導入する前に知っておきたい、RPOのメリット・デメリット
少子高齢化に伴う労働人口の減少を背景に、近年、深刻な社会問題になっている人手不足。多くの企業が直面している問題ですが、企業の規模や業種、職種などによって状況は少し異なります。なぜなら、中小企業よりも大企業の求人に人気が集まりやすいといわれているように、求職者の希望先は一律ではないからです。人材確保のために熾烈な競争が起きているいま、企業の採用活動には大きな負荷がかかっています。
そのような時代にあって、存在感を高めているのがRPO(Recruitment Process Outsourcing略称)です。「採用代行」や「採用アウトソーシング」とも呼ばれているので、そちらの呼び方に馴染みがある方もいらっしゃるかもしれません。今回はそんなRPOのメリット・デメリットについて紹介します。導入を考えている方はもちろん、RPOに興味がある方もぜひ参考にしてください。
1. RPOの基礎知識
本題に入る前に、まずはRPOの概要から見ていきましょう。この記事では、「RPOの仕組み」と「RPOに依頼できる業務」について解説します。
RPOの仕組み
仕組みはとてもシンプルで、企業から採用活動に関する業務の一部、またはすべてを委託され、企業が求める人材の採用の成功を担うというものです。しばしば混同されやすいサービスに人材紹介がありますが、たしかによく似て見えるかもしれません。
RPOと人材紹介の大きな違いとしてあげられるのが、企業の〈内部〉で支援をするのか、〈外部〉から支援をするのかです。RPOは「企業の人事チームの一員」として企業の内部で採用活動に携わり、人材紹介は「仲介役」としてあくまで第三者の立場で企業の外部から支援します。この違いがRPOの大きな特徴であり、〈内部〉で支援するからこそ、社風や各部門の状況、事業展開などを把握したうえでサポートができるのです。
RPOに依頼できる業務
RPOに依頼できる業務は多岐に渡ります。採用プロセスに沿って見ていきましょう。また、各プロセスにおけるRPOの活用ポイントも併せて紹介します。
採用計画の策定
採用計画は採用活動の指針となるものであり、経営の根本に関わるもの。その部分をアウトソースするのは不安があるかもしれませんが、「採用のプロフェッショナルの客観的な視点を取り入れられる」というメリットがあります。ただ、委託する場合でも、自社の採用課題を明確にしたうえで、意向をしっかりと反映させることが重要です。
〜業務の具体例〜
*採用ターゲットの設定
*採用競合や市場の分析
*採用戦略の検討
*採用活動の予算案の作成
*面接官トレーニング など
母集団形成(集客)
このプロセスでは、RPOを活用することで、大幅に工数削減を見込める業務が多くあります。
〜業務の具体例〜
*求人掲載媒体の選定
*求人原稿(広告や求人票)の作成
*DM(ダイレクトメール)やスカウトメールの作成・配信
*企業説明会の企画・実施
*問い合わせ対応 など
応募者対応
事務的で煩雑な作業が多いため、RPOを活用することで、業務負荷の軽減というメリットが見えやすいプロセスです。
〜業務の具体例〜
*応募書類の受付・管理
*応募者のデータ管理
*応募者からの問い合わせ対応
*応募・選考に関する連絡業務
*面接日程の調整 など
選考
このプロセスでは、自社で行う部分と、代行してもらう部分を慎重に判断する必要があります。たとえば、採用のコア業務である面接や合否決定は自社で、面接会場の設定や面接当日の受付などは代行で、といった具合です。
〜業務の具体例〜
*応募者のスクリーニング(書類選考)
*適性検査や筆記試験の実施
*面接会場の設定
*面接会場での受付・案内
*面接官代行 など
内定・入社
内定辞退を防ぐためにも、内定者フォローは非常に重要な業務です。高い専門性を持つRPOが頼りになるプロセスでもありますが、内定者と直に接する部分は、やはり自社の社員で行いたいところ。RPOにどこまでサポートしてもらうかを明確にして判断しましょう。
〜業務の具体例〜
*内定通知書の送付
*内定者への連絡
*内定辞退者へのヒアリング
*内定者の研修や懇談会などの企画・実施
*入社案内や入社書類の作成、入社日の調整 など
2. RPOのメリット
上記のように、RPOは採用活動のすべてのプロセスにおいて活用できます。では、導入することで得られるメリットについて見ていきましょう。
コア業務に集中できる
