転職活動において準備する履歴書で、「最終学歴」をどう書けばよいのか迷う場合も多いですよね。
実際のところ選考担当者は日々多くの履歴書を見ていますが、学歴欄の書き方が間違っている場合には、選考でも不利になってしまうおそれがあります。この記事では何をもって最終学歴とするのかを説明し、学歴はそもそもどの段階から書き始めるべきか、短大と専門学校はどちらを最終学歴とするのかなどの疑問を解決し、正しい記載方法を紹介します。履歴書を用意するにあたっての、学歴欄のすべての疑問をここで解決しましょう。
目次
最終学歴の定義とは何か?
日常で当たり前のように使う言葉である「学歴」や「最終学歴」について、今一度定義から掘り起こしておきましょう。
そもそも「学歴」とは?
「学歴」とはその学業上の経歴を意味します。一般的には義務教育の学校や高等学校、高専や専修学校、短大や4年制大学および大学院などの教育機関においての学業上の経歴を指します。
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「直近」や「最後」ではなく「最高位」の学歴
転職活動で最終学歴が、「人材」を評価する判断材料のひとつとして扱われることは否めません。
では最終学歴とは、どのような定義をもって決まるのでしょう。最終学歴と聞くと、最後の学歴と誰しも思ってしまいますよね。しかし、時系列で直近に卒業した学校が最終学歴とはなるとは限りません。正しい最終学歴の定義は「最も高い教育水準の教育機関を卒業した経歴」です。たとえば、4年制大学の後に短期大学に通って卒業した場合、最終学歴は先に卒業した4年制大学になるということです。つまり、直近に卒業した学校よりも教育水準が上の学校をそれ以前に卒業している場合、時系列では逆ですがそちらが最終学歴になります。
履歴書に書く順番は時系列どおりでよいのですが、最終学歴としては卒業した時期にかかわらず、最も高い教育水準の学校になると認識しておきましょう。
基本的な学歴の書き方
ここでは履歴書においての基本的な学歴の書き方を、具体的な記載例を含めてわかりやすく紹介します。
中途採用での履歴書学歴欄の書き出しは高校から
新卒の就職活動においては、義務教育の卒業時となる「中学校卒業」からの書き出しが一般的でが、中途採用の場合は違います。
中途採用は職歴を重視するので、学歴に関しては「高等学校」「専修学校」「高等専門学校」などの卒業からの記載で問題ありません。学歴欄の記載方法は、1行めは中央に「学歴」と書き、次の行から実際の学歴を書き始めます。学歴をすべて書き終えれば、次の行の中央に「職歴」と書いてその次の行から職歴を書き始めましょう。
また、学歴も職歴もともに時系列順で記載します。すべての名称に略語は使用しないで正式名称で記載しましょう。学校名は学部や学科まで書きます。
年 | 月 | 学歴・職歴(格別にまとめて書く) |
学歴 | ||
20XX | 3 | 〇〇〇立〇〇高等学校普通科卒業 |
20XX | 4 | 私立〇〇〇〇〇大学〇〇〇学部入学 |
20XX | 3 | 私立〇〇〇〇〇大学〇〇〇学部卒業 |
職歴 | ||
20XX | 4 | 株式会社〇〇〇〇 入社 |
語学・資格取得スクール等の扱いの注意点
語学スクールやビジネススクール、資格取得の専門学校などの各種学校が「学校法人」であれば学歴として認められ、学歴欄に記載できます。しかし、学校法人ではない学校も多いので注意が必要です。
学歴以外のスキルをPRできる経歴は備考欄に記載しよう
学校法人ではなくとも、あなたのスキルをアピールできるものは履歴書に記載しましょう。学歴欄に書くことは「経歴詐称」とされるおそれがあるので避け、備考欄に記載すれば問題ありません。
たとえば公認会計士などの高度に専門的なスキルを身につけるために通った専門学校などは、学校法人でなくとも記載する事がプラスに働く可能性があります。そんな場合は備考欄に以下のように記載しましょう。
20XX年3月 〇〇〇専門学校〇〇〇コース修了
学歴が多い場合の対処法
高等学校卒業以降の学歴を、時系列ですべて記載するのが基本ですが、もし種類が多くて欄に収まらない場合は一部を省略しても問題ありません。その場合は大学や大学院を優先して、それ以外の学校の学歴を備考欄に記載しておく方法がよいでしょう。
