「転職のベストなタイミングはいつか？」。そんな疑問を抱えている人も多いですよね。確かに、転職にはタイミングが重要で時期を逸してしまうと自身のキャリア形成にも大きな影響を出る可能性があります。今回は転職のタイミングを以下のポイントに絞って考えます。
年齢別にみる転職 業界別にみる転職 キャリアパスに合わせた転職 子持ち女性の転職
また、転職に踏み切る前に考えるべき要素についても取り上げます。では、一つずつ見ていきましょう。
目次
年齢別にみる転職のタイミング
まずは年齢別に転職のタイミングを見定めていきましょう。20代後半、30代、40代ではどのように転職を見極めると良いのでしょうか。
新卒後、3年以内で転職したい場合はどうしたらいい？
転職市場では年齢が若い方が有利になりますが、若ければ良いというわけではありません。社会人経験が短すぎると「定着性に問題がある」「人間関係で大きな問題を抱えているのではないか」など、マイナスの印象を与える可能性があります。
大学を卒業して1~2年目は不慣れなことが多く、ストレスを抱えるものです。上司や先輩から叱咤激励を受けたり、自分の未熟さを痛感することもあるでしょう。学ぶべきことが多いので、仕事を楽しむというよりは日々のタスクをなんとか消化していく、というイメージかもしれません。
「石の上にも三年」ということわざがあるように会社の良いところや仕事の楽しさを見つけるには数年かかるものです。「今すぐに転職したい！」と思っても、社会人としての基本的なスキルやマナーを習得するという面でも3~4年程度は辛抱したほうが、転職が成功しやすくなるでしょう。
20代後半での転職のタイミング
20代後半での転職は最も成功率が高いタイミングと言えます。特に、社会人経験3~4年目の人は基本的なビジネスマナーも習得出来ているので、将来性を見込んで積極的に採用する企業が多くなります。
このタイミングで転職したい人には、即戦力よりも若さや将来のポテンシャルが重視され、専門的な知識やスキルよりも主体的に考えて行動できる気質などが重宝されます。未経験職にも積極的に挑戦できる年齢ですが、「なぜ転職を選んだのか、将来どうなりたいのか」などの明確なビジョンを持ち、それを採用担当者に分かってもらう必要があります。
日本企業の多くはメンバーシップ型雇用を採用しているため、入社後は長く働いてほしいと思っています。単に「今の仕事が嫌になったから転職を希望している」という印象を持たれると「またすぐに転職するかもしれない」と判断されて、採用の可能性は低くなります。
30代での転職のタイミング
30代で転職をする人に求められるのは即戦力です。新しい職場でスキルを磨いてポテンシャルを発揮することよりもプレイヤーとして何ができるかが重要になるため、マネジメントスキルやリーダーシップ、プロジェクト管理や人材育成の実績があれば転職に有利です。
今、20代後半の人で将来的に転職を視野に入れている場合、なるべく多くのプロジェクトに参加して実績を積み、専門性とマネジメント力を備えた人材になることを目指すといいでしょう。
すでに30代半ばに入っている人の場合は、年齢と転職のタイミングが重要になります。年齢が上がるほど転職で求められるスキルや実績のハードルは高くなり、未経験職への転職は難しくなるでしょう。自分のスキルや実績を冷静に見つめなおし、転職を決意しているのであれば早めに行動しましょう。。
40代での転職のタイミング
40代では管理職への転職が基本になります。企業側は十分なスキルと経験を持った人材を探しており、提示される年収も20代・30代と比べると高額の求人が多くなります。
40代でのキャリア転職では、ヘッドハンティングや転職エージェントからの紹介が一般的です。つまり、この年齢で転職するには経験値やスキル、専門性などを有しておく必要があり、未経験職への転職はかなり難しくなります。
業界別にみる転職タイミング
転職をする場合、同業界または他業界かの選択肢がありますが、どちらを選ぶかは転職のタイミングによって変わります。詳しく解説します。
同業界に転職するタイミングとは？
