【挨拶テンプレ付】円満な退職のために知っておくべき12つのマナー

【挨拶テンプレ付】円満な退職のために知っておくべき12つのマナー

退職する時のマナーは社会人として重要ですよね。マナーの欠けた行動をするとお世話になった上司や同僚、取引先に不快感を与え、新たな転職に向けた良いステップとはならないでしょう。皆に気持ちよく見送ってもらえるよう、退職時には社会人としてマナーを守ることが大切です。

本稿では、円満に退職するために必要な基本マナーを解説します。退職の切り出し方から退職願の出し方、退職時の挨拶の方法などを具体的に取り上げるので、参考にしていただけると幸いです。

退職時にマナーが重要な理由

「会社を辞めるときに、なぜマナーを守る必要があるのか」って思いますよね。この章では、そもそも退職時にマナーが重要な理由を説明します。

人との付き合いは貴重な財産になるから

退職すればすべての関係が終わるわけではありません。社員としての付き合いはなくなっても、プライベートでの繋がりが続く場合があります。

また、新しい職場に転職した際の最初のクライアントになる可能性もあります。たとえ、利害関係がなかったとしても、人との付き合いは貴重な財産ですから、社会人としてマナーを守って退職しましょう。

社会人としての品格を示すため

人は、去り際に品格が現れると言いますよね。在籍中は人間関係や業務上のストレスを抱えたり、社内体制への不満を感じることもあるでしょう。しかし、去り際は美しく、きれいな別れを作り出すことで、あなたの社会人としての品格を示すことができます。

過去に上司や同僚と意見が合わず口論になったこともあるかもしれませんが、同じ目標をもって働いた仲間であることに変わりはありません。過ぎたことにとらわれず、最後はきちんと感謝を伝えて去ることで、あなた自身も気持ちよく次の職場にステップすることができます。

退職届を出す前に考えるべきこと

退職は人生の大きな節目になります。退職をして後悔しないために、この章では退職届を出す前に考えておくべきことを説明します。

退職する時期を決める

まず、いつ退職したいのかを逆算しましょう。テレビや映画などで、上司に退職願を叩きつけて、そのままオフィスを後にするシーンを目にすることがありますよね。しかし、現実には、退職願を出してその日に辞めることはできません。

退職の時期については、退職願が受理されてから30日、60日など社内規則で決められていることが多いので、通常はそれに従う必要があります。また、退職願提出してから辞めるまでの期間は業務内容やポジションによっても変わります。円満退職を心掛けるのであれば、少なくても1カ月半~2カ月前には退職の意向を伝えておくのが良いでしょう。

退職の時期の決め方は、合わせてこちらもチェックしましょう。

有給の消化日数を計算に入れる

退職時に未消化の有給をまとめて消化する場合、どの程度の日数を休むことになるのか計算しておきましょう。

例えば、2カ月前に退職願を提出しても未消化の有給が40日残っている場合、退職するまでに出勤する日数は20日程になります。あまりにも短い期間だと、業務の引継ぎ等に支障が出る可能性があります。後任者への引継ぎに支障が出ないように、有給の消化日数も計算に入れましょう。

退職に適したタイミングを見定める

大きな仕事を任されてすぐに退職すると、プロジェクト全体に大きな影響が出てしまいますし、共に働く従業員にもしわ寄せがいくかもしれません。近々、大きなプロジェクトが始める予定であれば、具体的なメンバー構成が決まる前に、退職の意向を知らせるのがベターです。また、数カ月後にプロジェクトが一段落着くのであれば、そのタイミングで自分の意向を伝えることもできます。

退職の覚悟を再確認する

退職をした後に後悔しないためには、「なぜ退職したいのか」という理由を自分自身が明確に理解しておく必要があります。「仕事がつまらない」「なんとなく他の仕事をしてみたい」などの曖昧で理由で退職すると、新しい職場でもやりがいを見つけることができず、後悔することになりかねません。

転職活動をしてもスムーズに新しい仕事が決まるとは限りません。収入がなくなり、金銭面のでストレスを抱える可能性もあります。退職の理由は人によって異なりますが、あとで後悔しないように、「なぜ退職したいのか」と自分に問いかけて、明確な答えが出るようにしておきましょう。

