エンジニアの転職理由とは?ポジティブな言い換えを例文付きで解説

エンジニアの転職理由とは?ポジティブな言い換えを例文付きで解説

エンジニアは「キャリアアップしたい」や「上流工程を担当したい」あるいは「時間外労働が多すぎる」など、さまざまな理由から転職を考えることがありますよね。転職の面接にて転職理由を聞かれる際に、ありのままに答えて大丈夫かなと迷う人が少なくありません。

実際に面接では、合理性がある転職理由が求められます。今回の記事ではエンジニアが転職する際の代表的な転職理由を紹介して、印象をよくするために言い換えるアレンジの方法を解説しましょう。

エンジニアが転職を考える代表的な理由

エンジニアが転職を希望する理由は、次のようなものがあります。

  • キャリアアップを目指したい
  • 報酬に不満がある
  • 働き方が合わない
  • 勤務先の将来性に不安を感じる
  • 人間関係で悩んでいる

ひとつずつ、内容を紐解いてみましょう。

キャリアアップを目指したい

キャリアアップを目指したいという理由は、エンジニアの転職理由の中でもっとも多いもののひとつです。

就職する時点では仕事内容が望ましいと思って入ったものの、実際に仕事を始めると思っていたものと違うことは少なくありません。また、当初は問題なくとも、仕事を進める中で自分の望んでいた方向性と企業の目指すものが乖離してくるケースもあるでしょう。そのように仕事内容に不満がある場合は、仕事が面白くないという単純な問題だけでなく、スキルアップやキャリアアップが望めないという個人の将来に関わる問題も起こります。

実際に個々のエンジニアが保有するスキルやキャリアは多岐に渡り、伸ばしたいスキルや目標とするキャリアパスも多種多様です。そのため、思い描くキャリアプランのために転職を考えるエンジニアが多いです。

それと同時に、企業組織では自分の興味がある分野の仕事をしたいと願っていても、ままならないことが珍しくありません。現職の企業でスキルアップやキャリアアップがどうしても望めないのであれば、それが実現する可能性のある企業に転職することは、IT業界の中ではよくあることです。

キャリアアップを目指したいという転職理由は、転職先の選考においてもポジティブに受け取ってもらえます。辞めていく企業に対しても、比較的穏便に話ができるでしょう。

報酬に不満がある

例えば勤務の内容や拘束時間の長さに対して、給与や手当、ボーナスなどの報酬が見合っていない場合もあります。このような報酬の不満も、転職を考えるきっかけになるでしょう。このパターンは単に金銭面の不満だけではありません。エンジニアがスキルを売りにする仕事であるだけに、適正な評価を受けていない、成果が報酬に正しく反映されていないという精神面の不満も上乗せされます。

また、エンジニアはプロジェクトごとにチームを編成して仕事を進めることが多く、携わるプロジェクトの属性によって重要なスキルも変わります。そのため、必ずしも得意とするスキルが活かせないこともあるかもしれません。ほかには、現場のスタッフ間ではその人の仕事に対する評価が高くても、マネージャーがスキルを理解しないために昇給やボーナスに反映しないケースもあります。

このように、努力して培ったスキルや上げた成果が報酬アップにつながるとは限りません。意欲を持って仕事に取り組んでいても、評価が適切ではなく状況の改善も見込みが薄い場合は転職という結論に至ることがあります。

働き方が合わない

働き方が合わないという転職理由は、時代の変化を反映しているといえるでしょう。近年の働き方改革の流れから、WLB(ワークライフバランス)が改善されてきたIT企業も多いです。とはいえ業界全体としては、人材不足もあってまだまだ課題を抱えています。残業が多かったり休日出勤が頻繁だったりすると、ストレスが増大してくるのは当然です。WLBが崩れてしまうと私生活への悪影響に留まらず、心身の健康を損なうリスクもあります。

従業員が100名以上いるような中規模の企業であれば、異動を願い出ることによって解決する場合もあります。しかし、小規模な企業や組織そのものがWLBに配慮せず長時間労働を強いる場合は、転職という手段を選択する人も多いです。

