宇宙のロードサービスに世界が注目!アストロスケールの強さを支える「技術」と「組織」

急成長する宇宙ビジネスの世界において革新的なアイデアと技術で挑戦を続ける日本企業のプロフェッショナルにインタビューを行い、彼らのビジョンや技術、課題について深く掘り下げるとともに、求める人材像や働き方について取り上げる「スペーステック企業図鑑」。
今回は持続可能な宇宙開発のために宇宙のインフラとなる「軌道上サービス」 を世界に先駆けて展開する株式会社アストロスケールを訪問し、その躍進を支えるキーパーソンの方々にインタビューを行いました。

ゲスト:株式会社アストロスケール 代表取締役社長兼CEO 岡田さん、Chief Engineer 井上さん、Manager GNC 金子さん、Senior specialist, HRBP 石塚さん
インタビュアー:タリスマン株式会社 コンサルタント 外間
※本記事は以下の動画をベースとした再編集版です。動画でも同じ内容をご視聴いただけます。

-メディア運営・監修-
Talisman Corporation / IT・外資の転職はタリスマン
外資系企業や日系大手、ベンチャー企業への転職にご興味のある方はぜひお問い合わせください。転職エージェントとして10年以上の経験、データを持つ弊社タリスマン株式会社がサポートさせていただきます。[厚生労働大臣許可番号] 01-ユ-300282

宇宙のインフラ「軌道上サービス」とは

ーー はじめに、アストロスケールと「軌道上サービス」について教えてください。
岡田さん:アストロスケールは、宇宙を安全で持続利用可能にする会社です。宇宙はこのまま放っておくと持続利用不可能です。私たちはこれを変えるために宇宙にインフラを作ろうとしています。それが「軌道上サービス」というもので、人工衛星の点検、観測、修理、燃料補給、廃棄、除去など、人工衛星のライフサイクル全般に対して軌道上でサービスを行います。

私たちは、この軌道上サービスという新しい分野を世界に先駆けて前進させてきました。始めは、「宇宙のゴミ(スペースデブリ)を掃除しよう」 と会社を作りましたが、当時は「スペースデブリ」という言葉すら誰も知らない状態でした。しかし今では、国連やG7、新聞の中でも認知されるような問題になってきています。ただ、まだまだやることはたくさんで、技術、事業、ルール作りなど、山を越えるとまた山、という日々を送っています。

進行中の3つのミッション

ーー 現在進行進行中のミッションについて教えてください。
井上さん:今、大きく分けて3種類のミッションが進行中です。1つ目が「観測ミッションで」、将来は2つの大きな人工衛星のデブリを観測しに行く予定です。二つ目が「デブリ除去ミッション」で、ADRAS-Jで見に行ったH-IIA上段を捕獲して軌道遷移をするというミッションです。最後が「燃料補給のミッション」で、燃料補給を低軌道の衛星に向けてする予定です。

岡田さん:直近のミッションが、日本が出した非常に大きなゴミ (11m、3tのバスのようなサイズ)を捕まえて除去する前に、本当に接近できるのかを確認するミッションでした。秒速7~8kmで飛んでいる速さの物体に接近し、世界で初めてスペースデブリの写真を撮ることもできました。写真を見た時は、感動しましたよね。

井上さん:そうですね、写真を撮って実際に降りてくるまでしばらく時間があるんですが、みんなで見た時はものすごい感動でした。

岡田さん:スペースデブリはすごい速さで飛んでいるので、ピタッと相対静止をしなければいけないんですが、本当に目の前まで行くことができました。その時の動画を見ていると、これは「早く掃除をしなきゃ!」と思いましたね。非常に感動的なミッションでした。この時に撮られた写真は、国連本部(NY)のビジターセンターに飾られまして、色々な賞もいただいたミッションです。

ミッションの技術的な面白さ

外間:その軌道上サービスに欠かせないのがアストロスケールの技術の核となるGNCです。GNCとは、ガイダンス、ナビゲーション、コントロールの頭文字で、誘導、航法、制御を司るエンジニアのことです。ここからは20基以上の衛星開発に携わってきたGNCチームマネージャーの金子さんにお越しいただきました。金子さんはこれまで20基以上の衛星開発においてGNC領域でたくさんの経験をされてきたと伺っています。

ーー GNC領域で確かな知見を持つ金子さんがアストロスケールというフィールドで挑戦したいと考える「軌道上サービスならではの技術的な面白さ」についてお伺いしたいです。

金子さん:今まで開発してきた衛星は、「決められた軌道位置、決められた場所に正確にお届けする」というものでした。しかし、アストロスケールのミッションでは、どこにいるか分からないスペースデブリに近づいていくことになります。つまり、「究極の応用問題」です。行ってみないとどこにいるか分からないといったところが難しいところであり、面白いところだと思っています。

Astroscaleでの仕事を深掘り

ーー アストロスケールに実際に入社してみていかがですか?
金子さん:グローバル企業なので、アメリカやイギリスなど、世界のアストロスケールのグループ会社と仕事を一緒に進める場面があります。
色々なバックボーンを持つ方と話をすると新たな発見もある一方で、なかなかまとめるのは難しく、しかも正解がないというところに難しさとやりがいを感じています。

