45歳でも外資系企業に転職できるの?年齢別の外資系転職事情も解説

ビジネスパーソンは45歳を過ぎると、大幅な年収アップは難しいといわれています。また、一般的に転職が難しくなるとされるのも、45歳あたりです。すなわち、ビジネスパーソンにとっての45歳は、いろいろな意味でのキャリアの分水嶺となる年齢です。
とはいえ45歳であっても、外資系企業への転職に成功すれば、確実に年収を上げることができます。実際にそういうキャリアパスを歩んでいるビジネスパーソンも多くいるのです。
新卒から日本企業で働いてきて、45歳になって初めての転職が外資系企業のディレクタークラスのポストであり、年収も大幅にアップするというケースもあります。
そういう可能性を秘める外資系企業への転職ですが、もちろんそのハードルは決して低くはありません。そのため、外資系企業への転職を視野に入れつつも、先入観や情報不足のために、必要以上に不安を抱く人もいることでしょう。
この記事では外資系企業への転職を目指すみなさんに向けて、外資系への転職と年齢に関する実情をさまざまな角度から掘り下げてご紹介します。

外資系企業への転職と年齢の関係

年齢と仕事のスキルの関係は、本来は個人差があるものです。しかし、転職市場において年齢は、良くも悪くも大きな要素といえます。ここでは一般的に仕事や人生の節目となる年齢ごとに、外資系企業への転職事情を見てみましょう。

25歳の転職の場合

25歳前後のうちは、英語ができてポテンシャルも感じられるのであれば、外資系企業への転職が比較的スムーズであると考えられるでしょう。現実に第二新卒での外資系への転身の例は、数多くあります。
もし大学卒業後のキャリアに寄り道があったとしても、大いにチャンスはあるといってよいでしょう。ドラスティックなキャリアチェンジにもどんどんチャレンジできる年齢といっても過言ではありません。

35歳の転職の場合

本メディア『35ish』の主役である35歳の外資系企業への転職志望者のみなさんは、やはりそれまでの経験とスキルの蓄積が問われます。培ったノウハウやスキルを活かせるポジションであれば、外資系企業への転職も成功する可能性が非常に高いといえるでしょう。
しかも、ドラスティックなキャリアチェンジを図ろうとする場合さえも、外資系企業にとってまだ受け入れることができる年齢です。
その場合は、通常は読まれることが少ないといわれる「カバーレター」に、熱い想いを注ぎ込んで書くことが大切でしょう。採用側は職歴と求人ポジションに大きいギャップがある場合は、読み返してくれることが多いようです。
実務経験がないのになぜその仕事ができる確信があるのか、なぜその企業に入りたいのかなどについて、情熱を込めて書くことで可能性が高まることもあり得ます。
ともあれ35歳は総合的に、外資系企業を目指す人材にとって「分岐点」ともいえる年齢です。

45歳の転職の場合

さて、本稿のメインテーマである「45歳」は、日本企業で働いていて外資系に転職するというチャレンジにとっては、ラストチャンスに近いかもしれません。そして、それまでの経験とスキルがこのうえなく重要となります。
外資系から外資系への転職は別として、日本企業からの45歳の人材を外資系企業が受け入れるのは、マネージャーやディレクタークラスの重要なポジションが多くなるからです。
たとえばそれまでエンジニアをやってきた人が、転職してセールスになるなどのキャリアチェンジを伴う転職は非常に難しくなります。同年代やもっと若い世代ですでにエキスパートといえる人材がいくらでもいるので、わざわざ経験がない45歳を採る必然性はないからです。
また、人はどうしても環境に左右されるので、前職が長ければその影響を色濃く受けます。仕事に対する価値観や進め方、ビジョンなど、自分自身では染まっていないと考えていても、知らぬ間にそこの企業風土が染み付き、企業文化を背負ってしまうものです。
若いうちはフレキシビリティが旺盛なので、新しい環境に順応しやすいのですが、どうしても年齢が上がれば上がるほど、順応するのに時間がかかったり、新しい職場のさまざまな部分に疑問を感じたりします。
そういうマイナス要素を払拭して自己を鼓舞することが、45歳外資系転職志望者には必要です。
ちなみに、45歳でドラスティックなキャリアチェンジを目指すのであれば、現在の勤務先の規模にもよりますが、社内異動を希望するのがより現実的でしょう。仕事ぶりを熟知している上司であれば、異動を後押ししてくれる可能性があるからです。

