履歴書・職務経歴書に退職理由は必要?その書き方も併せて解説!

履歴書・職務経歴書に退職理由は必要?その書き方も併せて解説!

履歴書や職務経歴書に、退職理由を詳しく書く必要があるか悩みますよね。簡単にいえば、履歴書には定型文を書けばよく、職務経歴書には書かなくてもよいのが基本と考えてよいでしょう。しかしケースバイケースで、詳しく書いた方がよい場合もあります。

この記事では、退職理由を書かなくてよい場合や定型文でよい場合と、詳しく書いた方がよい場合の分類を紹介します。それを踏まえて、定型文や詳細に書く場合の書き方などを、例文も挙げながら解説しましょう。転職で応募書類を書く際の、参考にしてください。

履歴書と職務経歴書では違う退職理由の扱い

履歴書と職務経歴書は、そもそも書類としての目的が異なるので退職理由の扱い方も違ってきます。それぞれの書き方について、詳しく見ていきましょう。

履歴書の場合

まず、履歴書はあなたの社会的な「履歴」を過不足なく伝える目的の書類です。そのため、過去に退職した場合は職歴欄に記載する必要があります。もちろん詳細まで書く必要はなく、定型文による記載の仕方で問題ありません。

職務経歴書の場合

一方、職務経歴書はあなたの職務に関する経歴および関連するスキルなどの情報を伝える目的の書類です。よって、退職した事実さえわかれば、理由は重要ではありません。

そもそも職務経歴書は決められたフォーマットがなく、応募先企業からの指示や要望がなければ、後述する例外的なケースを除いて退職理由をあえて書く必要はないです。

もし、使用したい職務経歴書のテンプレートに退職理由は転職理由を記入する欄がある場合は、削除しても構いません。どうしても書きたい場合は、定型文で入れておきましょう。

退職理由の定型的な書き方

履歴書や職務経歴書における退職理由の書き方は、系統によって変わります。では、一般的な履歴書や職務経歴書での退職理由の書き方を解説しましょう。

自己都合の退職の場合

従業員が主体的に退職を選んだケースは「自己都合退職」と呼ばれます。

転職活動をしていて採用が決まった場合や、一時的に家族の世話をしなければならない場合、配偶者が転勤をすることになって一緒に転勤先に行くためなどがこのケースに当てはまります。また、勤務先の人間関係や上司への不満、待遇への不満に我慢ができない、単純に仕事が面白くないなども自己都合退職です。

いずれの場合も定型的な書き方は、退職年月とともに「一身上の都合により退職」と記載します

会社都合の退職の場合

企業側から一方的に労働契約の解除、つまり解雇を申し入れられた退職は「会社都合退職」と呼ばれます。経営不振やリストラによる人員整理、事業所の廃止に伴うものや企業自体の倒産などがこれに該当します。

イレギュラーなケースにも触れておきましょう。例えば給与が大幅に減額された場合やまたは給与の遅配や未払いが続いた場合、上司や同僚から嫌がらせを受けた場合、会社からの退職勧奨された場合なども、会社都合に分類されます。

会社都合退職の場合の定型的な書き方は、退職年月とともに「会社都合により退職」と記載しましょう

契約期間満了による退職の場合

派遣社員や契約社員などの、「期間の定めがある雇用契約」を結んでいる場合 は契約期間が満了すれば契約更新を行わないかぎり、自動的に退職になります。このような場合定型的な書き方は、退職年月とともに「契約期間満了につき退職」と記載します。

ただし、「期間の定めがある雇用契約」を結んでいても、契約期間に至る前に自ら退職を申し出るのは「自己都合退職」です。その場合は「一身上の都合により退職」と記載します。

退職理由を自発的に書くべきケースと書き方

職務経歴の内容によっては、履歴書の定型文だけでは先方の選考担当者に情報としての不足感を与えてしまうケースもあります。求められていなくても自発的に、履歴書や職務経歴書に定型文ではない退職理由を簡潔に添える方が賢明です。

それはどのようなケースで、書き方のポイントは何かを解説していきましょう。

離職期間が長いケースと記載例

退職してから半年や1年を超えるような離職期間があるような場合、選考担当者は「その空白期間に一体何をしていたのだろうか」と疑問に感じるでしょう。あるいは、直近にブランクがあってそれが長期に及んでいるなら、選考担当者は「社会人として復帰できるのだろうか?」などと不安を感じるかもしれません。