退職を伝えるときのマナー

退職を決めて、いざ退職願を出そうと思っても「退職ってどうやって伝えたらいいのか?」と悩んでしまいますよね。ここでは、退職を伝えるときのマナーや引き留められた時の対処方法を解説します。

退職願は口頭と書面で伝える

退職したいという希望は口頭と書面で会社または上司に伝える必要があります。口頭で伝える場合は「一身上の都合により、退職させていただきたいと考えおります」と伝えると良いでしょう。

また、退職願の基本的な書き方は以下の通りです。

退職願
20○○年○月○日

株式会社 ○○〇
代表取締役 ○〇○○殿

所属部署名
あなたの名前 印

私は、このたび一身上の都合により、20○○○年○月○日をもって退職いたしたく、
お願い申し上げます。

口頭で退職の意向を伝えたときに、スムーズに退職願も出せるように準備しておきましょう。

退職を伝えるのは「直属の上司」

経営陣や上層部に直接退職の意向を伝えてしまうと、上司の管理責任能力が問われて、顔を潰してしまうことになりかねません。また上層部では、あなたの仕事のポジションや今後のプロジェクトの流れが把握できない場合もあり、結局は「上司と相談してくれ」と言われることもあります。そのため、退職の意思はまず上司に伝えるのがマナーであることを覚えておきましょう。

退職願は直属の上司に提出するのがマナーですが、タイミングも重要です。他の従業員の目の前で退職願を出したり、藪から棒に話を切り出すのは社会人として適切ではありません。「少しお話したいことがあるのでお時間を頂けますか」と切り出して、二人だけのタイミングで退職願を出します。

退職日を一方的に伝えない

あなたの頭の中では、具体的な退職の日付が決まっているかもしれませんが、「〇月〇日に退職します」など一方的に退職日を指定するのは良い印象を与えません。

あくまでも退職「願」ですから、退職の許可を得るスタンスで話し合いを進めるのが良いでしょう。「退職させていただきたい」「退職を考えております」などの文言で意向を伝えると、不必要に相手の感情を害さずに済みます。

仕事中に退職の話をしない

退職の話を切り出すのであれば、上司の仕事が一段落着いたときがベターです。可能であれば、朝早めに出勤して上司が仕事に取り掛かる前に「ご都合の良いときに少しお時間を頂戴できるでしょうか」などと声をかけておくこともできます。

上司が他の従業員と話をしているときや忙しくしているときに、退職の話を持ち出すのは避けましょう。

退職を引き留められた場合

「今辞められると困る」「待遇を改善するから考え直してくれ」など、退職を引き留められる可能性があります。その場合、「そのように仰っていただきありがとうございます」と慰留してくれることに感謝を示します。

しかし、あなたの退職の意向が固まっているなら、それ以上、妥協の態度を見せる必要はありません。退職の理由を聞かれて「給与が低いから」「○○さんとの関係がストレス」などの理由を言うと、「状況を改善するから時間をくれ」と言われるかもしれません。

そのため、退職の理由は「一身上の都合により」で通すのが無難です。上司や会社への感謝の気持ちを示しつつ、辞めることをしっかりと伝えるのが重要です。

退職願を出した後のマナー

この章では、退職願を提出した後のマナーについて説明します。

同僚・取引先に伝えるのは退職願が受理されてから

仕事を辞めることを決めた時点で、仲の良い同僚や取引先には話しておきたいという気持ちになるかもしれません。しかし、周りの人に辞めることを伝えるのは退職願が受理されてからです。具体的には、人事部に話が進み、情報がオープンになった時が目安です。その時点から、同僚やお世話になっている取引先に退職することを伝えると良いでしょう。

そして、退職日が近づいてきた時点で、同僚や取引先、上司に退職のメールを送ります。具体的にどのようなメールを送ると良いのか、後ほどテンプレート付きでご紹介するので、そちらを参考にしてください。

引継ぎはしっかりと行う

退職願が受理された後、あなたには重要な仕事が残っています。業務やプロジェクトに支障が出て、他の人に迷惑をかけないように後任への引継ぎを丁寧に行いましょう。

引継ぎに一定の期間を使えるのであれば、一通りの業務を一緒にやってみると、後任者は作業の流れを把握することができ、トラブルが発生した場合は誰にサポートを求めればよいのかも理解できます。後任者がなかなか決まらず、引継ぎの時間が十分にない場合は、「引継ぎ書」を作っておきましょう。作業の流れだけでなく、過去のトラブル事例や対応方法、注意点などをパワーポイントなどにデータ化しておくと、社内でも共有できます。

