履歴書の送付状の役割や活用法!書き方と印象を上げるポイントも解説

転職活動において履歴書などの応募書類を郵送する際に添えるのが送付状(添え状)です。
誰が何を誰に送ったのかを明確に知らせるためのものですが、書き方によっては初めて目にする採用担当者に、あなたを印象付けるツールにもなります。
マナーに沿った適切な送付状を添えていれば、印象は多少なりとも良くなるでしょう。しかし、書き方を間違えると印象を下げてしまうおそれもあります。
この記事では送付状の具体的な役割、その活用方法や正しい書き方、印象をアップさせるポイントについて解説していきましょう。

履歴書の送付状(添え状)の役割を認識しておこう

まずは履歴書など応募書類の送付状の、本来の役割について認識しておくことから始めましょう。

届け物の挨拶

古来、誰かに届け物をするためには、本人か使いの人が先方に出向いて手渡していました。
やがて郵便や配送業者を使って届け物を送るようになったときに、本来であれば対面した際に掛ける挨拶を文字に託した添え状を同封するようになったのです。
これが送付状の始まりであり、応募書類の送付状も同じく挨拶の役割を持っています。

届け物の中身を伝える

送付状は挨拶とともに、「誰から誰へ」の送付物なのかを明らかにする文書です。
採用担当者は、常日頃から多くの書類を受け取っています。
その際に送付状があれば、差出人と中身の主旨を掌握しやすくなり、担当者が中身を確かめる手間を省けるでしょう。
送付状は同封が必須というわけではありませんが、添えられていると差出人の誠実さや相手に対する敬意とマナーをわきまえていることが伝わるはずです。
そもそも書類選考というプロセスでは、社会人としての常識やマナーをチェックされるものです。
とりわけ応募が多い人気企業では、書類選考の段階で相当数が落とされることになります。
送付状の同封はマナーであると同時に、書類段階で落とされるリスクを最小限に抑えるための選考対策の基本です。

送付状が不要なケース

応募書類を郵送で提出する場合は送付状を添えるのが基本ですが、面接などの折に持参してその場で提出する場合は必要ありません。

外資系での送付状「カバーレター」について

外資系企業で履歴書を提出するときに、それが英文履歴書であれば送付状にあたるのは「カバーレター」です。
日本企業と同様に、採用担当者はまずカバーレターに目を通し、その応募者の英文履歴書を読むかどうかを決定します。
カバーレターには「履歴書を送付する理由」「業務経験やスキル」「面接の依頼」などを記載します。
後述する日本の送付状と基本的なメッセージは同じですが、書き方のパターンは異なるので注意が必要です。
選考の最終段階で、ふたたびカバーレターが確認されることもあるようです。

転職活動者にとっての送付状の活用法!

送付状は転職活動者にとっては、本来の役割以上に選考突破のためにプラス効果を発揮する場合があります。詳しく見ていきましょう。

応募書類の導入部分として

送付状は転職活動中の応募者にとって、応募書類自体をしっかり読んでもらう目的で注意を引く、あるいは興味を持ってもらうための導入部として活用できます。
書類選考の採否そのものは、応募先企業が指定する応募書類がもちろん基準です。
履歴書や職務経歴書に記載されている情報から、応募者の職務に対する意欲や能力を推し量り、自社が求める人材であるかどうかを判断します。
同封の送付状は採用担当者に読まれる以上、印象になにがしかの影響を持つ可能性があるのです。
中には送付状から個性や志向が垣間見えたおかげで、応募書類を念入りに読んでみようと採用担当者が思う場合もあるでしょう。
逆にあまりにも定型パターンなので、興味がまったく湧かずに応募書類も斜め読みされることも考えられます。
履歴書や職務経歴書などをまともに読んでもらうためのキッカケとなり得るのが送付状です。ぜひ、担当者の興味を惹くような送付状を作成しましょう。

応募書類を補足する効果

送付状は、応募書類の内容を補うツールにもなります。即戦力としての実務能力を求められる中途採用では、応募書類に記載された内容が採否のキーポイントとなるのです。
たとえば、あまり有利とは言えない学歴や経歴があったとしましょう。いきなりそれを読まれると担当者も採用に対して積極的になれないかもしれません。
そこで「なぜそうなったのか」「無理もない理由があったこと」などを、前向きな表現で補っておけば、採用側の不安が払拭される可能性が生まれます。
もちろん、有利でない学歴や経歴の場合だけではありません。それが有利なものであっても、多少説明を要する場合があります。
そういう際に、簡潔に前置きをしておくことで、応募書類の内容が伝わりやすくなる効果があるのです。
また、書きたくても書ききれなかったアピールしたいポイントがまだある場合にも、しつこくない範囲で送付状に書いて問題ありません。
職務能力や応募先企業への思いなどを凝縮したエピソードを嫌味なく添えることで、応募書類とはまた異なる角度からのアピールになるでしょう。