勤務先の将来性に不安を感じる

経営状態や業績の推移、雇用状況から勤務先の将来性に不安を感じるかもしれません。その不安から転職を決意するエンジニアもいます。特に小規模な企業では、経営陣の言動や考え方に触れる機会が多いでしょう。経営状態が芳しくないにもかかわらず、積極的な対策を施す様子がなく熱意も感じられないようなら、企業の将来を楽観的には描けません。

あるいは業績は維持していても、進展拡大するIT業界の中で技術革新に追いつけていない場合や成長戦略が明確ではない場合も、将来性に疑問を持ち転職を考えることがあります。

人間関係で悩んでいる

人間関係の悩みから、転職を検討するエンジニアも多いです。長期にわたって共同作業をすることが多いエンジニアにとって、職場の人間関係に問題があると働きづらくなります。

エンジニアの仕事の多くは、同じプロジェクトチームのメンバーとのチームプレイという面があります。そこで人間関係が噛み合わなければ、プロジェクトも円滑に進みません。そのようなケースで実際に転職に踏み切るかどうかは、問題となっている人間関係がチーム内に限ったものなのか、企業組織全体に及ぶものなのかに掛かってきます。

チーム内だけの問題であれば、そのプロジェクトが終わって次の新しいチームが編成されると問題が解決する可能性があります。しかし、その問題の深淵が企業全体におよぶ場合であれば、転職で職場環境を変えることは自然な選択肢の1つです。

転職理由で印象を上げるコツ

エンジニアの面接で転職理由を尋ねられた際に、印象をアップさせるコツは以下の3つがあります。

  • 転職理由に皆が納得する客観性がある
  • 転職理由が志望動機とリンクしている
  • 不満に対してとった行動の経緯を伝えている

それぞれを詳しく見ていきましょう。

転職理由に皆が納得する客観性がある

いくら熱弁を振るっても、常識的に考えてしっくりこないような理由では面接を通過するのは厳しいです。まず大前提として、転職理由に第三者が聞いても納得できる客観性を持たせましょう。

つまり、一般的な常識や良識、社会通念に照らして、その判断が妥当だと思える範疇に入っているかどうかです。「自分にとって都合の良い解釈をしているだけだ」などと思われないようにしなければなりません。勤務先を悪く言うこともなく、客観性がある転職理由をきちんと伝えることで、印象はよくなります。そのため転職理由を準備する段階で、草案を家族や友人、知人に聞いてもらい、客観的におかしくないかを確認しましょう。

ひとそれぞれ感じ方も違うので、全員の意見が一致することはないかもしれません。それでも、違和感を感じる人がいるなら見直すべき点があるのだと謙虚に考えるのが賢明です。

転職理由が志望動機とリンクしている

あなたの転職理由が応募企業への志望動機と密接につながっていれば、選考担当者から自社への入社意欲は本物であると感じてもらいやすくなります。選考担当者が常に最大限の注意を払うのは、採用しても同じ理由でほどなく自社も退職しないかという点です。それが最も避けたいミスマッチの結末といえるでしょう。

転職理由とは退職の理由でもあるので、その回答にはその候補者が仕事に対して何を重んじるのかという価値観が反映されていることが多いです。だからこそ、転職理由が自社に対する志望動機とつながっているなら、選考担当者はその候補者がすぐに辞めることなく、長く働いてくれそうだと判断します。

ただし、それがこじつけに聞こえないようにしなければなりません。そのためには応募先企業への深い理解が必要です。つまり、企業研究を単に公式サイトや口コミを調べるだけのような表面な範疇で終わらせてはなりません。過去からの推移とその折々の企業の打ち出し、これまでのプレスリリースやそこで言及されたことがどう展開しているか、どのように達成されたかなど、深く研鑽しましょう。

その上であなたが現職では果たせないと感じた、自身の仕事への想いや希望を具体的な保有スキル面も絡めて重ね合わせるのです。そうすれば転職理由と志望動機が無理なくリンクして、選考担当者の心に響く回答になる可能性が高まります。