50歳の転職の場合

残念ながら50歳を超えると、外資系への転職が厳しくなるのは否めません。もちろん例外はあり、前職で実力がある役員レベルの場合は引き合いもあり得ます。
しかし一般的には、まだまだ健康でバイタリティもあり経験も豊富であっても、年齢によって書類選考を通過しないことが多くなるのは事実です。
その状況で外資系企業への転職に活路を開くには、人脈を辿ることが功を奏する場合も考えられます。過去に関わったことのある上司、同僚で現在外資系に勤務している人がいれば、コンタクトを取ってみる価値があるといってよいでしょう。
そこで求めている人材の枠に合致するのであれば、リファレンス(推薦)による選考ということがあり得ます。リファレンスは間に転職志望者の人となりを知っている人がいるので、その分だけ有利です。
今後ますます人が仕事に携わる年数は延びてゆくでしょう。現在はまだ若い人はもちろん、35歳という分岐点にいるみなさんも、45歳のみなさんも、50歳以降の将来を見据えての「人脈作り」も大切に育んでいただきたいものです。

外資系企業マネージャーは45歳で転職しがち?

すでに外資系企業で勤務する45歳ビジネスパーソンの転職に関して、参考までに触れておきましょう。

外資系企業の人材の新陳代謝

外資系企業のマネージャーやディレクタークラスで45歳を超えていて高いパフォーマンスが出せなくなると、自然と去ってゆくことが多いようです。そして彼が抜けた新しいポジションには、35歳くらいの人材を迎え入れ、人材の新陳代謝が行われます。
ある程度の年齢に達していて、良好な結果が出せずに去ってゆく人たちはどうなったのでしょうか。実は、去った人の多くは同じ業界内の前職よりも規模が小さい外資系企業に、前職同様のポジションで転職します。
名の通った外資系企業でのマネージャーであれば、同じ業界の企業にランクが上のディレクターとして迎え入れられることもあるのです。
充分なマネジメント経験やスキル、業界知識を持った人材を、受け入れ側の企業は求めています。この場合、報酬に関しては少なくとも前職と同程度かそれ以上の場合が多いようです。

外資系における「人材の流動性」のメカニズム

外資系企業に限らず多くの業界で、売上規模の大きい企業を頂点としたヒエラルキーが形成されています。そして特に外資系企業の場合、上位の階層の企業に属していた人材が1段階もしくは2段階下の階層の企業へと転職するのです。
これが外資系企業は人材の流動性が高いといわれるメカニズムのひとつの様相であり、日本企業のように同じ企業内で部署をめぐり歩くのとは、少々事情が異なります。

45歳で外資系企業に転職するために知っておきたいこと

ここでは45歳の外資系企業への転職志望者にとって、ぜひ知っておいた方がよい項目をご紹介しておきましょう。

報酬の増減について

外資系企業はパフォーマンス次第でそれに見合う報酬が得られる一方、パフォーマンスが低いと報酬が減ってゆくのは事実です。その部分の覚悟は必要となります。
ただしそれは、あくまでもセールス部門営などの結果が報酬に直結する職種の話です。バックオフィスや秘書などのサポート系の業務であれば、少々状況は異なります。
大幅な報酬アップのチャンスは少ないかもしれませんが、真摯に仕事に向き合っていればある程度安定した報酬を得られるでしょう。

解雇について

外資系企業は突然の解雇も日常茶飯事だという声も一部にありますが、果たしてそうでしょうか。
たとえば海外の本社の判断で、急遽日本市場から撤退する場合においては、突然の転勤や解雇の可能性はあります。しかしその他の理由での一方的な解雇は、実はほぼないのが実情と考えてよいでしょう。
また、しかるべき理由で解雇を言い渡されたとしても、突然収入が途絶えるわけではなく、在職しつつも出社はしないで,転職活動に勤しむことができます。よって、当座の収入の心配はありません。また、転職先を斡旋、あるいは紹介してくれることもあります。
外資系は何かあるとすぐに解雇されるという印象があるなら、それは間違いなので訂正しておきましょう。