同業界に転職するタイミングとしては、「今の職場で十分なスキルを習得したか」「目指すキャリアが明確になっているか」が目安となります。
「同業界に転職する＝新しい職場で自分のスキルを発揮する」ということですから、企業側はこれまでの実績を活かして、企業の成長に貢献してくれる人材を探しています。スキルの習得が不十分だったり、目指すキャリアが明確になっていないのであれば、自分の状況を客観的に見つめなおす時間が必要かもしれません。
逆に、ITエンジニアの場合、「上流工程から下流工程まで一通りのスキルが身についた」「一流のプログラマーになるため大企業でスキルを磨きたい」と感じている場合、転職のタイミングと判断してもいいでしょう。
他業界・未経験職に転職するタイミングとは？
他業界・未経験の職種に転職したい場合、どのようなタイミングが有効でしょうか。一般的には30歳までが理想のタイミングと言われています。
年齢を重ねると新しい環境への順応が難しくなるので会社の風土に馴染んだり、新しいスキルを習得することにストレスを感じます。「長期キャリア形成のため」として、転職者に年齢制限を設けている企業が多く、30代を過ぎると他業種・未経験職への道がぐっと狭くなります。
未経験職への転職を検討しているのであれば、20後半から30代半ばまでに行動するのがいいでしょう。
キャリアパスに合わせた転職のタイミング
転職する時にはキャリアパスとのタイミングも重要です。昇進や資格取得、進行中のプロジェクトがある場合、どのように決定したら良いでしょうか。
昇進の可能性がある場合
まず、管理者として転職したいのか、それともプレイヤーとして活躍したいのかを判断します。
管理者としての転職を希望するのであれば、昇進後に転職した方が良いでしょう。なぜなら、転職後、自分のスキルや実績を認知してもらうには時間がかかり、昇進のチャンスを得るまでに一定の期間がかかる場合があるからです。
しかし、今の会社で昇進してもすぐに転職すると「管理者」としてのスキルや実績は認めてもらえません。少なくても1年は実績を積むことや目に見える結果を残すことを意識すると管理者としての転職が可能になります。
プレイヤーとして現場で活躍したい場合、昇進前に転職することもできます。面接の際には「昇進の可能性があったがプレイヤーとして活躍を続けたいので転職を決意した」と説明しましょう。
資格取得を目指している場合
まず、取得したいと思っている資格と転職後の仕事の関係性を考慮しましょう。
資格保有者でないと面接の機会さえ与えてもらいない業種の場合、先に資格を取る必要があります。その場合、退職してから資格取得に取り掛かるより、仕事を続けながら勉強することをお勧めします。難易度が高い資格の場合、合格までに時間がかかることがあり、キャリアの空白時間が長くなると転職時の印象が悪くなることがあるからです。
一方、IT業界など資格がなくても転職できるが持っていた方が有利という業種の場合、注意が必要です。このような業種では、資格ありきでの転職活動は失敗する可能性があり、キャリアアップのビジョンが遅滞するかもしれません。資格だけに執着するのではなく、実務スキルやコミュニケーション能力を磨くことを忘れてはなりません。例えば、ITエンジニアに転職したい人の場合、情報処理系の資格を取るよりも仕事をしながらプログラミングスクールに通った方が転職に有利な場合があります。いずれにしても転職した業種と資格の関係性をよく見極めて、決定することが必要です。
プロジェクトが進行中の場合
管理者としてプロジェクトの進行が任されている場合、転職活動を進めるべきでしょうか。状況にもよりますが、プロジェクトが完了してから、または完了時期が明確になったから転職活動を始めた方がいいでしょう。
プロジェクト進行中に転職活動を始めて採用が決まった場合、基本的には2カ月以内の入社が求められます。「進行中のプロジェクトがあるので完了まで待ってください」という交渉は難しく、入社の時期が遅れると企業側に迷惑をかけてしまいます。
子持ち女性に最適な転職のタイミング
