退職意向を伝えるのは何日前?退職の流れと伝え方、注意点まで解説

転職をする場合に避けて通れないのは、現職の会社を退職する一連の手続きですよね。特に初めての転職では、退職の意向は何日前に伝えるべきか、どんなタイミングでどう伝えれば良いのか、わからないのは自然なことでしょう。

実は、退職の流れをスムーズにするなら退職の意向を伝える前から準備することが大切です。円満に退職するためには、必要な事項に抜け漏れなく対応しなければなりません。この記事では転職によって退職する場合の準備、会社に意向を伝えるタイミングや伝え方、注意点について詳しく解説していきます。退職を控えた転職活動の、スケジューリングの参考にもしてください。

退職意思を伝える前の準備と流れ

転職においては、「退職までの流れ」と「求職活動」の2つをしっかり行う必要があります。在職中の転職活動の場合、退職の手続きがスムーズでないと、次の会社への入社に支障が出ます。

そして退職後に転職活動をする場合でも、行き違いがあると悪い印象を与えたり、人脈を失ったりしかねません。このため、今いる会社との関係性をしっかり保ちつつ退職を伝える必要があります。

ここでは、退職を伝える前に準備することと、伝えるまでの流れを解説します。

自分は本当に退職したいのか?を再度確認する

退職は一旦切り出したら、その意志を最後まで貫徹することが大事になります。退職の意向を伝えると、会社側が引き留めをしてくる可能性があります。引き留めによって心が動き、場合によっては、退職を伝える前と同じように働けなくなるかもしれません。

退職を伝える前にいま一度キャリアプランを見つめ直し、本当に辞めたほうがよいかどうかを見極めましょう。

転職活動と退職をリンクさせてスケジュールを考える

転職活動を行う際、退職にかかる時間も含めて、全体の流れでとらえることが必要です。段階ごとの懸念される事柄を洗い出し、きちんと対策を施しましょう。

転職活動を視野に入れた計画から始め、自分なりのスケジュールを考えなければなりません。働きながら転職活動に取り組むのか、退職してから取り組むのかという転職スタイルを決めるのが先決です。

ここからは、転職活動の時期を決める際のヒントを紹介します。

まずは転職のビジョンを決めてから

退職しやすい時期を考慮しつつ、まず転職のビジョンを決めましょう。転職のビジョンとは自分の「どういうスキルや知見」を活かして「どのような分野」の「どういったポスト」で「どれくらいの収入」が得られる仕事を目指すのかを明確にするということです。

そして分野が決まったら、志望企業の候補を挙げて徹底的にリサーチしましょう。それが固まってきたら、応募に適した時期や難易度から、転職までに必要と思われる準備期間を想定します。

その結果から逆算して、在職中に転職活動を始めるのか、退職してから専念するかの手順を決定しましょう。前者であれば転職活動のための有休の充分な確保や、昇格の辞退などを違和感なく行う必要があります。後者の場合は、失業期間に備えた経済面の準備をしなければなりません。

そのように、転職スタイルが決まると、それぞれの退職に向けてやるべきことがリアルに見えてきます。

退職しやすい時期やボーナス時期も考慮

現職の繁忙状況や社内の就業規則から「退職に必要な日数」を想定し、「退職しやすい時期」を考えましょう。ボーナスの時期なども計算に入れる必要があります。ちょっとの時期の違いで、もらい損ねるのはもったいないですよね。

働きながらの転職活動であれば、逆算してそのころに内定をもらえるような求職活動のフェーズの流れをスケジュールに落とし込みます。退職後の転職活動であれば、失業手当や預貯金等で経済的にしのげる範囲内に内定に至ることができるようにスケジュールを組まなければなりません。

退職の意向は「何日前」に伝えるべきか

転職活動との兼ね合いも整理がついてスケジュール上の退職時期も決まったとして、退職の意向を伝えるのは、退職日の何日前が妥当なのでしょうか。

法律上では2週間だが、基本的には1~2ヶ月前

法的には、労働基準法からいえば「申し出から2週間」で事実上退職したことになります。会社の就業規定で1〜2ヶ月前に申し出ることが定められているケースも多いですが、基本的には国法は社内法規に優先するものです。