送付状を書く際にやってはいけないNG項目を網羅

応募書類を補足したり興味を抱かせたりもできる送付状は、書き方をひとつ間違うと印象のダウンにつながってしまいます。
応募者が陥りがちなNGの傾向を理解しておいて、自分の送付状がそうなっていないかをチェックするために使いましょう。

応募書類の内容の言い訳をし過ぎる

採用に不利になりそうな要素を申告する前に、あらかじめ送付状で触れておくことにより、クッションになる効果が期待できます。
しかし、ネガティブな印象を払拭するために理由を書き込み過ぎると、採用担当者が「見苦しい言い訳」と受け取ることもあります。

自慢話のように書く

書類選考をパスしたいがために、送付状に自分の人材価値をあれこれ訴えることは、ともすれば自慢気な印象を与えるかもしれません。
そうならないように、取り上げる対象の実績を絞り込んで、具体的な数字や客観的な評価などを挙げつつシンプルにまとめるとよいでしょう。
あくまで応募書類への導入部なので、自分の良いところをこれでもかと書き綴るのはNGです。簡潔かつ謙虚であることを心掛けましょう。

定型文だけの味気ない内容

送付状を書くのであれば、どこの応募先にも通用するような定型文をつなげただけのような送付状ではいけません。
送付状はここまで説明してきたとおり、採用担当者の興味を惹くためのツールの面があるのです。同じ書くなら熱意を込めて、自分の言葉で書きましょう。

送付状の正しい書き方、例文とテンプレートで解説

送付状には、特に決まったフォーマットはありません。どのように書いたとしても問題はありません。
とはいえ、先方に好印象を持ってもらうためには、基本的な構成および書き方は押さえておかなければなりません。
送付状のサンプルとして、例文を含むテンプレートを紹介します。個人情報の部分を変更すれば、原案作りに活用していただくことも可能です。

サンプル:送付状(例文付き)テンプレート


20XX年X月XX日

株式会社〇〇〇〇〇〇〇〇
総務部人事課課長 〇〇様

〒XXX-XXXX
東京都〇〇区〇〇〇〇〇X丁目XX番XX号
〇〇〇〇〇〇〇〇XXX号室
電話:080-XXXX-XXXX

E-mail:[email protected]
〇〇 〇〇(自分の氏名)

応募書類の送付につきまして

 拝啓 秋涼の候、貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。

 この度、貴社のIT関連技術職の求人募集を〇〇〇〇で拝見し、ぜひとも応募させていただきたく必要書類をお送り申し上げる次第です。
 私は前職にて3年間、ITベンチャー企業においてオリジナルWebサービスのソフトウェア開発業務を担当しておりました。
そこで培ったスキルと知見を貴社のグローバルなメディア事業で活かしたいと考え、此の度応募させて頂きました。
ぜひ同封した履歴書ならびに職務経歴書をご覧いただき、面接の機会をいただければ幸いに存じます。
よろしくご検討のほど、お願い申し上げます。

敬具

 

  • 履歴書 1部
  • 職務経歴書 1部(全2枚)

以上


 

基本事項別のポイント解説

サンプルを例にとって、基本項目別のポイントを解説しておきましょう。

送付年月

送付日を必ず記載しましょう。ビジネス文書に共通するルールで、日付は必ず右上に記載します。ここでいう日付は、記入日ではなく投函する日です。
西暦と和暦のどちらを使っても問題ありませんが、同封する他の書類と記載方法を統一していく必要があります。

宛名

日付を記載したら、次の行に左寄せで宛名を書きます。正式な会社名と部署名、役職名、担当者名を正確に書きましょう。株式会社を(株)と省略するのもいけません。
担当者の名前がはっきりと分かっていればそのまま記載し、分からないのであれば「採用ご担当者様」と書くのが一般的です。もしくは「人事部御中」でもよいでしょう。
宛先があまり長くなると見映えもよくないので、適度に改行してバランスをとってください。

署名

宛先の下段の右寄せで、連絡先と名前を書きましょう。順番は「郵便番号」「住所」「電話番号」「メールアドレス」「氏名」です。
電話番号は最も連絡のつきやすい番号が先方にとってもよいので、携帯番号でも問題ありません。