子持ちの女性が転職する場合、どのようなタイミングが有効でしょうか。家庭と仕事を両立させながら新しい仕事をスタートさせるポイントをご紹介します。まず、子持ち女性の転職の実情について考えましょう。
子持ち女性の転職の実情はどうか
結論から言うと、子持ち女性の転職活動はハードルが上がります。マタハラ防止、男女雇用機会均等法などが聞かれる時代になったものの、「子持ち女性はすぐに辞めてしまう」「子どもの世話があるから仕事に支障が出る」などの偏見によって、採用を躊躇する企業が多いのが事実です。
とは言え、子持ち女性の転職が不可能なわけではありません。男女均等に働く機会を与えたいと考えている企業もあり、子持ち女性は短時間で効率よく作業をこなすと評価する場合もあります。
「子どもがいるから転職は無理」と諦めるのではなく、自分だからこそできるアピールポイントを見つけて、転職活動を行うことが重要です。
子持ち女性が転職する時のポイント
子持ち女性が転職する時、どのような点に注意すれば良いでしょうか。
新しい業種よりも経験を活かせる仕事を選ぶ
子持ち女性が転職する場合、新しいことに挑戦するよりも経験値を活かせる業種の方が家庭と両立しやすくなります。未経験職の場合、すべてのことを一から学習する必要があり、家に帰ってからもスキルの習得に時間を割く必要があるかもしれません。
その点、過去に経験している職種であれば仕事に馴染むのも早いですし、同僚とのコミュニケーションも取りやすくなります。子持ち女性が転職するには、精神的な負担をなるべく少なくして働ける環境を見つけることが大切です。
スキルとキャリアを自己分析する
子持ち女性に限ることではありませんが、転職時には自分のスキルとキャリアを分析することが重要です。会社の即戦力として自分には何ができるのか、過去のどのような経歴が役に立つのか、などを的確にアピールできなければ採用を勝ち取るのは難しくなります。「子持ち」というワードに過度に囚われず、一人のビジネスパーソンとして自分を分析することで転職の道が見えてくるでしょう。
働く環境を事前にチェックしておく
子持ち女性の場合、子どもの送り迎えや家族の食事の準備などが日課になっている場合があります。家族のサポートを行いながら仕事を行うには、勤務時間や通勤方法などを事前に確認しましょう。また、フレックスタイム制や在宅勤務が認められているかなどを確認するといいでしょう。
子持ち女性への配慮がある職場かどうかも重要です。表向きは子育て女性を支援する制度を導入していても、実績が伴っていないと意味がありません。職場内に子育て女性がどのくらい在籍しているか、その人たちは働きやすいと感じているかなどもチェックすることも大切です。
正社員だけでなくアルバイトも視野に入れる
仕事よりも子どもや家庭を優先したいという人の場合、正社員だけでなく派遣社員やアルバイトも視野に入れると選択肢が広がります。IT業界やベンチャー企業では、特定のスキルを活かしつつプライベートを優先する働き方をしている人がいます。プログラミングやデザイン、動画編集などのスキルがあるなら非正規雇用として転職するという方法も有効です。
スムーズに転職するためのポイント
実際に転職を決意して、実行するためのポイントを取り上げます。自分の状況と合わせて分析することで、転職の準備が整っているか判断しましょう。
転職の方向性を定める
転職に踏み切る理由は人によって様々です。「キャリアアップをするために仕事を変えたい」「結婚などのタイミングに合わせて、プライベートを充実させたい」「両親の世話などのために勤務地を変える必要がある」などで転職を考えます。
最適な転職のタイミングを見逃さないためには「なぜ転職するのか？」「何を目指すのか？」などの方向性を定める必要があります。単に「仕事がつまらないから…」という理由だけだと、新しい仕事を探す条件が定まらず、結局は今の仕事を辞めたことを後悔するかもしれません。方向性の定まっていない転職はすぐに意欲を失ってしまい、失敗に終わる可能性があります。最適な転職のタイミングをつかむには、転職の理由や目指したい目標を明確にすることを意識しましょう。
