退職時に会社へ何を返却して、何を受け取れば良いのか分からない人も多いでしょう。また、返却物を返し忘れてしまった際の対応に悩むこともありますよね。会社から発行される書類は、退職後の手続きに必要になるため、きちんと受け取りましょう。とはいえ、何を返却すべきなのか、返却忘れがないか不安に感じる方もいるかもしれません。今回は、退職時の返却物と受取物について解説します。
目次
退職時に会社へ返却する物
退職時に返却すべき物は、漏れがないようにしっかりチェックすることが重要です。ここでは、返却物について解説します。
返却物チェックリスト
一般的に退職時に返却すべきものは、以下の6つです。退職時には、ひとつずつチェックしながら、返し忘れがないようにしましょう。
- 健康保険被保険者証
- 社員証
- 名刺
- 会社支給の備品(制服やPCなど)
- 定期券
- 業務上の資料やデータ
健康保険被保険者証
会社で健康保険に加入している人は、退職すると保険証が使えなくなるため、健康保険証を返却しましょう。退職後すぐ別の会社へ入社する場合、健康保険資格喪失証明書を新しい会社へ提出することで、保険証を発行できます。しかし、入社まで期間が空いている人や転職先が決まっていない人は、以下に挙げた3つの手続きのうち、いずれかが必要です。
- 国民健康保険へ加入
- 任意継続被保険者制度を利用
- 被扶養者として家族の健康保険へ加入
国民健康保険へ加入する場合、離職日の翌日から14日以内に、自分が住んでいる市区町村役場で手続きをしましょう。離職日から14日を過ぎても手続きは可能ですが、保険料は退職日の翌日から計算されるため注意が必要です。
任意継続被保険者制度とは、これまで加入していた会社の保険に、退職後も最長2年まで加入できる制度です。この制度は、家族を扶養に入れることもでき、制度の対象条件は、「健康保険の被保険者期間が退職の日までに継続して2ヶ月以上あること」「2年間を限度として加入すること」です。制度利用の希望者は、離職日の翌日から20日以内に、該当の健康保険組合へ届け出を出します。
またご自身の年収が130万円未満で、健康保険の被保険者が家族に居る場合、被扶養者として家族の健康保険へ加入することも可能です。ただし、被保険者である家族の保険組合によって加入できる条件や必要書類が異なるため、加入したい保険組合へ必ず確認しましょう。
社員証や名刺など身分証明書
会社の社員であることを証明する社員証や入館証、名刺などの身分証明書は、退職日に確実に返却しましょう。特に入館証の返却は、セキュリティの観点から、確実に返却することが大切です。
また名刺は、自分の名刺だけではなく、取引先の名刺も返却するように会社から指示されるケースもあります。取引先の情報が記載された名刺は個人情報になるため、扱いには注意が必要です。
会社支給の備品
会社から支給された制服や文房具、PCなどは、返却すべき物の対象です。会社の経費で購入した備品の所有権は会社にあるため、自分の判断で勝手に廃棄しないようにしましょう。日常的に使っているペンや付箋など、細かい備品は自分の物と混同しがちです。どれが会社の備品なのか、退職日までにしっかり分けておくと返却時に慌てません。
通勤定期
通勤用に会社から支給された定期がある場合、必ず返却します。会社から定期代を受け取っておらず、自分で購入した定期であれば、返却する必要はありません。退職後そのまま使用できます。
業務で扱ったデータ類
業務中に作成した資料や集めたデータは、会社へ返却するか不要な物は廃棄します。退職後もデータを保存しておくと、機密情報の漏洩につながるためです。書類はシュレッダーにかけて、第三者に情報が漏れないようにしましょう。返却か廃棄か迷った場合は、上司へ確認すると確実です。
退職時に会社から受け取る物
退職時には、会社から受け取る書類もあります。退職後の手続きに必要なこともあるため、必ず確認しましょう。また、退職時に会社からもらえなかった場合の受け取り方も合わせて解説します。
受け取る書類のリスト
会社から受け取る書類のリストは以下の通りです。
- 雇用保険被保険者証
- 年金手帳
- 源泉徴収票
- 離職票
- 厚生年金基金加入員証
状況によって、受け取る書類は異なります。何が必要なのか、きちんと把握し、受け取り忘れのないように注意しましょう。
雇用保険被保険者証
雇用保険の加入者であることを証明する雇用保険被保険者証は、退職まで会社が保管しているケースが多いです。その場合は、退職時に会社から社員へ返却されます。雇用保険や失業手当の手続きに必要になるため、大切に保管しましょう。
