【職種別の例文付き】職務経歴書の職務要約の書き方を解説

【職種別の例文付き】職務経歴書の職務要約の書き方を解説

転職活動の第一段階は書類選考ですが、応募書類の中で重要な職務経歴書にて、最初にチェックされるのが職務要約です。それ次第で第一印象も決まり、詳細が読まれるかどうかにかかわるともいえるでしょう。

とはいえ、どう書けば書類選考をクリアできるのかわからなくて、書き方に迷いますよね。今回の記事では選考担当者の関心を惹き、書類選考の通過率を高めるための職務要約の書き方を職種別の例文などを交えて紹介します。

職務経歴書の職務要約とは

職務経歴書とは、候補者の過去に就いた職務の詳細な内容を記載した書類です。基本情報を記載する履歴書に対し、職務経歴書は携わった仕事の内容にフォーカスして、勤めた企業の概要や仕事の具体的な内容を記載するという点で大きく異なります。

そして職務要約とは、職務経歴書の冒頭に記載される職務内容の簡潔なまとめであり、職務概要といわれる場合もあります。職務経歴書自体は過去のキャリアを詳細に記載するので、情報量が多くなりがちです。そのため、まずは全貌を凝縮して概要を伝えるパートが職務要約です。

職務要約はキャリアストーリーのあらすじ

基本的に多忙な選考担当者が書類選考に費やせる時間は、それほど多くありません。そのため、すべての候補者の職務経歴書を隅から隅まで精査するのは非現実的です。

職務経歴の全文を読むかどうかを判断する材料として、職務要約が用いられます。新聞記事でいえば見出し、広告でいえばキャッチコピーのような役割を果たします。そういう背景から、職務概要は基本的に短くまとめるようにしましょう。

ただし、短ければよいというものでもありません。単に職務の羅列だけでは選考担当者の興味を惹くことはなく、書類選考の時点で選考対象から外されるおそれがあります。

「転職あり」や「転職多い」の場合も隠さない

過去にも転職経験がある場合や、さらに転職回数が多い場合もそれを隠してはいけません。人事部では入社後の社会保険などの手続きの中で、過去の保険料支払いに関する情報で複数社の在籍がわかります。そのため、隠した場合は不審感を与えるおそれがあります。

とはいえ、職務要約ですべての社名まで詳しく書く必要はありません。詳細はその後の職務経歴書の本文で記載されるので、「機械商社に入社」「デベロッパーに転職」などの書き方で問題ありません。

アルバイト経験の扱い方

学生時代のアルバイトの経験、および社会人になってから企業勤務の間に従事したアルバイトについては、基本的には書く必要はありません。ただし、そのアルバイトの内容が現職や応募先での仕事に紐づくものであれば別です。実務経験期間を補強する意味があるので記載してもよいでしょう。

職務経歴書に職務要約はなぜ必要か?

職務経歴書には必ずといってよいほど、冒頭部分に職務要約の欄が設けられています。なぜそれが必要かについて、触れておきましょう。

「職務要約いらない」は間違った考え方

「詳細な記載をするのだから職務要約は必要ないのでは?」と考える人も中にはいます。しかしその考え方は、選考担当者の立場になって考えれば間違いです。人事部の選考担当者は日常的に多くの仕事を抱える中で、募集期間は毎日膨大な数の応募書類に目を通さなければなりません。

そしてその中には、採用側からすればどう考えても応募内容と相容れないようなキャリアやスキルの候補者も混じっています。そういうケースは詳細まで読まなくとも、職務要約で明らかになります。だからこそ、職務要約は必要です。

選考担当者は多忙ゆえに職務要約で「粗選り」

多忙な選考担当者は書類選考の最初の段階においては、できれば職務要約で「粗選り」して候補者として相応しいグループに絞り込みたいのは当然でしょう。

これは決して、選考担当者が手を抜くという意味ではありません。選考の対象にならない候補者の詳細な経歴を読む時間があれば、欲しい人材の要件を備えた候補者の経歴を精読するほうが、ミスマッチのない適切な採用活動のために価値があるからです。

そのため、わかりやすい職務要約が冒頭に記載されていると有利です。候補者側としてはそれを理解した上で、選考担当者の「粗選り」に選ばれるために、職務要約で強い印象を与えなければなりません。

職務要約の基本的な書き方

職務要約の基本的な書き方について解説します。まずはサンプルとして2つの例文を挙げておきましょう。

例文A)
■職務要約
〇〇〇通信大学卒業後、ITシステム受託開発企業に入社。3年間はオンライン損害保険会社向けのWeb受注・契約システム開発案件に専属メンバーとして従事。リーダーをサポートしてUI改善とバグ軽減のパフォーマンスが評価され、キャッシュレス決済システム開発案件のリーダーに就任し、その後2年間に4案件をサポート。現在に至る。

