派遣先の会社で人間関係に悩む人は少なくありません。派遣先では、派遣社員は新人なので上司や正社員から仕事を教えてもらう必要があります。しかし、「仕事を教えてもらえない」「周りから嫌がらせをされる」などのトラブルを抱え、ストレスを感じる人もいます。
あなたが派遣先で人間関係のトラブルを抱えていたとしても、問題を解決する方法があります。この記事では、派遣先で人間関係のトラブルが起こりやすい原因と対処法、またどうしても問題が解決しない場合の対処法について解説します。
派遣先で起こりやすい人間関係のトラブル
まずどのようなトラブルが起こりやすいのかを解説します。
上司との相性
派遣された先の上司が感情的に怒鳴ったり、派遣社員に嫌がらせをしたりするタイプだった場合、良好な人間関係を築くのは難しくなります。仕事で分からないことがあって声をかけても「今忙しい!」「そんなことも分からないのか」などの返事が返ってくると、それ以上、会話を続けるのは止めようという気持ちになるでしょう。また、仕事のやり方について事細かに指示を出してくるケースや些細なことに対しても注意してくるような上司だと、人間関係がストレスになり仕事を続ける気力が失われることがあります。
上下関係が厳しすぎる
職場または派遣先のチーム、また部署内の上下関係が非常に厳しいと人間関係のストレスに発展することがあります。例えば、「先輩の言うことは絶対」「先輩より遅く出社すると叱られる」などの上下関係が存在ことがあります。そのような環境だと、常に忖度しながら仕事をすることになり、毎日の出社がストレスになる可能性があります。
セクハラをされる
特に女性の派遣社員の場合、派遣先の上司や先輩からセクハラをされてストレスを抱えることがあります。容姿に関わることをいわれたり、直接に体に触る行為をされたりするかもしれません。それ以外にも、性的な嫌がらせに該当する行為を受けた場合は派遣会社の担当者に相談しましょう。
パワハラをうける
パワハラには、身体的な攻撃が含まれます。仕事用の器具等で殴ったり、物を投げたり、叩いたりして相手を威圧する行為が該当します。さらに「バカ」「無能」「役立たず」など、精神的な攻撃もパワハラに当てはまります。他にも、過大なノルマを課して残業を強制する行為や、個人のプライバシーを侵害するような行為を受けた場合も、パワハラになることがあるので派遣会社の担当者に相談してください。
他の派遣社員から無視される
派遣先で仲良しグループが出来上がっていて、新人を仲間に入れようとしない「新人いびり」をする派遣社員がいることもあります。口をきいてもらえなかったり、仕事のやり方を教えてもらえなかったりなど、派遣社員同士の人間関係もストレスの原因になることがあります。また、部署内で複数のグループ分けが出来上がっていることもあるでしょう。「みんなと仲良くしたいと思って違うグループの人に話しかけたら、仲間外れにされて無視されるようになった」という事例もあります。
派遣先の人間関係でよくある悩みの原因【社員側】
派遣先の人間関係のトラブルには、社員側に問題があることがあります。派遣社員が抱える悩みについて解説します。
仕事を教えない
派遣社員は新しい職場で仕事のやり方を教えてもらう必要があります。過去に経験したことのある業種でも、使うシステムやプロセスが異なることがあり、自分のやり方で勝手に仕事をするのはおすすめできません。それを逆手に取り、正社員が嫌がらせの一環として、派遣社員に仕事を教えないケースがあります。「何をしたらいいですか?」と聞いても「自分で考えろ」と回答したり、全く無視したりする対応を取ることも考えられます。
契約以外の仕事を派遣社員にさせる
「派遣社員には、雑用も含めて何をさせてもよい」と、正社員が勘違いしている場合があります。契約した仕事とは全く違う業務を割り当てられたり、掃除や書類整理などの雑用だけを割り当てられたりするケースもあるようです。ベテランの派遣社員の場合、経験してきた職種や業務が多いので、契約以外の仕事もこなすことを期待され悩みの種になることもあります。
派遣社員をライバル視する
優秀な派遣社員は重宝されるべき存在ですが、正社員の中には嫉妬やライバル視をする人もいます。正社員として長年働いてきたのに、数カ月で派遣社員が仕事を覚えてしまうと自分の立場がないと考えるのでしょう。派遣社員の足を引っ張る行為をしたり、ミスをさせて会社からの評価を下げさせようしたりするかもしれません。もしこのような悩みを抱えた場合は、なるべく早く派遣会社の担当者に相談して問題を解決するようにしましょう。
派遣先の人間関係でよくある悩み原因【派遣社員側】
人間関係のトラブルの原因は正社員側だけにあるとは限りません。悩みの原因となる派遣社員側の態度について解説します。
欠勤や遅刻が多い
どうしても体調が悪いときや、大きなトラブルが発生したときなどは仕事を休まざるを得ません。しかし、仕事のシフトを何度もキャンセルする行為は派遣先から信用を失う原因になります。また、社会人として遅刻をするのは良いことではありません。何度も遅刻を繰り返すと派遣先からの印象が悪くなり、それが人間関係の悩みの原因になる可能性があります。
仕事上のミスが多い
