような仕事にトライしたいかを、熱意を込めて意欲あふれる筆致で書き上げるのです。
自分がもっとも得意としていた領域が活かせる部分を、的確に捉えて書くことで志望動機がパワーを持つのは間違いありません。

「結論」「裏付け」「意欲」の3段階メソッドで!

ここでは、いよいよ志望動機の書き方の効果的なメソッドを紹介します。志望動機は「結論」「裏付け」「意欲」という3段階でストーリー性を持たせて書くと相手に伝わりやすく、共感を得ることを助けるのです。
どういうことなのか、順を追って説明していきましょう。

「結論」を冒頭に提示する

まず、第1段階は冒頭で志望動機の「結論」を書きます。「これこれこういうわけで貴社に志願いたします」という結論を、一文にまとめて、細かい部分は後から補足すればよいのです。

参考例を挙げておきましょう。

A:私は業界内でも個性的なサービスを次々に展開する貴社で、世の中をより良くするためのソフトウェアの開発に従事したいという思いから志願を決意しました。
B:長い伝統を持ちながら革新的な商品を常に市場へと送り出している貴社にて、私のセールススキルをぜひ活かしたいと考え、志願をさせていただきました。
C:業界をリードする実力を持ちながら、どこまでも顧客を大切にする貴社に深く共鳴した私は、他業界からではありますが〇〇〇での経験を活かして貴社のマーケティングに貢献したく、この度志願することを決めました。

「裏付け」として根拠を明示する

第2段階は冒頭の結論が導かれるに至る「裏付け」をする段階です。志望の背景にある根拠を具体的に明示するのです。

A:この3年間を通じて職場で磨いてきた〇〇〇〇のスキルや、将来のために自費でスクールにて学んできた〇〇〇〇のノウハウは貴社の〇〇〇〇の分野で活かす事ができると深く確信するものです。
B:現職として関東一円で新規顧客の開拓と、既存顧客の取引高を2年連続で向上させてきた私のセールスマンとしての実績は、貴社の〇〇〇〇の領域に必ずや貢献できるに違いないと考えております。
C:〇〇〇部門でのマーケティングに従事した4年間で得たものは、業界や業種を超えた販売プロモーション構築の考え方であり、それは貴社のマーケティングにも大いに役立つものだと強く認識している次第です。

「意欲」にて自分と企業のマッチングを肯定する

「結論」と「裏付け」で、ほとんど勝負はついているのかもしれませんが、もう一押しです。最終段階にて「意欲」を表現することで「自分と応募先企業のマッチングを肯定」して締めましょう。

A:これまでに培ってきたものをすべて総動員して、貴社の大いなる躍進の原動力の一部となる希望を抱き、志願をいたします。
B:貴社が業界地図をダイナミックに塗り替えてゆく様を、自分もその一員として現場で経験させていただくためにも、勇んで志願をさせていただく次第です。
C:10年後には貴社のマーケティングの中枢で貢献している自分を思い描いて、大きい一歩を踏み出すつもりで志願いたします。

ここまでは「結論」「裏付け」「意欲」の3段階を分けて解説しました。それでは、その3段階を踏まえて書かれた志望動機の参考例A〜Cを、全段階を通して一気に読んでみましょう。

A:私は業界内でも個性的なサービスを次々に展開する貴社で、世の中をより良くするためのソフトウェアの開発に従事したいという湧き上がる思いから志願を決意しました。
この3年間を通じて職場で磨いてきた〇〇〇〇技術や、将来のために自費でスクールにて学んできた〇〇〇〇のノウハウは貴社の〇〇〇〇の分野で活かす事ができると深く確信するものです。
これまでに培ってきたものをすべて総動員して、貴社の大いなる躍進の原動力の一部となる希望を抱いて、志願をいたします
B:長い伝統を持ちながら革新的な商品を常に市場へと送り出している貴社にて、私のセールススキルをぜひ活かしたいと考え、志願をさせていただきました。
現職として関東一円で新規顧客の開拓と、既存顧客の取引高を2年連続で向上させてきた私のセールスマンとしての実績は、貴社の〇〇〇〇の領域に必ずや貢献できるに違いないと考えております。
貴社が業界地図をダイナミックに塗り替えてゆく様を、自分もその一員として現場で経験させていただくためにも、勇んで志願をさせていただく次第です。
C:業界をリードする実力を持ちながら、どこまでも顧客を大切にする貴社に深く共鳴した私は、他業界からではありますが〇〇〇での経験を活かして貴社のマーケティングに貢献したく、この度志願することを決めました。
〇〇〇部門でのマーケティングに従事した4年間で得たものは、業界や業種を超えた販売プロモーション構築の考え方であり、それは貴社のマーケティングにも大いに役立つものだと強く認識している次第です。
10年後には貴社のマーケティングの中枢で貢献している自分を思い描いて、大きい一歩を踏み出すつもりで志願いたします。

