履歴書を書くなら知っておくべし!TOEICのスコアの目安と記載方法

履歴書を書くなら知っておくべし!TOEICのスコアの目安と記載方法

転職活動において履歴書を書く場合に、資格欄には少しでもアピールできることを書いておきたいですよね。企業が人材の英語力を測る際に使用され、また選考を受ける人にとってアピールポイントになるのが、TOEICのスコアです。とはいえ履歴書にTOEICの点数を記載する場合、何点から記載すれば良いのか気になるでしょう。もちろん応募先の企業あるいは希望する職種によって求められるレベルは変化しますが、アピールになるかどうかの目安もあります。

この記事では、英語力のアピールにつながると考えられるTOEICスコアについて解説し、あわせて履歴書への記載方法も紹介します。

そもそもTOEICとは何か

TOEICはTest Of English for International Communicationの略称です。アメリカのETS(Educational Testing Service)がTOEICテストプログラムを開発しテストを主催および運営しています。
日本国内でのテスト運営はIIBC(財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会)が担当です。

テストの目的は母国語が英語ではない人を対象とした、英語によるコミュニケーション能力を評価することです。IIBCの言葉を借りると「オフィスや日常生活における英語によるコミュニケーション能力を幅広く測定」するテストになります。つまり、学問ではなくビジネスパーソンとしての実践的な英語スキルを測るテストがTOEICです。

TOEICは世界共通テストとしての位置付けがされており、日本でも多くの企業が候補者や社員の英語力を測る基準として採用しています。そのため、受験者は就職活動を控えた大学生や、仕事で英語を使う必要があるビジネスパーソンが多いです。

実はTOEICテストは5種類ある

テストのバリエーションとして、以下の5種類が実施されています。

  • TOEIC Listening & Reading Test(TOEIC L&R):英語を聴き取る能力と読解の能力を判定するテストで、1979年から実施されて、最も普及しています。
  • TOEIC Speaking & Writing Tests(TOEIC S&W):英語を話す能力と書く能力を判定するテストで2007年から実施されています。受験者数は年間の総数でも4万人にも満たず、あまり普及していません。
  • TOEIC Speaking Test:S&WのS(スピーキング)に特化したテストです。以前はW(ライティング)に特化したテストもありましたが、現在は実施されていません。
  • TOEIC Bridge Listening & Reading Tests:2001年から実施されている、英語学習初級者から中級者を対象とした L&Rテストです。
  • TOEIC Bridge Speaking & Writing Tests:2019年から実施されている、英語学習初級者から中級者を対象としたS&Wテストです。

TOEICといえばL&Rテスト

2019年度のTOEIC Programの総受験者数は約240万人です。そのうちL&Rテストの受験者は220万人と、全体の9割を超えることからわかるように、最も普及しています。一般的にTOEICといった場合は、L&Rテストを指していると考えてよいでしょう。

ちなみにTOEICの受験者数においては、世界160ヶ国で年間約700万人が受験しているうちの約240万人を数える日本が1位で、約200万人を数える韓国が2位です。日本と韓国を合わせると445万人を超え、2ヶ国だけで約3分の2を占めます。

参考に、2019年度において総受験者数が500人を超える国のL&Rテストの平均スコアを紹介しておきましょう。

877:カナダ 722:スペイン 637:ブラジル 572:メキシコ
812:ドイツ 713:フィリピン 623:トルコ 571:中華人民共和国
782:レバノン 713:コスタリカ 623:ギリシャ 568:ポーランド
772:ベルギー 691:マダガスカル 620:エクアドル 562:台湾
763:イタリア 679:チリ 616:カメルーン 541:香港
736:ポルトガル 678:韓国 614:コートジボワール 523:日本
733:フランス 673:アルジェリア 611:マレーシア 516:マカオ
733:チュニジア 667:ペルー 602:ガボン 490:ベトナム
727:アルゼンチン 666:ヨルダン 588:セネガル 485:タイ
726:ロシア 662:インド 581:コンゴ共和国 471:インドネシア
725:モロッコ 646:コロンビア 580:ミャンマー 468:モンゴル