採用活動では、応募書類の受付・管理や問い合わせの対応といった、煩雑な事務作業が多く発生します。そのようなノンコア業務をアウトソースすれば、自社の採用担当者は戦略の立案や面接、内定者フォローなど、採用成功に大きく関わるコア業務に専念できるようになり、業務の質の向上が期待できます。それと同時に、業務負荷の軽減も図れるのです。
自社にはないノウハウで採用力を強化できる
RPOサービスを請け負う企業には、豊富な経験に裏打ちされたノウハウが蓄積されています。その強みを活かした最適な提案をしてもらえるため、効率的で効果的な採用活動が実現できます。これまで自社にはなかった視点からのアプローチも可能になるはずです。
コスト削減ができる
RPOは必要なタイミング・必要な期間だけ使うことができるので、採用担当者の人件費を固定費として持たなくて済みます。さらに、採用コストの軽減も期待できるところです。たとえば、求人掲載媒体の選定や求人原稿(広告や求人票)の作成がターゲットに合っていなければ、思うような効果があらわれず、結果として採用コストが高くなってしまうことがあります。しかし、RPOではターゲットに合った最適な対策を取れるため、そのようなリスクを回避できる可能性が高まるのです。
3. RPOのデメリット
RPOにはさまざまなメリットがある一方で、やはりデメリットも存在します。ここでは、3つのデメリットを確認しておきましょう。
ミスマッチが起こり得る
求める人材像や委託する業務範囲を明確にして、認識を統一していなければ、結果的にミスマッチが起きてしまう可能性が否めません。緊密に連携を取り合い、認識にズレが生じないようにしましょう。
応募者や内定者との関係が希薄になる
応募者対応や内定者のフォローまでをも一任してしまうと、自社の採用担当者は応募者・内定者との接点が著しく減少し、信頼関係の構築が難しくなってしまいます。それを防ぐためにも、RPOに丸投げせずに、応募者や内定者とのコミュニケーションを取るようにしましょう。
社内に採用ノウハウが蓄積されにくい
RPOを導入すれば採用のプロフェッショナルが携わるため、採用活動は効率的に進み、成果も出やすいものです。ただ、その過程に至る細かなノウハウが採用担当者に引き継がれにくいという弊害もあります。ノウハウを吸収するためにも、定期的な情報共有は必須です。
4. RPOの導入が向いている企業の特徴
RPOにはメリット・デメリットの両面があります。とはいえ、次のような悩みや課題を抱えている企業にとっては、導入することで得られるメリットがデメリットよりも勝る可能性があります。
・マンパワーが足りていない
・募集をしても人が集まらない(または、逆に応募者が多い)
・新たな採用チャネルを開拓したい
・内定後の辞退が多い
・スタートアップ企業 など
例えばスタートアップ企業のように採用に人が割けない場合や、採用がうまく行っていない企業は、RPOの活用を検討してみるとよいでしょう。
5. タリスマンのRPO
RPOのデメリットとして、「採用ノウハウが蓄積されにくい」ということを紹介しましたが、タリスマンは違います。というのも、サービス終了後に引継書を作成するため、ノウハウが企業にしっかり残るのです。将来的に自社でダイレクトソーシングする際に役立てることができます。
また、タリスマンのRPOサービスの大きな特徴として、「専門分野に特化したバイリンガルのコンサルタント」がそろっていることがあげられます。職種別の担当制になっており、各業界に精通したコンサルタントが対応。専門性を活かし、企業がより効率的に採用成功を実現できるようサポートします。さらに、コンサルタントは長らく海外の人材ビジネスに携わってきた者や、外資系の人材サーチ企業でマネジメントしてきた者など、専門性もさることながら、語学堪能なバイリンガルメンバーが多く在籍。グローバルな人材の採用を支援できる体制も整っています。
6. RPOのメリットが勝れば導入を!
少子高齢化に伴う労働人口の減少を背景に、日本企業における人手不足問題は深刻化しています。人材確保が非常に困難な時代であり、採用担当者に大きな負荷がかかるなか、注目度が高まっているのがRPOサービスです。
ただし、RPOを導入さえすれば採用活動が万事うまくいくというわけではありません。なぜなら、RPOで解決できることと、逆にRPOの導入によって得られないことがあるからです。そのため、メリット・デメリットをよく知ることで、導入すべきかどうか、自社にとって最良の判断ができるでしょう。
RPOの今後の市場での拡大動向については、以下の記事で解説しています。ぜひご覧ください。