タリスマンの転職コンサルタントが執筆する、転職お役立ちコラム。今回はあるご縁がきっかけとなり製造業(半導体工場)に転職された方のサクセスストーリーをお伝えします。
偶然入ったガソリンスタンドでの出会い
私がこの転職希望者様(以下M様)と出会ったのは数年前。三重の半導体工場で働いている別の転職希望者様に会いに行く際に、たまたま立ち寄ったガソリンスタンドのスタッフがM様でした。第一印象はすごく人懐っこい青年で、
『他県ナンバーですが今日は観光か何かですか?』と聞かれ、
『三重の半導体工場で働いている知り合いに会いに行くのです。』と答えました。するとM様は
『あーなるほど私の工業高校の同級生もそこで働いています。やっぱ半導体業界のお給料ってすごく高いみたいですね?』と…
私はすぐさま本能が働き(笑)
『え?お兄さん工業高校ですか?電気科?機械科?年齢は?』と聞くと
『〇〇工業高校電気科 28歳です。電気科卒業してガソリンスタンドで車の修理などもやっていますが機械科ならもっとよかったですよね』と答えられ私は、
『もしよかったらさっきの半導体工場で働きませんか?電気科なら大いにチャンスありますよ!』と言って名刺を渡しました。
数日後M様より電話があり『友達にも相談しましたがやっぱり半導体業界で働きたいです。これからどうすればいいですか?』とご連絡を頂きレジュメの作成からお手伝いすることになりました。
本人も気付いていないセールスポイント
私が今回M様にお声がけした理由は、コミュニケーション能力の高さでした。たまたま店に入った私に話しかけ、興味を持っていただき、自分のお話をしながら会話のキャッチボールを成立させる能力は、工場内において時に技術的なスキル以上に重要視されます。
工場内はあくまでも製造現場です。突発的に何か起きた時の機転や行動力、またスタッフとのコミュニケーション能力が備わっていないと活躍することができません。私の知っている数名の技術スキルが優秀でも業界を去ることになったエンジニアの方は、この問題に悩んでおられました。
また次に電気科卒業ながら、ガソリンスタンドで泥臭い修理やメンテナンスを対応されており、本人の気付かないうちに業界が欲しがっている「電気の知識があるメカも嫌がらない人」という点でもマッチしておりました。
レジュメも完成し推薦文を付けてある外資系装置メーカーに紹介したところ、1週間程度で書類通過の連絡が来てM様は驚かれておられましたが、これは必然です。
人生初の中途採用面接
M様は今回初めての転職となるため面接の経験がございませんでした。私達コンサルタントは候補者様のパフォーマンスを引き出すべく面接対策を行います。M様の場合は数回にわたり電話で行わせていただきました。
- 本人の持っている能力を引き出すことが目的であり正直な気持ちを大切にし、アドバイスはしても指示はしない
- 自分の強み弱みを自己分析しアピールポイントを一緒に探す
- その他言葉遣いや言い回し、面接のマナーや服装のアドバイス
最後に、行った対策はすべて議事録を作成し本人様にもう一度復習してもらい、本番を迎えます。
入社はゴールではなくスタート
緊張しながらも複数回面接を受けられ、持ち前のコミュニケーション能力とガソリンスタンドでの経験が功を奏しM様に内定が出ました。
スタートの条件は残業込みで580万、前職よりは200万近いアップで大喜びでした。
そんなM様に私からできる最後のアドバイスとして、
『この製造業界は入ってから稼ぐ業界です。これから英語を覚えたり難しい装置の仕組みを覚えたり、大変なことはたくさんあるかも知れません、しかしこの業界は学歴や経歴だけで判断する世界ではなく、今の貴方と入ってからの実績を見てくれます。本当の勝負は現場に入ってから始まることを忘れないでください。』と送り出しました。
その後も月に何度か電話で近況を報告いただいたり、時には悩みを打ち明けられることもありましたが、現場での立ち振る舞い、客先や同僚の評価も高く順調に年収を上げられ5年目の今年(2024年)、ついにサブマネージャーに昇格し年収は決算賞与、貢献に対する個人賞与込みで1000万を超えました。
その報告を頂いた際に電話口で『あの時たまたま坂本さんの車にガソリンを入れて話しかけたのが自分じゃなければ全く違う人生になってました』とおっしゃっていましたが、こう言った前向きな方のところにチャンスはやってくるものだと思っております。
現在Talismanでは個別の質問や相談も随時受け付けています。コラムに対するご意見やご感想、実際に転職を考えていなくてもキャリアについての情報交換をご希望の方は以下のボタンよりお問い合わせいただければと思います。
それでは次回も宜しくお願い申し上げます。
この記事を執筆した転職コンサルタント
- Akihiro Sakamoto
専門商社での営業、半導体部品メーカーの営業を経て外資系人材紹介会社に転職。同社製造業界部門の関西の立ち上げメンバーとして前職の経験とコネクションを活かし半導体業界、産業機器業界でのコンサルティング活動に従事。 2018年にはAsia Top Biller for Manufacturing & Operations 2018を獲得しアジア圏NO1の成約実績を達成、その後2019年よりTalisman Corporationに移籍。
現在は、コンサルタント業務以外に社内トレーナーをはじめ企業のHRに対する中途採用アドバイザーやLinkedInでの執筆活動を行っており、人材業界を多方面より経験したノウハウを惜しみなく伝える為、Talismanのコーポレートサイトにてコラムの掲載をスタート。