残念ながら日本はかなり平均点が低い方です。それだけに、良好なスコアをマークすれば転職活動で有利な材料になるともいえるでしょう。

今、TOEICが重視される理由

TOEICを運営しているIIBCの公式データによれば、上場企業の中で採用や昇進の際にTOEICスコアを条件にしている、または今後しようと思っている企業は大半を占めています。

TOEICを採用条件に使用(または使用予定):70%以上
TOEICを昇進条件に使用(または使用予定):60%以上

仕事で実際に英語を使うかどうかはさておき、ある程度のTOEICスコアを持つことがビジネスパーソンの素養として求められているのです。英語力を証明するものとしてはTOEFLや英検がある中で、TOEICが現在ひときわ重視される理由について触れておきましょう。

TOEFLよりTOEICが重視される理由

TOEFLよりもTOEICが重視される理由は、企業にとって選考候補者の比較も容易で基準として用いやすいからです。

TOEICと同じくESTが主催するTOEFLは、英語圏の大学に留学するために必要な英語力を、「聴く」「読む」「話す」「書く」の4つの能力から総合的に測る試験です。TOEICより15年先んじて、1964年に開始されています。「聴く」「読む」だけを測るTOEIC L&Rテストと比べ、実践的な能力が測れるとみなされます。そういう意味では、信頼性においてTOEICよりも高いといえるでしょう。

しかし、TOEFLは日本人にとってレベルが高すぎて、全体的に点数が上がらず、差がつきにくいのです。そのため企業が英語力を測る基準としても比較しづらく、そういう問題を抱える日本からの要請に応えてETSが新たに開発したテストがTOEICです。

TOEICは日本人の英語力の見極めにフォーカスして開発されただけあって、スコアによって能力の差が明確になり、比較が容易にできるようになりました。こうして多くの企業が選考基準として用いるようになり、転職市場においてTOEICは圧倒的な知名度を獲得したのです。

※外資系企業におけるTOEFLとTOEICの違いも合わせて知っておきましょう。それがこちらで解説しています。

英検よりもTOEICが使われる理由

英検は7つの級で判定されます。企業が求めるのは1級や準1級、2級のなどの3つ級なので、同級者が多すぎてその中での比較は困難です。

その点、TOEICは5点刻みでスコアが出るので細かい順位で比較でき、英語力の判定基準に使いやすいと考える企業が多いのです。これが英検よりもTOEICが使われる理由です。実際に日本国内の企業が現在、採用活動において候補者の英語力を測るうえで最もポピュラーな物差しはTOEICですが、実は英検がポピュラーな時代もありました。

ところが、前述のとおり日本向けに開発されたTOEICの年間受験者数が2000年の時点で100万人を超え、採用時にTOEICのスコアを参考にする上場企業が激増するほど普及したのです。その結果、英検よりもTOEICの方を用いる流れが強くなりました。
企業側も「聴く」と「読む」のふたつの能力しか測定できないTOEICのスコアが高いからといって、すぐさま英語で仕事ができるとは考えていません。ただし、英語習得のための基礎的な力と、目標に向かって継続的に努力する素養をスコアから判断している面もあります。

履歴書に記載するTOEICのスコアの目安

ここでは履歴書に記載するのに妥当なTOEICスコアの目安について、スコアが示す英語レベルの内容を交えて詳しく解説しましょう。

最低基準はTOEIC600点

一般的に日系企業への中途採用で、ビジネス英語の最低基準とされるスコアは600点以上です。外資系の場合はそれが700〜750点に上がります。

TOEICスコア600点以上はトラベルレベルともいわれ、海外旅行ができるレベルです。ネイティブにゆっくり話してもらえば、短いセンテンスのやりとりや簡単な質問ができます。日本国内でのTOEIC公開テストの平均点は、多くの実施回で500点台なかばとなっています。そのため、転職志望者はまず600点以上を目指しましょう。