井上さん:まとめていく力は、過去の経験などから生まれてくるものかなと思います。特にGNCは、アストロスケールのコアな技術なので、金子さんみたいなベテランの方にまとめていただけるのはものすごく心強いです。

「近傍相対航法」とは

井上さん:アストロスケールのコア技術の一つが「近傍相対航法」です。それらを応用して軌道上の様々なサービスを行うことができます。

ーー 近傍相対航法というのはどのようなものでしょうか?
金子さん:近傍相対航法というのは、意思疎通のできない相手(宇宙デブリ)に対し、近くに行って、どこにいるのかな、どういう向きなのかなということを確認しながら進めていく制御のことになります。
地上からの観測ではどちらを向いているか中々わからないので、近づいて行って初めてチェックして、それに応じて自分の姿勢や位置を自由に変えていく、という航法です。

Astroscaleにフィットする人

ーー ここからはHRの石塚さんにも加わっていただきます。世界初のミッションに挑み続けるアストロスケールのエンジニアの方たちに共通する価値観はありますか?
石塚さん:アストロスケールのエンジニアは、前例がない、正解がないことに対しチャレンジをし、ミッションを達成することに価値を置いている方が多いです。

ーー 不確実な宇宙で必ずミッションを成立させる。その執着こそが共通言語なんですね。他の業界で高度な経験を積んできたシニアのエンジニアにとって、答えのない問いに対し、自らの知見で解を出すというのは最も腕が鳴るところではないでしょうか?
井上さん:はい、その通りだと思います。私たちは指示を待って、それに対して動くのではなく、自ら課題を見つけ、解決していける人を求めています。

ーー そうした環境で活躍していくためには技術力以外にどのようなマインドセットが必要でしょうか? 「こういう人がフィットする」というリアルな基準はありますか?
石塚さん:私たちのミッションに共感していただけるマインドはもちろんですが、まだ組織として整っていない部分もありますので、組織を一緒に育てていく、問題を一緒に解決していくという環境を楽しんでいただける方がフィットすると思います。

ーー 現在のフェーズにおいて どのような人材戦略で組織をデザインされていますか?
石塚さん:私たちは今、前例をつくるフェーズから事業を回していくフェーズに移ってきています。宇宙の知見はもちろん必要ですが、それ以外の業界から来ていただく方の知見をもってさらに私たちの軌道上サービスが発展していくと考えます。そのため、宇宙業界にとらわれず幅広い知見を持ったスペシャリストを募集しています。

ーー 軌道上サービスを作り上げていくための混成チームを意図的に作られているということですね。他業界から来るシニアのエンジニアの方にはどのようなことを期待されていますか?
井上さん:他業界で学ばれた量産の技術や品質の管理、アジャイル開発などは、今の宇宙業界をインフラに育てていくために必要な経験だと思います。そのような経験を生かして宇宙という領域で新しいサービスを作っていただける方と一緒に働きたいです。

ーー 他の業界の当たり前が今の宇宙ビジネスには 必要不可欠なピースということですね。それを踏まえた上で、現在特に注力して募集しているポジションについて 具体的に教えてください。
石塚さん:私たちはミッションを成功し続けるための強力なエンジニアを募集しています。中でも、特に注力しているのが衛星開発に関わるエンジニアです。システム、ミッション、GNC、ロボティクスなど、様々な業界の方の知見を必要としています。業界問わず、ミッションに共感していただける方に応募をしていただきたいです。

左から:タリスマン 外間、アストロスケール 岡田さん、井上さん、金子さん、石塚さん

ーー 「宇宙の知識よりもエンジニアリングの本質的な力を求めている。」これは、宇宙領域に興味を持っているエンジニアの方々にとって勇気づけられる言葉だと思います。そうして集まった宇宙以外の業界を含むエンジニアの方々とこれからどのような未来を作っていきたいですか?

岡田さん:私たちはあくまでも安全で持続利用可能な宇宙空間にしていきたいと思っています。決して平坦な道ではないですが、「最先端の技術に触れたい」、「グローバルの仲間と一緒に働きたい」、「ワクワクするような毎日を過ごしたい」と思う方は、ぜひご応募いただきたいです。


インタビューを終えて
タリスマン株式会社 外間


今回のインタビューを通じて、「宇宙を安全で持続利用可能にする」という壮大なビジョンが、決して遠い夢物語ではなく、熱いエンジニアリングと組織づくりによって着実に現実へと手繰り寄せられていることを感じました。
高速で移動するスペースデブリを相手にする「究極の応用問題」に挑むエンジニアの皆様の表情には、前例のない挑戦を心の底から楽しみ、必ず成功させるという強い気概が溢れていました。また、「宇宙の知識よりもエンジニアリングの本質的な力を求める」という採用戦略は、これからこの新たな領域へ飛び込もうとする多くのプロフェッショナルにとって、大きな背中を押すメッセージになったのではないでしょうか。
国連やG7をはじめ世界が注目するこの最前線で、多様なバックグラウンドを持つ仲間とともにゼロから答えを創り出していく——。そんな熱気とワクワク感に満ちたアストロスケール様の「今」を間近で体感し、私自身も胸が熱くなる取材となりました。
宇宙の未来を拓くこの挑戦の場が、志を同じくする多くの才能と出会い、さらに大きく飛躍していくことを心より応援しております。

タリスマンに転職相談をする

宇宙関連の求人を探す