例文B)
■職務要約
〇〇〇大学大学院修士課程修了後、ソフトウェア制作会社でプログラマーの手ほどきを受け、3年間下流工程を経験。Web系自社開発企業に転職し、3年間上流工程の仕事を経験。その後プロジェクトリーダーを2年務め、プロジェクトマネージャーに就任。3年間で6件のプロジェクトを成功させて現在に至る。

例文Aは新卒で入社して初めての転職活動に取り組んでいる候補者です。例文Bはすでに転職を経験している候補者となります。情報量が多いので、文章の組み方が異なります。具体的な書き方について、順を追って見ていきましょう。

書き出しは大学もしくは大学院の卒業・修了から始めるのが一般的で、入社した企業のタイプなどを加えて書くと伝わりやすいです。

例)県立〇〇大学卒業後、法人向け研修支援企業に入社。

この後は時系列にて簡潔に、所属企業のタイプ、部署、役割、実績などを期間や業績向上などの数値を適度に交えて記載します。

営業部に配属。2年目から神奈川エリアを担当し3年掛けて業績を約1.5倍に伸ばしたことが評価され、関東エリア統括マネージャーに就任。

後にたくさん情報が控えている場合は、例えば以下のように「入社。」として区切らずに、入社後のことまで一文で記載するのもよいでしょう。一文に適宜情報を盛り込むことで冗長になるのを避けられます。

例)〇〇体育大学卒業後、スポーツ用品製造販売会社にて2年間訪問営業に従事。

転職などの経緯も、簡潔に転職理由にも触れながら時系列で記述します。

例)
3年後、提案営業の活動を通して興味を持ったコンサルティング業に従事したく、外資系コンサルティングファームに転職。アナリストから始まり2年後にコンサルタントに就任、現在に至る。
末尾は「現在に至る。」で締めくくるのが基本です。現在無職であっても、「課長に就任後3年で売上実績を当初の170%に伸ばした後、退職。現在に至る。」などと締めましょう。

語尾については統一されたルールはありません。「です・ます調」が良い、あるいは「だ・である調」が良いなど意見が分かれるところですが、ここでは「体言止め」で書くことをおすすめします。体言止めを基本として、それが不自然な場合には「〇〇る。」のように動詞の原形を使いましょう。

「です・ます調」は柔らかいのはよいのですが、緊張感を欠くイメージがあります。職務経歴書というフォーマットの中に入ると、ともすれば稚拙な文章に思われるリスクがあります。「だ・である調」においては、書いた本人はまったくそういうつもりがなくとも、「尊大」や「傲慢」なニュアンスを帯びかねないリスクがある語調です。一方「体言止め」はそういった類いの心配はなく、歯切れが良いテンポで必要な内容を伝えられます。文字数が無駄に増えることも避けやすいです。文章のリズム感、言葉が与えるインパクトなどを考え合わせると、職務要約には「体言止め」が、向いているといえるでしょう。職務経歴の本文においても同じ理由で、体言止めを基本とする書き方をおすすめします。

ちなみに履歴書の学歴欄や職歴欄、免許・資格欄、職務経歴書の職務経歴部分などに関しても、「体言止め」で文字数を絞って簡潔に書くことをよしとする意見が多いです。一方、履歴書の志望動機欄や趣味・特技欄、本人希望欄などの決意や熱意が含まれる項目は、体言止めよりいく分エモーショナルな「です・ます調」がおすすめです。

職務経歴書の職務要約・職種別の例文

ここまでは職務要約の書き方のアウトラインを解説しました。しかしながら、いざ書くとなると、自分の職種ではどう書けばいいのかわからないという場合もあるでしょう。ここからは、以下のような代表的な職種ごとの例文を紹介しましょう。

  • 営業職
  • 事務職
  • 経理職
  • 企画職
  • ITエンジニア等技術職
  • 接客業・サービス業

営業職の職務要約例文

例文A)
〇〇〇〇大学卒業後、Webマーケティング支援会社に入社。流通企業を対象とするセクションで営業を担当。5年後全社の営業部員中トップの営業成績にて、社長表彰を受け課長に就任。2年後の昨年、約20名の営業部員を統括する責任者として課の売上目標を120%達成。現在に至る。

例文B)
〇〇〇大学卒業後、求人メディア運営会社に入社。営業部に配属され、新規顧客開拓に4年間取り組み、昨年は連続12ヶ月の目標達成を実現し社内MVPを受賞。企画部門のアドバイザーも兼任し、現場目線からの発想にて新しい法人サービスのアイデアの企画が採用され、本年2月にリリース。顧客獲得のスピードも過去最速を記録。現在に至る。

