宇宙産業は「量産フェーズ」へ。製造の常識を覆すSynspectiveの挑戦

Synspective

急成長する宇宙ビジネスの世界において革新的なアイデアと技術で挑戦を続ける日本企業のプロフェッショナルにインタビューを行い、彼らのビジョンや技術、課題について深く掘り下げるとともに、求める人材像や働き方について取り上げる「スペーステック企業図鑑」。
今回は独自の小型SAR衛星の量産化に挑む株式会社Synspectiveの最新鋭拠点に潜入し、同社が描く将来ビジョンとそこで働く魅力を伺いました。

ゲスト:株式会社Synspective シニアプロセスエンジニア 内藤洋平さん
インタビュアー:タリスマン株式会社 代表取締役 盛内文雄、コンサルタント 外間愛望
※本記事は以下の動画をベースとした再編集版です。動画でも同じ内容をご視聴いただけます。

-メディア運営・監修-
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「SAR衛星」とは

ーー まずはじめに、ここヤマトテクノロジーセンター(神奈川県大和市)は、2024年に本格稼働したばかりの自社小型衛星の量産拠点ということですが、こちらで作っている「SAR衛星」というのはどのような衛星なのでしょうか?
我々が作っている「SAR衛星」は、電波を衛星から飛ばして、地表に跳ね返った電波を再度受信するような衛星になります。

SAR satellite shot
SAR衛星イメージ:株式会社Synspective提供

衛星からの画像というと、一般的には上空からカメラでとらえたようなものをイメージすると思いますが、そういった衛星は、夜間や下に雲があったりすると画像が撮れなかったりします。それに対し、SAR衛星は電波を使っているので夜間でも、大雨が降っていても地上の様子がわかるのが特徴です。

Synspectiveが挑む 宇宙産業の「量産」フェーズ

株式会社Synspectiveヤマトテクノロジーセンター工場内部

Synspectiveが目指しているのは、30機以上の「衛星群(コンステレーション)」の構築です。そのためには、これまでのような1台1台の「丁寧なモノづくり」に加えて「量産」というものが不可欠になってきます。

ーー 宇宙業界で「量産」ってあまり聞きなれない言葉ですよね。
そうですね。だからこそSynspectiveには、もともと宇宙業界出身のエンジニアだけではなく、半導体業界、自動車業界などから「モノづくりのプロ」が集結しています。私も実は、異業界からSynspectiveに入社しております。

ーー 社内での「技術継承」についてもお伺いしたいです。
人工衛星の組立には、非常に多くのノウハウや難しいことがあります。一方で、一つ一つの部品が高価であったり、代替が利かなかったりでなかなか練習の機会が持ちづらいというところが課題としてあります。

gijutsu dojo

そこで我々は、実際に打ち上げるものと非常に似たもの(コネクター、配線、プレート、接着剤など)を用意して気軽に練習できる場を構築し、長い経験を持つエンジニアから若手へと技術を継承する取り組みをしています。

プロセスエンジニアリングとは?

ーー 内藤さんが担当されている「プロセスエンジニアリング」とはどのような仕事ですか?
一言でいうと、「衛星を作る仕組みをデザインする仕事」です。モノというのは設計図があってできるわけですが、設計図通りに作るにしてもどうやって作れば歩留まり良く、高品質かつスピーディーに作れるか、というところを仕組みからデザインするのが、プロセスエンジニアリングの仕事になります。設計チーム、製造チーム、調達チーム、生産管理チームなど、様々なステークホルダーと一緒になってその仕組みをデザインします。

なぜSynspectiveに?

ーー 次に入社経緯についてお伺いします。Synspectiveに決められた理由は何でしたか?
Synspectiveへの入社を決めた理由は2つあります。まず一つは、もともと宇宙業界に非常に興味がありました。そんな中、この業界が「一つ一つを丁寧に作る」というところから「量産をする、モノづくりをたくさんする」というフェーズに入ってきたことに非常に大きな可能性を感じました。
もう一つは、Synspectiveが自社で衛星を作るだけではなく、ソリューションや、お客様にどうやってデータを届け、どういう風に活用していくかというバリューを届けるところまでワンストップでやっている唯一の会社だったからです。

