コンサルティング業界は平均年収が高く、仕事内容もやりがいがあるように感じられるので転職志望者に人気が高いです。実際にコンサルティング業界の受注も増え、求人は未経験も含めて多いのが現状です。
この記事ではコンサルティング業界未経験者が選考において企業側に見られるものを解説し、内定を勝ち取るための参考情報を紹介します。
目次
コンサルの中途採用者に業界未経験者が多い理由とは?
コンサルティング業界での中途採用において、コンサルティング業界未経験者の割合は約80%程度ともいわれています。意外に多い感じがしますよね。その理由を説明しましょう。
コンサルティング市場が拡大基調にあり、それに伴う受注増加はコンサルタントの絶対数の必要性に直結し、それをすべて経験者で埋めることは不可能だからです。日本のコンサル市場は近年において、順調な拡大傾向をたどっています。そしてコンサルティングという分野は、顕著な労働集約型産業、つまり機械等に任せられない、マンパワーによる労働が大半を占めている仕事です。それゆえ、仕事が増えれば増えるほど、それに携わる人材が必要になるので、未経験者をポテンシャル採用することにつながります。
コンサルタントの人材ニーズは順調に伸び続け、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で一時弱まるも再び伸びています。今後もその傾向は続き、それに伴いコンサルティング業界未経験者に対する需要も旺盛な状況がこれからも続くでしょう。
未経験者がコンサル業界の選考で見られるもの
そこでコンサルティング業界未経験の転職志望者にとって気になるのは、中途採用の選考において何を見られるかではないでしょうか。
コンサルティング業界の中途採用選考において、業界経験者が選考担当者に見られるポイントは第一に強い志望動機があるかどうかです。第二にコンサルタントに向いている3つの資質を備えているかどうかもが見られます。第三にコンサルタントに不可欠な2つのスキルを持ち合わせているかどうかです。
個別に詳しく見ていきましょう。
強い志望動機
まず他の業界から未経験で志望してくるということは、それなりに強い志望動機があるはずです。それが金銭的なものでもやりがいでも、その内容については問題にはなりません。
問題は本当に強く志望しているのか、あるいは強い動機はなくて「なんとなく良さそうだ」とか「面白そうだ」というような確信の伴わない動機で志望していないかです。弱い動機であれば、ある程度はハードワークの要素もあるとされるコンサルティング業界なので定着に不安を抱かせる可能性があります。
採用した人材がすぐにやめずに長く活躍してもらいたいのは選考担当者として当然なので、志望動機に確信があるかを知りたいのです。そこで合理性があり、その結果説得力がある志望動機を準備して置くことが賢明です。
コンサルタントに向いている3つの資質
次に、コンサルタントに向いている資質があるかどうかをチェックします。コンサルタントに向いている主な資質として、以下の3つが挙げられます。
- 精神力が強い
- 集中力がある
- 対応力に優れている
個別に補足しましょう。
精神力が強い
コンサルティングでは、仕事の裁量が大きいので責任重大です。この時、頭ではそうすべきと理解をしていていも、強い精神力がないとやり遂げられないことも多いでしょう。
このため、改善のための試行錯誤を、延々と答えが出るまで継続できるかどうかを試されます。面接では、精神力を見るために、過去に直面した試練にどういう気持ちでどのように向き合ったかなどを問われるかもしれません。
集中力がある
常にクライアント企業のための最善策を追求するために、全神経を注いで思考、そして実行ができるかは集中力があるかどうかにかかっています。選考では、対話全体やケース面接を通してあなたの集中力を見られている可能性があります。気を抜かずに最後まで集中して乗り切りましょう。
対応力に優れている
コンサルタントにとっての必要な対応力とは、必要なのに足りないものを智慧を働かせて、限られた時間で効率的に補える力です。選考においてのケース面接で、出された問題に対する対応力がどの程度かが見られるでしょう。
以上3つの力強い資質を持っているかどうかが、選考で見られます。
コンサルタントに不可欠な2つのスキル
コンサルタントにとって必要不可欠なスキルとして、広く言われているのが「ロジカルシンキング」と「コミュニケーションスキル」です。これはコンサルティング業界未経験者でも選考でチェックされるので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
ロジカルシンキング