前文

「拝啓」や「謹啓」などの頭語を必ず入れましょう。一文字分あけて、「時候の挨拶」と「相手の発展を喜ぶ言葉」を連ねた挨拶文が一般的です。
ただし、ビジネス文書においては、時候の挨拶の部分は省略しても問題ありません。月ごとに三段回、言葉が変わるので注意を要します。
以下の例を参考に、提出する頃に合わせた言葉を選んでください。

<時候の挨拶の例>
提出月  時候の挨拶(上旬/中旬/下旬)
1月  初春の候/新春の候/厳冬の候
2月  立春の候/早春の候/残寒の候
3月  春分の候/春陽の候/浅春の候
4月  春暖の候/陽春の候/仲春の候
5月  新緑の候/薫風の候/立夏の候
6月  小夏の候/入梅の候/梅雨の候
7月  盛夏の候/仲夏の候/猛暑の候
8月  残暑の候/晩夏の候/立秋の候
9月  初秋の候/新秋の候/秋冷の候
10月  仲秋の候/秋涼の候/秋晴の候
11月  晩秋の候/向寒の候/菊花の候
12月  師走の候/初冬の候/寒冷の候

応募の経緯

求人のきっかけとなった媒体名を記載し、求人への応募書類であることを明らかにする文章です。求人の職種が複数あった場合は混乱を避けるために、自分が応募する職種を書いておきましょう。

志望動機・自己PR

送付状の中で、あなたにとって最も重要な部分です。
先方に入社意欲を伝えられ、かつライバルである他の応募者との差をつけやすい部分となります。
あなたの応募先企業への思いや経験、スキルなどを先方の事業内容や業務内容にうまくリンクさせつつ、簡潔かつ共感が得られるように、3~4行でまとめましょう。

面接の申し込み

文章の結びの部分にて、書類選考を受けて面接を受けることを希望している旨を明記しましょう。
最後に「よろしくご検討のほど、お願い申し上げます」などの丁寧な言葉で締めてください。

結語

頭語に対応する結語を最終文から一段あけて、右寄せで書きましょう。
頭語と結語の種類は、必ず下記のような決まった組み合わせにしなければなりません。

●拝啓/敬具
●拝呈/拝具
●謹啓/謹白
また、ビジネス文書でも略式の「前略」「草々」のパターンもありますが、応募書類を送る場合は使いません。

同封書類の一覧

同封されている書類名と各枚数を箇条書きで記載します。

以上

最終行に記載します。

送付状の自己PR例文集

最後に送付状の中に記載する自己PRの例文を3題紹介します。

一般的な送付状の自己PR

私は大学を卒業後に、大手広告代理店に入社しました。5年間にわたる勤務の中で、営業職と並行して自社サイトの運営も任され、取り組んできました。
それらを通して会社の認知度を高めてきた自負があります。これまで培ってきた自身の経験とスキルを貴社の業務で活かしたいと願っております。

エンジニアの送付状の自己PR

私は情報技術の専門学校を卒業後、中規模のIT企業にSEとして3年間勤務しました。そこではスキルアップ以外にマーケティングの視点を開発に活かすノウハウを培いました。此の度そのノウハウを大いに発揮できる企業として、貴社への応募を決意した次第です。

転職を多く経験した人の送付状の自己PR

私は大学卒業後に、大手消費財メーカーの営業職に就き、やがて企画やマーケティング、販促などを経験しました。その後、ヘッドハンティングにより同業数社の業務経験があり、消費財のスペシャリストの自負があります。この経験を活かして、貴社の事業拡大に貢献したいと考えている次第です。

【重要】最近の転職市場の傾向

最近の転職市場に関する傾向としては、エージェントを通すか通さないかに関わらず、送付状(カバーレター)自体を添付しないケースが一般的になりつつあります。理由の一つには、職務経歴書により多くの自己PRとなる情報を入れて作成する傾向が強くなってきている事が挙げられます。
もう一つには、少なくともエージェントを介して応募する場合はコンサルタントがあなたの代わりに応募先企業とのスムーズな仲介をするので、送付状の作成は不要となるからです。
もし個人で応募する場合、前述の傾向を理解した上で個々の企業ごとに送付状の要不要を判断しましょう。

まとめ

転職活動で履歴書を郵送する際に同封するのが送付状について、その本体の役割と転職応募者にとっての活用法、現在の送付状に関する傾向を解説しました。
書き方次第で採用担当者に、自分を印象付けるツールになり、応募書類の導入部分や補足としても活用できます。そして送付状を添付する代わりに、エージェントの利用または職務経歴書の内容をより充実させるという方法も選択できるでしょう。
送付状を作成する場合にはここで紹介した書き方のポイントを押さえてあなたの印象をアップさせ、ぜひとも転職活動に勝利してください。

Talisman編集部

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