近年注目され、需要も高まっている「RPO」。Recruitment Process Outsourcingの略称で、「採用代行」や「採用アウトソーシング」とも呼ばれる、採用業務支援サービスです。RPOは、多くの企業が抱えるさまざまな採用課題の解決策のひとつとして、今後も需要が拡大していくとみられています。それは、なぜなのでしょうか?
今回は、その理由を探るべく、RPOについて見ていくことにしましょう。この記事は、RPOの仕組みや注目される背景、依頼できる業務など、RPOの基礎知識を詰め込んだ、いわば入門書です。採用に悩んでいる方はもちろん、RPOがちょっと気になっていた方、RPOに漠然としたイメージしかなかった方にも、参考になるでしょう。ぜひ、ご覧ください。
1. RPOとは?
RPOはRecruitment Process Outsourcingの略称で、サービス内容を一言でいうならば「採用業務の代行」です。仕組みはとてもシンプルで、企業から採用活動に関する業務の一部、またはすべてを委託され、企業が求める人材の採用成功を担います。
しばしば人材紹介と混同されるのですが、「企業が求める人材確保のために、採用活動の支援をする」という意味では、たしかにこの2つのサービスはよく似ています。しかし、本質的には異なるもの。大きな違いは、企業の〈内部〉で支援をするのか、〈外部〉から支援をするのか、です。
まず、RPOは企業の内部で採用を支援します。企業の人事チームの一員として採用活動に携わるため、社風や各部門の状況、事業展開などを把握したうえでサポートできるのです。これは、RPOの大きな特徴ともいえます。
一方、企業の外部から支援をするのが人材紹介です。企業と求職者の双方にとって最適なマッチングを実現させるわけですが、あくまで立場は社外の第三者。仲介役として採用活動に携わります。社内で人事チームの一員となるRPOとは立場も役割も違うわけです。
2. なぜ、いまRPOなのか?
アウトソーシング(外部委託)が日本で盛んに利用されるようになったのは1990年代頃からといわれ、今ではもうお馴染みの、一般的な手法といえます。にもかかわらず、近年RPOが注目されるのはなぜなのでしょうか? その背景を、次の2つの視点から見ていくことにしましょう。
①採用活動の長期化
求人数が求職者数を上回る「売り手市場」の傾向が続き、求職者は内定を得やすくなっているといわれています。裏を返せば、内定辞退のリスクが高まっているともいえる状況。その一方で、会社の規模や業種によっては買い手市場になっているところもあるのです。企業にとっては、まさに人材獲得を賭けた戦国時代といえるでしょう。激しい争奪戦が繰り広げられています。人員を充足できなければ、採用活動は継続。おのずと長期化・通年化している、というのが採用戦線でいま起きていることです。
また、上記以外にも、新卒採用の就活ルールが形骸化し、通年採用を取り入れる企業が増えたこと、終身雇用制度が崩壊しつつある現状、転職が一般的になっていることなども、長期化する要因となっています。
②採用方法の多様化
人材確保が非常に難しくなっているいま、従来の採用方法では思うような成果が得られにくくなっています。従来の採用方法というのは、たとえば、ハローワークや求人広告、自社のホームページを利用するといった、求職者からの応募を待つ「待ちの方法」のこと。いまは、それらに加えてリファラル採用(社員紹介採用)やダイレクトリクルーティングといった、採用のために企業自らが積極的に動く「攻めの方法」もとられています。
採用方法の幅の広がりは、人材確保の面だけを見ればメリットが大きいと感じますよね。ですが、やはり物事には負の側面も。新たな方法を取り入れることで、効果測定などの手間や工数が増えてしまうという問題が発生しています。
また、WebやSNSを活用した採用活動が一般的になり、1社に対する応募者数が飛躍的に増加。それに伴い、採用担当者の負担も増加の一途をたどっています。
以上のように、採用活動にかかる業務量は増すばかり。その打開策として、採用業務の負荷軽減はもちろん、効率的な採用活動も期待できるRPOが注目されているのです。
3. RPOに依頼できること
では、実際にRPOで委託できる業務を採用プロセスに沿って見ていきましょう。
採用計画の策定
採用計画とは、会社の経営方針や事業計画をもとに、「どの部署へ、どのような人を、何人くらい、どのような方法で採用するのか」などの計画を立案することです。採用活動の指針となるものであり、経営の根本に関わるもの。委託する場合でも、自社の採用課題を明確にしたうえで、意向をしっかりと反映させることが重要です。