自分の頭の中に入っているノウハウを後任者に伝授しておくことも退職時のマナーの一つです。

会社への返却物を整理する

退職する時に、会社に返却するものは以下の通りです。返し忘れがないように、一つひとつチェックしましょう。

  • パソコン:会社から支給されていたパソコンは退職までに、不必要なデータを削除して返却する
  • 名刺:自分の名刺だけでなく、取引先や営業先でもらった名刺も会社に返却する
  • 制服:自費で制服を購入している場合も、退職時に制服をどうするべきか上司に確認する
  • 社費で購入したもの:事務用品やパソコン周りのグッズなど、会社のお金で購入したものは返却する
  • 社員証:社章や入館証など、社員だけが持っているものはすべて返却する
  • 通勤定期:現物支給されていた場合は返却する
  • データ:情報漏洩の問題になる可能性があるので、業務で使用した書類やデータは削除するかシュレッダーにかける
  • 健康保険被保険者証:会社で加入する健康保険は退職日に無効になるので、人事や総務などに返却する

返却物に関しては、以下の記事で解説していますので合わせてご覧ください。

好印象を残す退職の挨拶マナー

退職する時には、同僚や上司に対して挨拶をするのがマナーです。「でも、挨拶でなんて言いたらいいのか分からない…」という方もいるでしょう。この章では、上司や同僚に好印象を与える退職の挨拶のポイントをご紹介します。

ネガティブな内容は言わない

退職の挨拶で「給与に不満があったから」「○○さんとの関係がストレスだった」など、会社内のマイナス要素には触れないのがマナーです。会社のネガティブな要素を話すのは、その会社で働く同僚に対して配慮が欠ける印象を与えるので、避けましょう。基本的な退職の挨拶は以下の通りです。

私事でございますが、本日をもって退職することになりました。入社から今まで、皆様にはご指導をいただき、とても感謝しております。皆様からご指導いただいたことを思いにとてもこれからも頑張りたいと思います。最後になりますが、今後の、皆様の今後のご活躍を願っております。これまでありがとうございました。

簡潔に話す

数々の思い出やエピソードをたくさん話したい気持ちもあるかもしれませんが、長々として挨拶は好印象を与えません。上司や同僚は仕事の手を止めてスピーチを聞いていたり、就業後の帰宅時間を繰り上げてあなたのために時間を割いています。

目安としては3分以内、文字数で1000文字程度が限度です。それ以上長くなると、聞いているほうが仕事のことが気になるのでイライラし始めます。もし、深い内容を話したいのであれば、個人的に時間を取ってもらって、気持ちを伝えるようにしましょう。

転職先については言及しない

「ここを退職した後は○○会社で○○の仕事します」など、転職先について話す必要はありません。そのような内容は裏を返せば、「今の会社に不満があったから辞める」と伝えることになり、そこに残る同僚に良い印象を与えません。

感謝の気持ちで話す

退職時の挨拶で感謝の気持ちを伝えるには、過去のエピソードを簡単に話したり、お世話になった人の名前を挙げると良いでしょう。事細かなことを説明する必要はなく、あなたが本当に感謝している気持ちが相手に伝わればそれで良いのです。その場合は、以下のように伝えましょう。

本日をもちまして、一身上の都合によって退職することになりました。経験が浅く、皆様にはご迷惑をおかけしましたが、温かくご指導いただいたおかげで、今日まで働くことができました。特に○○部長、○○部門の皆様と取り組んだ、△△プロジェクトは思い出に残っており、今後の私の貴重な財産となります。○○部長○○部門の皆様、また○○課の皆様、本当にお世話になりました。最後になりますが、今後の皆様のご活躍をお祈り申し上げます。ありがとうございました。

退職メールの送り方

この章では、上司・同僚・取引先それぞれにどのような退職メールを送ればよいのか、テンプレート付きでご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