志望動機に盛り込むべき3大要素

志望動機を書く際に、内容に盛り込むべき3つの要素があります。
●他社ではなくその企業にこそ入社したい
●応募先企業が求める人材である
●自分の成長が応募先企業の発展につながる

他社ではなくその企業にこそ入社したい

同業他社ではなく、まさにその企業にこそ入社したいという気持ちを表現する内容が盛り込まれていなければなりません。
そこが曖昧であれば、「この人はうちでなくて同業他社でもいいんだろうな」などと思われてしまいます。
志望動機の書き方3段階メソッドの第1段階「結論」部分でそれをしっかり示しましょう。

応募先企業が求める人材である

応募先企業の概要や求人の内容を把握せずに応募しているとしたら、志望動機が先方にとって非常にズレたものに感じるでしょう。
大前提として、求人の主旨を深く理解した上での志望動機でないといけません。応募先企業が求める人材に「立候補」する宣言が、履歴書の志望動機なのです。
たとえば、グローバルに市場を開拓できる人材を求めている企業に、英語力が低い人が応募してもまず務まらないでしょう。
あるいは、大きくなった組織の後方支援をする有能なバックエンドの人材を求めている企業に、事務方の経験がない人が応募しても即戦力にはなりません。
つまり、志望動機には求められている人材の範疇に入っている事が伝わらなければ意味がないでしょう。
志望動機の書き方3段階メソッドの第2段階「裏付け」の部分で、先方の求めている人材の枠に入っていることを盛り込んでおきたいものです。

自分の成長が応募先企業の発展につながる

今の時代は旧来の滅私奉公の考え方とは違い、企業と個人がともに栄えるWin-Winの関係性が大切であり、企業の発展と個人の成長や利益が表裏一体であるべきでしょう。
よって志望動機には、あなたの成長が応募先企業の発展につながることを示す内容であって欲しいものです。
志望動機の書き方3段階メソッドの最終段階「意欲」の部分でそれをしっかりと盛り込みましょう。

要注意!落とし穴がある2つの定型表現

ここまで志望動機や志望理由の書き方・伝え方を説明してきました。最後に、採用担当者にマイナス印象を与えてしまうかもしれない「落とし穴」がある定型表現を紹介します。
用意した志望動機がそれらに該当しないか、必ずチェックしてみてください。

「企業理念に共感」は諸刃の刃?

「企業理念に共感しました」という類の表現は、志望動機においてよくある定型表現です。この表現そのものがNGというわけではありません。
ただ、具体的に「どの部分」「どういう面」に共感したのかが書かれていなくて漠然と「共感」していても、まったく先方には響かないでしょう。
むしろ、「どの企業にでも同じことを書いているのだろう」などと思われかねません。

「学ばせていただきたく」で謙虚さを出すのは逆効果

「学ばせていただきたく思っております」などの表現は、謙虚さをアピールするつもりで志望動機の中にしばしば使用される表現ではあります。
しかしこれは新卒ならともかく、中途採用に企業が求める「即戦力」からは遠ざかる表現になります。謙虚というよりは「受動的」なのではないかと思われかねないのです。
求められる即戦力の人材であることをアピールするなら、受動的とは対極の「能動的」であるべきでしょう。
参考例A〜Cには、すべて能動的に応募先企業の仕事に絡んでいく意志が書かれているので、受動的と取られることはまずありえません。

履歴書の志望動機欄記載の注意事項

いくら先方に採用意欲を抱かせる素晴らしい志望動機が書かれてあっても、書き方が記載のルールにのっとっていない場合は「独りよがり」な印象を与えかねません。
しっかりと練り上げた志望動機のストーリーを無駄にしないように、履歴書作成の際に覚えておくべき基本的な記載のルールをおさらいしておきましょう。

応募企業は「貴社」と記載

話し言葉では応募先企業を「御社」を使いますが、履歴書での書き言葉では「貴社」を使用します。ともすれば混同してしまうので注意が必要です。

段落分けする

意味のまとまりで段落に分けておきましょう。そうすることで採用担当者も読みやすくなる上に、内容が伝わりやすくなります。
3段階メソッドで書く場合の「結論」「裏付け」「意欲」がそれぞれ段落になっていれば問題ないでしょう。

ほどよい文字数にまとめる

志望動機の適切な文字数の目安は、200以上300文字以内とされています。
それ以上になると冗長感が出るでしょう。それ以下なら少し淡白な感じになりかねません。
参考例では200〜250程度にまとめてあります。

まとめ

転職活動において、応募先企業にともに働きたいと感じてもらえるような志望動機の書き方である3段階必勝メソッドを、盛り込むべき要素や落とし穴がある表現などに触れつつ紹介しました。
真摯に練り上げた志望動機は書類選考を通過させることはもちろん、面接においてもあなたの入社意欲を補強する材料となることは間違いありません。
転職活動に励むみなさんは、どうか応募先企業や業界の徹底した研究、自身の過去の実績の棚卸しや自己分析を経て、それらを結びつける整合性の取れた志望動機を書き上げ、自信を持って選考に臨みましょう。

Talisman編集部

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