英語力について

外資系で働くことを望む人材の英語力について、当然ある方がよいのは事実です。しかし絶対に必須項目かというと、そうとも限りません。外資系企業の中には、英語力不問のところも存在します。
つまり外資系の中にも海外資本が100%の場合もあれば、海外資本は3分の1で日本人スタッフが多い企業もあります。また、外資と日本企業の合弁会社である外資系企業もあるでしょう。
まったくできないと問題ですが、必ずしも高い英語力が求められるわけではありません。
英語力に自信がない場合は、簡単な日常会話レベルの英語ができれば問題がない外資系企業にフォーカスしてアプローチすれば、採用の可能性は上がるでしょう。

キャリアプランについて

45歳で外資系企業への転職を希望する場合、次に入る企業が最後の職場だという意気込みで転職活動をする人も多いようです。しかしながら現代では、日本企業すら終身雇用がどんどん崩れつつあるといってよいでしょう。
今後は、リタイアするときが来るまでその会社で働くという考えよりは、その年齢に合わせた仕事の内容や働き方、収入を考えることが現実的です。まずは目の前の5年、そしてその先の5年のキャリアを考えるのが賢明といえるでしょう。
また、キャリアプランの中に、さらにその次の転職も視野に入れることも意義がある考え方です。というのは、一般的には50歳以降の転職は厳しいとされますが、前述のように外資系企業から同じく外資系の企業への転職は、充分チャンスがあるのです。
このあたりは、転職によって年収アップを目指す外資系企業ならではの特徴といえるでしょう。実績を着実に積んでゆき、5年後にさらなる好条件での新たなる転職にチャレンジすることも不可能ではありません。

業界の専門知識&スキルについて

専門性が高いプロダクトや特化したサービスに携わる外資系企業への転職には、当然専門知識や専門性が高いスキルが有利になります。
そうでなくとも、45歳という年齢であれば、受け入れ先の企業が絶対条件として求めるのは、即戦力となるスキルであり深い専門知識であることは間違いありません。
それまでの業務に携わってきた実績はもちろんとして、部下との良好なコミュニケーションでチームとしてのパフォーマンスを向上させるマネジメント能力なども、外資系企業が45歳の転職志望者に求めるスキルといえるでしょう。

自信について

日本の精神文化においては謙虚であることが美徳とされるので、企業内であまりにも自己の優位性を強く打ち出すと、周囲からは距離を置かれてしまうことが往往にしてあります。
しかし外資系企業では日本人の持つ謙虚さという美徳は、ともすれば自信のなさに誤解されることもあるのです。
自分が持つ、人に誇ることのできるスキルや実績を、自信を持って発信することが外資系企業への転職活動に成功するためには欠かせません。
45歳の場合はマネージャーやディレクタークラスに加えて、CEOやCFOなどのエグゼクティブクラスの求人も増えてきます。そのあたりになると公開募集よりも、ヘッドハンティングや引き抜き、あるいは転職エージェント経由になることが一般的です。
そんな中で、自己のカバーできる領域を自信満々にアピールできないとしたら、貴重なチャンスをつかみ損ねることになりかねないと胸に刻んでおきましょう。

人脈について

最後に、45歳で外資系企業への転職を望むのであれば、豊富な人脈をもっていることがプラスの評価につながります。同じ業種はもちろんのこと、異業種も含めて、人的ネットワークを持っていることは価値があるのです。
今や同業種はもちろん、異業種とのコラボレーションやパートナーシップによるビジネスのダイナミックな展開が求められる時代だからです。
受け入れ先の企業は、基本的には日本市場での事業規模の拡大を目標としているはずなので、同業種異業種を問わず日本の大手企業のトップおよび経営陣とつながりがあれば、転職に有利に働くことが考えられます。

まとめ

45歳前後の転職には実にさまざまなハードルがあるのは事実ですが、外資系企業への転職は日本企業のそれにはないキャリアアップの可能性が厳然としてあります。
出産や育児、介護などで一旦ブランクをもってしまった45歳の女性にとっても、それまでに培ってきたスキルや経験を活かして、やりがいのある仕事で復帰することも夢ではありません。
45歳前後で転職を考えているみなさんだけでなく、今はまだ35歳前後のみなさんもここでご紹介した外資系企業の年齢とキャリアの関係を参考にしていただき、外資系企業への転職を前向きに検討してください。

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