同じミスを何度も繰り返すと「指示をきちんと聞いていないのではないか」「やる気がない」「信用できない」などマイナスのイメージを持たれるかもしれません。最終的には、「仕事ができない派遣社員」と判断されてしまい、それが原因で孤立することも考えられます。自分の仕事にはしっかりと責任をもって対応することや、ミスを最小限にすることなどを心掛けることで人間関係の悩みを最小限に抑えることができます。
正社員とコミュニケーションを取らない
派遣社員の方から正社員との関係性に壁を作ってしまうと、コミュニケーションロスが発生します。作業上の指示されても返事をしなかったり、休憩時間に一切雑談をしようとしないと「あの派遣社員は絡みにくい」と思われるでしょう。そうなると、業務上の連絡が上手くいかなかったり、些細な意見の食い違いが人間関係のトラブルに発展することがあります。仕事のやり方で分からないことがあれば謙虚に質問をすることや、正社員が助けを必要としていたら積極的にサポートするなど、「正社員と良好な関係を築きたいと思っている」という印象を与えるようにしましょう。
派遣先で人間関係を良好に保つポイント
この章では、人間関係を良好に保つ5つのポイントを解説します。
・挨拶をしっかりする
・敬語で話す
・愚痴や悪口を言わない
・感謝を伝える
・報連相を徹底する
詳しく解説します。
挨拶をしっかりする
「おはようございます」「お疲れ様でした」などの挨拶は良好な人間関係を築く基本と言えます。笑顔で、はっきりとした挨拶をすることで、相手によい印象を与えられます。最初は緊張して上手く挨拶ができないかもしれませんが、自分の方から積極的にコミュニケーションを取り、挨拶をしましょう。
敬語で話す
派遣先では、敬語で話すのが無難です。派遣先の正社員が同年代または年下であっても敬語で話しかけることを心掛けると人間関係のトラブルを最小限に抑えることができます。タメ語を使うのであれば、お互いの関係が打ち解けてきてからにするのが無難です。
愚痴や悪口を言わない
派遣先では、上司や同僚、取引先の人の愚痴や悪口を言う人がいるかもしれません。基本的に、陰で人の悪口や愚痴をこぼす人は、他人からの信用を勝ち得るのも難しいでしょう。また、悪口を言っているその人も陰口の対象になる可能性が高くなります。さらに、「○○さんが△△さんの悪口を言っていた」と告げ口されることも考えられます。人間関係のトラブルに巻き込まれないためには、愚痴、悪口、うわさ話になるべく加わらないようにするのが無難です。
感謝を伝える
お礼や感謝の言葉を伝えて感情を害する人は少ないでしょう。「いつもありがとうございます」などの簡単な言葉で良好な人間関係を築けます。しかし、苦手や人や感謝を伝える理由がないように思える人に、お礼や感謝を伝えるのは簡単ではありません。それでも、上司や同僚の長所を探すようにすると良い点が一つや二つあるはずです。少しのお菓子やお土産を差し入れて「いつも仕事を教えていただきありがとうございます」と、一言伝えるだけで人間関係の悩みは軽減されるでしょう。
報連相を徹底する
派遣先の上司や正社員は、派遣社員に仕事をきっちり果たしてほしいと思っています。その期待に応える方法の一つは、職場におけるコミュニケーションの基本である、報告・連絡・相談をしっかりと行うことです。自分で勝手に作業の方法を変えたりするとトラブルになることがあり、会社に大きな損害を与える可能性があります。作業の方法が分からないときや、失敗してしまったとき、作業後の報告などはしっかりと行いましょう。そうすることで、信頼できる派遣社員という評価を得ることができ、人間関係のトラブルも防ぐことができます。
もう派遣を辞めたい!そんなときどうすればいい?
いろいろ工夫をしても問題が解決しないときの対処法をご紹介します。
派遣会社に相談する
派遣社員が人間関係のトラブルを抱えたとき、派遣会社が相談に応じてくれるでしょう。場合によっては、派遣先での担当部署の変更や派遣先の責任者との話し合いの場を設けてくれることもあります。派遣会社も派遣先で様々な人間関係のトラブルが存在することは理解しています。良心的な派遣会社であれば、派遣社員が心地よく働けるよう、最適な環境の構築に尽力してくれるでしょう。通常であれば、契約期間内で退職した場合は派遣会社内での評価に影響しますが、致し方ない理由で退職した場合は情状酌量される可能性があります。自分一人で悩まず、まずは派遣会社に相談してみましょう。
別の派遣会社に切り替える
派遣会社に相談しても適切に対応してくれない場合、その会社との契約を解消して別の派遣会社に切り替えましょう。派遣社員が抱える問題に対応しない派遣会社であれば、今後も何らかのトラブルが発生するリスクが高いと言えます。自分らしく働くことや将来のキャリアなどを考えると、別の派遣会社に登録して新しいスタートを切る方がよいでしょう。
よい派遣会社の探し方
派遣会社に登録するときは、自分の希望に合った仕事を紹介してくれるか、親身になって話を聞いてくれるかを確認しましょう。まずは派遣会社に問い合わせをして、取り扱っている業種や平均時給、待遇などを調べます。担当者と話をすると、派遣会社の雰囲気も知ることができますし、派遣社員を大切にしてくれているかも観察できます。
派遣先での人間関係についてのまとめ
派遣先で起こりやすい人間関係のトラブルには、上司との相性、上下関係、セクハラやパワハラなどがあります。
正社員側に問題があることもあれば、派遣社員側に改善が必要な場合もあります。人間関係のトラブルを未然に防ぐには、挨拶をすることや敬語で話すこと、感謝を伝えることなどが重要です。