転職期間中にどのくらいの資金を準備できるかを考える
管理職として働いていたり、何らかのプロジェクトを担っている人の場合、今の職場で働きながら転職活動をするのは時間的観点から考えると現実的に難しいかもしれません。実際、在職中にエージェントへの登録や目ぼしい求人案件を探しておいて、具体的な転職活動は退職してからスタートさせる、という人が多いです。
そうなると、転職活動の間の資金準備の充実度合いが転職の自由度に大きく関係してきます。資金準備が少ないと急いで新しい仕事を見つける必要があり、希望の条件を満たしていなくても入社せざるを得ないという可能性があるからです。転職活動の期間を90日~120日を計算して毎月の出費が30万円の場合、100～120万円程度の資金準備が必要になるでしょう。転職のタイミングには自分の意向だけでなく、どのくらいの資金準備が可能か、というポイントも重要になることを覚えておきましょう。
在職企業との交渉をしっかり行う
常識のあるビジネスパーソンとして、在職企業との退職交渉はスムーズに進めたいものです。従業員が退職の意思表示した場合、基本的に企業側はそれを受け入れることになります。
かと言って、あなたの意向だけで退職のタイミングを決めて良いというわけではありません。その後の転職活動をポジティブなものにするためにも在職企業との関係は良好なものにしておきましょう。一般的には、退職までの目安期間は90日と言われているので、1~2か月以内の退職は非常識とみなされ、在職企業との関係が悪くなる可能性があります。
しかし言い換えれば、特別な事情がない限り90日以上、退職を遅らせる必要ないということです。抱えているプロジェクトの規模が大きかったり、あなたの役職を引き継ぐ後任者の選定が必要だとしても3か月後の転職が理想のタイミングということになります。
まとめ
本稿では、転職のタイミングについて解説しました。年齢による転職のタイミングをまとめると以下のようになります。
20代後半での転職：転職の成功率が最も高いタイミング。若さや将来のポテンシャルが重視され、未経験職にも挑戦できる年齢 30代での転職：即戦力としての活躍が求められるタイミング。マネジメントスキルやリーダーシップ、プロジェクト管理などの実績があれば有利 40代での転職：管理職への転職が基本になるタイミング。ヘッドハンティングや転職エージェントからの紹介が多くなり、未経験職への転職は難しくなる
転職のタイミングを業界別に図る場合、以下のようなポイントがあります。
同業界に転職するタイミング：今の職場でスキルを十分に習得したか、目指すキャリアが明確になっているかが目安となる 他業界・未経験職に転職するタイミング：30歳までが理想のタイミング。未経験職への転職を検討する場合、20後半～30代半ばまでの行動が有効
キャリアパスと転職のタイミングはどのように見極めるといいでしょうか。
昇進の可能性がある場合：管理者またはプレイヤーとして転職したいのかを定める。管理者としての転職するなら昇進後の転職が理想。ただし、少なくても1年は実績を積む必要がある。プレイヤーとして転職するなら昇進前に転職が有効。 資格取得を目指している場合：取得する資格と転職後の仕事の関係性を考慮する。資格取得だけに執着せず、実務スキルやコミュニケーション能力を磨くことも忘れない プロジェクトが進行中の場合：プロジェクトが完了してから転職活動を始めた方が良い
子持ち女性が転職するタイミングとしては、以下のポイントを押さえておきましょう。
新しい業種よりも経験を活かせる仕事を選ぶ スキルとキャリアを自己分析する 働く環境を事前にチェックしておく 正社員だけでなくアルバイトも視野に入れる
転職活動をスムーズに進めるには、転職の方向性を定めることや転職期間中の資金を準備すること、在職企業との退職交渉を円満に進めることなどがあります。転職を成功させるにはタイミングの見極めが重要になります。今回の記事を参考にして、あなたに合った転職のタイミングを掴んでください。