また、カタカナ混じりの学校名にたまに見られますが、あまりにも長くて一行で収まらないケースもあります。その場合は、二行に分けて記載すれば問題ありません。無理に枠内で改行したり、文字を小さくして一行に収めたりすると読みづらくなるのでやめましょう。
【学校名・学部名・学科名が長い場合の記載例】
20XX | 4 | 私立〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇大学〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇学部 |
〇〇〇〇〇学科入学 | ||
20XX | 3 | 私立〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇大学〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇学部 |
〇〇〇〇〇学科卒業 |
最終学歴が紛らわしいケース
学歴の中で最も水準が高いものが最終学歴としても、中にはどれが上になるのか紛らわしいケースもあります。判断基準を解説しておきましょう。
大学や大学院を中途退学した場合
履歴書には大学や大学院を中途退学した事実も、書いておく必要があります。理由に関しては、海外留学や学業以外に打ち込んだことなどのポジティブなものであれば書きましょう。病気療養、家庭の経済的な事情などのやむを得ない場合も記載して問題ありません。
しかし、もしトラブルを起こして退学したなどのネガティブな理由であれば、記載しないほうが賢明です。面接で中途退学した理由を訊かれる可能性はありますが、その時のために率直で簡潔な回答を準備しておきましょう。また、「中退」ではなく「中途退学」と正しく記載することが大事です。
【中途退学の記載方法】
20XX | 3 | 〇〇〇立〇〇高等学校普通科卒業 |
20XX | 4 | 県立〇〇大学〇〇学部〇〇学科入学 |
20XX | 3 | 県立〇〇大学〇〇学部〇〇学科中途退学(経済的理由にて) |
「高専」「短大」「専修学校」はどれが上?
高専(高等専門学校)や短期大学ならびに専修学校(学校法人であることが前提)は、教育機関としての水準が近くていずれが上位かは明確に判断ができません。名目上は同格という扱いになります。そのため、4年制の大学には行かずに高専や短大、専修学校などの同等の学校の卒業歴がいくつかある場合は、直近に卒業した学校が最終学歴になります。
留学して学位を取得した場合
日本の大学に入学してから海外の大学に編入し、学位を取得して卒業した場合や、日本の大学を卒業してから海外の大学院で学位を取得することもありますよね。
そのようなケースでは、海外での卒業が最終学歴になります。ただし、一部の単位だけを取得する短期留学や語学留学は最終学歴にはなりえません。
留学経験は転職に有利なので履歴書に記載しよう
留学経験は語学力に関する評価だけでなく、異文化に触れた経験なので、多くの企業の選考で多少なりとも有利となります。特に外資系企業を受ける場合には、かなり有利になるでしょう。
ただし「留学」と銘記できるのは2つのパターンにかぎられます。第1のパターンは正規留学です。第2のパターンは交換留学で1年以上滞在した場合です。このふたつはインターナショナルな人材価値を強調できる材料なので、履歴書の学歴欄に記載しましょう。
一方、海外の語学スクールや短期留学は学歴欄に記載するのは避けて備考欄に書き、面接時に口頭で海外経験をアピールするのが妥当です。記載方法は正規留学と交換留学で異なります。個別に記載例を挙げて解説します。
【正規留学の記載方法】
留学前の学歴に続けて、留学先での修学歴を時系列どおりに書きます。留学先の正式な国名に続いて大学名・学部名・学科名を書きましょう。
20XX | 3 | 〇〇〇立〇〇高等学校普通科卒業 |
20XX | 9 | アメリカ合衆国〇〇〇大学〇〇〇学部〇〇〇〇学科入学 |
20XX | 5 | アメリカ合衆国〇〇〇大学〇〇〇学部〇〇〇〇学科卒業 |
大学名は現地の言葉で書くとわかりにくいので、日本語表記によって記載するのが賢明です。スペースがあれば、外国語表記を併記するのもよいでしょう。