不満に対してとった行動の経緯を伝えている

転職するからには現場に不満を感じているのが起点なのは、多くの転職希望者に共通しています。ただし大切なのはその不満に対して、すぐに転職という結論を出したのか、改善しようと抗ってみたかどうかです。不満の根源に対して何のアクションも起こさないまま転職に軸足を移したのであれば、企業はあまり人材として評価しないと考えましょう。

結果はともかく、あなたができる範囲で現状を変える努力をしたことが伝われば、仕事に対して真摯に向き合う人材であると理解してもらえはずです。限られた時間内で伝えるために、できるだけ要点を押さえて簡潔にわかりやすく伝えられるよう準備しましょう。

転職理由で印象を下げるNG要素

転職理由の伝え方次第では、印象をダウンさせてしまうこともあります。そういうリスクを招く要素は主に以下のとおりです。

  • 転職理由が利己的・独善的である
  • 転職理由が浅い・漠然としている
  • 他責思考をしている
  • 課題に対して向き合っていない

個々の要素を掘り下げてみましょう。

転職理由が利己的・独善的である

転職理由が利己的・独善的な趣きを持っている場合は、印象を下げるリスクがかなり大きいです。

自分自身の都合を最優先して、企業側の都合を考えていないと選考担当者に感じられたとしたら、まず内定は困難でしょう。入社したら自分のことばかりで自社への貢献を考えないと思われるからです。そういうケースでは多くの場合、発言している本人はそれが利己的や独善的な意見であるなどとは毛頭思っておらず、なぜ面接に落ちたかがわからないかもしれません。

そうならないように、自分の事情だけでなく相手(勤務先や応募先)のことを誠実に考えた上での発言になるように、注意しましょう。

転職理由が浅い・漠然としている

転職理由に深みがない、あるいはぼんやりとしてつかみどころがない内容を語る人は、評価以前に真意や熱意が選考担当者にまったく伝わりません。それでは本心を語っていない、あるいは真剣に志望していないと思われ、内定が難しくなります。たとえスキル面に期待できそうな人材であっても、そのような感じの転職理由であれば少なくとも第一志望ではないと思われるでしょう。

第一志望ではないことがはっきりしている人に、企業が内定を出すのはよほどその人材が欲しい場合のみです。通常はそのようなはっきりしない転職理由は印象を下げるだけのNG要素になります。

他責思考をしている

他責思考をする人は、選考担当者から厳しい目で見られます。思うようにいかない原因を、自分のことを棚に上げて周囲の人や組織、環境などに責任転嫁する人に入社してもらいたい企業はありません。

そういうことは理屈でわかっていても、人間は感情で動くことがあるので知らず知らず他者のせいにし、それが正論だと思い込んでしまうことがあります。転職理由に他責思考が入り込まないように、重々注意しておきましょう。

課題に対して向き合っていない

転職理由から課題に対して向き合っていない人だと感じられたら、印象は下がってしまうのは間違いありません。働いていると、仕事や組織、社内の人間関係やクライアントとの関係などで大小さまざまな課題が生じるものです。それにひとつひとつきちんと向き合って仕事を進める人材は評価されますが、課題に向き合わず安易に職場を変わろうとしているのであれば、内定はまず見込めません。

そう思われないように、転職理由の中で出てくる課題に対しては、どう向き合っているかを必ず添えるように気をつけましょう。

【例文付】不満・不安系理由別ポジティブアレンジ法

転職活動の面接でほとんどといってよいほど転職理由を尋ねられるのは、その候補者の志向性や価値観がよくわかる質問だからです。

しかしながら、転職理由として本音の理由をそのまま面接で伝えるのは、必ずしも賢明ではありません。職場を辞めること自体が、多少なりともネガティブな要素である不満や不安を持っています。そのため、面接の場でそれを語るときのためにポジティブに置き換えるアレンジを施しましょう。