そのような疑問や不安などのネガティブなイメージを払拭するためには、退職理由の書き方で対応しましょう。自分自身の状況に応じて、退職理由を記載します。

例えば男性女性ともに家庭の事情としての出産や育児、近親者の介護などの家庭の事情は正当性があります。離職はやむを得なかったが、現在は一段落しているので特に問題はなく働けることを伝えられれば、不利になることはないでしょう。もしくは病気の療養などの理由も、現在が復帰できる状況であれば問題ありません。あるいは資格の取得や目指す業界の専門知識の研鑽のためにブランクがあった場合は、むしろポジティブな印象を与えることも可能です。

いずれにせよ、虚偽の理由を記載するのはよくありません。面接で突っ込まれた際に、返答が自然にできないと不信感を抱かせてしまいます。どのような場合であれ、ポイントは長期の離職になった実際の理由を記載し、現在は問題なく就業できることが伝わるような補足とともに記述することです。

書き方の視点と視点としては、以下の記事が参考になります。

また、詳細に関しては面接で尋ねられる場合が多いので、履歴書や職務経歴書では1~2文ほどで簡潔に退職理由プラス補足をまとめておくのが賢明です。以下に記載例を挙げておきましょう。

【履歴書の場合】

20XX
X
〇〇〇〇株式会社入社
20XX
XX
病気療養のため退職

(〇〇〇〇年〇〇月〇〇日現在、完治しており勤務に支障なし)

20XX
X
〇〇〇〇株式会社入社
20XX
XX
家族の介護のため退職

(20XX年X月に介護施設に入所、現在は勤務に支障なし)

【職務経歴書の場合】

期間:20XX年X月〜20XX年X月
会社名:〇〇〇〇株式会社
業種:〇〇〇〇〇
雇用形態:正社員
従業員数:〇〇名
<担当業務>
営業に従事。〇〇〇〇部門にて〇〇圏を担当。
<退職理由>
資格取得準備のため退職。(20XX年XX月国家資格〇〇〇〇〇〇を取得)

転職回数が多いケース

短期間に複数回の転職を繰り返していたり、有期雇用社員として短い期間の契約勤務を繰り返していたりした場合はどうでしょうか。これはきちんと説明しなければ、選考担当者にネガティブに捉えられてしまうリスクがあります。

つまり、転職回数が多すぎる職務経歴書を見た選考担当者は「この人は採用しても同じように長続きしないかもしれない」と考えるおそれがあるのです。
そうなったやむを得ない理由があったとしても、定型文だけで事情を汲み取ってもらうことはできません。その場合は、合理性がある退職理由あるいは転職理由を、具体的かつ簡潔に記載しましょう。事実がある前提で、以下のような書き方になります。

  • 配偶者の転勤に伴い退職
  • 結婚に伴い退職
  • 家業の一時的な補佐のため退職

もしこのような事実がなく転職を繰り返した場合は、以下のようなできるだけポジティブな理由づけが必要です。

  • 資格が活かせる職場を求めて退職
  • キャリアアップを目指して退職
  • 挑戦したい業種が見つかったため退職

このように、前向きな理由を記載すれば、マイナスイメージは少しでも軽減できるでしょう。

応募先に記載を求められた場合の書き方

企業によっては中途採用の応募者に、職務経歴書に転職理由の詳細を記載することを求めてくる場合があります。その場合にはもちろん定型文ではなく、きちんとした内容で記載しなければなりません。また、中にはさまざまな背景からあえて記載したいと考える人もいるでしょう。

ここでは応募先に記載を求められた場合や自ら記載したい場合の、転職理由の書き方のポイントについて解説し、詳細な転職理由の記載例を紹介しておきましょう。

職務経歴書の退職・転職理由における書き方のポイント

職務経歴書に転職理由の記載を求められた場合の、書き方のポイントは以下の2つです。

  • ネガティブな不満をポジティブに変換して表現する
  • 複数の退職で類似した転職理由は書かない

個別に掘り下げてみましょう。

ネガティブな不満をポジティブに変換して表現する

「担当している分野が自分のやりたいことではない」「職場では磨けるスキルが限られている」などの不満が理由で転職を決意する場合もあるでしょう。
しかしながら、そのままその不満を書いてしまうと選考担当者にネガティブな印象を与えてしまうリスクがあります。
そこで、以下のようにネガティブな理由を徹底的にポジティブに表現しましょう。