※外資系志望者はこちらの記事もご覧ください。

ただし、日常的に海外取引先とのコミュニケーションが必要なポストの求人や外資系企業であれば600点台では英語が低いという解釈をされ、かえってマイナスポイントになってしまう可能性があります。
応募を検討している企業の募集要項や求人対象の業務内容を確認して、必要な英語レベルを想定した上で記載するべきかを判断しなければなりません。次に紹介するスコアレベルと企業の評価の一覧表を参考にして、判断してください。

TOEICスコアと企業の評価

TOEICのスコアレベルに対する企業の評価を、英検との比較や必要単語数の目安、具体的なレベルの内容を交えてわかりやすく一覧表にしてみました。

TOEICスコア 英語レベル 英検との比較 必要単語数の目安 具体的な能力 企業の評価
600点以上 Basic Level基礎レベル 準2級以上 4,000語以上 ネイティブにゆっくりと丁寧に話してもらえれば簡単なやりとりができる 中途採用での最低基準
730点以上 Conversational Level会話レベル 2級以上 5,500語以上 ネイティブとの日常会話には支障がない 企業内の国際部門に配属可能なできる最低基準
800点以上 Business Levelビジネスレベル 準1級以上 8000語以上 ネイティブと意思疎通ができて仕事の打ち合わせや普通のディスカッションなどができる 企業の国際部門の基準を充分に満たしている
860点以上 Fluent Level流暢レベル 1級 10,000語以上 英文の専門書を読解できて複雑なディスカッションを円滑にこなせる 海外赴任を任命できて転職にも確実に有利
930点以上 1級 10,000語以上 ほとんど支障なく英語でのコミュニケーションが可能 英語に関してほぼ全面的に信頼される

TOEICを英語ネイティブが受験した場合

英語ネイティブであるアメリカ人やイギリス人が受けることは基本的にありませんが、どういうスコアになるか気になります。

実は、アメリカ人大学生がTOEICテストを受けた際の平均スコアは930〜970点くらい、ネイティブの中学生に当たる年代の少年少女が受けた際の平均スコアは850点前後です。

この結果から想定できることが、いろいろとあります。まず930点前後以上のスコアを取れるかどうかは英語レベルとは別の、試験に臨む際の集中力の問題といえるでしょう。

また、大学生との100点ほどの差は英語力の違いではなく、ビジネスに関するボキャブラリーが少ないからだと解釈できます。言い換えれば、難しい単語を知らなくても一般的な単語で、充分に円滑なコミュニケーションが取れることを意味しています。

ともあれ、TOEIC860以上が流暢レベルといわれ、930以上をマークすると母国語レベルであるとわれるのは、妥当性がある物差しだといえるでしょう。

採用時・昇進時にTOEICスコアを条件にしている企業

採用において、あるいは昇進に際しても役職に応じてTOEICスコアの基準を設けている企業が、特に大手企業を中心に多く存在します。転職事情でいえば、採用時にTOEIC600点以上あるいは700点以上の基準を設けている企業はかなり多いです。ポストによっては800点以上が採用の基準となっている企業も見られます。

有名企業でのTOEICスコアの採用・昇進基準を一覧表にしました。

600点以上 700点以上 800点以上
採用時 ニトリ、NEC、ビクター、横浜ゴム、三井物産、佐川急便、出光興産、王子製紙、大正製薬、ダイワハウス 武田薬品、三菱電機、東京電力、三菱自動車、ヤマト運輸、NTT東日本、ブリジストン、ソフトバンク、ファーストリテイリング 楽天、LG、サムスン、ヒュンダイ、住友不動産、野村不動産、NTTコミュニケーションズ
入社2年目 日立、富士通
入社3年目 三井物産
入社4年目 伊藤忠商事
入社5年目 丸紅
国際部門配属時 パナソニック(国際広報部門)、野村ホールディングス、(グローバル社員)
係長以上 ソニー、住友林業、トヨタ自動車 住友商事
課長以上 日立、IBM、マツダ 楽天、シャープ 三菱商事
次長 IBM
上級管理職 ブリジストン 楽天、日立

