フレームワークとは?ビジネスを加速させる論理的思考を可能に

「戦略の立案や企業問題を解決するため、効率よく思考を整理できる方法はないだろうか?」。

経営戦略や商品開発を担当する方であれば、そのように考えたことがあるのではないでしょうか。

フレームワークは思考時間を短縮させ、ビジネスを加速させるツールとして効果的です。
本稿では、フレームワークとは何か、メリットとデメリット、具体的な導入例をご紹介します。

フレームワークとは?

フレームワーク(framework)とは、戦略の立案や問題を解決する時に役立つ枠組みのことです。

フレームワークの多くは、考えを整理しやすいように図式化されているので、それに沿って情報・考えを整理することで、新しい発想や状況分析を効率よく行えます。

フレームワークには、ビジネスで有効性が実証されたメソッドが落とし込まれており、用途や状況に合わせて使用できるよう、いくつもの種類があります。

現場では複数のフレームワークを併用して活用することもあり、業務フローを効率化するアイテムとして認知されています。

フレームワークを活用できるシチュエーション

フレームワークはどのようなシチュエーションで活用できるのでしょうか。いくつか例をご紹介します。

例えば、顧客の集客が課題になっているとします。そんな時、マーケティングのフレームワークを使えば、顧客分析・自社分析・競合分析の方向性を定めることができ、明確な経営戦略を作り出すことが可能です。

また、戦略人事を展開するうえでもフレームワークは有効です。社員のモチベーションの低下や労働力の減少などの問題を解決するには、自社の状況を多面的に分析する必要があります。

人事に使えるフレームワークを利用することで、従業員満足を向上させる方法や人材採用などの問題を細かく分析することができます。

フレームワークのメリット

フレームワークをビジネスシーンに導入することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。詳しく解説します。

思考時間を短縮できる

ビジネスフレームワークを使うと、思考時間を短縮できます。例えば、料理においても一から食材を切り調理をすると時間がかかりますが、ある程度の味付けや調理が施されていると短時間で完成できます。

フレームワークも問題を解決するためのメリットがすでに構築されているので、あとはそれに当てはめていくことで結論を導き出せます。

経営上の問題を解決するため、役員陣・従業員を招集したものの「何から手を付けたらいいのかわからない…」ということもあるでしょう。そんな時、思考を整理して問題の原因や解決策の手助けをしてくれるのがフレームワークなのです。

問題の本質を見極められる

フレームワークのなかには、大きなテーマ(問題)を細かく分析していき、小さなテーマ(問題)ごとに解決策を見つけられるものがあります。特定の問題だけに気を取られるのではなく、全体像を把握しながら問題の本質を見極められます。

フレームワークを使って問題の分析と解決策の追及。これを繰り返すことで、企業が抱える問題の根本的な原因は何か?長期的に見て本当の解決策は何か?などを見極めることができます。

アクションに繋がるアウトプットが可能

会議でいろいろ考えた挙句、結局どうしたらいいのか?という部分が曖昧に終わってしまうこともあるでしょう。フレームワークは思考のプロセスだけでなく、アクションに繋がるアウトプットも導き出します。

「何を・誰がいつまでに行うべきか」という部分も明確になるため、問題のプロセスが明確になります。また、複数人で情報を共有することで共通の認識を築くことができ、企業内での納得度も高くなります。

色々なフレームワークを使うことでソリューション力が高まる

色々なフレームワークを使い分けることで、問題解決の思考パターンを広げることが可能になります。

人は気づかないうちに固定概念に縛られることがあり、問題の解決方法も狭い視野の中で模索する傾向があります。意識的に多種多様なフレームワークを使って問題解決を図れば、様々な角度から物事の分析や検証できるようになります。

フレームワークを使えば使うほど、ソリューション力が高まり、思考の回転が速くなっていくのを実感できるでしょう。

フレームワークのデメリット・注意点

フレームワークはビジネスシーンにおいて役立ちますが、万能なアイテムというわけではありません。デメリットや注意点について理解しておきましょう。

習得までに時間がかかる

まずは、フレームワークの種類・特徴・使い方を学習する必要があります。闇雲にフレームワークを持ち出しても思考のスピードはあがりません。

初めは戸惑うことが多く、思った以上に時間がかかるかもしれません。しかし、思考の展開方法を習得すればビジネスパーソンとして大きな強みになります。本稿では、フレームワークの種類や特徴を次の章で解説しているので参考にしてみてください。

