IT業界は、未経験者でも転職しやすいため、転職先として人気が高くなっています。そんなIT業界の職種としてすぐにイメージが湧きやすいのはエンジニアですが、さまざまな職種が存在します。
今回の記事では、IT業界への転職におすすめの職種や、必要な対策などをわかりやすく解説します。IT業界への転職を視野に入れているみなさんは、ぜひ参考にしてください。
目次
IT業界とは？主要業界と代表的な職種
まずIT業界とはその中にどういう業界があって、どのような職種があるのかを知っておきましょう。主要業界と代表的な職種を紹介します。
IT業界の中の主要業界
IT業界は主にソフトウェア、ハードウェア、情報処理サービス、Web制作、フィンテックの5つの業界に分かれています。個々の業界を見ていきましょう。
ソフトウェア業界
ソフトウェア業界とは、ハードウェアの動作をコントロールするための手順や命令系統が組み込まれたプログラムである、ソフトウェアを扱う業界です。コンピューター上でプログラム言語を用いてシステムを構築するため、実体がないところがハードウェアと大きく異なります。ソフトウェアを扱う企業は、コンピューターそのものの動作を司るオペレーティングシステムや、文書作成やプレゼン資料作成、表計算などの特定の作業を行うためにあるアプリケーションの開発などが主な業務です。
ハードウェア業界
ソフトウェア業界とは対照的に、実体があるパソコンやスマートフォン、タブレットなどの本体や、その周辺機器であるマウスやキーボード、プリンター、ゲーム機や家電製品などを扱うのがハードウェア業界です。
情報処理サービス
システムインテグレーターあるいは省略形のSIer（エスアイヤー）などの名称で呼ばれる情報処理サービス企業は、クライアント企業が情報処理システムを導入する際のサポートをします。企業のリクエストを受けてシステム開発や保守運用、管理などのサービスを提供する、ハードウェアとソフトウェアの両方に関わる業界でもあります。
Web制作
企業のオウンドメディアやコーポレートサイトなどのWebサイトの制作および運営や、インターネット広告の制作・運用などのサービスを扱う業界がWeb制作です。また、ポータルサイトやeコマースサイトなどの制作に携わる企業もあります。
フィンテック
ファイナンスとテクノロジーを組み合わせたフィンテックは、ITを活用した金融サービスです。AIやインターネット、スマートフォンを活用した金融サービスを提供するベンチャーやスタートアップが、相次いで登場しました。代表的なサービスとして、電子決済や仮想通貨、AIを投資に活用するロボアドバイザーなどがあります。ほかにもインターネットで資金の需要者と供給者をつなぐクラウドファンディングやソーシャルレンディングなども普及してきています。
IT業界の代表的な職種
IT業界の代表的な職種としては「エンジニア」「プロジェクトマネジメント」「クリエイティブ」「セキュリティ」「営業」「コンサルティング」「マーケティング」などがあります。それぞれを見ていきましょう。
エンジニア
エンジニアはITに関わる技術者の総称で、細かく分けると20種類ではきかないくらいに専門分野ごとに細分化されています。その中でいくつかのエンジニアを兼務できる人材も多いです。職種として代表的なものはシステム開発全般に携わるSE（システムエンジニア）や、ソフトウェアのプログラミングに携わるプログラマーです。また、ハードウェアを作動させるためのシステムを開発するエンジニア職もあります。
また、サーバーやネットワーク、インフラなどに携わるエンジニア職もあり、従来の物理サーバーを使用するオンプレミス型からクラウド型にシフトする中で、業務の領域が変化する途上です。ハードウェアの保守運用などを外回りで行なうフィールドエンジニアや、顧客に自社製品やサービスの技術的な部分を紹介・説明するプリセールス（セールスエンジニア）などの、営業とエンジニアを兼ねたような職種もあります。フィンテックでは、ブロックチェーンエンジニアが希少な存在として重宝されます。機械学習やIoTの普及が進む中で、AIエンジニアや組み込み系エンジニアも活躍の場が多いでしょう。