とはいえ、良識ある社会人としては、退職の意向を伝えるのは1~2ヶ月前が一般常識的に妥当です。2週間前では、法的にはOKでも会社は人員補充も間に合わず、引き継ぎも充分にはできません。迷惑がかかることを承知ですることになり、円満退職にはなりがたいでしょう。

そうなると、転職後の仕事にどのようなところから、思いがけなく悪影響が出ないともかぎりません。

早めに伝えた方が良い理由

円満退職という観点からは、2ヶ月前を目安として伝えるのが賢明でしょう。早めに伝えなければ、会社側からの引き留めによって手続きが進まないこともあり、転職のタイミングに関わってきます。いずれにしても、早めに伝えておくのが得策です。

経済面からいえば、内定が出てから退職意向を伝えるのがもっとも安全なのはいうまでもありません。

しかし、先方の入社時期が2ヶ月先まで待ってもらえるかどうかという問題もあります。そのため、内定が出る前に退職を伝えて、辞めてから再就職まで多少の空白期間があるかも知れないことは覚悟しておいたほうがよいかもしれません。

退職の意向を伝えてから退職日までの流れ

2ヶ月前に退職意向を伝えた場合の、退職日までの流れを理解するために、4つのフェーズに分けて解説しましょう。
●フェーズ1:2ヶ月前〜1ヶ月前/退職の意向を伝えて退職予定日の相談
●フェーズ2:1ヶ月〜2週間前/退職届の提出や社内での引き継ぎ
●フェーズ3:2週間前〜退職日前日/取引先への挨拶と引き継ぎ
●フェーズ4:退職日/社内での挨拶まわり・貸与品の返却・必要書類の受領
フェーズごとに注意点を解説します。

フェーズ1:2ヶ月前〜1ヶ月前

退職の決意が固まっている前提で、直属の上司に伝えましょう。実際の退職日や引き継ぎの段取りなどの相談も始めます。引き留めがあることも予想できますが、意志を貫徹することが大事です。
そして退職予定日が決まったあとに、退職届を提出しましょう。

ちなみに、上司に伝える前に先輩や同僚に相談するのは禁物です。多くの場合に上司に伝わってしまい、トラブルの原因になりがちです。また、円満退職のためには周囲への配慮を怠ってはいけません。有給休暇の消化や引き継ぎなどを含め、充分に会社に配慮したスケジュールで進めましょう。

フェーズ2:1ヶ月〜2週間前

退職願を受理された後には、社内での引き継ぎに力を注ぎます。担当が誰に代わっても支障が出ないように、わかりやすく資料を準備しておきましょう。例えば、担当業務に関する重要なことや段取り、進行中の案件の状態などの詳細情報を漏らさず書き出しておく作業が必要です。

営業職であれば、クライアントリストに担当者の詳細な情報を記載しておくほうが親切でしょう。丁寧に書面を作成して引き継ぐことにより、会社への感謝と誠意を伝えることになり、円満退職を後押しします。

フェーズ3:2週間前〜退職日前日

取引先への挨拶まわりは会社のさまざまな意向もあるので、それを確認して進めましょう。というのは、取引先には「部署異動」という形で伝えるなどの、対外的な配慮をすることもあるからです。よほど不本意なかたちでないかぎり、会社の意向に沿いましょう。

後任者も同行のうえ引き継ぐのが、取引先も印象がよいはずです。後任者を紹介する際は、その人をできるだけ立てておきましょう。そのほうが、取引先は安心できて、後任者も取引がやりやすくなります。
また、退職理由を取引先で尋ねられても、具体的な理由までは告げないでおくのが適切な対応です。

フェーズ4:退職日

最終日にすることは、社内での挨拶まわりや会社からの貸与品の返却、退職後の手続きに使う書類を受け取るなどです。「年金手帳」や「雇用保険被保険者証」は、社員が手元保管しているケースもあれば、会社が保管している場合もあるので、事前に確認しましょう。

また、失業給付を受けるためには「離職票」をもらっておく必要があります。すでに次の就業が決まっているなら不要です。ただし、直前に不測の事態で転職予定が変わる場合あるかもしれません。就業まで多少なりとも期間が空く場合は、念のため失業給付を申請しておくのが安全です。