事務職の職務要約例文

例文)
〇〇市立〇〇〇〇大学卒業後、医療機器商社に入社。営業事務として営業最前線の活動をバックアップする業務に従事。4年目に受発注に関する業務プロセスの改善案を企画、全営業所で使用されて評価を受け課長に就任。その後マーケティング部門に異動し、Excelマクロを用いた分析ツールを作成して顧客拡大に貢献し、社内表彰を受賞。現在に至る。

経理職の職務要約例文

例文)
国立〇〇大学卒業後、建設会社に入社。以来7年間経理部で本社の経理を担当。業務のかたわら資格取得に励み、簿記1級、建設業経理検定1級を取得。直近の2年間は、経理に加えて財務諸表や開示資料を含め社内の重要資料作成を一括で担当し、現在に至る。

企画職の職務要約例文

例文)
〇〇県立国際経済大学卒業後、食品会社に入社。商品企画部に配属され、一貫してマーケティングリサーチや新商品の企画業務に従事。4年目以降は商品企画の枠を超えて販促および広告戦略策定チームにも参加。一昨年発売した新商品においてメディア横断型広告戦略を立案し実行し、初期販売目標の150%を達成し社長賞を受賞。現在に至る。

ITエンジニア等技術職の職務要約例文

例文A)
〇〇〇〇大学卒業後、IT開発系企業に入社。5年間美容業界の受発注システム開発にメンバーとして従事。その最後の2年間はチームリーダーとして後進育成とクライアントの業績アップにつながる開発が評価されプロジェクトマネージャーに就任。その後2年間は食品会社の営業支援システム開発案件をマネジメント。現在に至る。

例文B)
〇〇芸術大学卒業後、システム開発企業に入社。フィンテック企業向けシステムの開発に従事。3年後には上流工程の要件定義から設計まで含めて、開発工程を一貫して担当。その後プロジェクトマネージャーとして4年間で10件のプロジェクトを遂行。直近では30名規模のアプリ開発案件を担当。高品質の担保、適切な納期管理がクライアントに評価され、さらにその2倍の規模の案件を受注し先月リリース。現在に至る。

例文C)
〇〇〇大学卒業後、流通系企業に入社。システム運用に携わる中でITに興味を持ち、勤務を継続しながらIT専門学校の夜間コースを修了、入社後3年で企業向けシステム受託開発企業に転職。食品メーカーと食品流通企業、飲食店をつなぐプラットフォームの開発・運用保守を担当。3年後プロジェクトリーダーとして同領域で国内シェア第2位の実績を上げ、現在に至る。

接客業・サービス業の職務要約例文

例文A)
〇〇産業大学卒業後、飲食チェーンを展開する企業に入社。居酒屋チェーンの店舗にて現場のノウハウを習得し、2年後店長として〇〇〇〇店を担当。2年目に前年比40%アップを実現し、〇〇〇圏のエリアマネージャーに就任。その後3年間でキャンペーンの発案・実施、若手社員の店長候補育成、SNSアカウントのマネジメントで顧客数拡大などの実績で全社的な利益に貢献し社内表彰を3年連続受賞し、現在に至る。

例文B)
〇〇〇〇体育大学卒業後、スポーツ用品メーカーに入社。学生時代に取得したシューフィッター資格を活かし、直営本店にてスポーツシューズ販売を担当。1年目にシューズ販売目標130%の達成率で同社史上最年少の社内MVPを受賞。3年目に浦安市の大型直営店店長に就任。総勢50名の店舗スタッフをマネジメントしつつ2年連続店舗目標120%達成。現在に至る。

職務要約の7つの必須ポイント

職務要約を格上で押さえておくべきポイントは以下の7つです。

  • 3〜5行で簡潔にまとめる
  • 関心を惹くインパクトある要素を盛り込む
  • 客観性を持たせる
  • 転職回数に応じた構成を心がける
  • 複数社あれば直近か長い職歴を中心に書く
  • 応募先が異業種なら専門用語は避けて分かりやすく書く
  • 応募先やポストに紐付ける

個別に見ていきましょう。

3〜5行で簡潔にまとめる

文章量について決まりはありませんが、要約という趣旨や中途採用の候補者が盛り込む内容から考えて、3〜5行の範囲内が適度だと考えてよいでしょう。文字数でいえば120〜200文字くらいです。見栄えとしても4行くらいに収まっているのが、読み手に程よい印象を与えます。