先に紹介した代表的な理由のうち、最初に挙げた「キャリアアップを目指したい」は例外です。ネガティブ要素がなく、それだけですでにポジティブな回答になります。ここではそれ以外のネガティブ要素を含む4つについて、ポジティブに変換するアレンジ法を紹介しましょう。

報酬編

まず、転職理由が報酬に関する不満である場合は、それが事実であってもそのまま表現するのは避けましょう。勤務先を批判することになるので、選考担当者はあまりよい印象を持ちません。この場合は勤務先の情報をあえて出さずに思いを述べることでポジティブに変換できます。

【アレンジ例】
<言い換え前>
現在の勤務先では私の行っている業務内容が、給与に反映しているとは思えず不満を抱えておりました。納得できる評価をしてもらえる職場で働きたいので転職を決めました。

<言い換え後>
これまで仕事に真摯に向き合って培ってきたスキルの可能性を、試してみたいという気持ちが強くなってきたことが転職を決めたきっかけです。
自分の能力を出し切って、良くも悪くもその成果が給与に反映する御社のような企業で、前向きに仕事に取り組みたいと思ったからです。

働き方編

次に労働時間が長くて自分のための投資の時間がないことに不満を持ち、働き方を変えてWLBを改善したいという転職理由の場合です。こちらも勤務先の体制を批判する表現は避けましょう。前向きに働き方を変えてやりたいことにチャレンジする趣旨を強調することで、ポジティブに変換されます。

<言い換え前>
現在の勤務先ではトータルの労働時間が長く、かねてから資格取得を目指している国家試験のための勉強の時間が作れないので、転職を決意しました。

<言い換え後>
スキルを高めていくために国家資格取得への挑戦を始めており、フレックスタイムやリモーワークで生まれる時間の余裕を利用して勉強を進めたい願望が膨らみました。
そこで御社のような柔軟な働き方ができる企業で、学びながらエンジニアの実務に打ち込みたいと思い転職を決意しました。

将来性編

続いて将来性についての不安が転職理由の場合です。ここで勤務先の将来性を云々するのは、避けましょう。応募先の将来性を嫌味なく添えて、仕事と絡めて表現するのが賢明です。

<言い換え前>
現在の勤務先には残念ながら将来性を感じられなくなっており、5年後10年後を考えると今のうちに転職しようと考えました。

<言い換え後>
5年先10年先を考えたときに、今後の大きな展開に興味があり得意分野でもあるクラウド関係のスキルを生かせる御社のような企業で、自身の成長が企業の発展につながるような働き方をしたいと思い、転職を考えました。

人間関係編

最後に職場の人間関係に問題があって、転職理由となっている場合です。人間関係の問題はどこでも起こりえることなので、そのままの表現では絶対に印象を悪くします。現場の中の自分という枠から一歩出て、一段階上での希望を織り込むことでポジティブに変換できます。

<言い換え前>
現在の勤務先の人間関係がうまくいかず、もっと快適な人間関係が作れるところで働きたいと思い転職を決めました。

<言い換え後>
仕事をするにあたってスタッフ間のコミュニケーションがより盛んな企業で、切磋琢磨しながら積極的に人材価値を高めたいと、いつしか考えるようになりました。
スタッフが活発なコミュニケーションをとりながら仕事に打ち込む御社のような企業で頑張りたいと思い、転職を決めました。

まとめ

ポジティブアレンジはあくまで物事のネガティブな側面を認識して、それを無理なく前向きに解釈できるように表現することです。虚偽の理由とは全く別物となります。虚偽であればいくら耳触りのよい転職理由をのべたところで、相手な面接のプロです。違和感を感じる可能性が高いでしょう。選考担当者は少しでも違和感を感じたら、確かめるために次々と質問を繰り出します。そうなれば確実にボロが出るでしょう。

そのため、無理に別の理由を持ってくる必要はありません。本音からくる理由こそが、選考担当者の心に響きます。本当の理由をベースに据えつつ、ここで紹介したポジティブアレンジによって印象がアップできる転職理由として最適化しておきましょう。

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