ロジカルシンキングは論理的思考力のことで、感情に左右されずにあくまで論理的に思考を突き詰めていという、コンサルタントの基本に持つべき能力です。コンサルティングの案件は、どんなビジネスでも納期があるように、かぎられた期間内に明確な成果を求められます。しかも表面上の成果ではなく、本質的な解決という成果を求められるのは当然です。
このため、枝葉の解決ではなく本質的に解決する実行可能なアイデアを出すことは、ロジカルシンキングなくして不可能です。コンサルティング業務において、効率的かつ抜本的に課題を解決するために、ロジカルシンキングは欠かせません。
次に、いくら卓越したアイデアを練り上げたとしても、それを採用することをクライアントが納得しなくては前に進みません。また、そういう優れたアイデアはおおむね斬新であり、一見非現実的に思える大胆なものに見える場合が多いものです。よって保守的なクライアントであればなかなかGoサインを出してくれません。それを説得するためには、道理をもって説得する必要があります。そのためにもロジカルシンキングは欠かせません。
コミュニケーションスキル
近年ではコンサルティングが戦略立案だけでなく、クライアントの現場に溶け込んでヒアリングやサポートをするやり方が増えています。クライアントと打ち解けるため、現場の人たちにヒアリングしてどこに問題があるのかを探るため、そして全ステークホルダーを巻き込んで問題解決を図るためにコミュニケーションスキルは重要です。また、コンサルティングはプロジェクトチームを組んで課題に向き合います。チームメンバーと良好な関係で仕事を進めるためにも、コミュニケーションスキルが必要になるでしょう。
未経験でのコンサル転職に適した年齢
業界未経験でコンサルティング業界に入る人は、多くの場合に第二新卒から社会人経験が10年程度までです。柔軟にさまざまな専門スキルを吸収できるかどうかという意味で、年齢の目安は35歳くらいです。
とはいえ、35歳以降でも前職での経験や専門スキルを活かして、はじめてコンサルタントになるというケースも珍しくありません。たとえば金融業界や製薬業界出身の方が、業界の知識を生かしてコンサルタントへ転身したケースもあります。また、経験者が少ない領域の業界知識や実績があって、企画力を持ち合わせていれば採用される可能性は充分あります。
応募先企業が関係する業界の専門知識がある場合は、未経験でもコンサルタントとしての転職も充分選択肢として検討の価値があるでしょう。
コンサル業界未経験者を後押しする資格
業界未経験者がコンサルティング業界への転職を目指す場合に、それを後押しできる主な資格は以下の4つです。
- TOEIC
- 中小企業診断士
- IT系国家資格
- 公認会計士・税理士
個別に紹介しておきましょう。
TOEIC
コンサルティング業界の近年の採用傾向として、比較的重視されることが多いのは英語力です。その理由としては、需要の減少も見られる成熟した国内市場だけでなく、海外に新たな市場を開拓する必要があるためです。そうなると、企業をサポートするコンサルタントも、英語力が必要になります。
英語力の目安として代表的なものはTOEIC(Listening & Reading Test)公開テストのスコアです。候補者の英語レベル、もしくは英語力を伸ばせる素養の客観的な証明のひとつとなります。点数は最低でも600点以上、できれば会話レベルの700点以上は持っておきましょう。800点以上のビジネスレベルであれば、選考でもグッと有利になるに違いありません。
もちろん、TOEICのスコアの裏付けがなくてもネイティブとビジネス会話ができれば問題ありません。英語力に自信がある人なら、TOEIC公開テストを受けておくとよいでしょう。
※詳しくはこちらでも解説しています
中小企業診断士
中小企業診断士は、国内企業の大半を占める中小企業の経営課題をサポートするために、適切な診断およびアドバイスができる、高いレベルのスキルを持った国家資格者です。この資格は中小企業基本法によって、公的支援事業に限定されず広く民間で活躍する経営コンサルタントとして位置づけられています。中小企業の経営者が経営リソースを確保するためのサポートが、中小企業診断士の主な業務です。
もちろん、この資格がなければコンサルタントになれないわけではありません。しかし経営理論を系統立てて学び、ストレート合格率が5%以下ともいわれる難易度の高い試験を突破した事実は、属性として有利になるでしょう。ただし、外資系コンサルティングファームのように顧客の大半が大企業の場合は、その中小企業にフォーカスした資質を活かせる機会が少ないかもしれません。むしろ、日系のスタンダードな経営コンサルタント企業の方に有利に働く可能性があります。
IT系国家資格