〜業務の具体例〜
- 採用ターゲットの設定
- 採用競合や市場の分析
- 採用戦略の検討
- 採用活動の予算案の作成
- 面接官トレーニング など
母集団形成(集客)
母集団形成とは、自社の求人・仕事内容に関心を持つ人を集めること。母集団の量と質が採用成功のカギとなります。このプロセスでは、RPOを活用することで、大幅に工数削減を見込める業務が多くあります。
〜業務の具体例〜
- 求人掲載媒体の選定
- 求人原稿(広告や求人票)の作成
- DM(ダイレクトメール)やスカウトメールの作成・配信
- 企業説明会の企画・実施
- 問い合わせ対応 など
応募者対応
事務的で煩雑な作業が多いため、RPOを活用することで、業務負荷の軽減というメリットが見えやすいプロセスです。
〜業務の具体例〜
- 応募書類の受付・管理
- 応募者のデータ管理
- 応募者からの問い合わせ対応
- 応募・選考に関する連絡業務
- 面接日程の調整 など
選考
このプロセスでは、自社で行う部分と、代行してもらう部分を慎重に判断する必要があります。たとえば、採用のコア業務である面接や合否決定は自社で、面接会場の設定や面接当日の受付などは代行で、といった具合です。
〜業務の具体例〜
- 応募者のスクリーニング(書類選考)
- 適性検査や筆記試験の実施
- 面接会場の設定
- 面接会場での受付・案内
- 面接官代行 など
内定・入社
内定辞退を防ぐためにも、内定者フォローは非常に重要な業務です。高い専門性を持つRPOが頼りになるプロセスでありますが、RPOにどこまでサポートしてもらうかを明確にして判断しましょう。
〜業務の具体例〜
- 内定通知書の送付
- 内定者への連絡
- 内定辞退者へのヒアリング
- 内定者の研修や懇談会などの企画・実施
- 入社案内や入社書類の作成、入社日の調整 など
4. RPOの導入が向いている企業
前項のとおり、採用活動のすべてのプロセスにおいてRPOを活用できます。次のような悩みや課題を抱える企業にとっては、特に、大きな助けとなるでしょう。
・募集をしても人が集まらない(または、逆に応募者が多い)
・新たな採用チャネルを開拓したい
・内定後の辞退が多い
・マンパワーが足りず、採用活動を振り返る余裕もない
・コロナ禍での採用活動を模索中 など
導入にあたってのポイントは以下の2点です。
①目的を明確に
「採用コストを削減する」「採用成功率を上げる」「内定辞退者を減らす」というように、RPOを導入する目的を明確にしましょう。後々の意思決定にブレが少なくなりますし、チームとしての意思統一も図りやすくなります。
②業務範囲を明確に
自社で容易にできる業務まで依頼する必要はないので、どの業務をどこまで依頼するのかを明確にしておきましょう。事前に認識のズレがあっては、業務の進行中にトラブルが発生しかねません。相互にしっかり確認すべきです。
5. タリスマンのRPO
タリスマンのRPOサービスの大きな特徴は、「専門分野に特化したバイリンガルのコンサルタント」がそろっていることです。各業界に精通したコンサルタントが、専門性を活かし、企業がより効率的に採用成功を実現できるようサポートします。また、コンサルタントは人材ビジネスでの経験が豊富なものも多く、専門性もさることながら、語学堪能なバイリンガルメンバーも在籍しております。グローバルな人材の採用でも支援できる体制が整っています。
上手に活用すると、専門性の高い分野の採用がうまくいっていない、多言語に対応できる採用担当者がいないといった悩みが解決するかもしれません。
6. RPOの効果を最大化するためには
採用活動は企業の重要な経営課題の一つですが、企業を取り巻く環境の変化により、非常に負荷のかかる業務となっています。その解決策のひとつとして期待できるのがRPOサービス。その効果を最大化するには、しっかりと目的を持って導入することが重要です。そのために、まずは自社の課題を明確にしましょう。それから、課題が自社で解決できることなのか、RPOで解決できることなのかを判断します。そのうえで、委託したい業務範囲を整理して、その業務に強いRPO会社を検討してみるとよいでしょう。
タリスマンには、各業界さまざまな専門分野出身のコンサルタントが在籍しており、お客様の業界に応じて担当制にしております。業界ごとに異なるニーズを理解し、より最適な人材の採用が可能です。
また、日本語以外にも英語、中国語、スペイン語など多言語に対応しており、グローバルな人材の採用にも実績をあげています。