管理職の年収事情&業種別年収ランキング!外資系企業との比較も解説

企業の役職の中で、管理職と呼ばれるものは「係長」「課長」「部長」の3種類です。ただし一般的に多くの企業では、係長を除いて課長と部長の2役職が名実ともに管理職として認識されています。

管理職に昇進すると、責任の重さが増すと同時に年収はアップします。管理職になると、一体どれくらいの年収が期待できるのでしょうか?

この記事では管理職の年収事情を、企業規模での違いや業種別の管理職年収ランキングなども交えながら解説します。そして、一般的に年収が高めといわれる外資系企業の管理職との比較もご紹介します。

現在は役職に就いていなくても昇進を狙っているみなさんや、外資系を含む転職やキャリアアップを目指しているみなさんは、ぜひ参考にしてください。

管理職の収入を決める要素について

企業における管理職というものの定義を、まずは確認をしておきましょう。

管理職は就労の現場において労働者の指揮を執り、企業組織の運営に当たる者のことです。組織の意思決定の権限の一部と責任をもつ役職で、課長や部長という職位や、企業によっては「マネージャー」という役職を設けている場合もあります。

では次に管理職の評価の基準に触れておきましょう。

管理職は裁量労働

管理職の労働形態は「裁量労働制」と呼ばれます。雇用形態のひとつであり、労働時間を実労働時間に関係なく、一定の時間とみなす制度です。

出退勤時間の制限は設けられず、時間外労働という概念がなくなります。時間の自由度があるので効率的に働くことができ、上がった成果によって評価されるシステムといえるでしょう。つまり評価基準の基本は、ずばり担当部署の業績です。

あくまで極論ですが、週に1日しか出勤しないとしても、部下をきちんとコントロールできて、担当部署が良好な成果を上げていたなら、管理職として高い評価を受けることになります。

課長昇進時に年収が減る可能性とは?

管理職の実質的な入り口である課長に昇進するときに、その直前の状況次第では収入が下がる可能性があることは否めません。

なぜなら1つ前の役職である係長は、手当支給の側面では一般社員と同じ給与体系です。課長昇進と同時に、残業手当と扶養手当は支給対象ではなくなります。

つまり、昇進直前の給与の内訳に、残業手当や扶養手当が大きい割合を占めていたとすると、課長になることで一旦下がってしまうおそれがあるのです。

 

部下より下回る場合も

自分自身の収入が課長昇進時に下がる恐れがあるのと同じ理由で、部下であっても残業手当や扶養手当の額が多い者と比較すると、上司である課長の方が下回るケースもありえます。

管理職昇進時に増額される部分

ここで管理職の給与の増減に関して、一旦整理をしておきましょう。

課長職に昇進した時点でまず残業手当はなくなります。そして扶養手当も、一部の例外があるかもしれませんが、多くの企業でなくなります。

増額されるのは一般的に基本給と、課長としての役職手当の2項目です。昇進が決まった場合でも、もし元々手当がたくさん出ていたなら増額の程度によっては、一旦収入が下がる可能性を考えておかねばなりません。

管理職の年収事情

ここからは管理職のリアルな年収事情を、「課長」「部長」というポジション別と、企業規模で解説し、さらに業種別の管理職平均年収ランキングをご紹介しておきます。

役職別の平均月額給与

厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」によれば、役職別の平均月額給与は以下の通りです。

 

役職

男性

女性

平均月額給与

平均年齢

平均月額給与

平均年齢

非役職者

22万円

20~24

22万円

20~24

係長級

40万円

45

36万円.

45

課長級

54万円

49

46万円

49

部長級

66万円

53

59万円

52

出典:平成30年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省

上記のデータを年間給与(賞与を除く)に換算し、課長と部長の数字を確認してみましょう。

「課長級」の平均年間給与(賞与を除く)

性別(平均年齢)

平均年間給与

男性(49歳)

644万円

女性(49歳)

552万円

男女計

598万円

男性課長の平均年間給与は644万円で、女性課長の平均年収は552万円です。男女合計の平均年収が598万円になります。

ちなみに係長の男女合計平均年収は455万円です。一般的には課長に昇進すると、年間給与が100万円以上増額することになります。次に部長級の平均年間給与です。

「部長級」の平均年間給与(賞与を除く)

性別(平均年齢)

平均年収

男性(53歳)

792万円

女性(52歳)

711万円

男女計

752万円

男性部長が792万円で女性部長が711万円、男女合計で752万円です。という結果になります。課長から部長への昇進で、平均的には150万円近く年間給与が増えることになるのです。

企業規模別の管理職の年収

次に政府統計ポータルサイト『e-Stat』の最新の統計数字から、企業の規模別で管理職の年収(給与プラス賞与)を調べ出し、一覧表にいたしました。

ベースになるのは厚生労働省の『賃金構造基本統計調査』の現時点で最新である令和元年=2019年の情報です。

企業規模(従業員数)

100499

500999

1,000人以上

課長級の年収

698万円

800万円

990万円

部長級の年収

903万円

1,042万円

1,250万円

大企業と中小企業を分かつ定義はさまざまですが、仮に従業員数1,000人以上の企業を大企業とした場合、中小企業との差は200300万程度の大きい開きになります。

 