※退職におけるやることのリストをまとめた記事はこちら

転職活動が成功した場合に必ず訪れるのは、現在の会社からの退職というプロセスです。退職にはさまざまな手続きが伴い、返却するものや受領しておくべきものがあります。特に、次の転職先が決まっていない場合や、勤務開始日まで日数が開いている場合には退職後に行うべき手続きをよく理解し自分で行わなければなりません。退職が未経験の場合は、「何をいつまでにどうすべきなのか」分からなくても無理はないでしょう。しかし、順序よく手続きを進めないとスムーズな転職ができません。この記事では、退職の意向を伝える時期から、勤...
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円満退職を視野に入れた上司への退職意向の伝え方と注意点

退職をスムーズに行い、円満に最終日を迎えるためには、上司への伝え方が大切となります。仕事を辞める理由自体は職場環境や人間関係、給与面、やりがいがないなどさまざまです。あまりストレートに伝えても、お互いに気まずくなることもあるでしょう。

ここでは退職理由ごとに、上手に伝えるポイントや注意点について触れておきます。

退職意向の上手な伝え方

どんな理由であっても、すべてを前向きに表現しましょう。本来の理由の延長線上にある、つまり矛盾しない前向きな表現方法に置き換えます。

多くの退職理由というものはネガティブなものが多いものです。会社や上司への不満、社内の人間関係などの不満も多いでしょう。しかし、それをそのまま伝えてはいけません。そこで、退職意向の伝え方について見ていきます。

望んでいた仕事と違う

仕事の内容が入社前に想像していたものと違うので、モチベーションが上がらないなどの理由で退職を考えるケースもあるでしょう。そのまま伝えても、「どの仕事でも同じだ」「これから変化するぞ」などと引き留められるかもしれません。

「自分の経験を活かしてキャリアアップしたい」など、明確な目標によって新たな道を追求したい旨を伝えれば、認めてもらいやすいでしょう。

人間関係の問題

社内の人間関係が嫌でやめたいという理由はよくあるものです。しかしながら、それをストレートに伝えるとどうしても周囲の険悪な雰囲気を誘い、引き継ぎなどにも非協力的になるので、円満退職が難しくなりかねません。

この理由自体は、ようするに気兼ねしないで働きたいという意味を持っています。そこでもう一歩進めて「この年齢になって、自分の価値観に合った職場で働きたくなった」に置き換えましょう。この言い方にすれば、人を傷つけない個人の考え方なので、他人が口出しできない領域になります。

また、直属上司との関係性が芳しくなくて退職する人も多いでしょう。仕事は楽しくできるかどうかが大切で、上司との関係が悪化すると、楽しくないどころかストレスが蓄積しがちです。
そんな上司に退職の意向を伝える際は、上司との関係に触れるのではなく「新しい仕事にどうしても挑戦したい」などの前向きな展開を強調しましょう。エネルギッシュに語ることで、引き留めにくくする効果もあります。

待遇面に不満

多くの人は、報酬や環境に不満で退職を考えますよね。時間外出勤の多さなども、モチベーションを下げる要因です。しかしそれを理由にするのは要注意です。会社からすれば待遇の変更は融通が利きます。すぐさま昇給を提案されると、やめる理由が消えて引き留めを拒否できない雰囲気になります。

しかも、それは実質的な出世につながりにくく、むしろ要注意人物とみなされるおそれがあります。その場は便宜上、一時的に待遇が良くなっても、もう困らなくなればいつどんな理由で減給されるかわかりません。
結局また同じ理由で退職を考えるようになれば、回り道をしただけになります。

よって、ストレートに「残業が多い」「月給が安い」ではなく、何をしたいのかを強調しましょう。「家族のプランから考えて収入を増やす必要がある」「仕事以外でどうしてもやりたいことがある」などの内容で伝えると、穏便に進みやすいでしょう。

昔からの夢に挑戦したい

本当にやりたいことが昔からあって、諦めても諦め切れず挑戦したい気持ちになることもあるでしょう。この場合はそれ自体がかなり前向きなので、ストレートに伝えて問題ありません。良い上司であれば、応援さえしてくれる可能性があります。