プロジェクトマネージャー／リーダー
開発プロジェクトの責任者がプロジェクトマネージャーで、成果物の品質、予算や人員、納期などの管理をトータルで担う職種です。エンジニアとしての経験を積み、プロジェクト全体を俯瞰してマネジメントできる広い視野をもつ人材が担当する職種です。開発環境の改善や、社内外のステークホルダーとのコミュニケーションも欠かせません。そんなプロジェクトマネージャーの指揮のもと、領域ごとに編成されたチームの責任者がプロジェクトリーダーです。現場のエンジニアと最も近い関係性で、エンジニアとともに手を動かすこともあります。
チームの進捗管理やモチベーションの維持、時には個々のメンバーの相談役もこなす立場です。リーダーを経てマネージャーにキャリアアップすることもあり、規模が小さい開発ではマネージャーがリーダーを兼任するケースもあります。
営業
営業部門が扱うのは自社開発ソフトウェアや、Webサービス、開発代行の提案など、所属する企業によって多岐にわたります。
クリエイティブ
WebコンテンツやWeb広告、ゲームなどにおける、デザインの制作に従事する職種です。ITの知見だけでなく、デザイナーやイラストレーターなどのアート系のスキルも必要です。
セキュリティ
情報セキュリティを専門で担当する職種です。インターネットが広く普及した現在では、企業や官公庁はサイバー攻撃に周到な対策を施す必要があり、重要度が増している職種といえるでしょう。
ITコンサルタント
情報処理サービス業界では、クライアント企業からのリクエストを受けてシステムを開発するだけではありません。先方の業務効率化や抱える課題に対してコンサルティングを行い、解決を図る提案型の業務の場合、ITの知見とコンサルティングスキルを兼ね備えたITコンサルタントが担当します。
マーケター
マーケティング担当のマーケターは、Web関連企業でWebサイトのユーザーを増やしたり、検索上位に表示させたりしてトラフィックを活性化するために、Web上のさまざまな情報をもとに施策を立案・実行する役割です。Web広告やSEO対策などを駆使して、Webサイト自体の改善などを行います。またユーザーのWeb上の動きを解析して何が有益な情報であるかを見極めるスキルを身につけ、効果的な施策を講じます。
データアナリスト
ビッグデータの活用が盛んになるとともに注目を集めているデータアナリストは、膨大なデータを分析するスペシャリストです。さまざまな法則性をビッグデータから見つけ出し、市場動向やニーズを導き出して問題解決の手法や事業の成長をサポートするのが仕事になります。データベースを扱う技術はもちろん、ビジネスやマーケットに対する深い理解も必要になる職種です。
バックオフィス
営業や企画・開発のように直接企業の収益に関係する部門とは別に、経理や会計総務などの、収益に関係する部門を後方支援するバックオフィス業務が、IT企業にも必ず存在します。
IT業界全体の転職事情
IT業界はこの先も成長が続く産業であることは間違いなく、業界全体を見渡した場合に折からの人材不足によって採用ニーズは旺盛で、売り手市場です。今しばらくは未経験者でも、IT業界に転職しやすい環境が続く可能性があります。将来性があるIT業界を望んでいる人なら、この機会にぜひ転職活動のアクションを起こしましょう。
未経験でもIT業界に転職は可能な理由
IT業界には専門性の高い職種が多いのは事実ですが、必ずしも最初から身につけていなければならないのではありません。実際に多くの職種で、未経験者の採用を行っています。その理由について見ていきましょう。
深刻なエンジニア不足だから
そもそも国内におけるエンジニアの母数自体が少なく、経済産業省によれば2030年には、最大で79万人不足すると予測されているほどです。エンジニア未経験の求職者を、入社後に育成するつもりでポテンシャル採用をしてでも、人材数を確保しようとする企業が増加しています
ITスキルの学習環境が変化したから