上司への退職メール

お世話になった上司へ退職の旨を伝えるメールを送る時は、感謝の気持ちを伝えましょう。上司との簡単なエピソードを盛り込んだ文章にすると好印象を与えることができます。また、直接顔を合わせて挨拶することができず、メールのみの挨拶になってしまう場合、そのことをお詫びする一文を添えましょう。

件名:退職のご挨拶(あなたの名前)
本文
〇〇部長
お疲れさまです。〇〇○○です。

私事となり、大変恐縮ですが、一身上の都合により○月〇日で退職することになり、本日が最終出社になりました。
本来ならば直接ご挨拶に伺うべきところ、メールでのご挨拶にて失礼いたします。

〇〇部長には、多くのご迷惑をお掛けし、本当に申し訳ございませんでした。
営業のノウハウを教えていただいたり、夜遅くまで企画書の作成にお付き合いいただきました。また、営業の成績が上がらない時も励ましの言葉をかけてくださり、そのおかげで今日まで働くことができました。本当に感謝しております。
部長に教えていただいたことを今後に活かし、より一層頑張っていきたいと思います。

最後になりましたが、〇〇部長のますますのご活躍をお祈り申し上げます。
ありがとうございました。

今後の連絡先は下記になりますので、ご連絡いただけると幸いです。
Mail:@mail.com
電話:○○-○○-○○

同僚への退職メール

同僚に退職メールを送るタイミングについて特に決まったルールはありません。仕事を辞める日の始業前に送る人もいますし、仕事が終わりかける前に送る人もいます。どちらでも構いませんが、始業前にメールを送ると、その日の話のネタになったり、個人的にお礼を言ってもらうなどのコミュニケーションにつながるでしょう。

メールは一斉送信でも問題ありません。ただし、相手のメールアドレスを晒してしまうことがないよう、必ずBccに先方のアドレスを入れるようにします。そして、Toには自分のアドレスを入れます。特別にお世話になった部署の人がいるなら、別メールで連絡するのが最適です。宛名を相手の名前にしてメールを送ると、お世話になった感謝の気持ちを表せます。

メールタイトル:退職のご挨拶(あなたの名前)
メール本文
○○課のみなさま、お疲れさまです。○○課の○○です。
このたび、一身上の都合により今日で退社することになりました。
在籍中は本当にお世話になりました。
皆様からいろいろ学ばせていただき、ご指導いただいたこと、感謝しております。
ここで学んだことをこれらの人生に生かしていきたいと思っております。

退職後の私の連絡先は下記になりますので、機会がありましたらご連絡いただければ幸いです。
メールアドレス:(あなたのメールアドレス)
電話番号:(あなたの電話番号)

最後になりましたが、皆様の今後の益々の発展を心よりお祈り申し上げます。
今まで、本当にありがとうございました。

取引先や社外への退職メール

取引先や社外の人に、退職日の直前にお礼をメールを送ると、相手からの返信に対応できず、会社のイメージを損なう可能性があります。

目安としては退職の予定日から2週間ほど前にメールを送ると良いでしょう。メールの本文には〇月〇日に退職するということをしっかりと伝えます。

メールタイトル:退職のご挨拶 △△株式会社〇〇〇〇(あなたの名前)
本文
株式会社〇〇御中 (相手の名前)様
大変お世話になっております。△△株式会社〇〇〇〇(あなたの名前)です。
私事で大変恐縮ですが、一身上の都合により〇月〇日をもって△△株式会社を退職することになりました。

〇〇様には、様々な場面でお力添えをいただき、本当に感謝しております。
本来であれば直接ご挨拶にお伺いすべきところ、メールでの挨拶になりましたことをお詫び申し上げます。

貴社の後任は〇〇が担当させていただきます。今後のご連絡は○○よりさせていただきますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

最後になりましたが、貴社のご発展と○○様のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
ありがとうございました。

まとめ

今回は円満に退職するために知っておくべきマナーを解説しました。退職願の出し方、退職日までの準備、退職の挨拶など、社会人としてのマナーが求められるシーンはたくさんあります。退職した後も人間関係は継続しますから、同僚や取引先、社外の人に不快感を与えることがないように配慮しましょう。

将来的に退職を視野に入れているのであれば、今回ご紹介した内容を読み返して、退職時のマナーを把握しておきましょう。そうすれば、円満に退職でき、次のステップにスムーズにつなげることが可能になります。

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