とはいえ、世界的に有名な大学であれば、外国語表記だけでも大丈夫です。
【交換留学の記載方法】
交換留学の場合は、日本の大学への入学を記載した次の行に留学期間と国名、大学学・学部・学科名を記載し「〜に交換留学」としましょう。
20XX | 3 | 〇〇〇立〇〇高等学校普通科卒業 |
20XX | 4 | 私立〇〇〇〇〇大学〇〇学部〇〇学科入学 |
20XX | 9 | 20XX年6月まで英国〇〇〇大学〇〇学部〇〇学科に交換留学 |
20XX | 3 | 私立〇〇〇〇〇大学〇〇学部〇〇学科卒業 |
ちなみにワーキングホリデーでの渡航経験は学歴にはあてはまらないので、職歴として記載しましょう。とはいっても応募先の求人内容が英語と無関係であれば、特に有利にはなりません。
業務に関連性がない場合は、省略してもよいでしょう。職歴が少ない場合は、記載して欄を埋めるのも問題ありません。
働きながら大学・大学院に通った場合
社会人として働きながら、大学や大学院に通った場合も基本的には同じです。たとえば、大学卒業後に働き始めてから、大学院の修士課程や博士課程を修了すれば最終学歴になります。
別の大学の学部に入り直して学んだ場合も、最終学歴は最後の卒業であるその大学の学部となります。しかし、資格取得のために専門学校に通って卒業したとしても、最終学歴はやはり大学卒のまま変わりません。
博士課程の「単位取得退学」の場合
大学院の博士課程において修業年限内に博士号を取得できなかったけれど、必要なすべての単位は取得している場合は「単位取得退学」と呼ばれるケースになります。そういう表記をすることによって、必要な単位を取得できすに中途退学した経歴とは差別化することが可能です。ほかにも「単位取得修了」や「満期退学」などのケースもあります。
それらはすべて博士課程修了とはみなされず、最終学歴としては大学院修士課程修了となります。
最終学歴の書き方の注意点
最終学歴の書き方では、注意を要する点があります。以下の内容に該当するような場合は記載の仕方に気をつけてください。
大学は「卒業」、大学院は「修了」
大学院を卒業した場合は一般的には「大学院卒業」や「院卒」などの呼び方をしますがします。しかし文部科学省の大学院設置基準においては、大学院の修士課程や博士課程などを終えることは「修了」です。そのため、履歴書にも正式な呼称である「修了」を記載します。修了課程にも「修士課程修了」と「博士課程修了」があるので、書き分けるほうよいでしょう。
学歴詐称は重大な背信行為!うっかりに注意
学歴詐称は後から発覚すると内定取り消しになりくらい、重大な背信行為であることを知っておきましょう。中途退学している学校を卒業したことにするのが、一般的によくある詐称行為ですが、それだけではありません。意外に多いのが留学です。履歴書に留学として記載することが認められるのは、前述のとおり正規留学と1年以上の交換留学です。その場合においても、明確に交換留学であることが分かる書き方が求められます。
また、たとえ1年以上の海外経験があっても、語学スクールなどの法律上では学校法人と認められていない場合は留学とは認められません。詐称する意図がなくても、語学スクールに関して学歴欄に記載すると虚偽の記載とみなされかねないので、注意が必要です。語学スクールの経験をアピールしたい場合は備考欄に書きましょう。
まとめ
最終学歴とは一体どの学歴を指すのかという定義を明確にし、履歴書での最終学歴の正しい記載法や紛らわしい場合の記載について、網羅して解説しました。学歴に関しては厳密な記載のルールがあるので、慎重に作成に取り組む必要があります。留学の場合などは、ルールを知らなければ正確な書き方はまず無理です。また、大学と大学院の卒業と修了の違いも、気をつけないとうっかり間違いがちな項目です。転職面接に励むみなさんは、ここで紹介した情報で確認して、履歴書を適切な書き方で作成してください。
転職活動での履歴書の、最終学歴の書き方で迷う場合も多いでしょう。採用担当者は多くの履歴書を見ますが、学歴の書き方が間違っていると不利になりかねません。この記事では最終学歴とはどの学歴を指すのかなどの疑問を網羅して正しい記載方法を紹介します。