紛失した場合、会社で「雇用保険被保険者番号」を確認すれば、ハローワークで再発行可能です。
年金手帳
会社が年金手帳を保管している場合、退職の際に返してもらいましょう。年金手帳は、転職先で厚生年金に加入する際や国民年金へ加入する際、家族の扶養に入る際に必要です。
紛失した場合、最寄りの年金事務所で再発行できます。
源泉徴収票
源泉徴収票には、会社から支払われた1年間の給与や賞与、納税した所得税の金額が記載されています。そのため所得税の年末調整や確定申告で必要です。
源泉徴収票は、1年間の給与が全額支給されてから発行されます。そのため、退職日に受け取る物ではなく、後日郵送される書類です。時期によっては、転職先の会社での年末調整に間に合わないケースもあり、その場合は確定申告をします。年内に別の会社へ転職する場合、転職先で年末調整をおこなうため、源泉徴収票は転職先の会社へ提出しましょう。年内に転職しない場合は、確定申告の際に必要になるため、きちんと保管することが大切です。
離職票
会社を退職した証明書である離職票は、転職先が決まっている人には必要ありません。転職先が決まっていない場合、失業手当を受給するための手続きで必要です。一般的には、離職日の翌日から10日以内に会社から発行されます。
10日以上経っても離職票が発行されないのであれば、会社に催促をしましょう。万が一、会社が対応してくれない場合、ハローワークへ相談すると、ハローワークから会社へ催促してもらえます。
厚生年金基金加入員証
厚生年金に加入していた人は、厚生年金基金加入員証を会社から受け取りましょう。将来年金を受給する際に重要な書類です。厚生年金基金加入員証を年金給付の際に提出することで、基金分を上乗せして受給できます。
退職時に返却物を紛失したらどうなる?必要な対応とは
返却すべき物を紛失した場合、気づいた時点ですぐに担当部署や上司に報告しましょう。保険証を紛失した場合は、「被保険者の保険証紛失で返却が不可能」と証明するための滅失届が必要です。会社から貸し出されているPCや携帯などの備品紛失は、損害賠償請求のリスクがあります。会社の就業規則内に、備品の紛失について記載があれば、その内容に従いましょう。
退職時に郵送で返却する際のポイント
基本的に返却方法は、離職日までに手渡しで返します。しかし、何らかの理由で離職日に返却が間に合わない場合、会社へ相談し許可が得られれば、郵送での返却も可能です。郵送で返却する際の注意点について解説します。
保険証は一般書留か簡易書留で郵送
重要な書類である保険証は、一般書留か簡易書留で郵送しましょう。書留であれば、対面で受け取ってもらえるため、普通郵便よりも各自に担当者の手元に届きます。
一般書留では、郵便物を投函してから相手に届くまで、どこの郵便局を経由し配達されたのか、日時まで細かく記録されるため安心です。担当者が不在の時は、不在票を入れ、希望の時間に再配達されます。郵便物が届かない場合や壊れた場合、損害額に応じて賠償されるのがメリットです。
簡易書留は、一般書留とほぼ同じサービスですが、料金が安く済みます。ただし、賠償額に上限があるのが、簡易書留の特徴です。そのため、郵便物の破損や不達などの損害に対して、しっかり賠償して欲しい人は一般書留が良いでしょう。賠償額に上限があっても問題ない人は、より安く郵送できる簡易書留がおすすめです。
宛先を確認
書類のあて先は、どの部署の誰宛てなのか、確実に確認しましょう。返却先は、所属していた部署とは異なるケースも多いため、注意が必要です。会社名だけで送付すると、担当者に確実に届かない可能性もあります。
添え状を同封
返却物を郵送で返却する際は、添え状を同封すると丁寧な印象を与えます。郵送で返却することのお詫びや在職中のお礼などを記載しましょう。例えば、保険証を郵送で返却する場合は以下のような添え状を作ります。
<添え状サンプル>
○○部 ○○様
××年×月付けで退職しました、○○部の○○です。
退職に伴い、保険証(返却物の種類を記載)を返却いたします。
郵送で返却することになり、大変申し訳ございません。
お手続き宜しくお願い致します。
○○年間、大変お世話になりました。
貴社の益々のご発展を心よりお祈り致します。
まとめ
会社へ返却すべきものと受け取るものは、しっかり確認しましょう。特に会社から受け取る書類には、退職後の手続きに必要なものがあるため、注意が必要です。また後日返却する場合や紛失した場合は、必ず上司や担当部署に報告し、自己判断しないようにします。気持ち良く退職するためにも、退職時にスッキリ返却をしましょう。