ーー 前職での経験はどのように活きていますか?
私のこれまでのキャリアは基本的にすべてモノづくりに携わってきています。(今まで経験してきた)業界は、半導体や分析装置で、宇宙とは異業種ですが、基本的なモノの作り方の考え方、例えば、DFA/DFM*や、PDCAを高速で回すことなどは変わらないので、これまでの経験は十分にこの業界でも活用でき、手応えを感じています。
*DFA (Design for Assembly:組立容易性設計)/DFM (Design for Manufacturability:製造のための設計)→製品の品質向上、コスト削減、開発期間短縮を目的とした設計アプローチ

ーー Synspectiveならではの仕事の醍醐味、面白さ、逆に難しさはありますか?
宇宙業界ならではというところではあるんですけど、自分が手を動かして作ったり携わったりしたものをロケットに積み込み、実際に宇宙に打ち上がって、地球の周りを回って、そのデータが見れる、降りてくるという、すごく手触り感のあるところに非常に面白みを感じています。
また、当然ですが、衛星は地球の周りを回るので、真空状態、激しい温度差、放射線被ばく等に耐えうるものでなければなりません。モノづくりにとってこういった宇宙環境は非常に難しい条件です。一方で、量産をするためには、コストを抑え、スピーディーに作らなくてはいけない。この「難しさ」と「経済合理性」とのトレードオフは挑戦しがいのある部分だと思っています。

Synspectiveが求める人物像

ーー 量産化フェーズということで、採用も絶賛強化中だと思いますが、どのような方と一緒に仕事をしたいですか?
私もそうですが、バックグラウンドが必ずしも宇宙業界である必要はないと思っています。それよりも、宇宙業界はかなりレガシーな業界でもありますので、そういったモノづくりに対して、当たり前を疑ってかかる目線を持っていたり、おかしいと思ったことに対して声を上げられる方が求められます。
ならびに、非常に多くの人間が関わるため、設計チーム、製造チーム、周りのステークホルダーなどみんなを巻き込めるような力を持った方、またはそのようなモチベーションを持った方に来ていただきたいなと思っております。

ーー 最後に読者の方にメッセージをお願いいたします
宇宙業界は今、これまでの「一つ一つ丁寧に手作り」というところから「量産化、産業化」へと移る激動期にあります。ここでは、あなたが持っている製造に関するスキルや、経験を存分に発揮できる可能性が非常に多くあります。Synspectiveでは、この量産化、産業化のフェーズに挑戦したい方を待っています。よろしくお願いします。

Synspective内藤さん
右:Synspectiveシニアプロセスエンジニア 内藤さん/左:タリスマン代表 盛内

ーー ご興味のある方は、ぜひ求人情報をチェックして、応募を検討してみてください! 本日はありがとうございました。
ありがとうございました。

タリスマン株式会社代表 盛内文雄
インタビューを終えて
タリスマン株式会社代表 盛内文雄


今回お邪魔した「ヤマトテクノロジーセンター」は、まさに日本の宇宙ビジネスの未来が形作られている刺激的な場所でした。クリーンで最先端の工場内に一歩足を踏み入れた瞬間に感じたヒンヤリとした空気とあの高揚感は、今でも忘れられません。
インタビューを通じて最も印象的だったのは、シニアプロセスエンジニアである内藤さんの「手触り感」という言葉です。ご自身が異業界から飛び込み、「生産の仕組みをデザイン」した衛星が宇宙へ行き、地球のデータを届けてくれる――。そのロマンを語る内藤さんの生き生きとした表情からは、ただの「作業」ではなく「新しい産業の歴史を自分たちが作っているんだ」という強い誇りと熱量がリアルに伝わってきました。
宇宙業界が「手作り」から「量産化」へ移行するこの激動のフェーズだからこそ、自動車や半導体など、他業界で培われたモノづくりの経験や「当たり前を疑う視点」が何よりも強力な武器になる。その事実は、多くの技術者にとって大きな希望になるはずです。
「宇宙」という壮大な舞台で、自分のスキルを何倍にもスケールさせて挑戦してみたい。そんな熱い想いを持った方に、ぜひSynspective社が用意するこの唯一無二のチャンスを掴み取っていただきたいと強く感じたインタビューでした。内藤さん、ならびにご協力いただいたSynspectiveの皆様、貴重なお話を本当にありがとうございました!

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