ITコンサルティングファームでは、当然ながらITの専門スキルが重視されます。同様に、総合系コンサルティングファームではシステム導入も包括したプロジェクトが多いので、ITスキルがあれば有利です。また最近の傾向としては、戦略系においてもデジタルコンサルティングを導入する流れが強くなっており、採用においてはITスキルが重要な要素になってきています。
そのような背景があるので、IT関連の国家資格を持っているとコンサルティング業界への転職の選考において多少なりとも有利です。「ITサービスマネージャ試験」「ITストラテジスト試験」「プロジェクトマネージャ試験」などの合格難易度が高い高度情報処理技術者資格を持っていると、ITに関する深い知見があることを客観的に裏付けてくれます。
企業にシステムを導入するための適切な知識や情報戦略の知識、そして最近では重要視されるようになっている情報セキュリティに関しての専門知識を持っていることが証明できるので、人材価値を上げる後押しとなるでしょう。
公認会計士・税理士
公認会計士や税理士の国家資格も、経営にかかわるコンサルタント人材の候補として、あると有利になります。公認会計士は財務諸表監査、つまり会計監査を独占業務とし、ほかにも経理や税務に関するコンサルティング業務にも明るい専門家です。つまり、クライアント企業の財務体質を見極めるスキルを持つことができます。
公認会計士の有資格者は、基本的な活躍の場である事業会社の経理および財務、監査などの仕事ができる一方で、コンサルティング分野でのキャリアパスを描くことができます。税理士は業務としてクライアントの税務申告や関係書類の作成、税務相談や不服審査手続きなどを行う税務の専門家です。そんな税理士資格があれば公認会計士資格同様に、コンサルタントとして活躍する舞台があります。
ファームの系統によって異なる職務経験の内容の基準
まず、戦略系コンサルティングファームの中途採用の場合はポテンシャル採用が大半です。なぜなら、戦略系コンサルでは、「地頭の良さ」および「対人力」が優れていれば、経験内容がどうあれ関係ないというスタンスだからです。
実際に戦略系ファームでは、実際に研究職や官僚、NPO法人、医師など、実に多様なバックグラウンドを持つ人たちが在籍しています。その上で、事業会社の企画あるいは開発部門での業務経験がある場合や、マネジメント経験がある場合は、有利になるでしょう。なぜなら、マネジメントコンサルティング業務はこのポテンシャルを測る尺度になりうるためです。
ただし、難易度は決して低くありません。しっかり対策をとることが重要です。特に地頭の良さを見られるケース面接の対策に注力しておきましょう。
一方、戦略系以外では、それぞれのファームのコンサルティング活動においてターゲットになる業界に関する知識と経験があるほうが、確実に有利にはなるでしょう。例えば金融業界のコンサルティングに注力しようとするファームでは、金融業界からの転職者が有利になるのは当然です。あるいはまったくシステムに触れたことがない人がITを活用するコンサルティングを行うのは無理があるし、財務諸表を理解していない財務会計コンサルタントもありえないでしょう。
よって、過去に培った専門性を「強み」として活かせるコンサルティングファームを選ぶことも大切です。
業界未経験者には転職エージェントが強い味方になる
業界未経験者がコンサルティング業界への転職を目指す場合に、強い味方になってくれるのは転職エージェントです。転職エージェントを活用することは、メリットがとても多いです。例えば、興味がある企業の立ち入った詳細情報を得ることができたり、非公開求人を紹介してもらえたりします
ほかにも、選考に入る段階での応募書類の添削や面接対策を、その業界に応じてサポートしてもらえます。もちろん、費用はかからないので転職市場の情報を得るだけでも価値があるはずです。
転職に関してのあらゆることを相談できるので、活用しない手はありません。
また、私たちタリスマンはコンサルティング業界に精通した経験豊富なスタッフが、あなたの転職ビジョンを実現するためのさまざまなサポートを行っております。
コンサルティング業界の転職に関するスペシャリストが、あなたのビジョンに応じてサポートします。業界未経験でも、コンサルタントへの転職をお考えなら、まずお気軽に相談ください。
まとめ
コンサルティング業界の中途採用の選考において未経験者が企業側に見られるものを解説し、内定を獲得するための参考情報を紹介しました。コンサルティング業界が未経験であること自体は問題ないにせよ、過去に携わった業界や職種でいかに専門性を高めたかは問われます。
また、企画や開発、マネジメントなどの経験があると有利です。ここで紹介した資格も、持っていると有利に働くでしょう。転職エージェントを上手に活用しながら、積極的な転職活動で内定を勝ち取ってください。