業種別の管理職の年収

管理職の年収は当然業種によっても違いがあります。どのような業種がより高収入なのかは興味深いポイントでしょう。

これに関しても政府統計ポータルサイト『e-Stat』の最新の統計数字から拾い出して、一覧表にしてみましたので、ご覧ください。

業種の区分は、政府統計で分けられた全16種類の産業分類区分によります。課長級と部長級それぞれで、1位から16位までのランキング形式にしました。

課長級の業種別平均年収一覧

まずは課長級の業種別平均年収の一覧です。

ランキング

業種

平均年収

1

電気・ガス・熱供給・水道業

875万円

2

学術研究・専門・技術サービス業

850万円

3

金融業・保険業

846万円

4

鉱業・採石業・砂利採取業

837万円

5

不動産業・物品賃貸業

808万円

6

建設業

806万円

7

複合サービス事業

774万円

8

情報通信業

755万円

9

サービス業(他に分類されないもの)

746万円

10

教育・学習支援業

716万円

11

製造業

704万円

12

卸売業・小売業

698万円

13

運輸業・郵便業

621万円

14

医療・福祉

595万円

15

生活関連サービス業・娯楽業

581万円

16

宿泊業・飲食サービス業

488万円

課長級として平均年収最上位「電気・ガス・熱供給・水道業」の875万円は、次にご紹介する部長級の平均年収ランキングの10位と同じです。

課長級最下位の「宿泊業・飲食サービス業」は488万円なので、サラリーマンの平均年収である約440万円を辛うじて上回っているといったところです。

部長級の業種別平均年収一覧

次に部長級の業種別平均年収一覧です。

ランキング

業種

平均年収

1

金融業・保険業

1,397万円

2

学術研究・専門・技術サービス業

1,216万円

3

電気・ガス・熱供給・水道業

1,103万円

4

鉱業・採石業・砂利採取業

1,054万円

5

情報通信業

1,014万円

6

不動産業・物品賃貸業

997万円

7

教育・学習支援業

991万円

8

建設業

980万円

9

卸売業・小売業

923万円

10

医療・福祉

875万円

11

製造業

865万円

12

宿泊業・飲食サービス業

734万円

13

サービス業(他に分類されないもの)

733万円

14

複合サービス事業

727万円

15

生活関連サービス業・娯楽業

724万円

16

運輸業・郵便業

717万円

出典:賃金構造基本統計調査役職DB | 統計表・グラフ表示 | 政府統計の総合窓口

さすがに部長級ともなると、上位4区分は1,000万円台を超えています。

上位4区分である「金融業・保険業」「学術研究・専門・技術サービス業」「電気・ガス・熱供給・水道業」「鉱業・採石業・砂利採取業」は、順序は変わりますが、課長級の上位4区分と同じ顔ぶれです。

2位の「学術研究・専門・技術サービス業」と4位の「鉱業・採石業・砂利採取業」はどちらの役職でも同じ順位で、1位の「金融業・保険業」と3位の「電気・ガス・熱供給・水道業」が課長級では入れ替わっています。

あらゆる産業の中でも、近年脚光を浴びているIT関連は情報通信業の中に含まれ、課長級では8755万円、部長級では5位で1,014万円です。

外資系企業の管理職の年収について

次に、一般的に日本企業よりも年収が高い傾向があるといわれる外資系企業の管理職の年収に目を向けて見ましょう。

これに関しては政府統計のデータは現在ありません。民間調査(マーサージャパン:Total Remuneration Survey2019年版)によって考察を試みます。

調査によれば、外資系企業の課長級の平均年収は約1,200万円です。外資系企業は課長級でも1,000万円の大台を超えています。日本の大企業における課長級の平均年収である990万円と比較して、200万円以上の開きがあります。

次に、外資系企業の部長級の平均年収は約1,820万円です。日本の大企業における部長級の平均年収である1,250万円と比較して、実に500万円以上もの開きがあります。

ちなみに経営幹部の平均年収にフォーカスすると、外資系企業は約3,350万円です。日本企業の経営幹部の平均であるとされる約2,110万円と比較して、なんと1,240万円という圧倒的な開きがあります。

また、2015年から2019年にかけての平均年収の伸び率に関して、日本企業は役職別の伸び率の差がほぼありません。それに対して、外資系企業は役職が上がるにつれて伸び率が高まっている傾向があります。

このように、外資系企業の管理職の高収入傾向は、日本企業との数字の比較ではっきりと裏付けされました。

参考:マーサー、日本総報酬サーベイ(Total Remuneration Survey2019年度の結果を発表 | マーサージャパン

まとめ

管理職の年収事情の解説や業種別の年収ランキング、そして、外資系企業の管理職との比較をご紹介しました。ひとくちに管理職といっても、課長と部長との差も大きければ、業種によっても相当な開きがあります。

また、外資系企業の聞きしに勝る圧倒的な高年収事情も、日本企業との比較によって詳らかになりました。

今後、昇進および転職やキャリアアップを目指すみなさんは、ここで紹介した数字を目安として、ご自身のビジョンを明確に構築して、それに突き進んでください。

Talisman編集部

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