年収が高くてやりがいも大きく、転職先として人気が高いコンサルティング業界ですが、難易度が高い仕事で活躍するためにはさまざまなスキルが必要です。
今回の記事では、それらをベーススキル、実践スキル、周辺スキル(持っていると転職に有利)、ケース面接(選考で重視される)に備えるスキルという4つの切り口から詳しく紹介します。
目次
コンサルティングは難易度の高い仕事
コンサルティングは企業や官公庁などの組織が抱える経営課題や運営上の問題に対して、組織のリソースや市場の分析をもとに解決のための提案やその実行をサポートする仕事です。
かつては、経営方針に関するコンサルティングがほとんどでした。しかし近年では経営手法も多様化しており、方針よりも一歩も二歩も踏み込んだ戦略ベースの提案と、その実施のサポートまで求められています。
高度情報化社会の中で、クライアントが競合との差別化を図るのは至難の業ですが、コンサルティングはその実現が求められる、極めて難易度の高い仕事といえるでしょう。それだけに、コンサルティングを担う人材に必要なスキルも高度で重層的になるのです。
コンサルティングに求められるベーススキルセット
まず、コンサルティングの仕事をするためのベーススキルセットである「論理的思考力」と「コミュニケーションスキル」について解説します。
論理的思考力(地アタマ)
「論理的思考力」とは「ロジカルシンキング」と同義語で、昨今では考える基になる力ゆえに「地アタマ」と表現されることも多いです。
問題解決のためには、その問題の本質を理解する必要があります。的を射た解決策や改善策を打ち立てるためには、論理的な思考に立って最も合理的な方法を導き出さなければなりません。
コミュニケーションスキル(巻き込む力)
コンサルティングはかつてひとりの担当者が行う時代もありましたが、今日では異なる得意分野を持つ人材がチームを組んで取り組むようになっています。
問題解決のためには、チームの各スタッフと良好な関係を維持して彼らのポテンシャルを発揮してもらうのはもちろん、多くのステークホルダー(利害関係者)を巻き込むことが望まれます。
そのため、アグレッシブにコミュニケーションが取れる能力が問われます。
コンサルティングに求められる実践スキルセット
コンサルティングの実践においては、ベーススキルを土台とした実践スキルセットが求められます。それは「分析力」や「論理構成力」「アウトプットスキル」です。
個別に見ていきましょう。
分析力
コンサルタントがまずなすべき仕事は、案件の課題を深く理解することです。そのために知り得るすべての情報を吟味し、比較検討、取捨選択して実態を把握する力が必要となります。
論理構成力
分析が進めば、次は対象課題の論理構造を把握します。合理性に裏打ちされた課題の解決方法を構築するには、まずはしっかりした論理を構築するスキルが欠かせません。
アウトプットスキル
構築した論理をクライアントやメンバー、ステークホルダーなどに伝えるために、的確にアウトプットするスキルも必要です。分析結果が明確に理解できる資料を作ったり、論点が相手に伝わるように話したりする能力です。
問題解決力
コンサルタントとしての価値が発揮できるのは、仮説と検証を繰り返し解決方法を見いだし、クライアント企業で実行することです。その際には、総合的な能力を動員して解決する力が必要です。
コンサルティング業界転職に有利な周辺スキルセット
コンサルティングそのものに直接関係しなくとも、それがあることで転職活動や、入社後のアサインに有利な周辺スキルがあります。「英語スキル」「現職の高度な専門スキル」「ITスキル」です。
英語スキル
コンサルティング業界ではグローバル案件も多く、国内案件もなにがしかグローバル化している側面が多く見られます。
そのため、コンサルティング業界では英語が使えると案件獲得が何倍も有利になるといわれています。
ITスキル
近年のコンサルティング案件は、グローバル化している傾向と同時に、デジタル化している傾向も見られます。あらゆる経済活動がデジタルを経由して営まれることから考えれば、案件のデジタル化は避けがたい状態といえるでしょう。
そのうえにDXの進展が重なるので、デジタル案件の増加傾向は顕著であり、多くのコンサルティングファームが、ITスキルを持つ人材を強く求めています。
現職の高度な専門スキル
コンサルティング業界では多様化、細分化する案件に対応するために、案件となる領域の専門性を持つ人材をピンポイントで求めています。
そのため、コンサルティングファームがクライアントとして取引しているさまざまな企業の領域において、現職で高度な専門スキルを持っていると転職に有利となります。
コンサル転職時のケース面接対策向けのスキルセット
コンサルティングファームへの転職活動で重視されるのはケース面接です。ケース面接に対応するためのスキルは、「抽象化スキル」「構造化スキル」「論点設定スキル」です。
抽象化スキル
コンサルティングの案件は多岐にわたるので、まったく未知の領域に取り組むことも珍しくありません。企業がもつ課題から共通点を抽出して、本質的な概念をとらえる「事象の抽象化」を図るスキルが必要です。
それができれば案件として未経験の業界や業務領域に取り組む際に、クライアントと高いレベルの議論を行うことができるようになります。
構造化スキル
入手した情報や、前述のような抽象化した概念をもって、問題を構造化することで仮説を立てることが構造化スキルです。仮説と検証を繰り返すことで「最適解」に迫る糸口になります。
論点設定スキル
仮説を立てるためには、当然ながら的を射た論点を見つけなくてはなりません。以下のプロセスで行われます。
- 論点の認識
- 論点の評価
- 論点の修正
順を追って見ていきましょう。
1. 論点の認識
論点を認識するのには、論点を自分で発見する場合やクライアントから論点を提示される場合があります。
2. 論点の評価
候補に上げた論点が考えるに値するかを検討するプロセスです。リストアップしたすべての論点から考えるに値するものだけに絞り込む必要があります。
コンサルティングでは、それを意識的にやるということです。候補に上がった論点にふるいをかけて、考える価値がある要素を抽出するわけです。
3. 論点の修正
評価した結果、考えるに値しないとなった論点もでも、必要がないか検討します。論点を具体化してみたり、変化させてみたりして修正する作業です。
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まとめ
コンサルティング業界は難易度が高い仕事であり、平均年収は高くてやりがいも大きく、それだけに高度なスキルが求められます。
コンサルティング業界への転職を視野に入れているみなさんは、ここで紹介した情報を参考に、転職の準備に励んでください。