そもそもIT業界の技術職に関しては、特に慢性的な人手不足に陥っているといわれる業界です。そのため、未経験者を歓迎としているIT企業の多くは、研修制度を充実させ、働きながら必要なスキルを身につけられます。また、研修制度がなくとも今はITスキルの学習環境は非常に恵まれ、スクールを利用する以外にも書籍やWebサイト、アプリ、オンライン講座などさまざまな方法で学ぶことが可能です。
しかも学びたいことをピンポイントで切り取って学ぶこともできます。また、勉強会やもくもく会、ウェビナー（オンラインセミナー）なども活発に行われているので、本当に意欲がある人は効率よく学べるような仕組みが整ってきました。
技術職以外の職種も豊富だから
IT業界とはいえ、仕事は技術職ばかりではありません。モノやサービスを売るところには必ず戦略を立てる企画やマーケティングの部門があり、そして実際に販売する部隊である営業部門があり、それを後方支援するバックオフィス業務も存在します。技術職以外はITに関しての知見がなくとも、担当業務のスキルを持っていれば即戦力にとなりえます。そして働く中でITの知見も磨かれて次のキャリアビジョンを見出せるでしょう。
未経験から転職できる職種と必要スキル・有利な資格
未経験からでも転職できるIT業界の中の職種と、その職種に必要なスキルや持っていると有利な資格を紹介します。
営業
営業職は基本的な営業スキルがあれば、必要な専門知識は扱う商材によって変わってくるのではただちにITの専門知識がなくとも転職できます。入ってからはおおむね無形商材を扱うことになるので、それを言葉で顧客側に説明するためには、自社製品やサービスに関しての深い知識を学ぶことが必要です。営業センスや営業スキルは、あらゆる商材に共通します。売れるセールスマンは何を扱っても成果を出しますよね。他業界で営業が向いていると思っていた人なら、IT業界でも成果を出せるでしょう。営業では特に必要な資格はありませんが、計数感覚があると評価されます。計数感覚とは企業の業績と数字の関係性を把握する力ともいえます。面接でそういう面をアピールしましょう。
バックオフィス
経理・会計部門や総務などのバックオフィス業務は、IT業界が未経験でも関係なく採用されます。バックオフィス業務の経験があれば、それを活かすことが可能です。日商簿記などを持っていると、会計的な数字に強いことが証明されるので有利となるでしょう。
エンジニア（プログラマー）
エンジニアやプログラマーは、イメージ的にはそのスキルを持っていなければ採用されないと思われがちですが、人材不足のために未経験のポテンシャル採用が増えています。なぜなら、入社後の研修や指導によって、スキルを身につけるチャンスがあるためです。とはいえ、スキル取得や資格取得を目指して具体的に学習中である方がもちろん有利とはなります。すでに持っていると有利な資格は、国家資格の「基本情報技術者試験」で、ITの基礎の理解の裏付けが可能です。その取得を通して学ぶ中に、IT業界で技術者として働くのに必要な最低限の知識が含まれています。
マーケター
マーケターは、どのような分野であれ継続的にモノやサービスが売れるマーケティング戦略的を立案・実行する仕事です。マーケティングのスキルがあれば、未経験であってもIT業界で通用します入社してからは、扱う製品やサービス、Webマーケティングで必要なWeb広告やSEOなどに関する専門用語を学ぶ必要があります。そして、ユーザーのセグメントや行動なども学んでいかなければなりません。
そして市場リサーチを行い、結果を分析して販売戦略を立てます。必要資格は特にありませんが、スキルとしては「分析スキル」「戦略的思考」「コミュニケーションスキル」「リーダーシップ」などが求められます。
IT業界転職のメリットとデメリット
他業界からIT業界に転職する場合の、メリットとデメリットをそれぞれ見ていきましょう。
IT業界転職のメリット
IT業界に転職する主なメリットは以下のとおりです。
- 比較的収入が高い
- 将来性がある成長産業である
- 専門スキルが身につく
個別に見ていきましょう。
比較的収入が高い