企業にもよりますが、転職にあたっては役職がない求人でも最低で600点以上、役職を目指すなら必ず700点以上、できれば800点以上のTOEICスコアをマークすることが望ましいといえるでしょう。

TOEICスコアの履歴書への記載方法

いざTOEICスコアを履歴書に記載しようとする際に、正しい書き方がわからない人も多いのではないでしょうか。ここではTOEICスコアの履歴書への記載方法を解説しましょう。

TOEIC公開テストの記載方法

履歴書の免許・資格欄に、取得年月、テスト名称、取得何点を書きます。スコアを確認するために公式認定書の提出を求められる場合もあるので、注意が必要です。TOEIC L&R公開テストは最も一般的なので、試験名を「TOEIC公開テスト」と明記すればOKです。

それ以外のTOEICテストは、それとわかるように記載する必要があるので、気をつけましょう。

免許・資格
20XX X TOEIC公開テスト 700点取得

TOEIC S&Wテストの記載方法

TOEIC S&Wテストは、スピーキング・ライティングの各200点満点中、ともに130点以上であればアピール材料になるといわれます。ただしS&W単独ではなく、あくまでもL&R公開テストと併記することが基本と考えましょう。

免許・資格
20XX X TOEIC公開テスト 700点取得
20XX X TOEICスピーキング&ライティング公開テスト スコア300/400点取得
(スピーキング150/200点・ライティング150点/200点)

TOEIC IPテストの記載方法

IPテストとは企業や大学が主催者になって行うTOEIC試験のことです。IPとはInstitutional Programの略です。希望団体で10名以上の受験者が集まれば、試験を実施できます。なお、企業によってはスコアとしての価値を認めないケースもあるので注意が必要です。

IPテストは「TOEIC公開テスト」との違いを示すために、必ず「TOEIC IPテスト」と記載しなければなりません。

免許・資格
20XX X TOEIC IPテスト 700点取得

また、TOEICのBridgeテストはいわゆる初級レベルであって、かりに満点でもアピールになることはないので記載は控えておきましょう。

履歴書に記載できるスコアは何年前まで?

TOEICのスコア自体には有効期限が特にありません。しかし、公式認定証の発行が可能であるのは取得時点から2年以内です。そのため、一般的にTOEICにおいては2年以内のスコアなら記載し、それを超える場合は新たに受験する方が良いでしょう。

まとめ

転職活動の際に、履歴書に書いてアピールにつながると考えられるTOEICスコアについて解説し、履歴書への記載方法も紹介しました。TOEIC公開テストが生まれた背景を知れば、多くの企業が物差しとすることも理解できるでしょう。

転職活動にあたって履歴書に書くかどうかは、応募先企業や目指すポストがどの程度のスコアを求めているかをよく調べて見極めてください。スコアが不足と感じるなら、対策を施してスコアアップにチャレンジしましょう。

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亀田和明

コンサルタント歴:15年以上

高校卒業後に渡豪。キャンベラ大学を卒業し、外資系大手リクルートメント会社に入社。人材紹介業界でのキャリアをスタート。ファイナンステクノロジー(金融IT)、不動産、サプライチェーン、また保険チームの立ち上げや、新規ビジネス開発などに多数従事。2012年に弊社タリスマン立ち上げから参画。Fintech領域のリクルートメントに携わり、現在はIT、金融・保険・コンサルティング・製造領域の人材紹介事業を管理しております。

国内の日系企業様はもちろん外資系企業様の、CxOレベルなどのエグゼクティブからジュニア(第二新卒)の求まで、多岐にわたる転職サポートを行っております。海外での募集要件なども常時取り揃え、日本語・英語での対応が可能です。培ってきた経験をもとに採用課題に対するソリューション提案を常に心がけております。

対応言語:日本語、英語

得意な業界:IT全般、金融、フィンテック、保険、コンサルティング

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