問題の論点の見極めを疎かにしない

本やインターネットで紹介されているフレームワークを単純に自社のビジネスに当てはめれば、自動的に問題の解決策が見えてくるのでしょうか。答えは「No」です。

確かに、フレームワークは思考スピードを上げて仕事の生産性を上げてくれますが、問題の論点を見極めずに強引に当てはめようとしても有益な答えは見つからないでしょう。

既存のフレームワークを使うとはいえ、まずは論点となっている問題をしっかりと見極めて、自社の状況に合わせてカスタムを加える必要もあります。

「フレームワークがあれば何でも解決できる!」と間違った確信をもつと、会社全体をミスリードしてしまうかもしれません。

最適なフレームワークを選択する必要がある

フレームワークとして紹介されるものは100以上あると言われていますが、「フレームワークであればどれを使っても効果的」というわけではありません。

大切なのは、目的・用途に合ったものを使用するということです。例えば、クリティカルシンキングを目指す場合とマーケティングプロセスを考察する場面では、使用するフレームワークが異なります。

間違った使い方をすると情報が混乱してしまい、経営戦略にも悪影響が出る可能性があります。

物事の整理に役立つフレームワーク3選

この章では、物事を整理する時に役立つフレームワークを三つご紹介します。あなたに合ったフレームワークを見つけてください。

5W1H

5W1Hはやるべきことを抜け目なく洗い出すためのもので、すべてのビジネスマンに応用できるフレームワークです。
以下のように情報を分類します。

  • When(いつ)
  • Where(どこで)
  • Who(誰が)
  • What(何を)
  • Why(なぜ)
  • How(どうやって)

上記のように情報をまとめることで、情報伝達や文章の構成を過不足なくスッキリとまとめることができます。

5W1Hはビジネスフレームワークの入門編とも言われていますから、今までフレームワークを使ったことがないという人におすすめです。

ロジックツリー(Logic Tree)

ロジックツリー(Logic Tree)とは、問題の解決策を導き出すために、要因をツリー状に分解して考える方法です。

小さな課題を解決していくことで本質的な課題を見分けられるので、多くのビジネスシーンで活用されています。

ツリーの分解方法はいくつかありますが、代表的なものをご紹介します。

ツリー分解 メリット
Whatツリー 問題となっている要因を把握するため、「何」が関連しているのかを分解する方法。関係している要素を洗い出すことができる
Whyツリー 1つの課題を取り上げ、「なぜ」そうなったのかの要因を分解していく方法。問題が発生した根本的な原因を突き止めることができる
Howツリー 問題を解決するために「どうしたらいいのか」を分解する方法。表面的な解決方法だけでなく、問題の本質に迫り、アクションに繋がる結論を見つけることができる

ロジックツリーは問題の全体像や多面的な解決方法を模索したい時に効果を発揮するフレームワークです。

MECE

MECE(ミーシー)とは、Mutually(互いに)Exclusive(重複がなく)Collectively(全体的に)Exhaustive(漏れがない)を略したもので、情報を重複・抜け落ちなくまとめたい時の考え方です。

MECEはロジカルシンキング(論理的思考)において基本とされる概念で、必要な情報を客観的な視点で論理的に整理するうえで効果的です。MECEはフレームワークというより一種の考え方と言っていいでしょう。

MECEの具体例を取り上げます。自社製品の売り上げを伸ばしたい場合、関係する要素は非常にたくさんあります。思いつくままに情報を列挙するという方法もありますが、それでは重要な点が抜けていたり、重複していることがあります。そうなると論題がぼやけてしまい本来のテーマから逸脱する可能性があります。