※退職における上手な伝え方は、こちらで詳しく解説しています

転職が決まって現在の会社を辞めるときは、多くの人がその意向を会社にどのように伝えるのか迷うものです。「辞めたくなった理由をストレートに言ってもよいものか?」「転職までのどのタイミングで伝えるべきか?」「転職先の社名は言っておくべきなのか?」さまざまなことが、気になってきます。もし熱心に引き止めされたら、かわすのにひと苦労するかもしれません。また、同じ理由であっても、伝え方によって印象は異なってきます。退職を切り出すためにはポイントを押さえて、快く退職できるように準備をしたいものです。この記事...
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円満退職のための注意点

退職意向の上手な使え方を解説したところで、次に円満に退職するための注意点を紹介します。

次が内定していても言わない

退職を伝えるとよくされる質問が「次は決まっているの?」です。もちろん、伝える義務はありません。あくまで本人の自由です。しかしながら、円満退職を望むなら「これから探します」としておくほうが賢明でしょう。

たとえば、同業界で転職するのであれば、競合しているかどうかは別として社秘事項や顧客情報などの流出を会社は気にします。また、不用意なうわさが広まるのを避けるためにも、不安要素は作らないにこしたことはありません。

相談ではなく報告の体で伝える

退職の意向を切り出す場合に、退職自体を上司に相談する形になると引き留められることが多くなるので避けましょう。あくまで報告の体で臨み、退職は固く決心していて退職日をいつにするかの相談という形でないといけません。

上司は経験を活かして、引き留めようとする人が多いです。前述のように感謝を最大限に表現して上司を立てながら、決然と報告するのが得策です。そうすれば、退職予定日や引き継ぎに関して、親身に相談に乗ってもらえる可能性が高いでしょう。

感謝を添えて伝える

退職の意向を伝えるときには、それがどのような理由であれ、それまでお世話になったことに対しての感謝の気持ちを添えて伝えましょう。辞めてはいくものの、真摯に感謝の気持ちを伝えるふるまいによって、決意と誠意がともに伝わります。そうすれば、円満に運ぶように上司も動いてくれる可能性が高くなるでしょう。

退職に適したタイミングとは

まず一般論として、年末の12月と年度末の3月は退職者が増える時期です。特に3月は人事異動もあるので、退職する場合も社外との引き継ぎを含めてスムーズにことが運びやすい時期です。

また、会社や業界によって「繁忙期」がありますが、その時期の退職は避けましょう。忙しい時期に上司に退職を切り出そうとしても、「繁忙期が過ぎたらじっくり聞こう」などといなされてしまう可能性があります。退職する時期は閑散期あるいは平常期を選ぶほうが賢明です。

あるいは、大規模なプロジェクトが進んでいる途中も、良い時期ではありません。誰かが抜けると、引き継ぎや後任の手配が大変なためです。むしろプロジェクトが終了した直後こそ、退職を告げるのに適した時期なので、それまで待ちましょう。

虚偽の理由はNG

退職の理由は多くの場合に、ストレートには伝えにくい内容でしょう。とはいえ、虚偽の理由を告げることはおすすめできません。あなたと関係のある人を、社内や社外にたくさん残しているので、どこでどう発覚して悪い印象を与えるかもしれないためです。また、今後その会社と何かで縁があることもありえます。

いずれにしても、虚偽の理由は避けましょう。先に「退職意向の上手な伝え方」で述べたように、工夫して伝えれば済むことです。

最終日まで良識と誠意を忘れずに

円満退職のためには、最後まで責任を持って業務に取り組むことが鉄則です。退職の意向を伝えてから退職日を迎えるまでの、給料を支給されている間は会社の一員にほかなりません。あと数日までくると、気が緩みがちです。最後まで、退職による会社への負担を極力抑えることを意識して、社会人としての良識と誠意を忘れず勤め上げましょう。

まとめ

会社を退職する場合の準備や意向を伝えるタイミング、上手な伝え方やその際の注意点などについて詳しく解説しました。転職のスケジュールと退職しやすい時期とを、よく考え合わせてスケジュールに落とし込むことが大切となります。大変な作業ですが、円満退職して転職後の良いスタートが切れるよう、最後まで良識と誠意をもってあたりましょう。

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