関心を惹くインパクトある要素を盛り込む

求人側の選考担当者はおおむね職務要約で粗選りをするので、特に関心を引かなければその時点で書類選考から漏れてしまいます。そのため、短い要約文の中にインパクトがある要素を入れましょう。

言い方を変えれば「フック」を仕込むということです。フックとは読み手の心に「引っ掛かる」箇所です。フックはすべてを書いてしまうのではなく、部分的に書いて興味をそそったり、なぜそうなるのか知りたい気持ちを抱かせたりするのが秘訣です。職務要約にフックを含ませると、職務経歴書の本文を読んでもらえる可能性が高くなります。

例えば「前年比140%を達成」なら「どうやってそんなに実績を伸ばせたのだろう?」と気になりますよね。職務経歴書本文を読もうという気持ちを起こさせれば、書類選考通過の可能性が高まります。職務要約の中で「SNSマーケティングと紹介キャンペーンが功を奏して前年比140%を達成」と手の内を明かしてしまうと、フックにはなりません。

この場合は関心をもたれても、同時に答えがわかったので納得し、職務経歴の本文には至らないおそれがあります。全部を読んでもらうためには、フックですべては書かず、インパクトのある要素だけを盛り込むのが得策です。

客観性を持たせる

いくら内容がダイナミックでも、客観性に欠ける書き方であると現実味が薄れてしまって、必ずしも好印象にはつながりません。

客観性を持たせるためには、適度に数値や事実関係、第三者の評価を盛り込むことです。「2年で」「前年比〇〇%」「50人規模」「最年少で社内MVP」「クライアントに高い評価を得て継続案件となり」などを、ほどよく内容に入れましょう。

転職回数に応じた構成を心がける

同じ4行くらいの要約でも、今回が初めての転職である候補者なら書くべき内容は1社のことであり、2回目の転職なら2社分あります。そのため、要約の構成も同じではありません。前者の場合は、現職での職歴ストーリーをわかりやすく記述する必要があります。後者の場合は3社分の職歴のダイジェストです。

注意点として、個々のトピックの羅列で単調になったりブツ切れのような印象になったりしないよう、強弱のある流れるような文章を心掛けましょう。全体としてストーリーの一貫性があるダイジェストになるように書いてください。

複数社あれば直近か長い職歴を中心に書く

また、在籍者数が多い場合の職務要約では、それぞれの職務の話題を均等の文章量にする必要はありません。むしろ限られた文字数の中なので、いずれかひとつにフォーカスしてしっかり書き、他は項目だけにしてメリハリをつけるのが、インパクトを与える上で効果的です。

フォーカスを当てる職歴については、直近のものか、過去に最も長く従事したもののどちらかを基本的にメインにしましょう。とはいえ、直近や最も長い職歴とは違っていても、強くアピールしたい職歴があれば、それを中心に書くのが賢明です。

応募先が異業種なら専門用語は避けて分かりやすく書く

候補者が関わってきた業種と応募する業種が異なる場合は、職務経歴に記載する内容に専門用語や専門的な表現は避けましょう。選考担当者が読んで意味が伝わるように、分かりやすい言葉を使用してください。どうしても用語が必要な文脈なら、簡潔に補足説明を加えましょう。

ただし、要約の中に入れると大抵はようやく全体が6行以上になってしまいます。要約の中では補足なしで(※)をその言葉の後につけておき、本文の下に1行開けて※の説明を加えればよいでしょう。

応募先やポストに紐づける

職務経歴の中で、応募先の業務内容や募集対象ポストの仕事につながるものがあれば、必ずピックアップして、強調しておきましょう。もちろん志望動機ではないので、なにも具体的に応募先やポストと結びつけて書くわけではありません。

応募先の仕事につながるものを意識的に強調して挙げておけば、応募先の担当者からみれば求めている職務なので、自然と紐づきます。例えば応募先がコンサルティングファームの場合で、あなたがメーカー営業担当だとしましょう。

「提案営業を取り入れ、顧客の業務効率を改善するアイデアと共に販売する戦略にて前年を35%上回る実績を樹立」などとすれば、先方の担当者は「コンサル未経験でもコンサルティングのセンスは持っているようだ」と確実に伝わります。

まとめ

職務経歴書の中で冒頭に記載する職務要約は、単なるまとめ以上の意味を持つ、書類選考の最初の関門と考えて記載しましょう。粗選りで漏れてしまわないように、わずか4行程度の中に選考担当者の心に引っ掛かる内容を盛り込んでください。

これから転職活動に向かうみなさんは、ここで紹介した職務要約の書き方とコツ、および例文を参考にしていただいて、あなた自身のベストな職務要約を含む職務経歴書を携えて臨みましょう。

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