MECEの考え方とするには、全体像から詳細な点にブレークダウンするトップダウンアプローチや詳細情報を集めてから全体に広げるボトムアップアプローチがあります。

また、他のフレームワークと組み合わせて、要素や時系列・ステップ別に分類することでMECEの考え方を展開する方法もあります。

アイデア発想に役立つフレームワーク3選

固定概念にとらわれない新しい発想は簡単に生まれるものではありません。しかし、フレームワークを利用すれば、これまでにないアイデアが見つかるかもしれません。新しいアイデアを必要とするときに役立つフレームワークをご紹介します。

マインドマップ

マインドマップとは、一つのテーマを中心に据えて、そこから関連する要素を枝状に展開した図のことです。関連性を相対的に見渡すことで新しい発想が生まれやすくなります。

図そのものの書き方は難しくなく、紙とペンがあれば気軽にマインドマップを作ることができます。
マインドマップの作り方は以下の通りです。

1:主題を真ん中に書く 思考を紙一面で見渡す必要があるので、縦よりも横向きがベター
2:主題からブランチ(枝)を広げる 中心の主題から関連する要素をブランチとして広げる。一つのブランチには複数ではなく一つの要素のみを入れる
3:メインブランチからサブブランチを広げる メインブランチからさらに思考を広げてサブブランチを展開する。他のブランチと重複がないように注意する

マインドマップを作る時は、「なぜ、だれが、どのように」などを自問自答しながら展開するといいでしょう。

マンダラート

マンダラートとは、主題から連想できる言葉を繋いでアイデアを展開する方法です。

まず、3×3の9マスの枠を作ります。その際、紙やExcel、アプリケーションなど視覚化できるツールを利用してみましょう。

次に、9マスの中心にテーマとなる言葉を書き込みます。そして、周辺のマスに関係する項目を入れます。

内容や位置関係は自由で思いつくままに言葉を入れることができます。例えば、「年収アップ」というワードを選んだ場合、以下のようになります。

独立 残業をする 上司に交渉
副業 年収アップ 資格取得
目標額 転職 スキルアップ

そして、「年収アップ」以外のワードを別の9マスの枠の中心に書き込み、関連する要素を先と同じように周辺のマスに記入します。つめり、9マスの枠が全部で9個できることになります。

マンダラートはとてもシンプルな方法ですが、アイデアを増やしながら各項目をブラッシュアップできるので、目標や改善点を多面的にとらえたい人におすすめです。

6W2H

6W2Hは5W1Hをさらに派生させたフレームワークです。以下のように情報を展開します。

  • When(いつ)
  • Where(どこで)
  • Who(だれが)
  • Whom(だれに)
  • What(なにを)
  • Why(なぜ)
  • How(どうやって)
  • How much(いくらで)

6W2H と5W1Hの違いは、Whom(だれに)とHow much(いくらで)が挿入されている点です。WhoとWhomを別にして考え、How muchを加えることで、ビジネスにおけるターゲット像を明確にでき、戦略マーケティングに必要なアイデアを深堀できます。

6W2Hは販売促進や商品説明、企画書の作成に役立つフレームワークと言われていますが、効果性を高めるには、表面的に情報を展開するのではなく、しっかりと深堀することが必要です。

そうすることで、今までにない切り口で問題に向き合い、新しいアイデアを抽出することできるでしょう。

ビジネス・フレームワークのまとめ

今回はビジネスシーンで活用できるフレームワークについて取り上げました。フレームワークとは、思考を整理するための枠組みのことです。いくつものフレームワークがあるので、用途に合わせて使用すると効果的です。

フレームワークを使うことで、思考時間の短縮や問題の本質を見極めることができます。しかし、フレームワークは万能というわけではなく、使い方を取得するまでに時間がかかることや最適なフレームワークを選択する、などの注意点もあります。

物事を論理的に整理したい場合は以下のようなフレームワークが有効です。

  • 5W1H
  • ロジックツリー
  • MECE

また、新しい発想力を必要とする場合は以下のフレームワークを試してみるといいでしょう。

  • マインドマップ
  • マンダラート
  • 6W2H

フレームワークはビジネスを加速させ、作業効率を上げるうえで効果的です。

今回の情報を参考にして、次回の会議でフレームワークを導入してみるのはいかかでしょうか。

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