「担当している分野が自分のやりたいことではない」

「学生時代から興味を抱いてきた〇〇〇〇分野にどうしても挑戦したい」

「職場では磨けるスキルが限られている」

「〇〇〇〇のスキルを見につけて〇〇〇〇ができる人材になりたい」

このようにポジティブに変換すれば、印象がまったく変わります。あとは、きちんと文章化すれば問題ありません。

複数の退職で類似した転職理由は書かない

複数の退職履歴がある場合に、どれも同じような理由で転職を繰り返していることも実際は多いでしょう。とはいえ、前職も前々職も同じ理由で転職していると、選考担当者にあまり良くない印象を与えます。

なぜなら、このような場合だと「この人はうちに入ってもまた同様の理由で退職するのだろうか」と選考担当者に不安を与える可能性があるからです。選考担当者にとって、自分が採用した人材が短期間で退職するほど残念のことはありません。そのため、たとえ同様の理由で退職をしていたとしても、極力表現の仕方を変えて転職理由を書きましょう。

応募先に記載を求められて書く転職理由の記載例

応募先企業が職務経歴書に転職理由の詳細な記載を求めている場合の、具体的な記載例をタイプ別に3題紹介しておきます。

業務環境への不満で転職をする場合

現在では産業界全体で、長時間労働を是正する大きな流れがあります。時間外労働や休日出勤をできるだけしないで、ワークライフバランスを大切にしたいというのは正当な転職理由になります。ただし、そこでストレートに不満だけを書き並べるのは適切ではありません。改善のために起こした主体的なアクションや、ワークライフバランスを充実させることでどんな働き方を実現したいのか書くとよいでしょう。

例A)
システム開発の仕事自体には適性もあり、意欲的に取り組んできたと自負しておりますが、長時間の残業が恒常的になって業務負荷が非常に大きくなってきたことがきっかけです。
プロジェクトの人的リソースに関する方針に納得感が得られなかったので、上位者に増員もしくはアウトソーシング、納期の再検討などを何度も提案してみました。
しかし残念ながら改善の見込みがないと判断し、転職を決意するに至りました。
無理のない働き方で、クライアントと良好なコミュニケーションを実現しながら課題を解決できる開発をしていきたいと考えております。

得意分野が活かせない不満で転職をする場合

身につけているスキルが環境的に発揮できなかったり、キャリアプラン自体が描けなかったりという不満も立派に転職理由になりえます。仕事に対して自分はどのように向き合い、この先はどのように成長していきたいのかを明確にすることで説得力が増すでしょう。

例B)
マーケターとしてのいくつかの成功体験を持って転職した現勤務先では、入社後2年間が過ぎてもマーケティングとは無関係の部署でエクセルにデータを入力するだけの毎日です。
担当はベテラン揃いではあるものの人材の新陳代謝がまったくなく、若い人材の意見が反映されないため企画の斬新さが失われています。
1年間は何も言わず受け入れていたものの、さすがにこの1年間は何度もマーケティング担当部門への配置転換の希望を人事部に相談しました。
しかしながら一向に反映されず、ついに職場を変えることを決心したのです。
貴社の新しい感覚のマーケティングに以前から感銘を受けてきました。私もマーケターの人材として活躍したいと考えております。

倒産や人員整理で転職をする場合

倒産や人員整理による退職や転職は会社都合のものなので、そのまま詳細を記載してもネガティブに受け取られる心配はまずありません。その上で少しでも印象をよくするために、「転職後はこのように働きたい」という前向きな決意をプラスして記載しましょう。

例C)
前職の勤務先の業績不振による整理解雇によって退職しました。仕事の内容や職場の環境には不満などなかったので、大変残念に感じております。
直近の2年間はコンサルティング型の営業スタイルに特化することで、業績を飛躍的に向上させることができました。そこで得たものを、貴社の〇〇〇〇部門で活かしつつ、さらなるスキルアップを目指したいと考えております。

まとめ

履歴書や職務経歴書に退職理由を詳しく書かなくてよい場合の定型文や、自発的に書く場合や応募先に求められた場合の書き方について解説しました。
基本的には定型文で問題ありませんが、離職期間が長い場合や転職回数が多い場合は、ここで紹介したポイントを押さえつつ記載してください。
詳細を記載する場合は、考えようによればアピールになる可能性があるので、ポジティブで合理性がある内容を考えて、できるだけプラスになるように記載しましょう。

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