IT業界の標準的な年収がおよそ540万円といわれています。一般的なサラリーマンの平均年収は436万円とされているので、IT業界は高めであることがわかります。
年収については、以下の記事を参考にしてください。
将来性がある成長産業である
成長市場では成果が出やすく、流れに従って進むようなイメージです。衰退市場でどんなに高い成果を発揮して、市場自体がしぼんでいきがちですが、IT業界はさまざまな伸びしろがあるでしょう
専門スキルが身につく
世の中のスキルとは、その企業の社内でしか通用しないものと社外でも活用できる普遍的なスキルがあります。そしてIT業界で働けば、社外でも通用する専門スキルが身につくでしょう。プログラミングスキルやフレームワークを扱うスキルを身につけると、その後転職した際にも通用する可能性があります。
IT業界転職のデメリット
一方、主なデメリットに関しては以下のとおりです。
- ドラスティックに環境が変化する
- 常に学ぶ必要がある
- 今後労働環境の変化が激しくなる
- 実力で評価される
それぞれを見ていきましょう。
ドラスティックに環境が変化する
IT業界は数ある業界の中で急激な変化が多い方で、現状維持を好む人や適応力に欠ける人にとってはあまり向いていません。逆に変化を好む人には、IT業界は働きやすい環境になるでしょう。
常に学ぶ必要がある
IT業界は日々テクノロジーが進化し、情報がどんどん上書きされます。常に最新情報を学んで自身の知見をアップデートさせていかなければなりません。
今後労働環境の変化が激しくなる
今後は業界内でM&Aなども増えていくと考えられます。その流れの中で、労働環境の変化が激しくなると想定できるので、それに対する適応力も問われることになるでしょう。
実力で評価される
IT業界はパフォーマンスの良し悪しで評価されるので、できない人は評価されません。年功序列の企業にいた場合には、転職当初はギャップを感じるかもしれないです。しかしそれまで実力がありながら評価されなかった人にとっては、やりがいのある環境です。良いパフォーマンスは必ず評価されますから、実力に自信がある人はぜひ挑戦してみましょう。
IT業界転職を成功させるために有効なアプローチ
売り手市場のIT業界とはいえ、満足できる転職を成功させるためには戦略的に選考に臨まなければなりません。その際に有効なアプローチについて触れておきましょう。
学ぶ姿勢とポテンシャルをアピール
IT業界は立ち止まることなく進化し続けるので、未経験でも学びの姿勢が見えなければ「この人はついてこられない」と判断されかねません。
そこで、たとえばIT資格取得やTOEICスコアアップなどの目標を自分で定めて、それに向かっているプロセスの中にあることなどをアピールしましょう。また、ITそのものはこれからの挑戦であっても、自身の強みの中でIT業界に絡めて発揮できるものをキャリア・スキルの棚卸しなどを通して見つけ出し、ポテンシャルをアピールするのが賢明です。
転職エージェントと二人三脚でチャレンジ
転職エージェントはぜひとも活用しましょう。特に未経験からの転職であれば、転職のプロであるコンサルタントが心強いアドバイザーになってくれるはずです。転職に関するあらゆる迷いや疑問の相談はもちろん、応募書類のブラッシュアップや面接対策などをコンサルタントと二人三脚で進めていくことで、自信と確信をもって選考に臨めます。
私たちタリスマンは外資系とIT業界に強い転職エージェントなので、ぜひお気軽のお声掛けください。「いますぐ求人を探す」ボタンあるいは「タリスマンに転職相談をする」ボタンを押して、私たちとともにIT業界への転職に向けて一歩踏み出しましょう。
まとめ
IT業界への転職におすすめの職種や、必要な対策などをわかりやすく解説しました。IT業界とはいえ、必ずしもITスキルが必要な仕事ばかりではありません。また、ITスキルが欠かせない仕事であっても、未経験から研修によってこなせるようになる前提でのポテンシャル採用が盛んになっています。売り手市場でもあり将来性もあるこの業界に、意欲とITを学ぶプロセスの中にいることなどをアピールし、転職エージェントを活用しつつぜひ転職しましょう。
